波多野敦子による弦楽プロジェクト「triola」、待望の1stアルバムをHQDで!!
ジム・オルーク・バンド、石橋英子バンドのメンバーであり、mama!milkやOORUTAICHIなど、数多くの作品にヴァイオリニストとして参加し、広告や映像の音楽制作、ストリングス・アレンジメント等も手がける波多野敦子。2009年より、ヴィオラに手島絵里子を迎え、デュオとして始動した弦楽プロジェクト「triola」の1stアルバム『Unstring,string』が完成しました!! 本作は、七尾旅人を輩出し、ROVOや空中ループを擁するワンダーグラウンドの加藤Roger孝朗と、ROVO、DUB SQUADでの活動やスーパーカーの仕事で有名なエンジニア・プロデューサー益子樹が立ち上げた新レーベル、Bright Yellow Bright Orangeからの第一弾リリースとなります。林皇志がエンジニアを、益子樹がマスタリングを手掛けている本作を、CDよりも音のよいHQD(24bit/48kHzのWAVファイル)でご堪能ください。
triola / Unstring,string
1.Seahorse / 2.Dogu / 3.Close to you / 4.交わらない線 / 5.青いトカゲ / 6.ねじれる少女 / 7.夏のコメット / 8.新世界のタンゴ / 9.Parade II
【販売形式】 HQD(24bit/48kHzのWAV)
【価格】 単曲 220円 / アルバム 1,800円
ストリングスをめぐる二面性の驚きと喜び
『Unstring,string』というタイトルが示しているように、本作ではストリングスを巡る様々な二面性を楽しむことができる。まず顕著なのは、ストリングスの「優美」「流麗」というイメージとは反対の側面、手に汗握る緊張感や、背筋がゾッとするような戦慄が、本作にはたっぷりと詰め込まれているのだ。バカラックが作曲したカーペンターズの定番「Close to you」のカバーあたりは洒脱な雰囲気だが、ヴァイオリンとヴィオラをメインに、チェロやフルートも交えた各楽器が、不協和と協和のギリギリのラインで交錯していく様は実にスリリングで、ときにははっきりとアヴァンギャルドでもある。もちろん、これは波多野敦子のアカデミズムに裏打ちされたアレンジであり、その均整のとれた混沌は本作の大きな魅力だと言える。そして、それはストリングスがいかに自由な楽器で、幅の 広い感情表現が可能であるかを表しているとも言えるだろう。
また、本作は歌ものとインストが半々で収録されているため、当然ストリングスと歌という二面性も持っている。波多野の歌は決してテクニカルではないものの、その素朴な歌声と、雄弁なストリングスの対比がまた面白い。「青いトカゲ」のように、ちょっとファニーでファンタジックな歌詞のついた曲は、ストリングの効果によってイマジネーションがより膨らむし、ピアノと歌のみで始まる「夏のコメット」は、ボーカルがまるでストリングスであるかのような抑揚を持ち、その倒錯感も面白い。曲によっては楽器の一部として溶け込み、曲によってははっきり歌として言葉を紡ぐ。これもまた、ひとつの二面性であり、triolaならではの部分だと言えよう。オーウェン・パレットやニコ・ミューリー、ザック・コンドンといったアメリカ勢と共振しつつ、くるりの『ワルツを踊れ』から、bonobosの『ULTRA』、Rayonsの『After the noise is gone』にも連なる、日本のチェンバー・ポップの新たな傑作の誕生である。
最後に、今回OTOTOYでは高音質配信が行われるわけだが、BOREDOMSのPAとしても知られる林皇志の録音・ミックス、益子樹のマスタリングにより、音域のはっきりと分かれたストリングスの響きが美しく落とし込まれた本作は、高音質で聴くことをぜひお勧めしたい。特に、ヴァイオリンとヴィオラのみで演奏された楽曲の生々しさと瑞々しさを味わうことは、きっとあなたの知覚をより拡張するような体験になるのではないかと思う。(金子厚武)
triola LIVE SCHEDULE
『Unstring,string』リリース・ライヴ
2012年8月10日(金)@京都flowing KARASUMA
出演:triola、mama!milk
2012年9月16日(日)@原宿VACANT
出演:triola、キセル、倉地久美夫
2012年6月9日(土)@吉祥寺 Foxhole
2012年6月15日(金)@Shibuya UPLINK
2012年6月22日(金)@代官山 晴れたら空に豆まいて
2012年6月28日(木)@下北沢lete
2012年7月14日(土)@渋谷O-nest
2012年7月22(日)、24日(火)@Aoyama neutron tokyo Gallery
PROFILE
波多野敦子 Atsuko HATANO
エゴラッピンのサポートで頭角を現し、現在ジム・オルーク・バンド、石橋英子バンドのメンバーであり、キセル、オオルタイチとの仕事で大注目のバイオリニスト、波多野敦子。彼女の初のリーダ・ユニットが、弦楽ユニットのtriola。バイオリン、ビオラの2人を核として、デュオやバンド・セット等の柔軟な編成でライヴを積極的に展開。英才教育を受けながら、パンクやスカを通過したプレイ・スタイルはアバンギャルドな面も持ち、昨年12月にダンサー東野祥子とのコラボレーションのソロ・アルバム『MARIA』を発表し、ニュー・エイジでは知られた存在。海外での活動も多い彼女が遂にJ-POPに進出。ライヴでは、お客さんをステージに上げ、インタビューをしながらその人の音の似顔絵と題した即興の楽曲をその場で譜面に書き、演奏するというパフォーマンスを披露。また直接お客さんから発注を受けて、この世に1曲しかない曲を制作する活動も行い話題となる。
triola(トリオラ)
波多野敦子の弦楽プロジェクト、09年始動。 ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロにヴォーカル、ピアノ、オシレーター等で独自のスタイルを構築。凛々しい弦楽と爽やかなポップス、緊張と緩和、弦と声、2つの差異から波を生む豊かな音楽。ヴィオリン手島絵里子とのデュオ。
波多野敦子 HP http://hatanoatsuko.com/
Bright Yellow Bright Orange
七尾旅人を輩出し、ROVOや空中ループを擁するワンダーグラウンドと、スーパーカーの仕事で有名なエンジニア・プロデューサー益子樹が新しいクオリティポップス・レーベル「Bright Yellow Bright Orange」を設立。コンセプトは、ロックではない、耳にココロに優しい、大人の鑑賞にも耐えうる、少しひねくれた新たなPOPS。腕の確かなベテラン・ミュージシャンの高品質な歌モノを、高音質の益子サウンドで春夏秋冬の年4枚送り出します。レーベル・ブランディングとして、時間や季節を問わない楽曲と、必ず名曲のカバーを収録というコンセプトでFMを主に展開。第一弾はジム・オルーク・バンド、石橋英子のメンバーとして大注目の波多野敦子の弦楽ユニットtriola。バイオリン、ビオラ、チェロ、ピアノ、フルート等のアコースティック楽器のみを使用。歌とインストを交互に並べた構成で、聴くシチュエーションを選びません。カーペンターズ「close to you」のカバーを収録。大人に勧める音がないとの全国のFMと店舗の直接の要望を受けてのレーベル設立です。
Bright Yellow Bright Orange HP http://bybo.jp/