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2016年08月25日22時00分

 
褒めるだけじゃつまらない! 真夏の夜の肝試しイベント〈殺害発電2〉を“正直な客”が赤裸々レポート
 

2016年8月14日(日)、四谷OUTBREAK!にて開催されたイベント〈殺害発電2〉。

〈殺害発電〉とは、ザ・クレイジーSKB(バカ社長)率いる日本最凶レーベル「殺害塩化ビニール」と、アイドル × ノイズ × お笑いを融合したことで局地的に有名なイベント〈自家発電〉が、2015年4月26日(日)、四谷OUTBREAK! にて一夜限り行ったコラボレーション・イベント。一夜限りって言っていたのにしれっと2回目を開催しているところが、このタッグによるイベントらしいところ。

「ライヴ・レポートって「褒めてるだけ」が多いのに疑問を感じていた」というお客さんが、この日の様子をロング・レポート。果たして、どんなイベントだったのか? 以下のレポートをご覧あれ。



褒めるだけじゃつまらない!

今夜四ツ谷アウトブレイクの客席の真ん中で~

CD、DVDの流通会社BM.3と、ただならぬ個性を放つ殺害塩化ビニールとの合同企画。バックアップするのは何でもアリのライヴハウス四ツ谷アウトブレイク。BM.3が企画する〈自家発電〉の流れを組むイベントだが実は似て非なるイベント。

ライヴ・レポートって「褒めてるだけ」が多いのに疑問を感じていたので赤裸々に書きたい。あくまで観客の1人としてのレポート(感想)であり、ファンや関係者はムッとするかもしれないが嘘は書きたくないのでご容赦ください。

2016年8月14日、真夏の糞暑い中アウトブレイクにアンテナが優れまくった演者と客が集まった。

■会場

会場に入ると鯨幕と無数の演者の名前入り卒塔婆と線香の煙が漂う中、DJオッチーさんが素晴らしい曲で迎えてくれる。曲を聴いてるだけでテンションがあがる素晴らしい選曲で、幅広い年齢に合わせて次から次へと流していく。出演者の幅が広すぎのイベントは客層も幅広いわけで、それに合わせるオッチーさんは素晴らしい。何より、1人客でもこれなら寂しくならない選曲。自分の知らない曲でも癖のある曲ばかり流すので自然とテンションが上がる。

■オープニング~開会宣言

司会はカズマ・スパーキン、フジジュン、インタレスティングタケシの3人。フジジュン、カズマ・スパーキンとで軽快なトークを繰り広げる中、インタレスティングタケシの何を話してるかさっぱり聞き取れないトークが絡み合い、オープニングなのにすでに盛り上がる。イベントで一番退屈な時間は機材の入れ替え時間なわけだがこの3人の軽快な司会運びは客を飽きさせない。さすがプロの3人で、客を巻き込んだ司会運びで会場は笑いの坩堝。そして開会宣言。吉本興業からの使者、しんじ(キュートン)さん登場。名前が呼ばれた瞬間いきなり客席で客を相手に乱闘(人を食べる芸?)。何が何だかわからない凄まじいテンションで盛り上がりながらそのまま開会宣言。

■十四代目トイレの花子さん

トップは十四代目トイレの花子さん。喉が切れてる為、歌う時以外は声が出ないらしい。戸川純、QP-CRAZY、X Japanのカバーを歌うが凄まじい絶叫。とにかく金切り声で一瞬のうちに自分の世界観に引きずり込んでいく。ラストは様々なモノや液体をまき散らす。そして客と一緒にお片付けを始める。片付けタイムは何故か大道アイドル並みの可愛さ。イベント用のセットリストなんだろうけど、オリジナル曲を聴きたかったです。

