
the telephonesのフロントマン&コンポーザーの石毛輝のソロ作品が到着! ばっりばりに踊らせるかと思いきや、ローファイで優しく包む、生活のサウンドトラックでした。『他の人が日記を書くように僕は曲を創る』と語る彼が描く10枚のサウンド日記は、the telephonesではなく、石毛輝そのもの。その生々しさは、優しさに満ち溢れています。もちろんOTOTOYでも大プッシュ!! まずは、アルバム『from my bedroom』の先行発売開始&名曲「My Love」をフリー・ダウンロードで。そして12月15日 (水)には、更にもう1曲「Memory Of Eternity」をフリー・ダウンロードでお届けしちゃいます! そして、そして、OTOTOYでアルバムを購入すると「Flower On The Wall」のミュージック・ビデオと、歌詞付きのデジタル・ブックレットまで付いてくるんです。まったくもって大放出。特集ページでは、2週に渡って石毛輝インタビューを掲載。バンド、ソロ、国内外の音楽シーン…と、様々な切り口から話を聞いてきました。音で、映像で、言葉で、石毛輝という音楽家に迫る!
>>「Memory Of Eternity」のフリー・ダウンロードはこちら
石毛輝『from my bedroom』
Label : DAIZAWA RECORDS
1. Machu Pichu / 2. Flowers On The Wall / 3. Talk About Your Love / 4. Fireworks / 5. My Love / 6. Heaven / 7. Favorite DJ / 8. Good News / 9. Memory Of Eternity / 10. Watermelon Guitar
☆アルバム購入特典はこちら!
1. 『Flower On The Wall』のミュージック・ビデオ(movファイル)
2. 歌詞付きウェブ・ブックレット(pdfファイル)
石毛輝 インタビュー
2010年前半のテレフォンズはとにかく精力的だった。まずは3月、その後の石毛に大きな影響を与えることとなるiLLこと中村弘二をプロデューサーに迎えた『A.B.C.D.e.p.』を発表し、さらに翌4月にはセルフ・プロデュースによる『Oh My Telephones!!! e.p.』を発表。そして8月にその集大成となるメジャー2作目のフル・アルバム『We Love Telephones!!! 』を発表したというわけだ。ダンス・ロックの急先鋒として、また「kings」をはじめとした新たなロック・ムーヴメントの旗手として、メジャーへの階段を駆け上ったテレフォンズは、国内リスナーの期待を一身に浴びる一方で、洋楽リスナーからは懐疑的な視線を浴びることにもなった。特に本来なら同胞であるはずの洋楽リスナーからの厳しい目線は、石毛にとって辛いものであったに違いない。しかし、2枚のミニ・アルバムでの実験を経て作り上げた『We Love Telephones!!! 』は、国内外のシーンを特別意識することなく、自分らしさを追及することで、オリジナリティとクオリティを獲得した、テレフォンズ第一期の集大成と呼ぶにふさわしい作品となった。
という今年の流れを振り返れば、このタイミングで石毛がソロ作を完成させたのは至極当然のことのようにも思える。そして、この『from my bedroom』は、00年代初頭のポストロック、90年代のインテリジェントなエレクトロニック・ミュージック、現在進行形のグローファイ/チルウェイヴといった、石毛の部屋のレコード棚をそのまま開陳したかのような作品で、これまでテレフォンズというバンドの陰からチラチラと顔を覗かせていた石毛の素顔がはっきりと伝わる好盤に仕上がっている。今回の前編・後編に及ぶロング・インタビューでは『from my bedroom』の話を中心に、テレフォンズのこと、そして音楽シーンの現状についてまで、たっぷりと語ってもらった。その言葉からも、誠実なる音楽家の素顔を感じ取って欲しい。
インタビュー&文 : 金子厚武

>>>インタビュー前編はこちら
1バンドで行っても突破口は開けないから、固まって開くしかない
——ではアルバムの話から離れて、今の音楽シーン全体についての話をしたいと思うんですけど、ちょうど2年ぐらい前に話をさせてもらったときに、「これまでの日本のギター・ロックとは違うロックがスタンダードとして成立してもいいんじゃないか」っていう話をしてくれたのを覚えてるんですけど、実際あれから2年経って、シーンはどう変わったと思いますか?
