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2018/12/12 20:00

 

夜の本気ダンス、「踊れる」ロックバンドの可能性を突き詰めた赤坂ブリッツ―OTOTOYミニ・レポート

 

全国24ヵ所をまわる「マジカル頭脳ツアー!!」の18本目。このあとも四国と名古屋、地元・神戸での凱旋ファイナルも控えているので、詳しいセットリストは書かないけれど、とにかく最高に心地好いライブだった。

「踊る」ということに対して、一過性の流行で勝負していないバンドだからこそ突き詰めることにできた本気のダンス空間。結成から10周年を迎えた夜ダンが、誰もマネできない場所に向かおうとしていることを感じるライブとなっていた。

夜ダンにとっての赤坂ブリッツ(マイナビBLITZ赤坂)と言えば、2年前に列伝ツアー(スペシャが主催する若手バンドの登竜門的対バンツアー)でファイナルを迎えた場所。ドラムの鈴鹿秋斗は、この日、「列伝ツアーをまわってたとき、この場所でワンマンができるとは思ってなかった」と、感慨深げに言っていたし、バンドの結成10周年に触れて、「このままの勢いでいったら、20周年のときも赤坂ブリッツでやってると思う。わからへんけど、武道館かもしれへんし!」とも言っていた。どちらかと言うと、夜ダンのメンバーは、シャイで、想いを内側に秘めるタイプだと思うのだけど、そんな彼らが、赤坂ブリッツという特別な場所だからこそ言わせたであろう、熱い言葉にぐっときてしまった。

ライブを見ながら、夜ダンがメジャーデビューを果たした2016年というのは、ちょうど「踊れるロックバンド」の流行が一段落して、「音楽って踊れるだけが良さじゃないよね?」的な、アンチテーゼな主張が出はじめたころだったな、と考えていた。そのなかで、夜ダンの鮮烈な登場は、時代の追い風を受けているように見えつつ、そんな時代とは関係なく、「そもそもロックミュージックって俺らにとっては踊れて当然だから」という腹の括り方をしているようにも見えて、他のバンドとは一線を画す存在感も放っていた。

 そういうデビュー当時こそ、夜ダンの曲と言えば、「WHERE?」や「fuckin' so tired」「Crazy Dancer」みたいな、速くて、爆発力があって、勢いのある曲が注目されがちだったけれど、この日のライブでは、最新シングル『Magical Feelin’』で切り開いたバンドの新境地となる曲たちが良い場所でキーになっていたし、アルバム『INTELLIGENCE.』以降で、より顕著になった普遍的なグッドメロディ、ゆったりとしたテンポで作り上げる極上のグルーヴ、初期作特有のエモーショナルな衝動という、バンドの持つ多面的な魅力が余すところなく表現されていた。で、当然、どの曲にも踊れる要素が貫かれている。だから、お客さんもいろいろな踊り方ができる。そういう光景を見て、夜ダンがバンド名で表明している「踊れるロックバンドである」という真価が、いまようやく発揮されてきたんだなと思った。彼らがブレずに年月を重ねるぶんだけ、その説得力は増していく気がする。(秦理絵)

ライヴデータ
夜の本気ダンス「マジカル頭脳ツアー!!」
2018年12月10日 (月)マイナビBLITZ赤坂

[ニュース] 夜の本気ダンス

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