
GHEEE、3年ぶりの新作を高音質で販売!
90年代中盤以降、渋谷系の流れを受けてギター・ロック・バンドたちが独自のシーンを築く中で、代表的な存在として活躍していたPEALOUT、PLAGUES、ZEPPET STORE。その中心メンバーが結成したGHEEE(ギー)が、3rdアルバム『Ⅲ』をリリース! メンバーそれぞれが別の活動を行う中、GHEEEとして年間20~40本ものライブを精力的に行い、ロック・バンドとして類稀なパワーを身に付けた、その真価をまざまざと見せつける作品となっている。ototoyでは高音質のHQD(24bit/48kHz)でお届け。さらに、アルバム購入者には歌詞付きのデジタル・ブックレットをプレゼント!
GHEEE / Ⅲ
1. Silver tongue / 2. Fast as nozomi / 3. The brilliant mexican blues / 4. Pretty insane ride / 5. Love in the shelter / 6. Rainbow chasing / 7. Bloody Tiffany / 8. Guess / 9. Tumbling flowers / 10. Loop road #8 / 11. Chain / 12. You're my plane
販売形式 : mp3 / HQD(24bit/48kHzのwav)
☆アルバム購入者には歌詞付きのデジタル・ブックレットをプレゼント!
深沼元昭&近藤智洋 INTERVIEW
ミュージシャン同士が集まって結成されるバンドは数あれど、明確なコンセプトを持って意義のある活動を続けている例は少ない。たいていはアルバム1枚のみのお祭り感覚で終わってしまい、継続的に何かを成し遂げることはほとんどないのが現状だろう。ベテランであればなおさらだ。
その意味で、2007年に結成されたGHEEEはここまで粘り強い活動を続けている。各々のスキルを活かしたシンプルかつラウドなギター・ロックはどこまでもブレることがないし、ライヴもコンスタントに行なっている彼ら。そして、このたび3作目のアルバム『Ⅲ』が完成した。このフレッシュな新作とこれまでのGHEEEの活動を含めて、バンドの中心人物である近藤智洋と深沼元昭に話を聞いた。
インタビュー&文 : 田山雄士

遠慮なく4分の1でいられる
——まず、GHEEEのこれまでの活動を振り返っていかがですか?
深沼元昭(以下、深沼) : 音楽的には場数を踏んで成長してGHEEEとしてのサウンドができていってる半面、4年間やってきてメンバー同士の関係性がびっくりするほど変わらないんですよね(笑)。みんな別のバンドやソロでものすごく忙しいんですけど、GHEEEをやることがそれぞれの音楽活動の中に自然に組み込まれてる気がします。基本的に雰囲気が穏やかで安心できる場所です。

——忙しいながらも充実していると。
深沼 : ライヴをやるのは大変ですけどね。リハも全然できないし、本番に対してリハの回数が極端に少ないから当日のライヴハウスのリハでなんとかする。そこで誰かがいないのも日常茶飯事だし(笑)。
近藤智洋(以下、近藤) : 会う時間がすごく短い状況なので、ある意味音を出してる瞬間が凝縮されてるというか。そういうのがどんどんライヴのたびに積み重なってるから、外から見たバンド感はより強くなってるんじゃないかな。
——今回のアルバムを聴くと、リズム隊の二人との呼吸もかなりよくなってきてる気がします。
近藤 : この4年間でHisayoちゃんもYANAもいろいろ他のバンドを始めて、そこで吸収したものをうまく持ち帰ってきてくれてるよね。自分の個性として出せてると思う。
深沼 : このバンドでは遠慮なく4分の1でいられるんですよ。誰も率いてなくて4人が適度な距離感で歩いてる感じなんだけど、バンドとしての演奏力は上がってきてますね。
——「Silver tongue」のリズムなんて、めちゃくちゃクールですよね。この曲を初めてライヴで聴いたとき、アルバムの世界観が見えた気がしました。
深沼 : GHEEEの場合は俺がある程度パイロット曲を狙って作るんですよ。近藤さんとのツイン・ヴォーカルをいかに演出するかとかメンバーそれぞれの個性とかいろいろ考えながら。「Silver tongue」はある種ミュージカル的にみんなの出番が次から次にやって来て、全員の今の魅力がよく見える曲になったと思います。
——近藤さんが弾くギターのイントロも今までと違う質感があります。
深沼 : 今までは作曲者の俺がまずイントロを弾いて、みんなに乗っかってきてもらうことが多かったんだけど、この曲はイントロで自分が何もやってないんですよ。他のみんなの演奏に乗っかって、歌から入っていく。で、そこから自分も弾いて、サビで近藤さんの歌が登場して、Hisayoちゃんもソロで歌う場面がある。そういう演出を考えるのが楽しいですね。
——PVもかっこいい仕上がりですよね。
深沼 : Hisayoちゃんがフィーチャーされてます。主演女優登場って感じで(笑)。
近藤 : あの映像は凝縮されたGHEEEをよく表わしてるね。
——近藤さんと深沼さんがいっしょにバンドをやってみて、お互いにすごいと思ったところは?
近藤 : 一番思うのはすごく客観的というか、常に一歩外から自分たちのことを見る視点が深沼くんにはある。さっきの話もそうだけど、パイロット曲を実際ちゃんと作ってくるからね。あとはミックスかな。
——他にはどんなときに客観性を感じますか?
近藤 : たとえば、歌の振り分けとかね。曲を書いてきても「近藤さんここ歌って下さいね」みたいなのがちゃんとできてて、頭で想像しながら曲を書いてるんだなって。俺は基本何も考えてないから(笑)。
——深沼さんはいかがですか?
深沼 : 近藤さんは本当に考えるより先に行動する人で、こんなにキャリアが長いのにその気持ちを失ってない。歌詞がまだ3行くらいしかできてないのに、平気で人前で歌っちゃうし(笑)。

