KITCHEN. LABEL

古風 Ⅱ
Lossless

古風 Ⅱ

Dance/Electronica

冥丁

「LOST JAPANESE MOOD」(失われた日本のムード)をテーマに、アンビエント・ミュージックやミュージック・コンクレートを融合させて、時とともに忘れ去られる日本の古い歴史の瞬間をノスタルジックな音の情景に再構築した3部作『怪談』『小町』『古風』で非常に高い評価を得てきた冥丁。前作『古風』をリリース後、冥丁は『古風』制作のために完成させたトラックがまだ47曲ほどあることに気づき、『古風』の世界観をさらに拡張しながら、より深く日本人のアイデンティティーについて思いを巡らせた本作『古風 II』を制作した。アルバムは陽気な口笛から虫の音や和楽器などの賑やかなハーモニーで幕を開ける。続く「八百八町」(M-3)ではピッチシフトしたボーカル・サンプルやユニークなビートでかつての江戸の活気を表現し、メランコリックな雰囲気の「カヲル」(M-4)では、冥丁が亡き祖母に捧げたアルバム『小町』制作時のセッションを用いて彼女に送る最後のレクイエムを奏でている。アルバム後半の「茶寮」(M-10)では、一音一音が筆の運びのようなシンセ音の繰り返しの中に静けさを感じさせる。この曲は、冥丁が祖母の家で眺めていた水墨画からインスピレーションを得たもので、彼が以前訪れた茶室の印象と結び付けたという。「朽ち果てた土壁や色褪せた畳に感動を覚え、その小さな部屋に漂う宇宙的な時間の流れを音楽にしてみようと思った。」と冥丁は語る。また、非常にドラマチックな展開を見せる「黒澤 明」(M-11)では、日本の豊かな伝統と第2次世界大戦後の混乱を等しく描いた黒澤作品と深く共鳴している。冥丁は長年に渡り、彼の思い描く日本らしさや日本人らしさを見つけ出そうとしてきたが、過去3枚のアルバムでその答えを求めた後、本作でさらに多くの疑問を投げかけている。過去を振り返ることで、より明確な現在を得ることができるのか?「LOST JAPANESE MOOD」をとらえた後、現代社会の中で日本はどこへ向かうのか?『古風Ⅱ』は、さまざまなムードと質感のある音の断片の中で、我々に過去との関係を見直すことを提案している。

古風
High Resolution

古風

Dance/Electronica

冥丁

デビューアルバム『怪談』がPitchfork2018年度の「ベスト・エクスペリメンタル・アルバム」の1枚に選出、そして翌年2019年発表の2ndアルバム『小町』も国内外で高い評価を獲得するなど、日本の古い文化をモチーフにした唯一無比のオリジナリティーで一躍世界のエレクトロニック〜アンビエントシーンに躍り出た広島在住のアーティスト冥丁(メイテイ)が、待望の3rdアルバムをシンガポールKITCHEN. LABELよりリリースする。 前二作『怪談』『小町』に続き、本作『古風』でも再び日本の古い文化に焦点を当て、”日本の古い美学への風刺”をテーマに「LOST JAPANESE MOOD」(失われた日本のムード)を描き出す3部作を完結させる。ピアノや和楽器の音色、フィールドレコーディング、わらべ歌や民謡の破片を、遊び心を伴った冥丁の稀有な感性で組み合わせ、想像上の過去と現在を繋いだノスタルジックかつ幻想的な音の情景が描き出されている。連作となる「花魁 I」(M-3)と「花魁 II」(M-8)では、古いドラムや金属の音を加工した疾走感のあるヒップホップのリズムで、これまでにない緊張感揺らめくサウンドを構築。さらに、意味がわからないまで解体された声のサンプル使いは、宮崎駿氏の「世の中にはロジックで物事を考えるべきではない瞬間もある」という概念に共感し、言葉を超えた別の何かを生み出している。また、家父長的な日本社会で長年苦しんできた労働者階級の女性たちに捧げた「女房」(M-6)や、梅毒が蔓延する過酷な労働環境で働く遊女たちを描いた「花魁」(M-3, 8)など、昔の日本社会において自由がなかった女性たちを取り上げ、溝口健二監督のようなアプローチで彼女たちの想像を絶する痛みを優しさをもって形にしている。 本作をもって冥丁は日本の忘れ去られた過去の文化への探求に別れを告げるが、『古風』は世界から完全に切り離された歴史の一部を日本のみならず海外のリスナーにも語り継いでいくことができる作品である。

twilight (Deluxe Edition)
Lossless

twilight (Deluxe Edition)

