Tsubaki Sounds
Digital Catalog
何も記録されていないレコードをそっとターンテーブルに乗せ、静かに針を落とした瞬間に広がる、わずかな期待と余白。その感覚を起点として描かれた作品です。メロウで落ち着いたサウンドを軸に、柔らかなギターのフレーズと穏やかに重なるシンセサイザーの音色が、過度な主張を避けながら心に染み込んでいきます。旋律は明確な物語を語るのではなく、あえて余白を残すことで、聴く人それぞれの記憶や感情を静かに呼び起こします。音の動きは控えめで、繰り返されるリズムも安定しており、日常の流れを乱すことなく、自然に溶け込む佇まいを保っています。空白のレコードが聴く側の内面によって意味を持ち始めるように、この作品もまた、完成された答えを提示するものではありません。むしろ、耳を傾ける時間そのものが一枚の記録となり、聴き終えた後にそれぞれ異なる余韻を残します。静かな夜や作業の合間、考え事をしているひとときにも寄り添い、音楽が背景として存在し続ける感覚を大切にした一作です。
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