■DANGERZONE

自家発電と殺害塩化ビニールとのコラボ企画CD【出せんの殺害!? 出れんの自家発電!?】で見事(?)優勝したDANGERZONE。本来このような凄いイベントに出れる人気はないはずだがそういう企画だったのでチャンスを手に入れたバンドと言える。音はメタルであり1、2回聴いただけで一緒に歌えるようなキャッチーな曲を次から次へと凄いテンションで演奏していく。このバンドの素晴らしいところは「頑張れば客は全員一緒に歌ってくれる」と本気思い込んでる天然なとこであるように思う。例えば客とバンドのコーラス部分の掛け合いであるとか、MCでの「いぇーい」とかで、このバンドは客を信じきっていて必ず声援が帰ってくるものだと思い込んでいる。そのテンションの高さは天然であり、客としてはそのテンションの高さに飲み込まれ、凄く盛り上がってしまうという不思議な現象が起こっていた。この思い込みは一種の才能であり、天才とも言える。音作りも素晴らしく何を歌ってるかよく聴こえたが、歌詞の内容は全くもって意味がわからないのに客のテンションも凄かった。チャンスを手に入れた運が良いバンドだが色気づく事なく正統派ヘビーメタルのみを追求していってほしいバンドだった。

■リバーシブル吉岡

日本のブラックホール、尼崎出身のリバーシブル吉岡。スーツにSM眼鏡で登場。とにかく下ネタ下ネタ下ネタの歌謡曲を披露。どんな曲も下ネタ歌詞なのだが、不思議と下品さを感じない不思議な空気な方。下品な歌詞ではあるのに会場のアウトブレイクは全く下品な空気にならず客はみんな大笑い。歌詞は下ネタオンリーなのに曲がとにかく素晴らしく、客がすぐ覚えてしまい一緒に歌ってしまうという状況になった。そして極めつけは最後に披露したCD未収録曲。「こんなん絶対ダメな歌詞だし、PTAやフェミニスト団体に聴かれたらアウト!!」と誰もが思う曲を披露。だが、これもまた不思議と下品な感じや犯罪の匂いがしない。「よく歌えるな… 完全にアウトじゃん。面白いけど」とそこにいた客の大半は思ったであろうが終わった時拍手がしばらくなりやまなかった。また観たいと思わせる素晴らしいライヴだった。

■THE DIGITAL CITY JUNKIES

殺害塩化ビニールからの出演であるTHE DIGITAL CITY JUNKIES。開園前にすでにファンが前列でに盛り上がっていて後ろの客にもその空気が伝わったのか興味津々な様子。始まった瞬間から盛り上がる。殺害感化ビニールのレギュラー・バンドであるがその音は過去殺害塩化ビニールになかった音を繰り広げるバンド。とにかく一緒に歌える曲と歌詞で、良い意味で殺害塩化ビニールを裏切るような曲を連発。最前から4、5列目まではノリノリ(死語)。盛り上げ方やライヴの上手さは流石と言ったところ。ライヴの演出は爆竹(ねずみ花火?)やドラゴン花火を口に咥えたり、客席に投げる等殺害塩化ビニールを地で行く演出で客席はさらに盛り上がる。だが、気になったのは私の後ろの客男2名が「アレ? アレがクレイジーSKB???」という声が聞こえた事。殺害塩化ビニールを知ってる客は全く違うとわかるが、ライヴは初めて観た客相手に勝負できるかがポイントになるわけで。曲も歌詞も素晴らしいし盛り上がったが、この日はイベントなわけでルックスや演出等が似てるとバンド側にとっても損だと思った次第。

■二丁ハロ

ゲイアイドルとして活動しているグループ。出番時間がTHE DIGITAL CITY JUNKIESの次なのでガラッと空気が変わる。こういうタイムテーブルの組み方はイベントが飽きない。二丁ハロはとにかく穏やかでセクシー。MCはとにかく面白いし笑いも取れる反面知的な空気も感じさせるグループ。ライヴの進め方は王道アイドルを踏襲しているのか、爽やか。ゲイアイドルとはいえオリジナル曲は王道アイドル路線と言った感じで曲がとにかく良かった。初めて観に来た客に対しての気の使い方に感動しました。こういうのって大事なんだけど最前の客しか相手にしないバンドやグループが多いからこそ感動してしまった。今後もさらに大きくなりそうなグループでした。

■VMO(Violent Magic Orchestra)

