これ程までに音楽世界と名前のセンスが合致しているのは珍しい。まだ来ぬ世界の終わりに見るであろう、絶望感と喪失感。少女のもつ儚さと繊細さ。「world’s end」と「girlfriend」。この二つの言葉が組み合わさって生まれるのは、二乗になった無力感と敵わない程の壮大な音だ。

私と彼の間には二本の映画がある。一つはアンコール上映もされた今年のヒット作である「空気人形」。ダッチ・ワイフが人間の男性に恋をするという恋愛映画だ。もう一つは多くの批判と支持を集めた柴田剛監督の問題作「おそいひと」。身体障害者が失恋を機に通り魔に変貌していく様を描いたホラー映画。この二作の共通点は、「純粋」、「狂気」、そして「純粋さと狂気を含んだ音楽」。両作品とも彼が音楽を担当した。

そんな彼が、意外にもクリスマス・ソングを作った。クリスマス・ソングという言葉から、皆さんはどういった絵を思い浮かべるだろう。赤と緑で装飾された街とイルミネーション。家には暖かな食卓とキャンドル。そこにはWham! 、山下達郎、John LennonやPaul McCartneyなどが流れているのではないだろうか。けれど、彼のよく知られている音楽はしんとして冷たく、「暖かい家庭」や「幸せな瞬間」のイメージからはかけ離れている。彼が、クリスマス・ソングをプロデュースするだなんて・・・ 恐る恐る『Xmas Song』を聴いてみた。

サウンドのギャップにひっくり返りそうになった。街で流れる定番のクリスマス・ソングは、ほどよく感情移入出来て、安定感と安心感があり、BGMとして人を邪魔しない。けれど、彼が提示するクリスマス・ソングはそんな事は一切気にしない。クリスマスを楽しみたい人よりも、クリスマスという浮かれた文化を使って好き放題遊びたい人に聴いて欲しい。静かな狂気の人かと思いきや、騒々しい狂気もお得意らしい。しかしこの賑やかさの中にどうやって隠したのだ? 神聖さも見え隠れしているのだから、聴けば聴くほど不思議な作品。

この曲が、あちらこちらのパーティで流される事を想像してみる。「こんなクリスマス・ソングもありなの! 」と、みんなひっくり返ってしまえばいい。あぁ、そうだ。この感じはドッキリを仕掛ける直前の高揚感に似ている。毎年恒例の定番クリスマス・ソングは、来年でも再来年でもどうせ嫌! ってほど街中で流れ続けるのだから、今年ぐらいは、少しクセのあるクリスマス・ソングを聴いてみてはどうだろう? (text by 水嶋美和)

『Xmas Song』フリー・ダウンロード



2001年にROMZ Recordより、world's end boyfriend名義で発表されたミニ・アルバムを、world’s end girlfriend名義で配信リリースします。12月31日までの約1ヶ月、「Very Merry Happy」「Planetarium Ghost Train」「Miss Piggy」「Rotten Pig Parade」「Honeymoon」の5曲をフリー・ダウンロード。更に、ダウンロードいただいた方には、「おしゃれ手帖」や「ギャラクシー銀座」でお馴染みの、長尾謙一郎氏による書き下ろしジャケット画像(568px×551px)をプレゼント。
world’s end girlfriendからの一足早いクリスマス・プレゼントを、どうぞお楽しみください。

>>>『Xmas Song』のフリー・ダウンロードはこちらからどうぞ (12月31日まで)

>>> ジャケットのダウンロードはこちらから

INFORMATION




2010年1月から、world’s end girlfriendの名盤『Hurtbreak Wonderland』を、あっと驚くような特別な形で、毎月1曲販売することが決定しました。
詳細は、後日お知らせします。お楽しみに!


