Milestone Art Music

ガムラン曼荼羅
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ガムラン曼荼羅

藤枝守/パラグナ・グループ

組曲「ガムラン曼荼羅」は、2020年11月19・20日にトーキョーコンサーツラボで初演された。会場となるフロア全体の真ん中に舞台がつくられ、その舞台の周辺に客席が円環的に設けられた。まず、ゴングが舞台中央に据えられ、そのゴングを四方から取り囲むように一対のサロン、ボナン、ジュングロンが置かれると、円環的なガムランの曼荼羅ができあがったのである。全体は8つの楽曲(piece I〜VIII)による組曲として構成されている。そして、八つのフレーズがひとつの楽曲をかたちづくり、入れ子構造になっている。それぞれの楽曲は、かならず最初のフレーズに戻って演奏を終了し、さらに最初の楽曲を繰り返してから組曲全体が終了する。《ガムラン曼荼羅》の個々の楽曲では、あらかじめ設定された持続ユニットのなかでさまざまなメロディック・パターンが重なり合い、変化していく。この持続ユニットは、ジョン・ケージの平方根形式の影響であり、また、限定したパターンを徹底した組み合わせる手法は、ソル・ルウィットの「ウォール・ドローイング」の影響による。メロディック・パターンの生成にあたっては、植物の電位変化のデータを変換した《植物文様》シリーズの手法が用いられているが、その電位変化のデータは、福岡市の香椎宮の御神木である「綾杉」から採取されている。

クラヴィコードの植物文様
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クラヴィコードの植物文様

藤枝守

バッハも愛用したといわれるクラヴィコードは、どこにでも持ち運びが可能で練習や作曲の手助けとなった楽器でした。そのシンプルな楽器のメカニズムによって、微かな響きのなかに、じつにさまざまな微妙な音のニュアンスが生み出されます。これまでの《植物文様》シリーズには、ピアノやハープシコードのための曲集がありましたが、それらをあらたに《植物文様クラヴィーア曲集》としてまとめました。そして、以前からクラヴィコードに興味を寄せていたピアニストの砂原悟さんと相談しながら、《クラヴィーア曲集》からクラヴィコードに相応しい曲を選びだし、2007年に東京の自由学園・明日館で「クラヴィコードの植物文様」という演奏会を開催しました。このCDは、この演奏会がきっかけとなって生まれました。砂原悟さんの奏でる繊細なクラヴィコードの音。聴き入るほどに、クラヴィコードの《植物文様》は「フラジャイルな響きの綴れ織り」に姿を変えていきます。

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