Classical/Soundtrack

haruka nakamura

陽が沈んでから夜が来るまでの淡く美しい、その時間へ捧げる。薄青い夕方。窓辺からの風。その旋律。海辺のスタジオで録音された、ピアノが紡ぐ静謐なセッションに、ARAKI shin、akira uchida、April Lee、Janis Crunch 等の演奏家たちが出会っては、過ぎ去って行く。1日の終わりに。彼方に祈りを。夕べの祈りを。 シンガポールの KITCHEN. LABEL より 2010 年の夏にリリースされた haruka nakamura の 2nd アルバム『twilight』。”twilight” や “ 音楽のある風景 ” などの名曲を生み出したこのアルバムは、アーティスト自身の代表作のみならず、KITCHEN. LABEL の歴史の中でもベスト・セラーを記録し、2013 年には新装丁のリイシューがリリースされた大名盤。今回の 10 周年記念リイシューには、2010 年のオリジナル・セッションで録音された未発表曲 (*) を8曲を追加収録。オリジナル・アルバムのリマスタリングは haruka nakamura の長年のコラボレーター田辺玄が担当。

室礼
High Resolution

室礼

Dance/Electronica

冥丁

"広島在住の音楽家・冥丁が、日本の伝統と感性を反映させた世界を創作する""WARA ""の思想を体現する音楽として制作した本作「室礼(しつらひ)」。日本の四季をさらに6つに分けた暦「二十四節気」の「立春」「立夏」「立秋」「立冬」をテーマに、時の移ろいを抒情性を表現した作品。 EPのタイトルとなった言葉「室礼」(※飾りつけること、設け整えること)。その概念を体現するように、間に重きを置きながら、冥丁自らがピアノを演奏、録音、そして細心の注意を払った編集とアレンジによって仕立てられた。繊細なピアノ・サウンドと自然音やエレクトロニクスなどの様々なテクスチャーがデザインされた4曲のトラックは、15分という短い時の中で、小さな変化を繰り返しながら小宇宙のように広がる。また、本作のピアノは、季節が変わるごとに新しい環境に囲まれる冥丁個人の存在のメタファーとしての役割も担っている。 失われつつある日本の情緒を再解釈するという、冥丁の探求するテーマは根幹にありつつも、本作では、これまでの作品とは異なる新しい視点から、冥丁独自の音世界を垣間見ることできる。"

黒澤 明
Lossless

黒澤 明

Dance/Electronica

冥丁

映画界のレジェンド黒澤明へのトリビュート曲。冥丁は黒澤明作品の中に深い共鳴を見出しています。「七人の侍」 の壮大な勇壮さを始め、東宝の初期黒澤作品における変幻自在なジャンルへ取り組みは、日本の豊かな伝統と第二次世界大戦後の混乱した状況から引き出され、また同時にハリウッドの黄金時代からの影響を受けていました。

himorogi
Lossless

himorogi

Classical/Soundtrack

いろのみ

ピアニスト・柳平淳哉と、十七絃箏、プログラミング・磯部優によるデュオ<いろのみ>の10枚目となるアルバムが、シンガポールのKITCHEN. LABELよりリリースする。大地や季節の色彩との対話から常にインスピレーションを受け音楽制作をしてきたデュオが、本作では初めての試みとなるピアノと十七絃箏を主軸とした、さらに深化を遂げたサウンドを届けてくれた。日本には古くから、山、岩、木、海など自然界のさまざまな万物に神様が宿るという考え方がある。アルバムタイトルは「himorogi:神籬(ひもろぎ)」から来ており、神事の際に神様を招くための依り代となる木々を指している。雨が空と大地を結び、花を咲かせながら大地に生命を与え、秋の色彩が別れを告げれば、また新たな生命の循環が始まるように、いろのみのサウンドも録音されたそのままの姿で生き生きと循環し、繊細なピアノの旋律による崇高で優雅なフレーズが落ち着いた箏の音色の上にキラキラとした雨のように降り注ぐ。時間や場所を超越した限りなく美しい本作「himorogi」は、時代を超えて愛される作品となるだろう。アートワークの写真は小林紀晴、デザインはRicks Ang(KITCHEN. LABEL)、マスタリングは福岡功訓(Flysound)が担当。

