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春宵白梅 (original)
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夜に咲く梅の花の繊細な美しさと、訪れぬ人を待つ切なさに着想を得ています。月明かりの下に漂う白梅の香りは、儚い恋、語られぬ言葉、春の夜の静かな鼓動の象徴となります。 また本作は、平安時代の女房・清少納言が記した『枕草子』(1000年頃)からもインスピレーションを受けています。『春はあけぼの』に代表されるように、自然や宮廷生活の美を詩的に描いた随筆で、日本人の美意識「をかし(趣き深さ)」を今に伝える作品です。梅や月夜といったモチーフを歌詞に織り込み、『枕草子』が描いた「儚き美」「優雅」「日常のなかに潜む心の機微」を響かせています。


星雲の織袖 (original)
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天女の羽衣が舞うたびに、 天の川や星座、鳥や鹿が溢れ出し、 白と黒の宇宙が広がっていく─。 古の物語「羽衣伝説」をもとにした幻想的な音楽作品です。 和歌の言葉と、ケルト調の響きを重ね、 まるで天地創造の瞬間に立ち会うかのような音世界を描きました。


禍月ノ祓イ蝶 (original)
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深山幽谷(みやまゆうこく)を照らすのは、不吉な光を放つ「禍月(まがつき)」。 天狗と牛若丸が相対する。 それは退魔の儀式であり、夜明けを告げる舞。 光と影、静と動が交錯する“美の戦い”が、黎明の蝶と迎える。


恋絲綴 (original)
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ほどけぬ絲── 仮面の女が舞う、妖しく美しい夜の絵巻。 黒地に彼岸花をあしらった着物、奇妙で優美なお面、 無限に続く襖の間で舞うその姿は、愛と呪いを紡ぐ糸そのもの。


幾百年の追憶 (original)
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雪女は、日本の昔話や民話に登場する雪の精霊です。 雪深い夜、旅人が迷い込んだ先に現れる、美しくも儚い女性の姿をしています。 その吐息は冷たく、人々の命を奪うと言われていますが、時には人間に心を寄せることも…。 この歌は、雪女が抱える“人を愛したい”という想いと、“愛してしまえば命を奪ってしまう”という孤独な宿命を描きました。 百の冬と千の夜を越えても消えない祈りが、静かな雪の森に響きます。


蝶影の庭にて (original)
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霧深い湖を舞台に描かれる、愛と祈りの幻想物語。 日本の伝説「黒姫物語」をモチーフにしたこの歌詞は、 黒竜を愛した姫と、それを恐れ拒む人々の物語を描きます。 黒竜の怒りが嵐を呼び、村を水が飲み込もうとする中、 姫は「この身を捧ぐゆらん、どうか嵐を鎮めたまへ」と 命を懸けて祈りを捧げます。 静寂の湖面から始まり、激しい暴風雨、そして愛の記憶へ──。 日本の古い伝説を想わせる幻想的な世界観と 胸に迫る祈りの言葉が重なり合う物語歌です。


潮ノ緒、祟ノ渦 (Original)
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海の神を継ぐ兄・海幸彦と、山の神に近い弟・山幸彦がいました。 弟が兄に頼んで、釣り針を借ります。しかし、それを海で失くしてしまいました。 兄は怒り、弟を責めます。弟は罪を償うため、海の底の神殿へ。 そこで出会ったのが、海神の娘・玉依姫。 彼女の助けで、失くした釣り針を見つけた弟は、兄に返します。 でもその釣り針はもう兄の怒りがこもった**「呪いの針」**となっていたのです。 やがて兄弟は完全に決裂し、 その亀裂の中から、神の子が生まれます。 彼こそが、のちに日本の王朝の始まりとなる存在でした。


八雷神哭 (Original)
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命を懸けて闇を断ち切る者の、孤独と決意を描いた戦詩。 奪われた命、祈り、そして雷鳴と共に吠える剣の伝説。 八つ首の闇獣に立ち向かう魂の咆哮が、雷の刃となって夜を貫く。


