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2023/10/29 21:30

 

PIGGSが見せつけた、剥き出しの魂──〈SUCK OF FULL MONTY TOUR〉ツアーファイナルat Zepp Haneda

 

PIGGSがニュー・アルバム「RAWPIG」を引っ提げて、Zepp Hanedaでの公演を行った。1万字インタビューでも語ってくれたが、この「RAWPIG」は、サウンド・プロデューサーのRyan.Bやデザイン面も含めPIGGSの方向性をサポートするMETTY達が、紆余曲折あり、何よりも自分たちが絶対に後悔しないものを創ったという作品。筆者もこのアルバムに関しては、「これは売れるかどうかわからないけれど、間違いなくすごいアルバムだ!」と評したほどだ。

緞帳が開きSEとともに登場する6人。すでに、どでかいZeppのステージが似合っている。1曲目は「RAWPIG」のキー曲“Fleeting”。そして、SHELLMEのラップが勢いを加速させる“BOO!SHUT”、「RAWPIG」のオープニング曲“ピラニア型人造人間”と続き、“VISITOR”へと繋いだ。SU-RINGの声は太くなっているし、BIBIも見違えるほどしっかり歌えている。2人とも練習のしすぎか、少ししゃがれた声がかっこいい。BAN-BANの表現力はめちゃくちゃ上がっているし、SHELLMEのラップはかなりの領域に達しているし、KINCHANのシャウトもゾクゾクする。“VISITOR”というやり慣れた名曲に遜色なく「RAWPIG」の楽曲が披露されていく様は、今のPIGGSの充実ぶりと、その裏でなされている努力の時間(特にBIBI、SU-RING)が物語られていた。

MCを挟み、“ファイティングブレイン”だ。この曲がPIGGSにもたらしたものは大きく、ミドルビートの中で、新しくPIGGSを支える振付師のUFOさんが担当した妖美で演劇のようなダンスで見せていく様は、彼女たちの新しい一面だ。そんな一面がアップデートされたかのような“リバーサイド・モーテル”“INSOMNIA”とこの3曲の流れは、新しいPIGGSが明確に提示されており、本公演1番のグッときたポイントだ。また“INSOMNIA”で大画面でライブ映像が映された時に見えたダンスの細かい動きには、「これほど緻密なことをしているのか」と感激した。

そして「RAWPIG」のバラードソング、“スプートニク1号”、「RAWPIG」のラストソング“人間すぎる”、そして大名曲“フォーエバーヤング”、さらにはCHIYO-Pが抜けた時に披露された、またプー·ルイはあるアーティストが解散したその時の気持ちを歌ったという“YOU KNOW ME”という流れで、中盤に感情のピークポイントを作った。感情を徐々に高め、沸点に到達させ、自然に涙を流させる。そんな芸当ができるアイドルは、PIGGSしかいないんじゃないかって思うくらい彼女たちのその力には価値があると思っているが、その力が遺憾無く発揮された曲順で、例によって涙腺は崩壊してしまった。

MCを挟み、“豚 HAVE THE POWER”では、一気に勢いを加速させた。アルバムを聴いて、一番どう披露されるかを楽しみにしていた曲だが、その楽曲のスピードに乗って、彼女たちの共同生活の楽しくエネルギッシュな感覚を想起できるような神輿も飛び出すダンス・アレンジだった。そしてこれからのPIGGSの進んでいく道程を強く意識させる“ワイルドサイドを歩け”。撮り貯めたメンバーの映像を流しながら、ルー・リードの「Walk On The Wild Side」よろしくな人生のやばい面を歩くと歌うPIGGSは、只者じゃない(笑)。そして大名曲“とらえる”と続き、“カッシーニ”では日比谷野音で行われた同曲にも負けないくらい会場が一丸となったシンガロングが行われた。以前にCHIYO-Pの抜けた穴が大きく感じられた“とらえる”が、現メンバーの表現力によって全く新しいものになっていたのは、めちゃくちゃ嬉しかった。

本編最後は、“負けんなBABY”、“LINK EMOTION”で締め括られた。“負けんなBABY”のKINCHANのラストのセリフは、Ryan.Bが彼女にしか歌えないと言っていたが、本当にその通りだと思った。ひねくれものの彼女が、感情そのままにぶつけてくるその強さに、揺さぶられまくったし、昨今の彼女は感情をダイレクトに表現できるので、本当に素晴らしいシンガーだと思う。

