2026/08/17 22:00
2026年8月2日 (日)、渋谷 O-Crestにて、Hammer Head Sharkの4ヶ月連続自主企画〈Close to Void〉第4回公演が行われた。
本記事では、OTOTOYオリジナル・ミニ・ライブレポートとして、当日の模様をライブ・フォト・ギャラリーとともにお届けする。さらに、今回のレポートに向けて寄せられた、この日のライブと次回ワンマン・ライブについてのメンバー・コメントも紹介する。
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9月に渋谷 CLUB QUATTROでの単独公演〈Only my Void〉を行うHammer Head Shark。彼らが5月から8月にかけて開催してきた自主企画〈Close to Void〉は、毎月、ゲストを迎えながら渋谷のライブハウスを巡ってきた。遠回りをしてCLUB QUATTROへと向かうという趣旨の企画である。
第1回はO-nestで雪国を、第2回はLa.mamaで井上園子 (BAND SET) を、第3回はCYCLONEでSee You Smile、C-GATE、Good Griefをゲストに迎えて行われてきた本企画。最終回となる第4回は、O-Crestにオレンジスパイニクラブを迎えて行われた。
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連続企画の最終回となったこの日は、オレンジスパイニクラブとのツーマンだ。Hammer Head Sharkが下北沢で活動を始めたころに出会い、ライブハウス〈下北沢DaisyBar〉周辺で共に活動してきた間柄である。
オレンジスパイニクラブのライブは “ネクター” からスタート。落ち着いた入りだ。続けて、ベースが、そしてギターが鳴り響き、“君のいる方へ” が始まる。一気に熱量が上がる。3曲を終えて、ボーカルのスズキユウスケが語る。
「Hammer Head Sharkとは、もうけっこう長いこと知り合いだけど、ツーマンは初めてです」
「呼んでくれて、ありがとうございます。嬉しい!」
「僕らは僕ららしいライブをやろうと思います。よろしく!」
その言葉通り、実にオレスパらしいロックが鳴る。前へ前へと放たれるバンド・サウンドと、大切に歌われる歌。彼らならではであると同時に、現れる様相は異なれど、Hammer Head Sharkと通じるものが確かにある。
先月リリースされたばかりの新曲 “無くしたピックを重ねて月に行こう” から、“キンモクセイ” へ。未来を真っ直ぐに信じられた、あの頃を思い出す。
“Last Night” でスズキユウスケが「いけるか、Crest!」と叫ぶと、多くの手が上がる。そして、2020年リリースのオレンジスパイニクラブ名義での1stミニ・アルバム『イラつくときはいつだって』収録の “敏感少女” で、ステージを終えた。
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この企画も、この日が最後だ。
ここまでHammer Head Sharkは、毎回、その夜のゲスト、その会場、その文脈に見事に向き合ったライブを見せてきた。雪国には雪国との、井上園子には井上園子との、CYCLONEでは、See You Smile、C-GATE、Good Griefの3組との応答があった。
では、最終回。下北沢時代から縁のあるオレンジスパイニクラブを迎えたこの夜、彼らは何を鳴らすのだろう。
1曲目は最新曲の “ぼくらふたりきり”。すべてを把握しているわけではないのだが、この曲で始まるライブは初めてではないだろうか。ライブの最後に演奏されることが多い曲だが、その厳かな響きはスタートにもとてもよく似合う。ながいひゆのボーカルが実に伸びやかで、O-Crestの壁を突き抜け、遥か遠くのひとの心に射し込むかのようだ。
そのままつないで “アトゥダラル僻地”、そして “Midnight In Naked” へ。福間のドラムが翼になる。一段ずつ階段を上るかのように、着実にフロアが熱を帯びていく。
一呼吸おいて、“echo”。イントロの藤本のギターのフレーズが胸に響く。後藤のベースは揺らめく水面のようだ。続けて、“Blurred Summer”。企画を通じて少しずつ会場が大きくなってきたこともあるのだろうか。この日のHammerの演奏は、良い意味での「余白」を感じさせる音だった。
ここで最初のMCが入る。福間がこう語る。
「こんばんは、Hammer Head Sharkです」
「オレンジスパイニクラブ、ありがとうございました」
「俺たちが下北沢でバンドをするようになって、右も左もわからないときに、初めて “バンドマンっぽいな” と思ったのが、オレンジスパイニクラブで」
「ずっと憧れて背中を見てきたひとたちと、今日こうやって一緒に音を出せることが、ほんとうに嬉しいです」
ながいが続ける。
「一緒にできて、ほんとうに嬉しいです」
「さっきもライブをみていて、あったかくて、優しくて。ロックだよね。切なくなりました」
「出てくれて嬉しいです」
「最後までよろしくお願いします」
福間が「あの牡蠣小屋の隣の地下 (編注 : DaisyBarのこと) に届くような轟音でやります」と言い、“Daisy” へ。
そして “名前を呼んで”、“屋上で” へと続く。“屋上で” は音源としては未発表だが、ライブでは2019年頃、バンド初期に演奏されていた曲だ。“魚座の痣”、“レイクサイドグッドバイ” を経て、ふたたび、ながいが語る。