まだまだ壁は高いと思いますけど、そういうバンドはこの2年でいっぱい出てきたと思うんです。元々いっぱいいて、僕が知っただけかもしれないですけど。そういう僕ら世代の面白いロックをやってるバンドはすごく増えてると思うんですけど、そこがちゃんとマーケットに届いていないっていう現状はありますよね。いいバンドは日本にいっぱいいると思うんです、それこそ海外に引けをとらないぐらい。ターンテーブル・フィルムズとかすごくかっこいいと思いますし。
——それこそ、今年「kings」の5バンド中、ピルズ・エンパイア以外の4バンド(テレフォンズ、クアトロ、ボゥディーズ、ブリクストン・アカデミー)が新作を出してて、それはホント全部よかったと思うんですよね。まだシーンをガラッと変えるには至ってないけど、小さな胎動から確実に大きなものに変わってきてると思うんです。
少ないながらも伝わってるとは思いますね。クアトロのアルバムがすごいよかったと思います。
——ピルズの去年出たアルバムもよかったですしね。
今年のピルズはもうちょっと頑張ってほしかったですけど(笑)。
——(笑)。それこそもっと若い人たち、今の新宿MARZとかって、シンセの入ったダンス・ミュージックを演奏するバンドがホント多いんですよね。テレフォンズだけの影響ではもちろんないけど、テレフォンズがその大きな契機だったことは間違いなくて。
そうなんですね。それは嬉しいですね。
——それこそ、さっきの制作環境の変化の話にも通じますけど、若い人でもロジックとか使いこなしてる人とかいて、クオリティもすごく高いんですよね。
なるほど。あとはセンスですね(笑)。
——そうそう、その通り(笑)。
そっちに頼っちゃうと、情熱とセンスを失くしがちっていうか。
——あと若いバンドを見てて思うのは、テレフォンズの影響もあるし、ラプチャーやクラクソンズの影響ももちろんあるんだけど、特にレイト・オブ・ザ・ピアの影響って大きいなと思って。あのごった煮感と、突き抜けたポップ感は日本人的なセンスにすごくフィットしたなって。
確かに、勢いもありますしね。日本人の好きなBPMで。個人的な印象だと、レイト・オブ・ザ・ピアをもっとラウドに解釈してるバンドが多いなと思って、実はあれスカスカなバンドじゃないですか? ニュー・ウェイヴ感のあるバンドだけど、それをすごいギター歪ませてラウドにする感覚があると思いますね。
——フィアー、アンド・ロージング・イン・ラス・ヴェガスって聴きました?
ちゃんとは聴いてないんですけど、そういう印象はありますね。ファクト以降って感じもしますけど。
——組み合わせも展開もすごすぎて、良くも悪くも笑っちゃう感じ(笑)。
でも、そういうのが面白いんじゃないですかね。
——まあ、そういういきのいい若いのがいて、「kings」周りもいい作品を出してる。そういう中で日本の音楽シーンがもう一段階変化するには、あとは何が必要なんでしょうね?
どうなんでしょうねえ… リスナーのせいではないんですけど、日本人のリスナーっていうのは、わかりやすい何かは絶対に必要なんですよね。音だけを聴いて衝撃を受けるよりは、ライヴに足を運んでそのバンドが好きになってCDを買うってパターンが圧倒的に多いと思うんです。どういう人がやってるのかって見えないと、不安なんじゃないですかね?
