2014/04/07 20:23

世界を変えるアーティストを! ――NEW SENSATION、第14弾アーティストはYogee New Waves

OTOTOYとdisk unionがガッチリとタッグを組み、"次、絶対にくる"日本のアーティストを強力プッシュする共同企画、NEW SENSATION。これまでに、笹口騒音ハーモニカ、トリプルファイヤー、ミツメ、ROTH BART BARON、大森靖子といった錚々たるメンツを世に送り出してきたこの企画が、およそ半年ぶりに復活! こうしているあいだにも、新たな才能は次々と現れているのです。ってことで、NEW SENSATION、世界を変えるようなアーティストを必ずや発掘します! 第14弾は、洗練されたポップスを奏でる新人バンド、Yogee New Waves! (OTOTOY編集長 飯田 & disk union 岩本)

シティー・ポップを正しく継承する実力派

Yogee New Wavesというバンドがいる。結成1年足らず、しかもメンバーは大学を卒業したばかり。にもかかわらず、〈出れんの!?サマソニ!?〉の最終選考に残ったり、ライヴだけで自主制作盤を即完させたりと、まさにエリート・コースを歩もうとしているバンドだ。はっぴいえんど、フィッシュマンズに影響を受け、踊ってばかりの国やミツメに感化されたと語る。そんな彼らのサウンドは、これ以上ないほどに"現代(いま)の音"。シティー・ポップの正しい継承者であり、東京インディー・シーンが産んだ優秀な息子と言ってもいいだろう。

OTOTOYでは、この新たな才能にスポットライトを当て、4月9日(水)にdisk unionで発売されるデビュー作『CLIMAX NIGHT e.p.』を先行配信スタート。さらに、バンドの中心メンバーである角舘健悟、井上直紀の二人にインタヴューを敢行し、彼らの音楽性の一端に迫った。シティー・ポップに影響を受けながらも、都市を嫌悪すると語るフロントマンの角舘健悟。そんな彼が生み出す楽曲は、一度聴けば誰もが本物と直感するような高い完成度を誇っている。

Yogee New Waves / CLIMAX NIGHT e.p.
【配信フォーマット / 価格】
WAV : 700円(単曲は200円)
mp3 : 500円(単曲は150円)

【収録曲】
01. CLIMAX NIGHT
02. Good Bye
03. Baiuzensen
04. CLIMAX NIGHT (Happy Telephone Remix)

「現代の音」を出すのだって、才能がいる。センスあるリスナーであること、取り込む技量があること、そして今を感じる感覚を持つこと。Yogee New Wavesは、そのすべてを持っていた。もうすぐ、「現代の音」が「彼らの音」に変わる。cero、森は生きている、ミツメ... そして彼らへ。(OTOTOY編集長 / 飯田)

INTERVIEW : Yogee New Waves

左から、井上直紀(Ba)、角舘健悟(Vo, Gt)

インタヴュー & 文 : 長島大輔

はっぴいえんど、フィッシュマンズに導かれて

――まずは二人の年齢から教えてもらえますか?

井上直紀(以下、井上) : 二人とも22歳です。いま大学4年ですね(※現在は卒業)。

――大学で出会ってバンドを結成したの?

井上 : いや、僕と角舘は小中高一貫校に通ってたので、小学生のときからずっと一緒なんですよ。で、中学3年くらいのときにお互い楽器をやりはじめて。

角舘健悟(以下、角舘) : 腐れ縁ってやつですね。

――当時はどんな音楽をやっていたんですか?

角舘 : 俺はハイスタ(Hi-STANDARD)、井上はRIZEをコピーしてましたね。

井上 : 二人で共通して没頭したのは銀杏BOYZだったかもしれません。

角舘健悟(Vo, Gt)

――2000年代の半ばってメロコア全盛でしたよね。でも、いまのヨギー(Yogee New Waves)のサウンドに直接繋がっているのは、もう少し古い世代の音楽なんじゃないかと思います。実際、影響を受けたバンドとして、はっぴいえんどとかフィッシュマンズを挙げていますよね。彼らのどんな部分に魅力を感じますか?