「長い階段を登って来てくれて、ほんとうにありがとうございます」
「5月から渋谷をまわってきました。いろんなひとと対バンしました」
「あとはクアトロに行くだけです。遠回りをしました」
「いろんな感情になりました」
“点滅ヘッドライト” を歌い終えると、ながいが「ありがとう」と言い、本編が終了する。
アンコールで最初に現れたのは後藤。
「昨日、いっぱいレコーディングしてきました」
「いつ、なにが、とかは言えませんが、楽しみにしていてください」
全員がステージに戻り、ながいが言う。
「そこにいてくれて、ほんとうに、ありがとうございます」
「普通のことじゃないから、毎回びっくりする」
そうして歌い始めたのは、“月とおばけ” だ。
本編の “屋上で” から、懐かしい曲が続く。下北沢との惜別、とまで言うと言い過ぎだろう。もちろん、これからも下北沢でライブをすることはあるはずだ。それでもこの日のセットリストには、かつてバンドが立っていた場所を一度見つめ直し、そこから次へ進んでいくような感触があった。
「ありがとう。もう一曲だけ演らせて」と、ながいが言う。
チューニングの合間に、福間が語りかける。
「何回も言うんですけど、クアトロでやります」
「いろんなバンドがクアトロでやってるけど、そんな簡単なことじゃなくて。めっちゃ難しいんです」
「8年経って、もうクアトロ、って場合もあるし、8年経って、まだクアトロ、って場合もあるし」
「日曜日の渋谷に、わざわざライブハウスに来るような、あなたたちのために。そんなひとをいっぱい集めたいんです」
「よかったら来てください。よろしくお願いします」
ながいがギターを鳴らしながら言う。
「音楽でカッコいいって思われたいって、思ってないかも」
「ひとを好きになりたいし、好きになってほしいから、やってるし」
「音楽の中でしか誰にも会えないと思ってるから、やってるのかも」
「誰も私のこと分かんないと思ってるし、ずっと」
「音楽の中で会えますように」
最後は “たからもの”。バンドとフロアの皆が音楽で固く結ばれて、この日のライブが、そして「クアトロへの遠回り」が終わった。
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個人的にこの日のHammer Head Sharkに感じたのは、良い意味での余裕だった。
それは、熱量が下がったという意味ではない。演奏のベースとなるラインがひとつ上がり、爆発も、余白も、感傷も、歓喜も、同じ強度で鳴らせるようになっている。その上で、先月の〈MURO FESTIVAL〉で見せたような大爆発 (※) もできるし、この日のように、ひとつひとつの感情を濃密に音楽へ込めて届けることもできる。
※ バンド公式Xに動画が上がっているので、ぜひ観てほしい。
クアトロへの “遠回り” は、ただの助走ではなかった。その道のりのなかで、Hammer Head Sharkはまた少し、大きなバンドになったのだと思う。
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いよいよ次は、渋谷CLUB QUATTROでのワンマンだ。
この「次のステップ」を語るうえで、もうひとつ欠かせないものがある。チームの存在だ。
2025年5月頃から、Hammer Head Sharkの主要なライブでは、音響 (PA) と照明を固定のエンジニアが担うことが増えた。ここ最近のライブの成長に、その存在が大きな役割を果たしていることは、想像に難くない。音が広がり、光が空間を作り、ながいひゆの歌がその壁を越えていく。いまのHammer Head Sharkのライブには、バンドだけでなく、その表現をともに作り上げるチームの力がある。
本企画〈Close to Void〉全4回、そして渋谷CLUB QUATTRO公演でも音響/照明を担う予定の、音響エンジニア・井田童夢と、照明エンジニア・ibuki katagiriに、Hammer Head Sharkの楽曲・ライブの魅力と、オペレートの際に意識していることを聞く機会があった。
音響エンジニアの井田童夢がHammer Head Sharkのライブの魅力として挙げるのは、音源からさらに突き抜けた爆発感、静と動の振れ幅、そしてライブハウスでありながら、ながいひゆが歌うと壁がなくなるような感覚だ。
PAのオペレートの際に意識しているのは「余白」だという。シューゲイズ的なサウンドは、音を「埋めて」作られることも多い。だからこそ、全体がブレイクしたときの余白や、リバーブの余韻を大事にしているのだと話してくれた。
一方、照明エンジニアのibuki katagiriは、Hammer Head Sharkの音楽には、音の質感や消えかたによって空間を作る力があると語る。抽象的な歌詞から生まれる余白や空間も魅力的で、照明エンジニアとして表現のしがいがあるという。
照明のオペレートの際に意識しているのは、音の「消えかた」を光が邪魔しないこと。そして、Hammer Head Sharkが表現しようとしている空間の広さを、光によって構築することだ。言ってみれば、お客さんが目で見ても、耳で聴いても、同じ広さの空間にいると感じられること。時としてそれは、会場の壁や天井よりも広い空間でもある。そこを目指しているのだという。