2005年に大阪で結成された総勢十数名の大所帯バンド、Vampilliaの新ユニット。世界で1番のアンダーグラウンド・ミュージックとは何か? ノイズ・ミュージック? いや、今はブラックメタルと言える。特に日本のアンダーグラウンド・シーンのブラックメタルはノイズ・ミュージックよりはるかに地下に潜っているが、VMOはBELLRING少女ハートとかと2マンを企画したりし、ブラックメタルどころか日本の音楽シーンに風穴を開けている。そして自家発電と殺害塩化ビニールとのコラボ・イベントに出るというのは本当にニュースだと言える。この日、初めて観る客が多いと思ったのか照明効果による注意点がメンバーからあった。照明によって気分が悪くなる人がいるらしく、「気分が悪くなったら目を閉じて音だけ聴いてくれ」との事。ライヴが始まった瞬間凄まじい轟音。音楽的にはインダストリアル・ブラックメタルに近いがシンフォニックな要素も入っている。とにかくもう凄い轟音で客の五感を麻痺させていく。そして注意事項があった照明だがこれが本当に素晴らしい効果を生み出していた。口や文章では語れない照明効果であり、その効果は生で観てみてほしい。とにかく素晴らしいパフォーマンスであり、終わるまで本当にあっという間。印象的だったのはアウトブレイクのスタッフ4人が見入ってた事で、さらに終了後本気の拍手をバンドに送っていた事。ただ、少し残念だったのは客席にメンバーが乱入した際、その素晴らしい照明効果のせいで何をやってるのかよく見えなかった事。客席で何をやってたのか… 気になりました。しかし… 自家発電企画者がブラックメタルを呼んだのは本当に素晴らしいアンテナだと思います。

■流血ブリザード

殺害塩化ビニールからのバンド。イベントも後半戦で開演前から客席は満員。始まった瞬間から客の盛り上がりが凄い。最近ライヴの数が多い上にカナダのロックフェスに出場が決まったということで客席もテンションが凄い。代表曲(?)では客と前列の客と一緒に大合唱。途中生理用品を客席に投げまくる。最前の客はとにかく盛り上がりまくりで、バンドはノンストップ状態で次から次に演奏。あっという間に持ち時間終了で客は寂しい気分になったんではないだろうか? そういえば昔殺害塩化ビニールにAIDSというバンドがいたんだがパフォーマンスが非常に似ていると思いながら余韻に浸った。

■じゅじゅ

呪いがコンセプトの3人組アイドル。客席は満員の中淡々と始まったと思いきやすぐファンが盛り上げ、1曲目の最後のほうは一体感で包まれていた。呪いがコンセプトとはいえ王道的なアイドル路線で色物やキワモノな空気は皆無でむしろ硬派な空気。次から次へと曲を連発するが、ファンのテンションが半端ない。じゅじゅの3人も激しい踊りを繰り広げるが疲れを見せない。じゅじゅのテンションと客のテンションが相乗効果を生み出し凄まじい相乗効果を生み盛り上がりは最高潮。アイドルをバカにする人がいるがじゅじゅの3人を観たらアイドルを観る目が変わるんじゃないだろうか?? 短い時間で客を魅了するステージングはとにかく素晴らしかった。

■QP-CRAZY

じゅじゅの終了後客席の空気が一気に変わり、とにかく緊張感漂う空気に。客席は勿論満員御礼状態。アイドルの次がQP-CRAZYで、しかもトリってタイムテーブルは本当に最高。全く違う空気になり、司会の3人がバンドを紹介すると凄い歓声があがる。客席の後ろの客も真剣な表情になっていた。QP-CRAZYが始まった瞬間客席の真ん中あたりまでモッシュの嵐。「大丈夫か? 怪我すんなよ?」と思うくらい客席はヒートアップ。QP-CRAZYはザ・クレイジーSKB氏のイメージがあるが、バンドの出す音も素晴らしく、何より客と一緒に歌える素晴らしい曲がとにかく多い。演奏がとにかくしっかりしているからゆえザ・クレイジーSKB氏が好きに歌い好きに暴れる事ができるわけで。ザ・クレイジーSKB氏の前方の客との掛け合いや後方の客に対し、無言の圧がとにかく凄い。モッシュの客はさらに盛り上がり、後ろの客は魅入って(聴き入って)しまう。ラストは客席でマネキン人形に火炎放射! 客席は熱気と炎の熱で温度が急上昇。エアコンが効いてるのに客は皆汗だく。まさに燃える思いをした客。ザ・クレイジーSKB氏率いるQP-CRAZYによる圧巻のステージはあっという間に終了したが時間を観ると30分位はやっていて、時間を忘れさせてくれた。時間を忘れるライヴというのはそうそうある事ではなく、QP-CRAZYは本当に見事なパフォーマンスを魅せてくれた。少し残念だったのはイベントという事もあったんだろうが、新曲がなかった事。

