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再来日記念! デジタル・クンビアの奇才の未発表音源をフリー・ダウンロード!
まさかの? まさかの! 再来日が大・決・定! 昨年夏に初来日し、東京、大阪、そしてFUJI ROCK FESTIVALにて、その個性的な音楽、映像、パフォーマンスで観客に強烈なインパクトを与えたデジタル・クンビアのゴッドファーザー、ディック・エル・デマシアドが、新たな奇天烈サウンドを引っ提げやってくる! またまた日本列島が、ふにゃふにゃツー・ビートに揺らされます! 来日公演が楽しみに待たれる中、ディックから小粋なプレゼントが到着。なんと、期間限定で未発表音源「Likkikidr」をフリー・ダウンロードでお届けします! 本作は、彼が電子クンビアに取り組み始めた初期、2001年に作った曲とのこと。南米生まれのイナタいツー・ビート、中毒性が猛烈に高いクンビアを独自の解釈で制作する彼の、唯一無二のキテレツなサウンドは、昨年見逃した方もそうでない方も、この機会に体験すべきですよ!
「Likkikidr」のフリーダウンロードはこちら(期間 : 7/27〜8/3)
ようやく梅雨も明けて、連日35℃を越す猛暑日が続き、脳みそ半分とろけてヘロヘロな僕の元にデジタル・クンビアの生みの親であるディック・エル・デマシアドが1年ぶりに来日するというニュースが届いた。さらには、関西ツアーのドライバーまでお願いされてしまった!
ドー・タッタ、ドー・タッタ、ドー・タッタ…。
デジタル・クンビアという音楽をご存知だろうか? 60年代にラテン・アメリカ各地で広く人気を得て、コロンビアの庶民に根強い人気を誇る田舎音楽のクンビアとクラブ・ミュージックが融合した、全く新しいダンス・ミュージックのこと。ラテン音楽特有のエキゾチックなメロディーとツー・ビートのイナタいリズムが癖になってしまう、中毒性の高いこの音楽は2008年頃からクラブで頻繁に聴かれるようになった。
ディック・エル・デマシアドは、映像作品やオランダ大手テレビ局のパンク番組を手掛け、メディア・アーティストとして30年のキャリアを持っている。2010年のW杯サッカー日本vsオランダ戦を祝したビデオを製作し、なんとMark E. Smith、Weezerらとともに「ベスト・サッカー・ビデオ」の一つに選ばれている(このビデオが相当キテます(笑))。2000年からは音楽制作を始め、クンビアとクラブ・ミュージックを融合したデジタル・クンビアという新しい音楽を生み出した異例の経歴をもつアーティストなのだ。ここ日本でも支持者は多く、オオルタイチ、岸野雄一、DJ ShhhhhやLos Apson?のヤマノベケイジなど、多くのアーティストが彼の日本独自企画盤にコメントを寄せている。
Senior Coconutsが「ドン・ゼーとリー・ペリーがチャネリングしているようだ」と評する彼の音楽は、ヘロヘロなダウン・ビート、エフェクトのかかりまくった歌声、そして突然飛び交うSEと、どこをとっても奇妙で新しい。『ヤバい』と『ダサい』のギリギリの境界線を進む、スリリングな彼のデジタル・クンビアには、一度ハマると抜け出せない魅力がある。
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2009年7月23日に西麻布Super Deluxeで行われた初来日ライヴで、彼はThe WHOのベーシスト、ジョン・エントウィッスルのトレード・マークである骸骨スーツを着用して登場した。そして、自ら製作した奇抜な映像(覆面をかぶった彼がインタビューをしている映像など)をバックに、190cm以上もの巨体を揺らしてCDJで音楽を流し、それにあわせてカラオケのように歌い始めた。いい加減なようで、(おそらく)計算しつくされているそのライヴは、例えるならば『NHK「のど自慢」+ダンス・ミュージック』。とにかく強烈なインパクトを残した。多くのオーディエンスがそのパフォーマンスに驚きの表情を浮かべており、その中には石野卓球ら著名なアーティストもいた。