室礼
Lossless

室礼

Dance/Electronica

冥丁

"広島在住の音楽家・冥丁が、日本の伝統と感性を反映させた世界を創作する""WARA ""の思想を体現する音楽として制作した本作「室礼(しつらひ)」。日本の四季をさらに6つに分けた暦「二十四節気」の「立春」「立夏」「立秋」「立冬」をテーマに、時の移ろいを抒情性を表現した作品。 EPのタイトルとなった言葉「室礼」(※飾りつけること、設け整えること)。その概念を体現するように、間に重きを置きながら、冥丁自らがピアノを演奏、録音、そして細心の注意を払った編集とアレンジによって仕立てられた。繊細なピアノ・サウンドと自然音やエレクトロニクスなどの様々なテクスチャーがデザインされた4曲のトラックは、15分という短い時の中で、小さな変化を繰り返しながら小宇宙のように広がる。また、本作のピアノは、季節が変わるごとに新しい環境に囲まれる冥丁個人の存在のメタファーとしての役割も担っている。 失われつつある日本の情緒を再解釈するという、冥丁の探求するテーマは根幹にありつつも、本作では、これまでの作品とは異なる新しい視点から、冥丁独自の音世界を垣間見ることできる。"

12 & 1 SONG (Remastered 2022)
Lossless

12 & 1 SONG (Remastered 2022)

Classical/Soundtrack

haruka nakamura, Janis Crunch

本作はharuka nakamuraとJanis Crunchが「冬の世界」をテーマに、2007年〜2011年の毎年冬の季節のみに制作した曲を集めたアルバム。遠い記憶の丘に沈む夕暮れや、夢の世界の子供達、あかりが灯る家族風景、またはアンティークの絵本を眺めているような情景を連想させる、美しい楽曲集。Janis Crunchのエモーショナルな歌声と美しいピアノの旋律、そしてharuka nakamuraの穏やかなクラシック・ギターやサウンドスケープが溶け合った、暖炉の炎のように暖かなサウンドが、冬、そして聖夜のひとときをそっと静かに彩ります。ゲストミュージシャンにARAKI Shinがフルートで参加。リマスタリングは田辺玄(Studio Camel House)が担当。ジャケットのアートワークは2011年のオリジナル版に忠実なデザインを採用。

Altar of Dreams
Lossless

Altar of Dreams

ASPIDISTRAFLY

牧歌的でエレガントなアンビエント・フォークアルバム『A Little Fable』で、ここ日本でも多くのファンを獲得したシンガポールのシンガーソングライターApril Leeと、KITCHEN. LABELを主宰するプロデューサーのRicks AngによるデュオASPIDISTRAFLY(アスピディストラフライ)が待望の新作を完成。『Altar of Dreams』(夢の祭壇)と題された本作では、彼らの過去10年間の経験を活かしながら、フランスの写真家Serge LutensやDora Maarらの幻想的なイメージ、日本の80年代アンビエント・ポップ、ミュージック・コンクレート、そしてバルトークの哀愁に満ちたストリングスの間を行き来するかような、豊かなサウンド・パレットで、全く新しいインスピレーションに満ちたヴィジョンを生み出している。全9曲、合計35分弱の本作には、詩的な叙情性、宇宙的な内観、豊かなストリングス、シュールレアリズム、優しさ、質感など、ASPIDISTRAFLYの特徴が全て備わっている。オープニング曲 「How to Meet a Marblewing 」での、初期のインターネット・サウンド、映画、アニメ、90′s J-POPを融合させたサウンド・コラージュは、新たな方向性としてアルバム全体に深く浸透している。続く「The Voice of Flowers」は、Aprilの深みのある美しい歌声をフルート、クラリネット、テナー・サックス、ピアノ、ストリングスによる魔法のようなアンサンブルが包み込むドリーミーなフォーク・シンフォニー。この楽曲にはharuka nakamura、ARAKI Shin、千葉広樹がゲスト参加し、アルバム全体のストリングス・アレンジは一ノ瀬響が担当。「Interlude: A Ceremonial Ode」(M-6)とタイトルトラック「Altar of Dreams」(M-7)は、モデルの山口小夜子が主演した1980年代の資生堂の広告に影響を受けたという。また、タイトルトラックは、かつてAprilに現実逃避をもたらした「明晰夢」(自分が夢を見ていることを認識したり制御できる状態)から生まれた楽曲で、その静謐な美しさの裏には、未知の世界に直面した時に明晰夢の制御が働くかのごとく、くすぶる緊張が覆い隠されている。続く「Silk and Satins」(M-8)は、前途の明晰夢の現象を直接分析したもの。日本古来の美を投影する電子音楽家SUGAI KENとのコラボレーションにより異次元の音世界を作り出している。破壊、神秘、不確実性、希望、夢などを一度に表現しながらキラキラと輝く本作には、鮮明な夢と記憶を通して見る世界を再構築することに10年間費やしてきたASPIDISTRAFLYの新たな希望が満ち溢れている。

