EUMIR DEODATO
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1964年リオ。22歳のデオダートがジョビンの楽曲を見事に結晶化。原曲の詩情に寄り添いながら新しい光を当てた本作は、ボサノヴァの至宝といえる作品。 1964年、リオデジャネイロ。22歳のエウミル・デオダートは、アントニオ・カルロス・ジョビンの楽曲だけで編んだ『Inútil Paisagem』を、わずか三日のセッションで形にした。世界が「イパネマの娘」に沸く少し前夜——このアルバムが捉えたのは、ボサノヴァが街角の体温を保ったまま海風のように広がっていく瞬間だ。デオダートはメロディに最大の敬意を払い、和声とヴォイシングにさりげない光沢を与える。テンポは急がず、間合いは深く。ピアノの一音が抜けたあとに残る余白までが音楽になる。ジョビン自身が「彼は詩人だ」と記したとおり、これは単なるカヴァー集ではない。名手たちを迎えた室内楽的なアンサンブルが、ジョビンの旋律に新しい陰影と呼吸を与え、都市の夜景と海辺のきらめきを同時に映し出す。のちのCTI期の華やぎを予感させる構築美と、若い感性ならではの透明感。その両方がここにある。原典に忠実でありながら現在形に響く——ボサノヴァの核心を、最良の距離感で体験できる一枚。
16 tracks