【収録曲】
1. wandering / 流浪 / 2. birthday resistance / 誕生日抵抗日 / 3. 100 years of choke / 百年の窒息 / 4. grass ark / 草の方舟 / 5. ghost of a horse under the chandelier / シャンデリアの下の馬の幽霊 / 6. the octuple personality and eleven crows / 8重人格と11羽のカラス / 7. breath or castle ballad / コルチャックと亡命 / 8. bless yourself bleed / エレウシスの出血 / 9. dance for borderline Miscanthus / 境界線上のススキ / 10. river was filled with stories / 水の線路

RECOMMEND by world's end girlfriend


ニューヨーク・ヘルソニック・バレエ / 菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール
ニューヨークの、地獄の音響で踊るバレエ。菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールの、北米、オペラ、バレエ、サルサへの第一接触。ミニマルやモントゥーノ、パンク・ロック、そしてソプラノ歌手を起用したオペラを用い、クラブ・ミュージック・マナーとクラシック・マナーの見事な融合を実現。

The Nothings of The North / Ametsub
ピアノを中心としたこの上なく美しいメロディー・ラインの数々と、さらに磨きのかかった緻密かつスリリングなリズムから生み出される至高の楽曲群から構成される、近年のエレクトロニック・ミュージックにおけるひとつの金字塔とも言える傑作。坂本龍一も推薦。


ラッシュ / あらかじめ決められた恋人たちへ
ーここは作り物の世界、君が想うリアルがライブになるー「あらかじめ決められた恋人たちへ」初のライブ音源完成。フェイクメンタリー(モキュメンタリー)の手法により、、09年2月13日の金曜日に開催された公開ライブ・レコーディングの素材を「LIVE=生活」のコンセプトの元に再構築して収録。荒くてタフな「あら恋ライブ」をパッケージしたベスト・アルバム的ぶっといライブ盤。

o

 
 

