2018/06/19 20:00
2018年6月11日(月)東京・新宿区の吉本興業本社にて、アニメ「SNSポリス」のDVD上下巻(6月20日発売)の発売を記念して、声優を務めた南海キャンディーズの山里亮太、監督の星子旋風脚、原作者のかっぴーによる座談会が行われた。
「SNSポリス」は、かっぴーが2015年から2016 年にかけて、WEBマガジン「kakeru」上で連載していた人気漫画をアニメ化、TOKYO MXにて2018年4月8日から6月3日まで放送された作品。TwitterやFacebook などのSNS において頻繁に見られるユーザーの行動を、警部とその仲間たちが取り締まっていく短編アニメで、誰もが思い当たる「SNSあるある」をおもしろおかしく取り上げており、笑いながらもためになると評判に。また、オープニング曲は嘘とカメレオンの「モームはアトリエにて」、エンディング曲は新しい学校のリーダーズ「SNS24時」が使用されるなど、音楽ファンにとっても注目の作品となっていた。
この日はまず、オンエアを終えてDVDが発売となる現在の心境からトークがスタート。主人公の警部役を務める山里が、「本当に面白かったです!オンエアを見ながらツイートしてますもんね、みんな」と、放送時の反響を振り返ると、星子監督は「テレビを見ながらエゴサするのって初めてだったんですけど、面白いもんだなって。視聴者の方のツッコミがまた面白くて(笑)」と、リアルタイムでSNSで反響をチェックしていたことを告白。
山里によると、視聴者には犯人側とポリス側それぞれに立った見方があったといい、「犯人側に立って見ていた人は、僕らに追い詰められてどんどん顔が赤くなっていった人がいたと思う」と分析。ただし、かっぴーによると「だけど、見ている人たちが怒ってなかったですよね。“言われちゃったぜ~!”みたいな感じで。それは本当に良かったです。怒られたらやだなって思ってたから(笑)」とのこと。それを受けて山里は、「かなり高度にいじられているんだけど、怒られないっていうのは、ポリスたちのキャラクターとか取り締まり方の見せ方のおかげで、みんな騙されていると思います(笑)。結構エッヂ の効いたことやってますよ。何人かSNSを辞めた人間もいたくらい(笑)。それくらいエッヂの効いたことを、タッチと見せ方でめちゃくちゃ飲みやすくしてくれて、ものすごい効果があるマイルドな薬みたいになっていたと思います」と、作品について語った。
キャストについては、星子監督が「お姉さん役の松井(咲子)さんが、かわいらしいおっとりした声で毒を吐くキャラクターが新感覚ですごく良かった」とお気に入りだった様子。様々なキャラクターがどういう経緯で誕生したのかについて山里から質問されたかっぴーは、「「SNSポリス」は、“一発描き”で描き始めた漫画なんですよ。だから、1コマ目を描いているときに、そのページがどうなるかを決めていなかった」という即興で生まれたもので、当初キャラ設定などは何も考えていなかったことを告白。原作漫画は14話だったものの、アニメ版ではプラス10話作られており、星子監督によりかなり肉付けされているという。「そこまで肉付けするっていうと、原作者としたらかなり監督を信頼していないとできないですよね?」という山里の言葉に対しかっぴーは「そこは安心していました。最初に星子監督から、「SNSポリス」をアニメ化させてほしいっていう連絡をメールでもらったときに、パイロット版のアニメが添付されていて。監督自ら声も仮に入れていたんですよ。それを見て、“こいつイカれてんな”と思って(笑)」 と答え、一同爆笑。
しかし、そのパイロット版アニメがよくできており、テンポなどがイメージ通りだったとのことで、「これは任せよう」と決めたのだという。かっぴーは、声優に関しては1つしかオーダーを出しておらず、それは「警部だけはお笑いの人にやってほしい」ということだった そうで、山里に決まったことが本当に嬉しかったとのこと。「山里さんの言葉で言ってくださってる感じがすごくよかった」と絶賛した。山里によると、「オンエアのときにSNSを見ていたら、“山里がアニメを使っていつも通り悪口を言ってるだけじゃねえか!”って言われてたけど(笑)。あれは俺のセリフじゃないから!」と、あくまでの声優として警部の職務を全うしていたことを訴えた。