角舘 : 俺はどちらかというとフィッシュマンズが好きなんですけど、佐藤伸治の孤独なところに共感しています。いい意味でひとりぼっちにさせてくれるというか。

――ちょっと内に籠るような感じ?

角舘 : そうですね。僕は根暗なので、ひとりよがりの強さみたいなものに惹かれるんですよね。銀杏BOYZとかフィッシュマンズにはそういう感性を感じます。

――意外ですね。今回の作品からはあまり内向的な印象は受けませんでした。

角舘 : 本当ですか。俺はヨギーの音楽を聴きながらひとりぼっちになってほしいと思います。みんなでわいわい聴くっていうよりは、ある種のサプリメントになってくれればなと。

Yogee New Waves / CLIMAX NIGHT
Yogee New Waves / CLIMAX NIGHT

――なるほど。はっぴいえんどについてはどうですか?

井上 : はっぴいえんどはベースを始めたころに聴きはじめたんですけど、ベースラインにまったく無駄がないのが本当にすごいなって。

――プレイヤーとして影響を受けている感じ?

井上 : そうかもしれませんね。でも、それなりにベースが弾けるようになってから、あらためて楽曲全体を聴いてみると、やっぱり単純にメロディーがきれいなんですよね。当時はあまり古い音楽を聴いてなかったけど、「風をあつめて」を聴いてみたらすごく感動して。

――はっぴいえんどやフィッシュマンズの影響を公言するバンドって、ここ何年かで急に増えましたよね。そういう同世代のバンドで意識している人たちはいますか?

角舘 : ヨギーを結成したころによく聴いていたのは、踊ってばかりの国とかミツメとか、あとはシャムキャッツだったかな。特に踊ってばかりの国は、良くも悪くも似てると言われることが多いので、意識しないと言ったら嘘になりますね。彼らの音楽を聴いて、俺も持ってるものを素直に出していいんだって感じました。

――自分に近い感性を持った人たちが評価されるのを見て、背中を押された?

角舘 : はい。実はその当時、もう音楽を辞めようと思ってたんです。でも、彼らにやる気を起こさせられてしまったというか。実際、いまはまだ下津さん(※踊ってばかりの国のフロントマン)の影響が見え隠れしちゃってると思うので、悔しく感じるときもあります。だから本当はあんまり言いたくないんですよ(笑)。彼らの影が見えなくなるまで、ヨギーのサウンドを洗練していきたいと思います。

井上 : 普通にファンなんですよね(笑)。良いところを盗もうっていう気持ちはありますけど、俺たちが倒してやろうみたいな気持ちはないかな。

都市を嫌悪するシティー・ポップ

――曲を作るときは、角舘くんが基礎を作ってくるの?

角舘 : そうですね。ギター、ベース、ドラムのパートをさらっとデモにして、それをメンバーに投げるんですよ。彼らのフィルターを通してもらうというか。やっぱりメンバーの演奏に変わった瞬間がおもしろいので、俺が細部まで作り込むことはしないですね。

――井上くんはベースラインを書くときに何を気をつけますか?

井上 : その曲のコンセプトを意識して、それをベースで表現するようにはしてますね。たとえば、「CLIMAX NIGHT」っていう曲が夜道を歩いてるイメージっていうのを聞くと、ベースは単調に、ひたすら歩いてるようなラインにしようとか。あとは「Baiuzensen」っていう曲だったら雨雲を表現しようとか。個人的にはけっこう考えているつもりです。

角舘 : へえ、そうだったんだ(笑)。

井上 : 彼が投げてくるイメージを、自分なりに咀嚼するというか。

井上直紀(Ba)

――なるほど。角舘くんは曲を作るとき、何かテーマみたいなものはありますか?

角舘 : 僕は22年間、ずっと都市で育ってきたんですけど、人は多いし、空気は臭いし、どうも好きになれないんですよ。だから、そこからの逃避っていうのはテーマかもしれません。

――都市に対する嫌悪感?

