2012/11/01 00:00

ceroの新作が登場! もはや才能爆発!

これは奇跡! 2011年1月にファースト・アルバム『WORLD RECORD』を発表し、人気、ライヴ動員共ににうなぎ登りのバンドceroが、1年9カ月振りにリリースするセカンド・アルバム『My Lost City』。多くの音楽好きを納得させるに足る“深さ”を秘めた1枚となった今作は、小旅行から大航海へ。新たな時代を築いていく名盤をお見逃し無く。

前作がロング・セラーを続けるceroのセカンド・アルバムが完成

cero / My Lost City
【TRACK LIST】
1. 水平線のバラード / 2. マウンテン・マウンテン / 3. マイ・ロスト・シティー / 4. cloud nine / 5. 大洪水時代 / 6. 船上パーティー / 7. スマイル / 8. Contemporary Tokyo Cruise / 9. roof / 10. さん! 11. わたしのすがた

【配信価格】
mp3 200円 / 2,000円

都市型ポップ、ceroという新ジャンル

独特の世界観を持つ歌詞、歌詞を際立たせるポップなメロディー・ライン、そして多様な楽器やエフェクトを駆使したアレンジ。1年9ヶ月ぶりとなるceroの新作『My Lost City』は、頭の中をそのまま曲にしてしまったような、想像力溢れる1枚となっている。前作『WORLD RECORD』に比べて、表現の幅の広さ、奥深さは広がるばかり。90年代ポップスを思わせる「さん! 」、ミュージカルのような劇的な展開が新しい「船上パーティー」、cero的ジャズ・ナンバー「roof」など、多様な楽曲が適度な距離感を保って存在している様は、テーマごとにゾーン分けされたテーマ・パークを思わせる。

ceroは、自らをContemporary Exotica Rock Orchestraと名乗り、幅広いジャンルの音楽を混ぜ合わせ、文学や演劇など、音楽以外の要素もアクセントにして、この時代に作ることができる、この時代にしか作ることができない音楽を追求している。彼らの音楽はどんなジャンルにも属さない。AOR、ジャズ、ソフト・ロック、ヒップ・ホップなど、2012年までに作られてきた様々なジャンルの音楽的要素が混ざり合っている。ジャンル分けなど不可能なのだ。しかしceroの音楽には芯がある。彼らが経験してきた出来事や、触れてきた芸術に対する感情、バンド名にも含まれる「エキゾ感」を表現したいという、バンドの方向性がはっきりと曲の中で示されているのだ。それがceroらしさとして、曲やアルバムの柱となって、多ジャンルに跨がる彼らの楽曲の中心に存在している。ceroの音楽からは音楽ジャンルの多様化と、時代を超えた音楽へのアクセスのしやすさが進んできた現代だからこそ、その広がりを生かして作られた新しい音楽の波動を感じる。だからこそ、ceroの音楽はこれまでに無いものだが聴きやすく、異国情緒溢れているが暖かく、懐かしい感じもする。彼らは2012年までの音楽を全て飲み込んで、新しい音楽を作り出そうとしているのだ。

左から橋本 翼、高城 晶平、荒内 佑

しかしceroの楽曲は、パレードのように明るく、ポジティブな曲ばかりではない。ポップで、きらきらとした明るさがあるが、どこか寂しさが見え隠れする。それは“街”という単語、“東京”という地名が彼らの楽曲に度々使われるように、便利で楽しいけれど帰る場所がない所在のなさ、孤独感のような、東京という大都市を故郷に持つ彼ららしい都市への感情が、アルバムの中に現れている。<見逃すな、見逃すな。迫り来る闇と光を! ダンスをとめるな! >眩しいネオンに隠れた闇を、きらきらしたポップな楽曲の中で表現している。東京という街では、溢れる人、もの、音、光と、そのパワーに圧倒されるが、その中で様々な文化が絡み合い、一つの街を作っている。ceroの楽曲も、今まで生まれてきた音楽や文学、演劇的要素を混ぜ合わせ、新しい音楽を作っている。彼らの手でかき集められ、再構築された音楽ジャンルは、2010年代の音楽シーンを担う音楽へと確実に成長している。まずは一度、体感していただきたい。都市型ポップ、ceroという新ジャンルは今始まったばかりだ。(text by 櫻井希)