Super Deluxeでのライブの翌日に、岸野雄一さんのホーム・パーティで彼がDJをするという話を聞いた。一発でズンドコ・ツー・ビートの虜になってしまった僕は、すぐさま岸野さんに参加させてもらえないかとお願いした。通称「押上リキッドルーム」と呼ばれる岸野氏の自宅兼音楽スタジオで、再び彼のプレイを味わうことができた。総勢10数名の観客の前でも変わらぬハイ・テンションなライヴをする姿は、素直に音楽を楽しんでいる気持ちが伝わる貴重なものだった。真夏にクーラーのない会場で汗だくで踊っていた僕は、DJ終了後、同じように汗だくの彼に「あなたのクレイジーな音楽は最高だよ! 」と話しかけた。すると彼は「僕のプレイを二日連続で聞きに来るお前はもっとクレイジーだよ! 」といって大笑いしていた。その後、新宿まで一緒に帰ることになり、地下鉄の中で彼と音楽の話から普段の生活についてなど色々な話をした。すでに相当酔っ払っていた僕は、そのときの会話の内容をほとんど覚えていない。けれども、奇抜なステージやアート・ワークからは想像も出来ない紳士的な受け答えに驚いたことは覚えている。結局3日目のFUJI ROCKでのプレイを見ることは出来なかったけれど、昨年の来日公演は彼の音楽を身近に感じることできた非常に貴重な体験になった。
オトトイのインタビューの中で、彼はデジタル・クンビアが「一過性の発見=ブーム」として語られないように、自分自身の手で解決していかなくてはいけないと語っていた。初来日から一年、「デジタル・クンビアのゴッド・ファーザー」と呼ばれる彼が、デジタル・クンビアにどんな進化をもたらし、今度はどんな強烈なライヴを見せてくれるのか今から楽しみで仕方がない。でも、彼ならば今回も必ず観客を驚かせ、期待を裏切ってくれると思うけれども!(text by 池田義文)
>>2009年来日時のディック・エル・デマシアドのインタビューはこちら
PROFILE
オランダ生まれ。父親の仕事の関係で20歳までオランダ、南米、南アフリカやフランスを転々とする。オランダで映像、テレビ、メディア・アートで活躍したのち、2000年、音楽制作を開始して電子クンビアを生み出す。2003年に1stアルバム『No Nos Dejamos Afeitar』を発表、楽曲La Cebollaがセニョール・ココナッツ・コンパイルの「Coconut FM」に収録され、ライナー・ノーツで「リー・ペリーとトン・ゼーがチャネリングしたようだ」と紹介される。2004年『Pero Peinamos Gratis』、2005年『Al Perdido Ganado』発表。2006年『Sin Pues Nada』をリリース、日本で注目を集める。バルセロナのSonar Festivalにも出演。2008年、5枚目のアルバム『Mi Tu』をリリース。2009年7月、日本編集盤『クンビア・ルナティカ/エクスペリメンターレ』をリリース、来日。
待望の来日公演はこちら
- 2010/8/11(水)@京都CLUB METRO
ADV. 1,800円 / with FLYER 2,000円 / DOOR 2,300円
w / KA4U(MIDI_sai) / Baiyon / dj colaboy(HOMESICK) / TAMAI-I / 自炊 / BIOMAN(from neco眠る)
- 2010/8/12(木)「オオルタ市」@大阪Shangri-La
ADV. 3,000円 / DOOR 3,500円
w / Oorutaichi / neco眠る / ALTZ / BIOMAN
- 2010/8/13(金)@新代田FEVER
ADV. 2,800円 / with FLYER 3,000円 / DOOR 3,300円(ドリンクチャージなし no drink charge)
w / ドラびでお(Dora Video) / Oorutaichi / ヤマベケイジ(Los Apson?) / HAJIME OISHI(EL PARRANDERO)
迎え撃つミュージシャン達
ジャイアント・クラブ / ウリチパン郡
セカンド・アルバム。持ち前の原始的な千住宗臣(PARA、ex.BOREDOMS)の肉体ビートが、本アルバムで開花したオオルタイチとYTAMOの歌と混ざりあい、既存のポップ・ミュージックを10年先まで進化させた、金字塔的な一枚。
Drifting my folklore / OORUTAICHI
ウリチパン郡ではギタリスト、ボーカリストとして活躍するOORUTAICHIの、2002年に発売されたソロ・アルバム。ヴァイナル・レコードで発表され、現在では入手困難になっている曲を含めた6曲から構成されており、初期のトラックから最新の曲までを網羅したベスト・アルバム的な内容。
Even Kick Soysause / neco眠る
昨年9月にリリースされた1stアルバム『Engawa Boys Pentatonic Punk』がクラブ、ライブ・ハウス、縁側、夏祭り、中学校、猫好きやレコード・ショップさん などなど、あらゆる関係各所で絶賛を浴びたneco眠る。待望の新作は9曲入りのミニ、というかほぼフル・アルバム! ダンス・フロアとお茶の間をつなぐ、自由奔放な“4つ打ち醤油”生ディスコ?