National Hot Line/ Sunfortune

UNCUT MAILLE
Lossless

UNCUT MAILLE

HipHop/R&B

ID

キャッチー、わかりやすい、伝わりやすい、もしかしたらこのアルバムは、そのすべての対局にあるかもしれない。 曲が流行るというのは、歌詞が分かりやすいとか、シンプルでノリやすいとか、そういった単純化という作業の延長上に起きる現象だと考える。つまり、誰もが理解できる物差しの範囲内で、多くの楽曲は提示されているのだが、当該アルバムは反対に、誰もが持ちえない、物差しの範囲を逸脱した領域で展開されているのだ。 人間は体内に異物が混入したとき、アレルギー反応を引き起こす。そしてその異物を排除しようとする。こんなものを音楽とは認めないと…。しかしその排斥しようとする試みこそが、IDの仕掛けるトラップなのである。一度鼓膜から浸透したウイルスは体全体を支配する。そして最終的にたどり着く結果が、「中毒」である。 しかしまた、その中毒性を求めて多くのリスナーが彷徨っているのも事実である。そのような現状では満足できないリスナーを、快楽の深くに導く処方箋がこのアルバムには記録されているのだ。 総じて、このアルバムはどういった構成の曲で、どのような意図があって、聴き所はここで、といった具体的なレビューを言葉に起こす文才は誰もが持ちえない。 残念ながら、言語化できないが故、その体の五感すべてで感じていただくしかないのである。

tongue
Lossless

tongue

HipHop/R&B

ID

前回作「Maldoror」のプロデュースを手掛けたビートメイカーKANYAが生み出した、ドラムンベースを主体とするビートと、ダークシンセサイザーにより構築されたトラックは、中東アジアを想像させる世界観と、どこか湿った高揚感をリスナーに提供する。 この複雑かつセンシティブなトラックを乗りこなすのは、紛れもなく彼、IDである。 七色の声色を織り交ぜ、奇々怪々なフローを加えて放たれるIDのラップは、聴く者を異世界へと誘う。 電子機械音とIDの肉声が奏でる生々しさとの融合が、近未来的な「音楽」の可能性を感じさせて止まない。リスナーが初見で感じる違和感は、おそらく数年後の常識やスタンダートに昇華されていることだろう。

Maldoror
Lossless

Maldoror

HipHop/R&B

ID

1st Full Album 『B1』のリリースから時を経て、更なる進化を遂げて異彩を放つIDの、NEW PROJECTが始動! HIPHOP、HOUSE、ダンスミュージックなど、異なる音楽ジャンルを見事に融合させたボーダレスでリズミカルなビート上を、IDの独特の変化自在のフローが上下左右する。 詩的なラインや高度なライムスキームにも注目すべきではあるが、さらに特筆すべきは、「踊れる」ことに重点を置いた流れるような「RAPの発音の仕方」だ。つまりは、英語にも似た日本語の発音によって、リリックが「踊る」ための障害とはならず、ごく自然に音と共に体全身に沁み込むような技巧が凝らされている。 音楽業界の常識を逸脱した問題作を、存分に体感してほしい。

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