——業界のシステム的に、ある種のキャラクター商品化してるっていう側面はますます強まってますよね。
僕らの世代っていわゆるロック・スター気質のミュージシャンっていないじゃないですか? 「俺についてこい! 」みたいなオラオラ系がいなくて、どっちかっていうと草食系で。それも要因なのかな… ってさっきから音楽と関係ないことばっかですね(笑)。
——まあ、音楽そのものじゃないところが最大の敵だったりするからね。
でもホントにいいバンドは多いから、何の予備知識もなく聴いても気になる音楽はいっぱいあると思うんですけど、何がいいのかわからないからCDを買えないって人が多いと思うんですね。昔だったらよくわかんないけど買っちゃおうって感じが、今は情報社会過ぎて、「何でいいのか」を欲しがる人が多いと思うんです。
——知る手段があるだけにね。でも、結局ネットとかじゃ何も知れないんだけどね。
知れた気になっちゃうんですよね。

——そうなんだよね。じゃあ、石毛君としては次の一手をどう考えてますか?
「kings」をやろうってミーティングはしてます。ホントは今年中にやりたかったんだけど、色々予定が合わなくてできなくて、でも来年は絶対やらなきゃダメな気がするっていうのがあって。いろんなバンドが出てきた今だからこそ、僕らがやらなきゃいけないことってあると思うんで、「kings」を最初に組んだ理念通りにやりたいですね。1バンドで行っても突破口は開けないから、固まって開くしかないっていう。その意味をちゃんと理解してもらえるようなやり方でできれば、ただ楽しかったで終わるよりかは、深いところまで汲んでくれる人を一人でも増やせるように… ホントはそこまで考えるべきじゃないと思うんですけどね、ミュージシャンは。
——でも考えちゃうのは世代なのかな?
だと思いますね。かっこよければいいじゃんっていうだけの時代ではなくなってきてる気がするんです。
——でもさらに下の世代はまた違うと思うんですよね。オカモトズとかがわかりやすいと思うけど、やっぱりはじめから失われてる世代と、僕らみたいな失われていく過程を見てきちゃった世代の違いっていうのはやっぱり大きくて。
そうですね。僕らは無くなっちゃったものをもう一回作るしかないっていう感覚ですよね。最近ハイスタの難波さんと話す機会があって、今やれる人がやらないとって話をして。幸いやれる環境にある僕ら「kings」周りは、来年はちゃんとやんないとダメですね。ピルズも新曲を出さなきゃいけない気がします(笑)。日本でやる以上、1年で1枚ぐらいは出さなきゃいけないですからね。
自らカウンターになれるものを
——じゃあ逆に海外に対する意識はどうですか? これも2年前に話したことですけど、2年前はMyspaceがバーっと広まった時期で、海外との距離が縮まった気がしたんだけど、2年経ってみて、むしろ遠くなったような気がしてて。
そうですね(笑)。Myspaceっていうでかいものがジャンルごとに分かれていって、より遠くなった感じはありますね。
——だって、この2年で目に見える形でブレイクスルーしたのって結局ザ・スーザンくらいだもんね。
ゆら帝はすごいと思いましたけどね。「DFAか! 」って。解散しちゃったけど。
——アルバム出すとこまで行って欲しかったですよね。まあ海外はそんな感じだし、それこそ日本国内では洋楽不況がずっと叫ばれてるでしょ。
僕自身はずっと洋楽を買い続けてる人間だし、その感覚は多分一番ないんですけど、でも入荷枚数が店によってどんどん減って、「もう売り切れかよ! 」って現状を見ると、逆に売れてないのかなって。それってマズいっすよね。音楽的にどんどん鎖国してる感じがして。
——それに対してテレフォンズがアクションを起こすとすれば?