LIVE INFORMATION

ホライズン山下宅配便×cero
2012年11月11日(日)@東京都 下北沢 SHELTER
開場 : 18:30 / 開演 : 19:00
料金 : 前売 2,300円 / 当日 2,800円(ドリンク代別)
LIVE : ホライズン山下宅配便 / cero

cero 2nd album『My Lost City』発売記念 ミニライヴ&サイン会
2012年11月18日(日)東京都 タワーレコード新宿店 7Fイベント・スペース
開演 : 15:00

cero 2nd album『My Lost City』発売記念 ミニ・ライヴ&サイン会
2012年11月23日(金)@大阪府 タワーレコード梅田NU茶屋町店 イベント・スペース
開演 : 14:00

cero 2nd album『My Lost City』発売記念 ミニ・ライヴ&サイン会
2012年11月24日(土)@愛知県 タワーレコード名古屋パルコ店 イベント・スペース

ceroが所属するカクバリズムのタイトルはこちら

キセル / 凪

キセルが踏み出した新しい1歩。僕らの未来に必ず必要な1枚。待った甲斐ありました!溢れ出すメロディの素晴らしさと、朧げな雰囲気の中にひそむ静かな意志のある歌詞。キセルにしか出せない浮遊感。ファンタジックでアメージングな世界だけど、地に足をつけて生きる人の歌であり、僕らの未来を明るく照らす作品。キセルの音楽はやっぱり凄い。キセルが新たに始まっている。この世界には音楽が溢れているけど、キセルの音楽はやはり特別だ。

YOUR SONG IS GOOD / YOUR SONG IS GOOD

長らく廃盤だったYOUR SONG IS GOODの名盤ファースト・フル・アルバムの再発を記念して、全方位配信。ファーストならではの勢いと雑多感覚が溢れ、数多のミュージック・ラヴァーを虜にした「UP! UP! 」や「WALKIN'WALKIN'」「THE OUTRO」など現在のライヴでも定番の大人気曲を含む楽曲群は、いま聞いてもフレッシュで最高にカッコいい!

(((さらうんど))) / (((さらうんど)))

鴨田潤名義での活動以降顕著になるイルリメのポップス(歌)への傾倒と、海外に於ける評価も高いDJ/プロデューサー・ユニット。Traks BoysのCrystal、K404によるトラック・メイキングにより、様々なクラブ・ミュージックを通過した最高のシティ・ポップ・アルバムが完成。

鴨田潤 / 一

2年前に自主で発表した『ひきがたり』以来となる、鴨田潤名義での待望の1stフル・アルバム! イルリメ本来のスタイルとは異なる「歌とギターの弾き語り」での楽曲群は、シンプルな作りながらも、情景を切り取るような歌詞、味のある歌声とメロディーで、鴨田潤という形でなければ表現出来ない歌が詰まっている。

cero / WORLD RECORD

70年代ティンパンアレー周辺を現代的にアップデートした新しい潮流。ロックとヒップ・ホップが絶妙なブレンドで配合された、日本の、東京の、2011年の幕開けを飾る、本当の意味でのインディ・ポップ。マニアックで雑多性に富みながらも一貫してポップ。スティール・パン、マリンバなども多様した希有なサウンドは必聴。

PROFILE

cero
Contemporary Exotica Rock Orchestra略してcero(セロ)。2004年に高城、荒内、柳で結成。2006年ごろからジオラマシーンとして活動する橋本が加入。様々な感情、情景を広く『エキゾチカ』と捉え、ポップ・ミュージックへと昇華させる。2007年、鈴木慶一氏(moonriders)の耳にとまりプロデュースしてもらう。 その後、坂本龍一氏のレーベルcommmonsより発売された「細野晴臣 strange song book -tribute to haromi hosono 2-」収録の鈴木慶一「東京シャイネスボーイ」に参加。同レーベル・コンピ『にほんのうた 第二集』に唱歌「青い眼の人形」のカバーを担当するなど、精力的に活動している。2011年、初の流通音源「WORLD RECORD」をカクバリズムより発売。本秀康氏による印象的なジャケットのイラストも相まって好評を得る。発売から少しして、柳が絵描きとしての活動に専念するため脱退。現在、MC.sirafuとあだち麗三郎を迎えた編成でライブを行っている。 2012年10月、2ndアルバム『My Lost City』を発表。

cero official web site

この記事の筆者

[レヴュー] cero

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