最近のHammer Head Sharkのライブを経験したことがある人なら、おそらく、うなずける言葉ばかりだろう。大きく成長したバンドと、それを支えるチーム。その両者がそろって、いよいよ渋谷CLUB QUATTROでのワンマンへと向かう。
いまこそHammer Head Sharkを観てほしい。
2026年9月11日、渋谷CLUB QUATTROで、その瞬間に立ち会ってほしい。
写真・タカギタツヒト
オレンジスパイニクラブ
ネクター
君のいる方へ
Bowie
退屈かもしれない
口
blue
無くしたピックを重ねて月に行こう
キンモクセイ
死ぬほど好き
Last Night
敏感少女
Hammer Head Shark
ぼくらふたりきり
アトゥダラル僻地
Midnight In Naked
echo
Blurred Summer
Daisy
名前を呼んで
屋上で
魚座の痣
レイクサイドグッドバイ
点滅ヘッドライト
(アンコール)
月とおばけ
たからもの
渋谷CLUB QUATTROに向けての渋谷連続企画。
いよいよクアトロ前ラスト、渋谷O-Crest公演。
今回の渋谷連続企画は、ライブハウスの色に合わせたブッキングをメンバーで行った。
O-nest、La.mama、CYCLONE、どこも特徴が色濃く出ており、渋谷O-Crest公演にはオレンジスパイニクラブが出演してくれた。
オレスパの楽曲は普遍的な良さがあって、いつの時代でも歌い継がれるような強度があると思う。
それを実現しながらロックバンドであり続けることは、とても難しいことだし、だからこそ僕は彼らのことをとても尊敬していて、大切な日に共演できて嬉しかった。
ポップソングをロックンロールの演奏で届けてくれるバンドが10代の頃からずっと好きで、このご時世にオレスパのようなバンドが最前線で活躍しているのが嬉しい。
パンキッシュなライブとソリッドな出音も最高で、夢中でライブを見た。
改めて、出演してくれて本当にありがとうございました。
Hammer Head Sharkもまた歌を中心に据えたバンドだけど、それはあくまで楽曲の構造やアレンジの話であって、いちプレイヤーとして、歌を立てようとばかり考えて演奏しても良い演奏はできないと最近気付いた。
では正解は? と問われたら、まだ明確な回答はできないのだけど、とにかく歌を立てることばかりに留意してギターを弾くのはやめた。
それが功を奏したのか否かは分からないけど、良いライブができた気がしている。チューニングがめちゃくちゃ狂ってたけど、そういうのも、終わってからは気にし過ぎないことにした。
渋谷連続企画も残すは渋谷CLUB QUATTROのみ。クアトロではどんな人と出会えて、どんな演奏ができるだろう。
この日に限らずいつだって一点モノのライブをしてきたし、すべて等しく大切なステージだけど、やはりどうしても、初めてのクアトロ・ワンマンが特別なものになることを願ってやまない。
手ぶらでフラッと来てくれたあなたが、少しでも良い気分で帰ってくれたら嬉しい。
9/11 (金) 渋谷CLUB QUATTROで会おう!
藤本栄太
ぼくらふたりきり
リリース日 : 2026年6月24日 (水)
レーベル : YOUGAZE
配信形態 : デジタル
YOUGAZE
Hammer Head Shark pre.
"Only my Void"
日程 : 2026年9月11日 (金)
会場 : 東京・渋谷 CLUB QUATTRO
Open : 18:15 / Start : 19:00
出演 : Hammer Head Shark (ワンマン)
チケット : ¥3,000+D / 10代割¥2,000+D
https://w.pia.jp/t/hhs2026/
日程 : 2026年8月22日 (土)
会場 : 東京・桜台 POOL
Open : 15:30 / Start : 16:00 (終演予定 : 21:00)
出演 : Hammer Head Shark / Highvvater / マジカルチョコミントクラブ / chatoe / nothing out the window / vidro / 鈴木和音
チケット : ¥2,500+D
https://livepocket.jp/e/kaiba_0822 SOLD OUT
Hammer Head Shark
2018年、千葉で結成。現在は東京を中心に活動する4ピース・ロックバンド。純度の高い楽曲と、フロアを静かに飲み込むライブ。言葉にならない心の機微を、幻想と現実のあわいで描き続けている。2026年6月設立の自主レーベル〈YOUGAZE〉を拠点とし、作品に宿る景色を最後まで自分たちの手で届けるため、音源制作からアートワーク、映像、ライブ企画まで一貫して手がける。2025年、1stフルアルバム『27℃』を自主制作で全国リリース。第18回CDショップ大賞2026に入賞し、全国ツアーを開催。〈DEAD POP FESTiVAL〉〈VIVA LA ROCK〉などの大型フェスへ出演。海外ツアー・海外フェスにへの参加と、国内外を問わずその表現を届けている。2026年9月、渋谷CLUB QUATTROでの単独公演を開催。
X (Twitter) : @h_h_s_band
Instagram : @hammerheadshark_band
YouTube : @hammerheadshark_band
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