レヴュー

《12ヶ月連続配信企画、第7弾》──goodtimes、
[CLOSEUP]・2017年09月20日・【REVIEW】《12ヶ月連続配信企画、第7弾》──goodtimes、彼らなりの優しい応援歌配信 突如、アーティスト写真もなく素性も知れない2人組ギター・ロック・バンドが現れた。彼らの名前は「goodtimes(グッドタイムス)」。まだほとんど情報がないにも関わらず、2017年3月より《12ヶ月連続音源配信》をOTOTOYで行うことになった。そんな思い切った企画をスタートさせた彼らによる第7弾音源「確かに」を配信、レヴューを掲載する。 goodtimes12ヶ月連続配信、第7弾goodtimes / 確かに'【配信形態】WAV、ALAC、FLAC(24bit/48kHz) / AAC【配信価格】250円【収録曲】''1. 確かに REVIEW : 紆余曲折を経た私たちのことを、まるっと肯定してくれる音楽 第7弾配信曲「確かに」。この曲は一見楽観、客観的でありながらも親身で、優しいgoodtimesなりの応援歌である。彼らは、人と自分の人生を比べて否定するな、なんてことは言わない。人とぶつかり、劣等感に苛まれながら紆余曲折を経た私たちのことを、まるっと肯定してくれる。朝陽(Vo.)の紡ぐ歌詞は、幸せを手に
【REVIEW】11名の“俯瞰派”たちはどう読み取った?──3776『公開実験《LINK MIX》』ハイレゾ配信!
[REVIEW]・2017年09月15日・11名の“俯瞰派”たちはどう読み取った?──3776『公開実験《LINK MIX》』ハイレゾ配信! 静岡側からだけではなく、山梨側からのアプローチも加わり「リンクアイドル」として活動する富士山ご当地アイドル・3776が『公開実験《LINK MIX》』をリリース。今作は6月にリリースされた『公開実験《山梨版》』、『公開実験《静岡版》』を直枝政広(カーネーション)、掟ポルシェ(ロマンポルシェ。)ら11名がミックスを加えた音源なのですが、そもそも《山梨版》とか《静岡版》とか《LINK MIX》ってなんだ? ってなっている方も大丈夫! こちらのレヴューを読んでいただければこの音源の面白さが伝わるはずです! OTOTOYでは24bit/96kHzのハイレゾ音源、限定ボーナス・トラック付きにて好評配信中ですので、まだの方はこのレヴューを読んですぐ音源のチェックを! 《MONO x MONO》のMIXはOTOTOYのみ!!3776 / 公開実験《LINK MIX》'【配信形態】ALAC、FLAC、WAV(24bit/96kHz) / AAC【配信価格】 単曲 162円(税込) / アルバム 1,890円(税込)【収録曲
by 純三
新体制のSiAM&POPTUNe、2年ぶりのシングルをOTOTOY先行&独占ハイレゾ配信
[POWERPUSH]・2017年09月08日・新体制のSiAM&POPTUNe、2年ぶりとなるシングルをOTOTOY先行&独占ハイレゾ配信開始 7人組アイドル・グループのSiAM&POPTUNeが2年ぶりのシングル『Bring me!!』をリリース、OTOTOYでは9月13日のリリースに先駆けて先行&独占ハイレゾで配信開始。 今春に新メンバー3人が加入した新体制での初リリースでもある今作。表題曲の『Bring me!!』は作詞に児玉雨子、作曲をmiifuuが担当した爽やかポップな1曲に仕上がっている。 メンバーは「リリース期間中(2017年9月17日まで)に10000枚のフライヤーを配布する」という目標を掲げて活動中。各メンバーから今作への思いをコメントしていただきました。 SiAM&POPTUNe / Bring me!!'【配信形態】32bit float/44.1kHz WAV (ALACは32bit整数形式に変換され、AACはbit深度が24bitに変更されます。)【価格】単曲 216円(税込) アルバム 540円(税込)【Track List】''01. Bring me!!02. ル ル ル03. よくばりシンデレラ メンバー全員から
【REVIEW】秘密のミーニーズ初のフル・アルバムを配信開始──昇華という名の“サイケ・フォークな変革”
[CLOSEUP]・2017年09月06日・秘密のミーニーズがみせた、昇華という名の“サイケ・フォークな変革”──初のフル・アルバムを配信開始 2010年代に突如現れたサイケ・フォーク・ロック・バンド、秘密のミーニーズ。男女混声のコーラス・アンサンブルを軸とし、時にはフォーキーに、時にはサイケデリックに煌めく独自のサウンドは、瞬く間に人々を虜にし、2014年〈FUJI ROCK FESTIVAL〉の新人アーティスト登竜門ともいえる《ROOKIE A GO-GOステージ》 への出演も果たした。それから約3年の月日が流れた2017年9月6日。バンド初のフル・アルバムとなる『イッツ・ノー・シークレット』がリリースされる。ドラムの脱退、新メンバーの加入、ベース兼ヴォーカルを担当していた淡路がヴォーカル専任になるなど、様々な変革を遂げた彼ら。その3年間の結晶となった今作は、情緒溢れる甘く気だるげな楽曲やバンド初のインストゥルメンタル楽曲、ギターによる間奏曲など、前作までの“ザ・西海岸”なサウンドの予想を上回る変化球が詰まった作品となった。OTOTOYでは今作を1週間の先行配信でお届け。さらにOTOTOY限定ボーナストラックをつけて配信します。秘密のミーニーズ
by ai
可憐で生命力にあふれた楽曲の中で出会った感動──(K)NoW_NAME人気アニメOP&ED配信開始