——それはライヴでやってしまうということ?
深沼 : そう、まだ書いてきたばかりのやつをすぐに。ほとんど歌詞なんかできてないのに、「ここはだいたいこんなようなことをやるから」って言って、それに俺がコーラス付けるわけですよ(笑)。そういう状態でもとにかく人に見せていける勇気がすごい。俺はわりとそういうのちゃんとしてないと人前で出さない方なので。
——普通はそうですよね(笑)。
一同:(爆笑)
——自分の音楽的なルーツをこのバンドに持ち込んでいる感覚はありますか?
深沼 : そういうのは全然ないですね。コンセプトはある程度考えてあるから、それにふさわしい曲を書くだけ。
近藤 : 基本的にスピード感のある曲っていうのがコンセプトとしてあるから、バラードはあまりやらない。あってもアルバムで1曲くらい。ドラムは手数が多いよね。
深沼 : GHEEEの曲はリズムが一番難しいのでYANAさんには相当な負荷がかかるんだけど、それを一生懸命叩くことによって説得力が増してると思う。やっぱりYANAさんじゃないとGHEEEの音にならないんですよね。ライヴでも曲間ろくになしでアスリートみたいだけど、やり切ってる姿が大事なんです。あれで弱音を吐かないドラマーはなかなかいないですよ。
どう隙間を縫って暴れようかな
——前作から3年ぶりのアルバムですが、何か大きな変化はありますか?
深沼 : アルバムの作り方が特殊ですね。これまではリリースありきでやってきたところがあって、まずアルバムを作ってからその曲をライヴでやっていくということが多かったんですよ。でも、今回の曲はライヴでもうほとんどやってしまってるんです。それが集まってアルバムになってるのは自分のキャリアの中でもすごく珍しい。
——それって、さっき話に出た近藤さんの性格が大きいんですかね。
近藤 : あははは!
深沼 : とりあえずやっちゃうみたいな(笑)。
近藤 : 最近は新曲が半分くらいのライヴをやってたから。

