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2025/03/04 17:00

 

【ライヴレポ】Nothing's Carved In Stone、過去を振り返り、未来へと繋ぐセカンド・アルバム再現ライヴ──〈"BEGINNING 2025" feat.『Sands of Time』〉

 

2025年2月24日。Nothing's Carved In Stone がZepp DiverCity (TOKYO)にて、2ndアルバム『Sands of Time』の完全再現ライヴ[SPECIAL ONE-MAN LIVE "BEGINNING 2025" feat.『Sands of Time』]を開催した。

2021年に開催された1stアルバム『PARALLEL LIVES』完全再現ライヴ[SPECIAL ONE-MAN LIVE "BEGINNING 2021" feat.『PARALLEL LIVES』]以来の再現ライヴとなる今回のライヴ。この日は、2010年6月にリリースされた2ndアルバム『Sands of Time』の完全再現に加え、ベスト選曲なセットリストが披露される予定であることが事前に伝えられており、一体どんな構成でライヴが行われるのか、多くのオーディエンスがその日を心待ちにしていた。

開演の時刻を迎えると、ステージには『Nothing's Carved In Stone』のロゴが入ったバックドロップが掲げられ、客席のテンションはMAXに。さらに大喜多崇規(Dr)、日向秀和(Ba)、生形真一(Gt)、そして村松 拓(Vo/Gt)がひとりずつ登場すると、大きな歓声が上がった。そこから1曲目に披露されたのは、2024年5月にリリースされた最新EP『BRIGHTNESS』から“Blaze of Color”。この日は2ndアルバムの完全再現ライヴでもあるが、まずは、“今”のバンドとしての姿を見てほしいということなのだろう。フルスロットルでバンド・サウンドを鳴らし、ライヴのギアを一気に上げると、さらに“Bright Night”、“You're in Motion”を立て続けに。序盤から一気にZepp DiverCity (TOKYO)を、熱気で充満させていった。

新たな展開があったのは、ここから。2010年の全国ツアー「Sands of Time Tour」の際に使用されていたというトライバルなビートのSEがかかり、時間が15年前へと巻き戻っていく。ここからライヴは『Sands of Time』に収録されている楽曲たちを、1曲目“Chaotic Imagination”から“Palm”までアルバムの曲順で披露。文字通り「完全再現」していくという構成である。

大喜多と日向の獰猛な獣のように暴れ回るパワフルなリズムセクションに、生形のメロディアスなギター・サウンド、そして村松のエモーショナルな歌声が合わさり、Nothing's Carved In Stoneの音楽が作りあげられる。耳に残るキャッチーなギターのアルペジオと、ビートの絡みが印象的な表題曲“Sands of Time”や、疾走感溢れる“Around the Clock”を、フロアに次々に叩き込み、Zepp DiverCity (TOKYO)というライヴハウスを自分たちのものに染め上げていく。

ここでインタールード的な楽曲“Memento”を挟んで披露されたのは、暖かな陽の光と未来への希望を感じさせる“Sunday Morning Escape”。続く“Rendaman”で重厚なアンサンブルを叩き込みフロアを踊らせると、今度は静謐なサウンドと、ドラムス大喜多の緻密なフィルインのコントラストが光る“Slow Down”で緩急をつける。ライヴはさらにここから、“The Swim”で再びスピードを上げると、アルバムの終盤を飾る“Pendulum”、“Palm”へと繋げ、バンドとしての強靭なグルーヴでオーディエンスを沸かせた。

と、ここまで最新の作品と合わせて、『Sands of Time』の楽曲を体感していると、Nothing's Carved In Stoneというバンドの音楽の根幹がほとんどブレていないことに気づいた。もちろんこれまでのバンドの歴史においては、作品ごとにテーマや楽曲のテイストは変わっているし、メンバーの自身の環境や心情の変化もあるだろう。また災害やコロナ禍などを経て、社会も大きく変化している。しかし彼らの信じる音楽の根幹というものは常に変わらない。だからこそNothing's Carved In Stoneはいまもかっこよくあり続けているのだと思った。