角舘 : はい。窮屈なんですよね。便利なんだけど。

――またまた意外ですね。サウンドとしてはシティー・ポップと言われるものと地続きだと思うので。

角舘 : 都市とどう向き合えばいいのか、自分の中でも整理がついていないんですよ。逃避はしたいんだけど、絶対に田舎には住みたくないし、住めないと思う。都市に対して矛盾する気持ちがあるんですよね。

――さっき角舘くんは自分のことを根暗だって言ってたけど、そういう部分とも繋がってくる?

角舘 : そういう部分は隠しながら作った作品かもしれないです。まだ初期のアルバムなので、内側にあるものを出し切れていないというか。

――出し切ったときにどう変化すると思いますか?

角舘 : ひねくれ者なので、バンドではそういう内面的な部分は出さないような気もします。カッコつけたいところがあるんですよ(笑)。

――自分の内面をさらけ出しながら音楽をやることに抵抗がある?

角舘 : そういうバンドは好きですけどね。自分たちにはできないのかな。

――井上くんはどうですか?

井上 : 都市に対する反感はないですけど、どこかに逃避したい気持ちは僕にもあると思います。都会的な速い流れの中にいながらも、ひと息つきたいっていう感覚は共有してますね。家に帰るときの夜道が1日でいちばん楽しいんですよ。たとえば、コンビニでコーヒーを買って、好きな音楽を聴きながら遠回りして帰るみたいな。

ロック・スターにはなれない

――最後になりますが、ヨギーはまだ結成してから1年も経っていませんよね(※2013年6月結成)。それなのに〈出れんの!?サマソニ!?〉で最終選考に残ったり、かなりトントン拍子にきてると思います。率直にどんな心境ですか?

角舘 : 不安感は思ったよりないですね。〈出れんの!?サマソニ!?〉は「いい曲が作れたから出してみるか」っていう感じで応募したんですけど、審査員からもすごく客観的に評価してもらえたので、自信になりました。

――大学を卒業したら、今後はどのように音楽と付き合っていきますか?

角舘 : 僕は大学院に進むんですけど、それでも音楽は続けていくつもりです。下北沢にあるhmcスタジオの池田さん(エンジニア)が言ってたのは、「食うために仕事をして、生きるために音楽をしよう」って。本当にその通りだなって思います。なので、仕事をすることは必須かなと。

――「音楽だけで食ってくぞ!」っていう気持ちはない?

角舘 : 切羽詰まってやるよりは、気持ちに余裕があったほうが良い音楽が作れると僕は思ってます。

井上 : 僕は4月から就職するんですけど、もとからバンドで食っていくつもりはなくて、ほかに仕事をしながら続けていきたいなって思ってます。音楽だけでやっている人たちはもちろん素敵だと思うけど、自分は切羽詰まった状態だとどうもうまくいかないので、このスタンスを貫きたいですね。

――その辺は下津くんとは違いますね。彼は以前のインタヴューで、「音楽で食っていく気しかない」と言っていました。

角舘 : それは素晴らしいことだと思います。僕もできればそうしたいけど、僕には僕の音楽との向き合い方があるのかなと思っていて。彼はロック・スターなのかもしれない。

――ロック・スターになるつもりはない?

角舘 : なりたいですよ。でも僕はなれないかもしれない。さっきの話で言えば、仕事=都市なのかもしれないけど、そこから逃避したいと思いながらも、結局はうまく付き合っていかなければならないというか。

disk unionでの展開

3月25日発行のFOLLOW-UPにインタヴュー掲載中!!
>>FOLLOW-UPの詳細

4月9日より、下記店舗で強力プッシュ!! (一部の店舗を除いて試聴機展開あり)
お茶の水駅前店 / 新宿本館BF 日本のロック・インディーズ館 / 下北沢店 / 吉祥寺店 / 町田店 / 横浜関内店 / 横浜西口店 / 淵野辺店 / 津田沼店 / 千葉店 / 柏店 / 北浦和店 / 池袋店 / 渋谷中古センター / 中野店 / 立川店 / オンラインショップ
>>disk union WEBSITE

