ロック・ミュージカル映画『星くず兄弟の新たな伝説』のオリジナル・サウンドトラックから。三浦涼介、武田航平が演ずる「スターダスト・ブラザーズ」が、ロックの新たな地平を目指して月へ行くという荒唐無稽なストーリーをポップでキュートに描いている。野宮真貴が劇中にも出演して歌うこの曲は、80年代風のテクノポップ感に2000年代の音を合わせた楽しいナンバー。作曲はそれこそ80年代にインディーズとはいえ注目されていた伝説のバンドFILMSを率いていた赤城忠治。元プラチナKitの金津ヒロシがオシャレに編曲している。これはカルト・ムービーとして評判だった映画『星くず兄弟の伝説』(1985年)の正統的な新作である。オリジナル作品は天才ロックンローラー近田春夫原作・音楽、ヴィジュアリスト手塚眞監督による、時代を見事に表現した映像と音楽によるとびきりポップでオシャレなインディーズ映画だった。ストリートシーンで活躍していた高木完(ex.東京ブラボー)、久保田慎吾(ex.8 1/2 )がトリック・スター的にジギー・スターダストならぬスターダスト・ブラザーズを演じて暴れ回る。30年を経たいま、この伝説の作品が装いも新たな映画として再登場。スターダスト・ブラザーズも若返り、アーティストとしても活躍している俳優の三浦涼介、舞台を中心に注目される武田航平がさらにスタイリッシュに、今のノリで演じている。この映画のオリジナルサウンドトラック・アルバムには、80年代ニューウェーブ・ロックの香りがするバンド・サウンドを中心に、テクノ、オルタナティブ、ポップス、カントリーと、バラエティに富んだ曲目が並び、ロック・アルバムとしても純粋に楽しめる。参加アーティストは近田春夫の他に、赤城忠治、窪田晴男(ex.ビブラトーンズ、パール兄弟)、江蔵浩一(ex.ピンナップス)、若手キーボーディスト麻来らがノリの良いサウンドを生み出している。また、オリジナル映画に主演していた高木完、久保田慎吾も再び映画のために新作を書きおろした。他の出演者にはニコニコ動画でブレイクしたROOT FIVEのけったろこと藤谷慶太朗がボーイ・ジョージばりの曲を披露。谷村奈南がひさしぶりに歌にカムバックし、ピチカート・の野宮真貴、元AKBの板野友美ら、豪華で意外な顔触れが勢揃い。やはり前作に引き続き出演しているDer ZibetのISSAYが夏木マリと濃密にデュエットするのも見物。そして日本のグループサウンズの先駆けスパイダースのメンバーだった井上順がこれもひさしぶりに当時を彷彿とする歌を熱唱。さらに大御所・内田裕也まで登場し、まさに日本のロック・シーンの歴史が時空を超えて集まったような豪華な夢の音楽映画となっている。