——前作『RECONQUISTA』はファースト『GHEEE』の延長線上というか、ファーストの瞬発力や突破力をより突き詰めたアルバムだったと思うんですけど、それに比べて今回のサードは楽曲のバリエーションも増えて、また新たな段階に入った印象があります。
近藤 : 『RECONQUISTA』のツアーでライヴが変わったのが大きいかな。ファーストの頃はお客さんを見ながらただ演奏するだけの感じだったから、そのツアーに入る前くらいから客席の空気感をもうちょっと揺らしたい、変えたいと思ってたんだよね。俺が途中でギター置いてスタンドマイクだけで歌ったり客席に降りたりするようになって、ライヴが横の線から縦の線になった感覚というか、ちょっとずつ雰囲気が変わってきた。そういう雰囲気を踏まえたものがこの3年間に作った曲の要素としてあると思う。
深沼 : そうですね。ライヴやってく上で必要なものを作ってるところがありましたよね。
——ライヴの積み重ねによってできたアルバムなんですね。
深沼 : まさにそうです。
近藤 : ある程度の曲数が溜まった時点で、最後の詰めでライヴで全然やってない「Rainbow chasing」や「You're my plane」を書き足した形だね。俺が前作から飛躍的によくなったと思うのは、深沼くんのミックス。深沼くんに話を聞いたら、去年は他の仕事で80曲くらいミックスをやったらしくて。そういうのがたぶん経験値として活きてて、バンドの音を立体的に見せれるようになってるんだと思う。
——そうですね。「The brilliant mexican blues」や「Pretty insane ride」は今までにないカラっとした疾走感があって、音もすごくいいなって。
深沼 : 俺のエンジニアとしてのスキルも上がってるかもしれないけど、それぞれのパートの録り方を前よりもよく理解してきたんだと思います。前は出たとこ勝負だったのが今はよくわかってるから。
——アルバムの中盤以降、「Love in the shelter」や「Tumbling flowers」などではアコギをうまく織り交ぜてますよね。
深沼 : 「Tumbling flowers」は曲の頭から最後までけっこうずっとハモってるんですけど、メロディの感じを考えてもそうした方が活きるんです。それなら、ギターはエレキが主張する場面がもっと少なくてもいいなと思って。
——制作で苦労した楽曲はありますか?
深沼 : そんなにはないです。たとえば「The brilliant mexican blues」は最初はもっと全然シンプルな曲だったから、それにどう味付けをしていくかというのはありましたけどね。
近藤 : 1回録ったあとに、深沼くんからコーラスやギターを足した音源が送られてくるのね。それ聴くのが楽しみでさ。さっきの「Tumbling flowers」ももともとライヴではエレキでガシガシやってたんだけど、アコギにしましょうかって言ってくれて。そういうふうにアレンジが変わったものが送られてくるのが新鮮なんだよね。
——こういうバランス感覚のバンドは珍しいですよね。
深沼 : ツイン・ヴォーカルで3枚アルバム作ったのは大したもんですよね。普通こういうのって1、2枚で破綻するから。
近藤 : だいたい企画モノで終わっちゃうからね。1枚作ったけど、その後どうなったんだろう? ライヴもやらなくなったし、みたいな。
深沼 : あとは絡む曲がなくなって、それぞれのソロの集合体みたくなっちゃうとか。
近藤 : こんだけベタなツイン・ヴォーカルっていうのもありそうでないから。

——GHEEEはお二人の中でどういう位置付けですか?
深沼 : いい意味でプロ・ミュージシャン同士の部活ですね。みんな忙しい中で大変なんだけど、ちゃんとやることはやって集まってそれをライヴで見せる。このバンドがあることによって他の活動もひとつの気分転換としてやれるし、いろんなバランスが自分の活動の中ですごくいい位置にあるバンドなんだと思います。
近藤 : 俺は自分にとっての遊び場で、本当に自由に遊ばせてもらってる。ソロのときはバンドをどう仕切っていくかを考えるけど、GHEEEではまったくそんなこと考えない。音楽の姿勢としてはどう隙間を縫って暴れようかなみたいなことを考えてる。音的にもソロではアコースティックがメインだし、GHEEEではエレキのガンガン歪んだ音でやる。その両方があるから今の自分のバランスが取れてるんだよね。
——バランスが取れる場所なんですね。
深沼 : あとは長くやってきてるから、1つのことだけ集中してやってもいい結果にならないのがわかってるっていうのがある。
近藤 : そういうのは十分これまでやってきたからね。
深沼 : 10年以上のバンドを1つやって、全体のキャリアで言ったらもう20年だし。となると、音楽でやりたいことも1種類じゃないから。
近藤 : 1つのことをやるのはもう無理になってきてるんだよね。たぶん若いときだったら、メンバーとガーッとケンカしてでも自分のやりたいことを全部1つのバンドで消化しようとすると思うけど。だったら極端に分けてやった方がもっとおもしろいんじゃないかなって。
深沼 : 俺も出力するチャンネルが10くらいないと間に合わない。エンジニアもやりたいし、打ち込みもやりたいし、全部それなりの場所で放出していきたい。結局1ヵ所に集約しても、聴く方がわけわかんなくなっちゃうだろうし。GHEEEならGHEEEで求められているものだけを出す方が集中してできますね。
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GHEEE PROFILE
Vocal&Guitar : 近藤智洋(ex.PEALOUT)
Vocal&Guitar : 深沼元昭(Mellowhead/PLAGUES)
Bass : Hisayo(tokyo pinsalocks/a flood of circle)
Drums : YANA(NACANO/ZEPPET STORE)
90年代中盤以降、渋谷系の流れを受けて先鋭的かつ洋楽志向のギターロック・バンド達が独自のシーンを築く中、その代表的存在として活躍していたPEALOUT、PLAGUES、ZEPPET STORE。その中心メンバー達が満を持して2007年初頭、新たに結成。近藤智洋(PEALOUT)と深沼元昭(PLAGUES)の各フロント・マンがツイン・ボーカルをとる夢の2トップが実現。2007年7月25日に1stアルバム『GHEEE』、2008年3月12日に2ndアルバム『Reconquista--レコンキスタ--』を発売すると、全国各地でライブも展開。そのラウドかつ問答無用のギター・ロックは世代を超えて熱い支持を集めている。