LIVE INFORMATION

〈Rocket Dash Presents Beat Burn ch47〉
2014年3月29日(土) @水戸 SONIC
開場 / 開演 : 17:00 / 17:30
料金 : 2,000円
出演 : nhhmbase / トリプルファイヤー / POCALIS / Yogee New Waves

〈New Action! Vol.55〉
2014年3月31日(月) @新宿 MARZ
開場 / 開演 : 18:00
料金 : 無料
出演 : Slow Beach / DYGL / Yogee New Waves

〈ぐるぐるTOIRO 2014〉
2014年4月5日(土)、6日(日) @さいたまスーパーアリーナ TOIRO
開場 / 開演 : 12:30 / 13:00
料金 : 3,500円(1日券) / 6,000円(2日券)
出演 : bonobos / U-zhaan × mabanua / ASPARAGUS / 降神 / キノコホテル / Fragment×DOTAMA / skillkills / Charisma.com / GOOFY'S HOLIDAY / LAGITAGIDA / たをやめオルケスタ / Especia / クウチュウ戦 / クリトリック・リス / BELLRING少女ハート / Les Trucs / Yogee New Waves / bonstar / spooky / 空也MC / BiS -新生アイドル研究会- / パスカルズ / ヒカシュー / 溺れたエビの検死報告書 / 王様 / チャラン・ポ・ランタン / DJ掟ポルシェ / THEラブ人間 / 笹口騒音ハーモニカ / カンパネルラ / Negicco / トリプルファイヤー / ジョニー大蔵大臣(水中、それは苦しい) / Cutie Pai / コロリダス / GORO GOLO / ミートザホープス / N.Y&Bicycle / 花柄ランタン / 水曜日のカンパネラ / 鈴木実貴子 and more...

〈Half Mile Beach Club〉
2014年4月12日(土) @逗子 Cinema Amigo
出演 : DYGL / Yogee New Waves(accoustic ver.) / [DJ]Half Mile Beach Club Crew

2014年4月17日(木) @下北沢 CLUB251
出演 : とけた電球 / 水上カルビ / Manhole New World / 前田大志 / 城明日香 / Yogee New Waves

〈バスクのスポーツ リリース・パーティー『ゆるやかな運動』〉
2014年4月27日(日) @吉祥寺 WARP
出演 : バスクのスポーツ / よだまりえ / The Icecreams / Yogee New Waves

PROFILE

Yogee New Waves
2013年6月、都会におけるポップスの進化をテーマに活動を開始。〈SUMMER SONIC でれんの!?サマソニ!? 2013〉の最終選考ライヴがまさかの初ステージとなる。11月にはEP『CLIMAX NIGHT』を自主制作し、ライヴ会場のみの販売ながら、初回生産分を即座に完売する。2014年1月、全国の大学音楽サークルが参加するコンテスト形式の音楽イヴェント〈SOUND YOUTH〉の最終選考10組に選出され、渋谷O-EASTでライヴ。会場の最多投票数(断トツ!)を獲得し「Sound Better賞」を獲得する。はっぴいえんど、松任谷由実、山下達郎、FISHMANS…。これらの偉大なるポップ・ミュージックの恩恵を受けた新世代の音楽。

>>Yogee New Waves OFFICIAL HP

NEW SENSATION Archives

特集ページ
第1回 : 笹口騒音ハーモニカ
第2回 : トリプルファイヤー
第3回 : いったんぶ
第4回 : peno
第5回 : JAPPERS
第6回 : ミツメ
第7回 : 倉内太
第8回 : ROTH BART BARON
第9回 : sukida dramas
第10回 : STOCKMAN
第11回 : 静カニ潜ム日々大森靖子
第12回 : ゾンビちゃん
第13回 : 硝子越しの暴走

[インタヴュー] Yogee New Waves

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