ヒップホップ・カルチャーは1973年、NYはセジウィック・アヴェニューにある団地で行われたブロック・パーティーから
始まったとされている。その他、ブロンクス・リバーやクイーンズ・ブリッジの団地などでヒップホップ・カルチャーは育まれた。NASやMCシャン、ロクサーヌ・シャンテなど、プロジェクト出身のラッパーは多い。そして彼らはここを『プロジェクト』またの名を『ゲットー』と呼ぶ。
一方、東京のど真ん中、ベイエリアに足を運ぶと時空のスポットの如く突然現れる異様な空間、いわゆる辰巳団地だ。生まれゆく生命の産声と去りゆく者の嘆きが交差し、細やかな幸せと、ある意味人間らしい営みがここにはある。15年前ここに移り住んだCAKE-Kは「これこそヒップホップの住む町」と感銘を受け『辰巳ハウジング・プロジェクト』と呼び、リアルなヒップホップ・ライフを体現してきた。そんなこの町も2020年の東京オリンピックをきっかけに取り壊しが決まり、様変わりしようとしている、相次ぐ孤独死や都心の空洞化など様々な問題を残して・・・。
レジェンドCAKE-Kが長年に渡り書き留めた思いを今ヴァースに吐き出す。時代の波に飲み込まれていく昭和の遺産を目撃してほしい。