どこか向こうのレーベルと契約して出すしかないんじゃないですかね(笑)。向こうにいっぱい友達がいれば、向こうのバンドを頻繁に日本に呼んで一緒にライヴをやるっていうのが一番いいんですけどね。なかなかそれも難しい。来年クラクソンズとポリシックスと3マンをやるんで、それは楽しみですけど。
——ああ、あれ楽しみですよね。それこそ、アジカンのゴッチさんは海外のバンドを日本に呼んで紹介することをすごく積極的にやってるじゃないですか? ゴッチさんと石毛君はちょっと通じるところがあると思ってて、最初に言ってたみたいに、音楽を作る上で、自分たちの音楽によって聴き手のリスナーとしての幅が広がればいいっていう考え方とか、近いと思うんですよね。
そうかもしれないですね。僕は逆にみんなそれぐらい考えてると思ってたんですけど、そうでもない人もいるんだなって。
——うん、そういないと思います。
そんなに自分の音楽が優れたものだと思えないから、そう言ってくしかないんですよね、僕の場合は。もちろん、自分の中ではいい曲だと思うんですけど、名曲には負けるなって。だからこそその名曲を聴いて欲しいなって。00年代以降の音楽って元ネタが全部あるものだから、その元ネタを知っていた方がいいと思うんです。
——でもミュージシャンとして作品を作り続ける以上、いつかはそういう楽曲と肩を並べたいという気持ちはありますよね?
ありますね。それにはもっと音楽を聴かないとできないなっていうのがあるんです。

——なるほどね。テレフォンズとして海外に挑戦するっていうのはどうですか?
昔ほどのがっつきはないですけど、今はライヴよりCDを出したいですね。CDを出した後にライヴをしに行きたいっていう感覚になってきました。
——昔はとりあえずライヴをしに行きたかった?
そんな感じでしたけど、今はもうちょっと「なめんじゃねえ! 」って感じでやりたいですね。でも海外の状況を聞く方が絶望的で、ニューヨークとかCD屋がないっていう。
——CDっていうメディアに関してはかなり厳しそうだね。
その中でCDを出したいっていうのはいかがなもんかと思いますけど(笑)、でもライヴだけに比重を傾けていくのは、後々痛いしっぺ返しがあるような気がするんですよね。
——こういう時代だからこそ、録音芸術の素晴らしさは見直されるべきでしょうね。では最後に、すでにテレフォンズの新曲を作り始めているということなので、何か来年のテレフォンズに関するヒントを教えてください。
来年はイケイケで行こうかなと。『We Love Telephones!!! 』が音楽的だったんで、文学的ではないけど、草食寄りだったんで、来年はフィジカルを強めにして。!!!になれるぐらいの(笑)。
——でも!!!の新しいレコードはフィジカル下がり目だったけどね(笑)。
下がりましたね(笑)。でもすごいかっこいいですよね。
——うん、かっこいい。
モチベーション的なものはガツガツやっていこうと思います。『We Love Telephones!!! 』に対して、自らカウンターになれるものをちゃんと作れればいいなって。
LIVE SCHEDULE
- 2010年12月30日(木)@幕張メッセ国際展示場1〜8ホール
- 2011年1月11日(火)@ZEPP TOKYO
- 2011年1月12日(水)@恵比寿 LIQUID ROOM
- 2011年1月29日(土)@広島 CLUB QUATTRO
- 2011年1月30日(日)@福岡 DRUM LOGOS
【We Love JAPAN!!! Tour - Season2 -】
- 2011年3月19日(土)@青森 Quarter
- 2011年3月21日(月・祝)@秋田 Club SWINDLE
- 2011年3月26日(土)@山形 ミュージック昭和Session
- 2011年3月27日(日)@郡山 CLUB #9
- 2011年4月2日(土)@大分 DRUM Be-0
- 2011年4月3日(日)@長崎 DRUM Be-7
- 2011年4月9日(土)@甲府 KAZOO HALL
- 2011年4月10(日)@八王子 RIPS
- 2011年4月14日(火)@渋谷 O-EAST
- 2011年4月17日(日)@浜松 窓枠
- 2011年4月23日(土)@松阪 M’AXA
- 2011年4月24日(日)@岐阜 CLUB ROOTS
- 2011年5月7日(土)@横浜 BayHall
- 2011年5月14日(土)@富山 Soul Power
- 2011年5月15日(日)@滋賀 U★STONE
- 2011年5月21日(土)@周南TIKI-TA
- 2011年5月22日(日)@米子 AZTiC laughs
- 2011年6月4日(土)@徳島 GRINDHOUSE
- 2011年6月5日(日)@松山 サロンキティ
- 2011年6月9日(火)@千葉 LOOK