万雷の拍手に迎えられ、アンコールでは、松隈ケンタとRyan.Bで共作した“Route 91665”が披露された。この曲を聴くとどうしてもプー·ルイがいた一期BiSの横浜アリーナの解散ライブを思い出してしまう。だからこそ、PIGGSで横浜アリーナで“Route 91665”を演奏して、筆者の横浜アリーナの記憶を塗り替えて欲しいし、今の彼女たちなら、あの素晴らしかった景色を塗り替えてくれる可能性を秘めている。

最後のMCは、プー·ルイが伝えてくれた。
「今日は本当にありがとうございました。いろんなところからみんながPIGGSを見にきてくれたことが一番嬉しいです。残念ながら今回ソールド・アウトはしてないんですけど、そういうことよりも、今日こうやってみんなと会えたことと、そしてここでまた今日来てくれてるみんなと満員のZeppでライブがしたいなということと、そういう気持ちの方が今は強いです。まだまだPIGGSはこれからだけど、今を信じて、目の前にいてくれるみんなと一緒にこれからも歩いていきたいです」

ラストは、PIGGSの始まりの曲“PIGGS-モナ・リザ-”でZepp Hanedaでの『SUCK OF FULL MONTY TOUR』は終了した。プー·ルイはこの公演が発表された時に、「Zepp Hanedaは、自分たちにはまだ大きいのはわかっているけど、挑戦することが今のPIGGSには大事なんだ」と言っていた。その言葉は、CHIYO-Pという中心メンバーが抜け、新たなメンバーでの再スタートにおいて、大きい結果を生むための意図的な負荷なんだと、とてもポジティブに僕は捉えた。埋まり具合は70%くらいだったが、何も問題ないと思う。「RAWPIG」の精神は、自分たちが信じる良いものを提供し続けること。信じる良い楽曲、信じる良いライブ、そして信じる良い進み方。それを丁寧にやり続けることをPIGGSには見せ続けて欲しいし、それを見せ続ければ必ず結果はついてくると疑う余地がないほどのライブだった。SU-RINGとBIBIが入って新たに始まったPIGGSは、まだスタートしたばかりだ。にもかかわらず、実力だけでなく、その精神にちゃんと筋が通っているので、これからの期待値が本当に爆上がりしてしまっている!!!

取材&文:飯田仁一郎
Photo by 村長 @son_tkhs
構成:西田健

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セットリスト

〈SUCK OF FULL MONTY TOUR〉ツアーファイナル
at Zepp Haneda

1.Fleeting
2.BOO!SHUT
3.ピラニア型人造人間
4.VISITOR
5.ファイティングブレイン
6.リバーサイド・モーテル
7.INSOMNIA
8.スプートニク1号
9.人間すぎる
10.フォーエバーヤング
11.YOU KNOW ME
12.豚 HAVE THE POWER
13.ワイルドサイドを歩け
14.とらえる
15.カッシーニ
16.負けんなBABY
17.LINK EMOTION
ENCORE
18.Route 91665
19.PIGGS-モナ・リザ-

ツアー情報
「DIRTY EPIC TOUR」

■1/8(月・祝) 東京 八王子 Match Vox
■1/13(土) 岩手 KLUB COUNTER ACTION MIYAKO
■1/20(土) 熊本 B.9 V2
■1/27(土) 滋賀 BARI-HARI
■1/28(日) 岡山 PEPPERLAND
■2/3(土) 山形 酒田 hope
■2/10(土) 香川 高松 TOONICE
■2/12(月・祝) 名古屋 Live House HUCK FINN
■2/18(日) 長野 LIVEHOUSE ALECX
■2/23 (金・祝) 群馬 前橋 DYVER
■2/25(日) 札幌 SOUND CRUE
■3/2(土) 大阪DROP
■3/3(日) 和歌山 CLUB GATE
■3/9 (土) 神奈川 YOKOHAMA Bay Hall

TICKET&詳細
https://fan.pia.jp/PIGGS/ticket/detail/193/

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