Hiss Noise Records


Mundo Transparente
Ozaki Koichi
全国各地でのDJと、2001年より続くミニマル・エレクトロニカのパーティー「otonoha」の主催を活動の中軸としてきたT.B. aka ozaki koichiが、2013年以来となる2ndアルバム”Mundo Transparente”を発表した。スペイン語で「透明な世界」を意味するタイトルの通り、音が配置される”空間”を効果的に用い、純度の高いサウンドの魅力を様々な角度から引き出した作品となった。 発売元のHiss Noise Recordsは東京・横浜を拠点とする音響系の新興レーベル。17年春の先行シングル”in my life, in my room e.p.”から続いてのリリースとなる。bandcampなどweb配信を主体としているが、この度はアーティストのたっての希望でDLのほかCDアルバムとしても発売される。 1stアルバム”-refost 13-”は「彼自身がいちエレクトロニカ・アンビエントミュージックのファンとして作り続けてきた集大成」であったが、今作はエレクトロニカ・アンビエントを基調としつつ更にサウンドのアプローチを拡げており、グリッチ・IDMやテックハウス・ミニマル、ブレイクビーツ、ダブなどから抽出されたエッセンスを各曲から聞き取ることができる意欲作となった。ジャンルも、電子音・アコースティックサウンド・環境音の境界も渾然一体となっているが、確固たる方向性がフィルターとなり統一されたトーンに仕上がっており、ニュートラルな印象で聴きこめるはずだ。 楽曲ごとの音像の奥行き・距離感の転調も絶妙なアクセントとなっており、DJとして長いキャリアを持つ彼ならではの構成力を感じさせる。体の芯を揺さぶるようなビートから突如極端にパンニングされたアブストラクトな電子音へと展開する2〜3曲目や、木漏れ日のように淡くきらめくシーケンスフレーズから一転し深いリヴァーブが追憶の彼方へ誘う8〜9曲目の流れなど…一曲で切り分けて聴くよりも、アルバム単位で聴くことでさらなる魅力を実感できるはずだ。 今作は閉鎖的・実験的なイメージは全くなく、緩やかな陽光とそれがもたらす影のような普遍的なシチュエーションを想起させる。楽曲のタイトルもどこか日常の瞬間を切り取ったようで、彼自身のパーソナルな変化・進化の反映も伺える。聴き手に解釈をゆだねる柔軟性と確固たるコンセプトも兼ね備えた、”透明”な印象だからこそ長く傍らにあってほしいと思える音楽だ。 <テキスト:杉本 陸>


CONTACT
silentwave
2017/11/2にCONTACT TOKYO「MNML SSGS PARTY」にて行ったライブパフォーマンス再現音源で、ドローンとテクノ。その可能性を追求した作品。


far from the atmosphere
Chihei Hatakeyama
”get away far from the earth (地球から遠く離れて)”がテーマとなる今作は、地球の誕生から現代まで、そして未来までをも予感させる壮大な物語となっている。それはまるで地球という船に乗りこんで、宇宙空間という、未知なる大海原へと突き進んでいるかのような、そんな想いになれる大作となっている。あなたもこの作品に耳を傾けて、壮大な宇宙旅行へ出かけてみてはいかがだろうか。