アルバムの最後の曲“Palm”まで『Sands of Time』の世界を描き切ったメンバーは、今度はドラムの前に全員が集まり肩を寄せ合って、ライヴの新たなはじまりを告げるように“Beginning”を鳴らす。そこからさらに“Challengers”、“Freedom”と最新EP『BRIGHTNESS』の収録曲を披露。Zepp DiverCity (TOKYO)を再び熱気の渦に巻き込むと、オーディエンスの掛け声と拳が高くあがっていた。

続いてライヴの定番曲である“Out of Control”をエネルギッシュに掻き鳴らすと、本編最後に披露されたのは、“Dear Future”。過去を振り返りながらも、最後は未来へ向けた歌を響かせるところに、Nothing's Carved In Stoneというバンドの美学がある。圧巻の演奏で最高に熱いクライマックスを迎えると、メンバーはステージを後にした。

なぜ、Nothing's Carved In Stoneはこのようなライヴを開催したのだろうか。それはきっと『Sands of Time』というアルバムを愛してくれた人への恩返しだったのだと思う。10年以上もメンバーが変わらずにいて、こういったライヴが見られるのは、ある意味、奇跡的なことだと思うし、ファンにとっても幸せなことでもある。またそれと同時に彼らは、当時今作を好きだった人にも、バンドの“今”を見せたかったのだと推察する。この日のセットリストは、『Sands of Time』の楽曲を除けば、最新EP『BRIGHTNESS』の収録曲がかなり多く、バンドにとっての現在進行形が「ベスト」なのだと感じた。

アンコールで再びステージに現れたメンバーは、この日の感想とともに新たなツーマンツアー〈Hand In Hand Tour 2025〉の開催決定と、新譜を制作中であることをアナウンス。4人はそこから“YOUTH City”、そしてデビューアルバム「PARALLEL LIVES」に収録された初期からの名曲“Isolation”を披露。長い歴史を紡ぎ、さらなる未来へと進むNothing's Carved In Stone。終演の時まで、常にかっこいい姿を見せる4人の姿が、いつまでも眩しく眼に映っていた。

取材&文:ニシダケン
撮影:RYOTARO KAWASHIMA

ライヴ情報
Nothing's Carved In Stone「SPECIAL ONE-MAN LIVE "BEGINNING 2025" feat.『Sands of Time』」
2025年2月24日(月・祝)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
セットリスト

01. Blaze of Color
02. Bright Night
03. You're in Motion
04. Chaotic Imagination
05. Cold Reason
06. Sands of Time
07. Around the Clock
08. Memento
09. Sunday Morning Escape
10. Rendaman
11. Slow Down
12. The Swim
13. Pendulum
14. Palm
15. Beginning
16. Challengers
17. Freedom
18. Out of Control
19. Dear Future
En1. YOUTH City
En2. Isolation

ツアー情報

【Hand In Hand Tour 2025】
2025年5月30日(金)神奈川・川崎CLUB CITTA'
ゲスト:coldrain
2025年6月6日(金)大阪・GORILLA HALL OSAKA
ゲスト:後日発表
2025年6月13日(金)宮城・仙台Rensa
ゲスト:Age Factory
2025年6月14日(土)岩手・盛岡CLUB CHANGE WAVE
ゲスト:Age Factory
2025年6月17日(火)北海道・札幌cube garden
ゲスト:後日発表
2025年6月21日(土)香川・高松MONSTER
ゲスト:SIX LOUNGE
2025年6月22日(日)広島・LIVE VANQUISH
ゲスト:SIX LOUNGE
2025年6月27日(金)愛知・名古屋DIAMOND HALL
ゲスト:ACIDMAN
2025年6月29日(日)神奈川・F.A.D YOKOHAMA
ゲスト:cinema staff
2025年7月4日(金)福岡・DRUM LOGOS
ゲスト:ZAZEN BOYS
2025年7月5日(土)熊本・B.9 V1
ゲスト:ZAZEN BOYS
2025年7月12日(土)長野・CLUB JUNK BOX
ゲスト:THE BACK HORN
2025年7月13日(日)石川・金沢EIGHT HALL
ゲスト:THE BACK HORN
2025年7月19日(土)東京・Zepp Haneda
ゲスト:後日発表

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