■閉会~インタレスティングタケシ

司会のカズマ・スパーキン、フジジュン、インタレスティングタケシによる閉会宣言。QP-CRAZYのライヴ後、煙いし怪しい臭いがする中、閉会宣言。司会の3人も苦笑しつつ大盛況で終了。終了後、インタレスティングタケシの弾き語りライヴが余韻として用意されていたのだがこれまた面白い。話している時は何を言ってるのかさっぱりわからないのに歌う時だけはきちんと発声できるという…。余韻とは思えない歌ばかりで平和に終了。

真夏の夜の長時間イベントはこれで終了。

■総評

真夏の夜の肝試しイベント、自家発電と殺害塩化ビニールとのコラボイベント殺害発電2。全部観ましたが、スタッフの方、演者の方共に長時間本当にお疲れ様と言いたい。イベントってお客さんには伝わらない苦労があり、苦労したとこで確実に客が入るとは限らない水モノ。むしろイベントの当日が1番楽だったりするわけで。今の時代、演者はネットで客を囲い込むのに必死だし、客は客で移ろいやすくタイムテーブルで自分が観たい演者しか見ない傾向にある。この日のイベントは自家発電企画者と殺害塩化ビニールはそんな空気に唾を吐いてるように見えた。自分だけのバンドでなく、1日通してのイベントを考えているように見える。客を飽きさせないという強い意志があるからこそお客さんが入るんだろうな、と思う。これって本当は簡単な事なんだけど、企画者にしてみるとブッキングやタイムテーブルを組むのは非常にめんどくさい。機材転換中にも客を飽きさせないトーク担当や曲を流してるだけではなくその場の空気を読んでるDJの選曲等、少し考えれば誰でも企画できるはずなんだが今の音楽業界はこの少しの手間ができてないように思う。自家発電も殺害塩化ビニールもお客さんが入るのはそういう細かい気遣いがあるから。アンテナが優れてる客ばかりでなく、初めて観る客を気にする姿勢は本当に大事な事だが演者の立場になるとそれを忘れてる事が多い。殺害発電2はとにかく客も演者も楽しもうと思う気持ちが強いイベントとなったし、各演者も楽しそうに見えた。ライヴハウスであるアウトブレイクのスタッフがどの演者にも魅入ってたし本気の拍手をしていたっていうのは実は凄い事だ。そして、自家発電も殺害塩化ビニールも移ろいやすい客が増えている中【続けていく事】ができている。これも本当に凄い事で、イベントもバンドもレーベルも【続けていく事】が簡単なようで実は1番むずかしい。都合の良い時にだけ復活するイベントやジジィやババァになって復活する自称伝説のバンドが最近めっきり多くなったが、殺害塩化ビニールはずっと現役。自家発電はとにかくブッキングが大変であろうがもう結構な回数になっている。イベントもレーベルも生ける伝説になりつつあり、現在と未来ばかり観る姿勢に大きな拍手を送りたい。殺害発電2素晴らしいイベントでした。

追記1
司会3人とDJオッチーさんが流す曲のおかげで長時間1人だったけど退屈しなかった。彼らがいたからこそ最後の最後まで楽しめました。

追記2
お客さんはこういうイベントこそ最初から最後まで見ましょう。今の時代タイムテーブル発表が当たり前で観たいバンドまで時間を潰すのが当たり前だけれど、それでは自分の感性が拡がりにくいし音楽業界はますます細くなっていきます。何より観たいバンドだけ観てたら新たに良いバンドが見つけにくいですし。困ったら自家発電や殺害塩化ビニールのイベントあたりから観に行きましょう。どっちも最初から最後まで流れを本気で考えているっぽいです。ライヴハウスってほんとはこじんまりした場所ではなく楽しい場所なんです。

文章 : キムラタケシ
写真 / 撮影 : x{25c9}北原危機

〈殺害発電2〉
2016年8月14日(日)四ツ谷アウトブレイク
LIVE : QP-CRAZY、流血ブリザード、THE DIGITAL CITY JUNKIES、じゅじゅ、十四代目トイレの花子さん、リバーシブル吉岡、二丁ハロ、DANGERZONE、VMO(Violent Magic Orchestra)
DJ : オッチー
司会 : カズマ・スパーキン、フジジュン、インタレスティングタケシ


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