今作では、山里以外にも松井咲子、木下隆行(TKO)、鈴木奈々、はるな愛、松村沙友理ら、普段は声優の仕事をしていない芸能人が多くキャスティングされているが、「じつはめちゃくちゃ良い声優さんが、僕らのスケジュールが合わずにアフレコを一緒にできないときに、自分の役以外を全部代役でやってくれていたんです。それがすごく上手くて。本編でも、色んな役で活躍しているので、是非そこは見て欲しいです」と、アニメ界の未来を担うであろう若手声優たちが参加していることもアピールした。その一方で、「その上手い声優さんの声を聞きながらやっていたから、いざオンエアで見たら鈴木奈々の下手なこと下手なこと(笑)」と、第一話で登場する鈴木奈々について語り、笑わせた。「ただ、違和感というのは、良かれ悪しかれフックとして人に残るから。“なんなんだこれ!?”という印象付けるには良かったと思います」と、一話目にして作品にインパクトを与えた功績を称えた(?)。
また、ゲスト声優として参加した高木ブーが劇中でセリフを何度も言いなおす場面があることについて星子監督は、「SNSっていうセリフがちゃんと言えてなかったので、これって「SNSポリス」っていう作品に於いて一番面白いんじゃないかなって(笑)。編集のときに怒られるかな、と思いつつ入れました」と、エピソードを披露。その遊び心にOKを出してくれた本人の懐の深さに感謝していた。山里も「あそこはめちゃくちゃ笑えますよね」と絶賛するその声優ぶりは、是非DVDで確かめて欲しい。
また、松村沙友理(乃木坂46)が演じた「大金もち子」について、3人共絶賛。「もち子が一番マッチしていたじゃないかな?もち子の登場を待っちゃうところがありましたよね。これは乃木坂ファンはたまらないと思う」と山里もおすすめしていた。さらに、おじさん役から若い男性役、ラスボス役までやっており、「ふり幅は本当に広いなって思いました」(星子監督)というはるな愛、「抜群の安定感」(山里)のTKO木下らの活躍も見どころの1つだ。山里が声優として苦労したところは、「インスタ署」で男前になる場面。「イケメンモードの引き出しがないから。ベースがしゃがれ声だし。仲良くしている宮野真守くんのカッコイイ言葉を言ってるところを一生懸命思い出しながらやりました。ぜんっぜんできなかったけど(笑)」と振り返った。
ここで、「もしリアルに「SNSポリス」が存在したら警部に就任できそう?」という司会者の問いに対し山里は、「一応、昇進試験は受けます」と意欲を見せたものの、かっぴーは「でも個人が「SNSポリス」みたいなことを言うと叩かれるかもしれないですよね」と危惧。「そういう意味でいうと、幹部には確実に就任するであろう、キングコング西野っていう男がいますけど(笑)」と語り、その理由として「やっぱり、元SNS犯罪者は犯罪者心理がわかりますから」と、映画「羊たちの沈黙」のレクター博士的に活躍してくれることに期待して推薦。また、「インスタ部署は横澤夏子ちゃんに任せたら取り締まりしてくれると思います」と、リアル「SNSポリス」のキャスティングについて考察した。さらに、「インスタは平和な感じがするけど、最近Twitterは荒れているから、次回作は「マッドマックス」みたいになるんじゃないですかね」(山里)「荒廃した世界を舞台に(笑)」(かっぴー)「犯罪者の方が多いみたいな(笑)」(星子監督)と、SNSの今後と作品の行方について盛り上がった。
トークの最後には山里が「SNSでの喧嘩とかっていうのは、すごく無益なんだよっていうことを、僕はこれから警部として教えていきたい」と、SNS犯罪者撲滅に向けて決意を語った。トークを終えた3人に、作品について、SNSについてミニ・インタヴューを行った。
●ミニ・インタヴュー
――SNSポリス』DVD上下巻発売決定おめでとうございます!面白くてSNSとの付き合い方について非常にためになる作品でした。その一方で、あまりにもリアルで思い当たるふしがありすぎて、見ているうちにちょっと病んでくるところもあったのですが(笑)。このDVD自体とはどのように付き合っていけばよいでしょうか?