鼠祝ギ夜行譚 (Original)
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「ねずみの嫁入り」は、日本各地に伝わる民話で、小さな鼠の娘の嫁入りをめぐる物語です。 娘の婿選びにあたって、父鼠は「この世で一番強い相手に嫁がせたい」と願い、まずは太陽に頼みます。しかし太陽は「雲には敵わない」と言い、雲は「風には勝てない」と言い、風は「壁には敵わない」と答えます。最後に壁に尋ねると、壁は「鼠こそが私に穴を開ける」と答えました。 結局、一番強いのは鼠であり、娘は同じ鼠の若者に嫁ぐことになります。 この話は「本当の強さとは何か」を教えてくれる物語です。 遠く大きな力ではなく、近くにいる小さな存在こそが大切であり、巡り巡って自分たちの手の中に幸せがあることを伝えています。


百夜の誓い (Original)
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深草少将の「百夜通い」とは?——平安の恋に捧げた百の夜 深草少将(ふかくさのしょうしょう)は、平安時代の貴族であり、ある姫君に深く恋をしました。しかし姫は容易には心を許さず、こう告げます。 「もしあなたが、百夜にわたって私のもとへ通って来たなら、その時は想いを受け入れましょう」 それは、風や雪、雨の降る夜もある、厳しい試練の約束でした。 それでも深草少将は、毎夜、姫の屋敷に通い続けます。静かに門前に立ち、ただ姫を想い、百日分の情熱を積み重ねていきました。 そしてついに、百夜目の夜が訪れます。しかし―― その夜に限って、嵐が深草少将を襲いました。身体も冷えきる中、彼は力尽きてしまい、百日目の恋は、果たされることなく終わってしまうのです。 この物語は、「忠誠と愛」「報われぬ想い」「命を懸けた恋」として、今なお語り継がれています。後世では、“百夜通い”=誠実な恋の象徴として多くの歌や物語に取り上げられ、切なくも美しい日本の恋愛譚として親しまれています。


鬼祀ノヨル (Original)
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燈籠揺れる夜、嵐山の麓にて―― 朱に染まる盃、面をかぶる稚児、鈴の音とともに鬼火が咲く。 酒呑童子の伝説をもとに描く、一夜限りの“鬼の祭り”。 それは呪いか、祈りか。 夜を裂く笛の音、乱れ舞う魂の宴が、今はじまる。


鳴蹄遥響譚 (Original)
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久遠の眠りより目覚めしは、風をまといし金毛の神獣。 焔に哭く大地を翔け、ひとひらの祈りに応える者── これは、争いと再生、そして希望の詩。 幻想と古語が織りなす神話譚『金のたてがみ』。 いま、その響きをあなたの胸に。これは、争いと再生、そして希望の詩。


狐火の夜に (Original)
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『狐火の夢路』――その焔は、夢か現か。 追いかければ消えてゆく、揺らめく狐火。 誰も知らぬ路地裏、黄泉へと続く朧の森―― 幻想和歌とケルトの調べが織りなす、“永遠に終わらぬ夜”の物語。 どうぞ、この狐火の舞に耳を澄ませてください。


月の裳裾より (Original)
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風も凪いだ、竹の夜。 地の温もり、袖に残して。 出逢いは祈り、別れは響き。 名を忘れても、想いは消えない。 これは、かぐや姫が綴る“愛の物語”。 月へ還るその瞬間まで、 一夜の夢に、すべてを託して。


月祀 (Original)
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――白き羽は、声もなく舞い降りて。 この姿が、たとえ“罪”と呼ばれようとも。 名を持たぬ想いが、祈りとなって音に変わる。 それはただ、あなたの胸に届かんとする“風の物語”。 雪の夜、返り羽が空を舞うとき、ひとつの誓いがそっと終わる。