The Voice of Flowers
Lossless

The Voice of Flowers

ASPIDISTRAFLY

時間と要素の儚さをはるかに超えた次元の鳥の視点では、すべてが癒され、再び復元され、汚れのない美しさの中で燦然と輝く。

新しき光
Lossless

新しき光

Classical/Soundtrack

haruka nakamura

haruka nakamuraの2ndアルバム『twilight』の10周年記念盤のリリースから約1年。そのアルバムのタイトル曲「twilight」から生まれた彼の最も重要な楽曲「光」を振り返る。2010年、nakamuraはアルバム『twilight』を発表して間もなく、師であり友であったアーティストNujabesの突然の訃報という別れに直面していた。そのような時に、楽曲「twilight」のボーカルを担当したシンガポールのアーティストASPIDISTRAFLY・April Leeから届いた温かな言葉が心の支えとなり、再び音楽に向き合うきっかけとなった。直感的に「twilight」を逆再生してみたところ、その音には新たな輝きが溢れており、再び音楽を開くきっかけとなったという。陽暮れの曲を逆再生して生まれた夜明けへの音楽。楽曲「光」は誕生した。「光」にはPIANO ENSEMBLEや聖歌隊らとによる大編成のものなど、いくつかのバージョンが存在しているが、本EPにはtwilightと光をさらに掛け合わせ2011年の東京・早稲田スコットホールで光を初演した時のストリングス演奏録音を取り入れた「未来」や、「新しき光」という未発表バージョン2曲と、制作同時期に録音されていたピアノ・ソロ曲「ひとつ」が、「光」と「twilight」のオリジナル・バージョンと共に収録されている。「光」が作者にとってそうであったように、この楽曲集が不確かに揺らぐ日常の中に一遍の光をもたらすことを願って。マスタリングは田辺玄(Studio Camel House)が担当。

八百八町
Lossless

八百八町

Dance/Electronica

冥丁

「八百八町」とは江戸の町々を意味している古い日本の都市空間を象徴する言葉。この楽曲では江戸の町人文化に根ざした町の雰囲気を音訳しています。前作『古風』でもお馴染みの足袋で駆けるようなハイハットサウンド。そして古いアーカイブ写真に見られるビンテージで粗くピーキな音の素材感。現代の私達からすると奇天烈に見える過去の時代の日本を象徴する珍奇な声のサンプリングによる旋律。まさに江戸という言葉が似合う冥丁による一品。

世界
Lossless

世界

Pop

arca (LUCA & haruka nakamura)

坂本龍一『async』にコーラス参加した米バークリー出身、京都を拠点とするシンガーソングライター・LUCAと音楽家・haruka nakamuraによる大注目のプロジェクトarca(アルカ)の1stアルバム『世界』がシンガポールKITCHEN. LABELよりリリースされる。山梨のStudio Camel Houseにて、haruka nakamuraの長年のコラボレーターでもある田辺玄によって録音された本作。今回初めてharuka nakamura自身もボーカルをとり、メインボーカルのLUCAの歌声にさりげないハーモニーを重ね、LUCAの歌詞と優しい歌声、haruka nakamuraのピアノやアコースティックギターによる、飾り気のない親密な雰囲気のフォーク・サウンドで、私たちの心の奥底にある感情に耳を傾けさせてくれる。 旅立ちと新たな始まりをテーマにしたオープニング曲「船出」や、nujabesが生前にharuka nakamuraに託した8小節のトラックを本作のために再アレンジした「SUN DANCE」など、太陽の光に満ちた空のイメージの冒頭から始まり、ヴァシュティ・バニヤンやカレン・ダルトンらの儚く美しいフォークを静かに受け継いだような「Astraia」や「八星」へと移り変わる。(「八星」はコンピレーション『stardust album』収録曲とは別アレンジ。)中盤の「STARDUST」「LUNE」では、浮遊感あふれる幻想的なアンビエントサウンドで宇宙の領域へ誘い、そして、世界の神秘や畏敬の念をメロディーに込めた「夢」と「世界」がアルバムの最後を飾る。 本作『世界』は、自己と世界の調和へと向かう、時に霞がかった道のリリカルな描写であり、点在する星々が星座となる様に、繋がっていく愛や人生、呼応する感情を優しく包み込みながら明日へと進む希望を込めた作品だ。