星子監督:あんまり、疲れているときには観ない方が良いかもしれないですね(笑)。
山里:「SNSでの自分の立ち振る舞いは合っているのだろうか?」って悩んでいるときに観ると、非常にダメージを食らうか(笑)、それとも成長することができるのか。教材として使ってもらうと良いかもしれないです。
かっぴー:近しい人に、SNS犯罪者がいる場合は、そっと貸すと良いと思います。「これ、めっちゃ面白かったよ!とくに4話」とか(笑)。
山里:なるほど、処方箋ですね!
かっぴー:アニメで伝えればなんでも言えるっていう。
――このDVDを渡すことで察してもらう、ということでしょうか。
星子監督:そうですね。
かっぴー:それ、めっちゃいいですね(笑)。
山里:急にアイコンが変わったりしたらやだよね(笑)。すごいシンプルなやつに。
かっぴー:いきなり猫の写真になったりして。前は登壇している写真(※DVD上巻『02 軽薄! ベンチャー社員を追い詰めろ』参照のこと)だったのに(笑)。
――作中の言葉でいうと、山里さんはTwitterでフォロワー100万人越えの「天上人」なわけですが、「SNSポリス」に関わったことでTwitterの使い方が変わったところはありますか。
山里:警部として取り締まりをする中で、「これ、俺も抵触してないかな?」っていうところはあったので、放送中はちょっと守りに入ってましたね。
一同:ははははは(笑)。
山里:つぶやきが守りに入っていたせいで、フォロワーから「なんだおまえ、告知ばっかりじゃねえかよ!?」って言われてました。放送期間中の僕のツイートを遡ると、守りに入ってますから、それも照らし合わせて見てもらえたらと(笑)。
また、理想的なSNSの使い方をしている模範芸能人として、山里は東野幸治や川島明(麒麟)、スーパー・ササダンゴ・マシンなど、「告知をナチュラルに絶妙なニュアンスでつぶやいたり、才能を感じさせる」人たちの名を挙げ、「あと、深夜2時過ぎくらいの手島優は悪い例として挙げておきます」と付け加えて笑わせた。
最後に、このDVDで「SNSポリス」に触れる人たちに向けてそれぞれがメッセージを。
「少しアルコールが入った状態で見てもらうのが良いと思うので、友だちを何人か呼んで宅飲みしながら、ちょっとやることがなくなったようなときに、酒の肴みたいな感じで観てください」(星子監督)
「悪口じゃなくて、軽く言い合うようなネタの醍醐味として使ってもらえたらいいと思います。SNSをもっと楽しめるようになるための潤滑油みたいに使ってもらえたらなって思います」(かっぴー)
最後に山里が、「警部としての取り締まりの一環として、みなさんがDVDを再生した瞬間に僕の取り調べも始まりますので。自分が当てはまってるなと思ったらTwitterの方に「申し訳ありませんでした」って自首してください(笑)。それと、自分なりの楽しみ方を味わえる作品だと思います。“なんでこんなこと言われなきゃいけないんだ!?”って怒るもよし、“ああ~こんなやついる!”って言ってスッとするもよし。見る人それぞれで感情が変わる作品になっていると思いますので、是非楽しんでいただきたいと思います」と呼びかけ、座談会を締めくくった。アニメ「SNSポリス」DVD上下巻は、6月20日(水)に発売される。
取材・文・写真:岡本貴之
・アニメ「SNSポリス」公式Twitter
https://twitter.com/snspolice_mov
・アニメ「SNSポリス」DVD上下巻 vapスペシャルサイト
http://www.vap.co.jp/category/1522648182721/
アニメ「SNSポリス」DVD上下巻発売記念座談会
2018年6月11日(月)吉本興業本社
出席者:山里亮太(南海キャンディーズ) / 星子旋風脚(監督) / かっぴー(原作者)