[CLOSEUP]・2017年09月06日・可憐で生命力にあふれた楽曲の中で出会った感動──(K)NoW_NAME人気アニメOP&ED配信開始 『花咲くいろは』『SHIROBAKO』に続く、P.A.WORKSのお仕事シリーズ第3弾として放送前から期待値が高かった『サクラクエスト』。本作の音楽プロデュースを担当したのは、クリエイティヴ・ユニット、(K)NoW_NAMEだった。1クール目の楽曲の人気が冷めやらぬ中、待望の2クール目のOPとEDの配信開始! 彼らの音楽を紐解いてゆくため、OTOTOYでは本作のレヴューを掲載する。 更なる飛躍が期待される、2クールOP(K)NoW_NAME / TVアニメ「サクラクエスト」第2クール オープニング・テーマ「Lupinus」'【配信形態】WAV、ALAC、FLAC(24bit/96kHz) / AAC単曲 400円(税込) / まとめ 1,920円(税込) 【収録曲】''1. Lupinus2. Red Clover3. Alstroemeria_white4. Lupinus(Instrumental)5. Red Clover(Instrumental)6. Alstroemeria(Instrumen
by 宮尾茉実
【REVIEW】時代の移り変わりを表現する『PORTRAITS』──Rie fuが導き出した流行への回答
[CLOSEUP]・2017年09月06日・時代の移り変わりを表現する『PORTRAITS』──Rie fuが導き出した流行への回答 1985年、東京生まれ。7歳から10歳までをアメリカ東海岸メリーランド州で過ごし、イギリスの大学ではファイン・アートを専攻。シンガポールでも暮らした経験があり、海外的視点を欠かさないRie fu。画家としても活動している彼女からコンセプチュアルなニュー・アルバムが到着。1970年代のカーペンターズやカントリー・ミュージックを自然に通過してきた彼女が、音楽とアートを融合させたプログレッシヴなポップ・アルバムを制作。感度の高い彼女ならではの強いメッセージ性は、現代にはびこる“インスタ映え”や、社会全体への1つの回答であると考えられる。海外生活を経て、海外から見た日本、そして言葉の美しさを再認識した彼女のニュー・アルバムをOTOTOYではハイレゾ配信のスタートとともにレヴューをお届けする。 音楽とアート、2つの視点で表現するニュー・アルバムが配信リリース! Rie fu / PORTRAITS'【配信形態】ALAC、FLAC、WAV(24bit/48kHz) / AAC>>>ハイレゾとは?'【配信価格】 単曲 270円(
by 中の人
【REVIEW】TVアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」テーマソング・ベスト発売 & 過去のサントラが一挙配信スタート!!
[REVIEW]・2017年08月30日・TVアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」テーマソング・ベスト発売 & 過去のサントラが一挙配信スタート!! 連載開始から30年を過ぎた今もなお多くのファンを魅了、そして新たなファン層を増やし続けている漫画「ジョジョの奇妙な冒険」。2012年にはアニメ化もされた同作ですが、この度原作の第1部から第3部のオープニング、エンディング曲を収録したベスト盤の配信がスタート!(CD版とは1部内容が異なります) そ・し・て! 今までのアニメ・シリーズの全サントラがOTOTOYでも解禁! ベスト盤と合わせてこちらも改めてチェックして、あなたも果てしなきジョジョ・ワールドへ! V.A. / TVアニメ ジョジョの奇妙な冒険 Theme Song Best「Generation」 -Opening Collection-'【Track List】01. ジョジョ〜その血の運命 / 富永TOMMY弘明02. BLOODY STREAM / Coda03. STAND PROUD / 橋本仁04. ジョジョ その血の記憶〜end of THE WORLD〜 / JO☆STARS 〜TOMMY,Coda,JIN〜05. アク役◇協奏曲 /
by 純三
【REVIEW】 世界中を旅するサイケデリア──Tempalayが詰め込んだ音楽のサラダボウル『from JAPAN 2』
[CLOSEUP]・2017年08月30日・世界中を旅するサイケデリア──Tempalayが詰め込んだ音楽のサラダボウル『from JAPAN 2』 キャリア初となるワンマンライヴから〈FUJI ROCK FESTIVAL’15&17〉の出演まで果たし、勢いが止まらないTempalay。最近ではそのラフでヒッピーのようなビジュアルからGAPともコラボレーションし、ファッション界からも熱視線を浴びている。そんな音楽シーンで異端児的存在ともいえるTempalayが、この度2ndアルバム『from JAPAN 2』をリリース。いままで同様、異国情緒漂うソフト・サイケが軸になっているアルバムではあるが、本作ではいままでよりその軸の太さや幅、種類が豊富になった印象がある。常に海外に目を向けてきた彼らがワールド・ミュージックを独自に焙煎し、サイケデリアとブレンドさせ、ロックとして抽出するのは、当然の経緯だったのだろう。そんな世界中の常夏を濃密な1枚に凝縮させたTempalayの『from JAPAN 2』。OTOTOYではハイレゾ配信のスタートとともにレヴューをお届けする。 異国情緒漂う多国籍なソフト・サイケ・アルバムをハイレゾ配信! Tempalay /
by 中の人
筆者について
水嶋 美和 (bobbiiiiie)

酒と音楽と漫画と映画とお笑いに囲まれながら、何かしらとにかく書き続ければと思います。

同じ筆者による他の記事