古風
Lossless

古風

Dance/Electronica

冥丁

デビューアルバム『怪談』がPitchfork2018年度の「ベスト・エクスペリメンタル・アルバム」の1枚に選出、そして翌年2019年発表の2ndアルバム『小町』も国内外で高い評価を獲得するなど、日本の古い文化をモチーフにした唯一無比のオリジナリティーで一躍世界のエレクトロニック〜アンビエントシーンに躍り出た広島在住のアーティスト冥丁(メイテイ)が、待望の3rdアルバムをシンガポールKITCHEN. LABELよりリリースする。 前二作『怪談』『小町』に続き、本作『古風』でも再び日本の古い文化に焦点を当て、”日本の古い美学への風刺”をテーマに「LOST JAPANESE MOOD」(失われた日本のムード)を描き出す3部作を完結させる。ピアノや和楽器の音色、フィールドレコーディング、わらべ歌や民謡の破片を、遊び心を伴った冥丁の稀有な感性で組み合わせ、想像上の過去と現在を繋いだノスタルジックかつ幻想的な音の情景が描き出されている。連作となる「花魁 I」(M-3)と「花魁 II」(M-8)では、古いドラムや金属の音を加工した疾走感のあるヒップホップのリズムで、これまでにない緊張感揺らめくサウンドを構築。さらに、意味がわからないまで解体された声のサンプル使いは、宮崎駿氏の「世の中にはロジックで物事を考えるべきではない瞬間もある」という概念に共感し、言葉を超えた別の何かを生み出している。また、家父長的な日本社会で長年苦しんできた労働者階級の女性たちに捧げた「女房」(M-6)や、梅毒が蔓延する過酷な労働環境で働く遊女たちを描いた「花魁」(M-3, 8)など、昔の日本社会において自由がなかった女性たちを取り上げ、溝口健二監督のようなアプローチで彼女たちの想像を絶する痛みを優しさをもって形にしている。 本作をもって冥丁は日本の忘れ去られた過去の文化への探求に別れを告げるが、『古風』は世界から完全に切り離された歴史の一部を日本のみならず海外のリスナーにも語り継いでいくことができる作品である。

Ivory
High Resolution

Ivory

Zinovia Arvanitidi

Pill-Ohのメンバーとして、また映画音楽の世界でも活躍する才能豊かな女性音楽家ジノヴィア・アルヴァニティディの初ソロ・アルバム。素朴でメランコリックな美しさを放つピアノの音色と、抒情的なストリングスやメロディカ、神秘的なウィスパーボイズが優美に織り成す、シネマティックなモダン・クラシカル作品。 2012年にHior Chronik(ヒオール・クロニック)とのデュオPill-Oh(ピル・オー)として、アルバム『Vanising Mirror』をリリースした、ギリシャ出身フランス在住の女性作曲家、Zinovia Arvanitidi(ジノヴィア・アルヴァニティディ)がセルフプロデュースによるソロ・デビューアルバムをシンガポールのKITCHEN. LABELよりリリースする。 序盤のミニマリスティックなピアノ曲から、ストリングス、エレクトロニクス、フィールドレコーディング、ウィスパーボイズなどを非常にエレガントに取り入れながら、過去と現在が向かい合う不思議と見覚えのある風景へとリスナーを誘うような、シネマティックな美しいコンポジションが展開されていく。さらに、モダン・クラシカルのジャンルでは珍しいメロディカの音色が、彼女の音楽のコントラストにより魅力的な深みを与えている。 アルバムを通して、たとえばピアノのアイボリー(白鍵)とエボニー(黒鍵)、もしくは、季節の始まりと終わりのように、相反する2つイメージが偏在する。それはアルヴァニティディの音楽が、アルベール・カミュの言葉である"There is a life and there is a death, and there are beauty and melancholy between". (「生と死の間には、美しさと憂鬱がある」)のエッセスを昇華しているからであろう。 アートワークは、『Pill-Oh / Vanishing Mirror』と同じくフランス人写真家Aëla Labbéの作品。Pill-Oh作品のファンはもちろんのこと、坂本龍一やダスティン・オハロランのファンにもオススメの1枚。2018年の「ピアノ・デイ」(※ニルス・フラームが提唱する1年の88日目をピアノの日としてピアノを祝福しようという試み)を記念して、3月29日にリリースされる。

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