SONG X JAZZ

OUR SECRET WORLD
Lossless

OUR SECRET WORLD

KURT ROSENWINKEL & OJM

このアルバムは、まずなによりも、精緻な構造と切なく問いかけるようなテーマを併せ持った彼のコンポジションに新たな光を与える。本作にあっては、演奏者全員がオリジナルの「テキスト」(つまり、楽曲そのもの)に対してのみならず、ローゼンウィンケルの意図、思考そのものへの深いリスペクトを共有していることに気づかされる。とはいえ、単に楽曲を再配置することで満足するわけではない。この音楽に関わった全員が、根本的に新しい何かを探りあてることで決意をともにしている。ローゼンウィンケルは言う。このアルバムを聴きかえすたびに、一音一音のなかに共有された意図と旺盛な冒険心が漲っているのを感じることができる、と。「通常のビッグバンドは、必ずしもみんなが同じ気持ちで参加しているわけではないよね。でも、ここではみんなの心はひとつだ。レコーディングのときのぼくらの気持ちを一言でいうなら、『意気揚々』ってところだろうね。それは、きっとアルバムから聴き取れるはずだよ」 

SWANSONGS
Lossless

SWANSONGS

CHOCOLATE GENIUS INCORPORATED

ここに収録された11曲を録音するのに彼が必要としたのは、ロサンジェルスのスタジオでのわずか9日ばかりのセッションだった。個々の歌は、明瞭かつ痛みを伴った知性をもって彩られているが、その奥底には、人生は喪失と欠如、そして失ったものの幻影によって作り上げられているとする認識が横たわったいる。マンハッタンを遠く離れ、これまでのパートナーであったマーク・リボーでさえわずか1曲(Enough For/Of You)にしか参加していない本作で、トンプソンは、近年気脈を通じてきたパートナーたちと共演をしている。彼らのさながら重力から解放されたかのような演奏は、本作の意図を理想的なかたちで具現化している。過去の作品において、ときにエレガンスを損なう要因ともなった細かい砂利を取り除いたことで、本作での彼の歌、歌唱は曲から曲へと、目を瞠るほどの滑らかさをもって流れてゆく。美しく響き渡るブルーズ「Enough For/Of You」から、ピアノと声が愛撫しあうかのような「Like a Nurse」や「Sit & Spin」、ねじれてはうねる「Lump」、心地よく寄せてはかえす「When I Lay You Down」と「Ready Now」。あるいは、「Kiss Me」における肉感的な告白、「Mr, Wonderful」での幽玄な歌詞(電子的な残響のなかへと、亡き父の声がフェイドアウトしてゆく)など、いずれの楽曲も、ジャンルやスタイルに規制されることのない、自由なインスピレーションによってもたらされたものだ。

TOP