ジャズを起点に縦横無尽にクロスオーヴァーするStill Caravan、新作『EPIC』をハイレゾ配信

メロウかつジャジーなヒップホップ楽曲を収録する人気コンピレーション『IN YA MELLOW TONE』への参加で知られる5人組バンド、Still Caravan。トラックメイカー、HiGASHiを中心に、ギター、ベース、ドラム、そしてピアノ / キーボードといった編成のバンドで、そのサウンドの肝はジャズを起点に、ポスト・J・ディラ・ビートやクラブ・ジャズなどを幅広い角度から取り入れたグルーヴと、親しみやすい流麗なメロディと言えるだろう。そんな彼が、前述の『IN YA MELLOW TONE』をリリースする〈GOON TRAX〉よりニュー・アルバムをリリースした。『EPIC』と名付けられた、新作はまさにその名の通り、雄大な景色を描き出す色彩豊かなメロディと音色で溢れている。今回は本作のリリースに際して、彼ら、そして作品に迫るべく、メンバーにメール・インタヴューを試みた。

Still Caravan / EPIC(24bit/48kHz)

【Track List】
01. Shine On
02. Butterfly
03. Take It Slow feat. Kharisma
04. Lifelike feat. Part Time Cooks
05. Urban Jack
06. Share My Soul feat. KYTE
07. I Like It
08. 1001
09. Shadowland
10. No Turning Back Time feat. Steph Pockets
11. Railroad No.9
12. Mountain In The Mirror

【配信形態 / 価格】
24bit/48kHz WAV / ALAC / FLAC / AAC
単曲 400円(税込) / アルバムまとめ購入 2,000円(税込)

INTERVIEW : Still Caravan


インタヴュー & 文 : 鶯巣大介

2012年にロバート・グラスパー・エクスペリメントが『ブラック・レディオ』をリリースして以降、ヒップホップやクラブ・ミュージックをはじめ、さまざまなジャンルと結びつきをみせる新たなジャズの動きが大きな話題となっている。そんななか、2017年のここ日本にもジャズを基軸にさまざまなジャンルのクロスオーヴァーを試みているバンドがいる。それがStill Caravanである。

彼らはギタリスト、ベーシスト、ピアニスト、ドラマー、そしてトラックメイカーという編成からなる5人組だ。2MCを要するグループとしてのスタートであったが、トラック制作を担当していたチームが独立。2014年にオリジナル・メンバーであったHiGASHi(Trackmaker)の呼びかけのもと、現在の5人による生バンドという形に落ち着いたという。いまのような音楽性に至るまでにはどんなきっかけがあったのだろうか。

HiGASHi (Trackmaker) : 現在のバンド編成になってからは、実験的なことを色々とやってきました。もちろん90’sの米ヒップホップ・シーン、特にジェイ・ディーやATCQ(ア・トライブ・コールド・クエスト)、DJシャドウといったジャズのサンプルをベースとした大胆なトラック・メイキングに憧れもありましたが、ソウライヴやロイ・ハーグローヴ、MMW(メデスキ、マーティン・アンド・ウッド)、ザ・ルーツなどが次々と新作を発表していた新しい生ジャズを聴きながら育ってきたので、広い意味でヒップホップ的なサンプリングを混ぜたジャムからスタートしたのかと思います。

Takashi Tsurumi (Vocal & Guitar) : HiGASHiと僕の出会いは10年ほど前のことで『ブラック・レディオ』以前のことですが、彼はその頃からすでに「ジャズ × ヒップホップ、クラブ・ミュージックetc」という明確なコンセプトを持って楽曲制作に取り組んでいました。出会ってすぐに東のホーム・スタジオに遊びにいったときには、いろんな音を聴かせてもらいました。印象に残っているのはアーツ・ザ・ビートドクターの『トランジションズ』というアルバムやJ・ディラ周りの作品で、この辺りのアーティストはStill Caravanのサウンドのひとつの起点にもなってるのではないかと思います。

新作『EPIC』

現行の体制になった当初は、バンドの発起人であるHiGASHiの音楽性が軸になっていたという。その後、Still Caravanは2014年に数多くのメロウかつジャジーなヒップホップ楽曲を収録する人気コンピレーション『IN YA MELLOW TONE』へ参加。そして今回、彼らは同コンピ制作を手がけるレーベル〈GOON TRAX〉よりニュー・アルバムをリリースする。ではその新作『EPIC』に耳を傾けてみよう。

ジャズはもちろんのこと、ドリルンベースを取り入れたり、また上モノのループが印象的なクラブ・ミュージック的なアプローチが見られる楽曲、ゲスト・ヴォーカルを迎えたラップ・ソング、さらにはそうした枠からもはみ出しポップスとも言い切れる楽曲までもが収められている。さまざまな要素が感じられるサウンドについてメンバーはこう語る。

Ryosuke Kojima (Bass) : 現行サウンドに関しては、メンバーが好む音楽がまったく異なっているので、自然とクロスオーバー的な音楽が多くなるのではないかと思います。

Hiroaki Nakahara(Key) : それぞれ違ったバックグラウンドを持ったメンバーの個性を、そのまま活かすことで、結果的に様々な音楽が生まれます。

彼らの音楽が多彩になる要因のひとつには、その楽曲の制作方法にもヒントがありそうだ。訊けば、完成に導くまでのイニシアチブはHiGASHやKojimaがとることが多いものの、基本的には各個人が素材を出し合い、さらにそれぞれがアレンジを考える。全員でアイデアを出し合う、メンバーの個性を活かすという精神がStill Caravanの根幹にあることが伺える。

Kojimaが出した案を元にスタジオでセッションを行ったという「Butterfly」をはじめ、キーボードのNakaharaが1人で制作し「Jazzであり、fusionであり、tranceである」と語る「Urban Jack」、ロック、フォーク、ポップスを好んで聴くというTsurumiの音楽性が色濃く反映された「Railroad No.9」、ドラムの鈴木によって中盤のトラックが制作された「Shine On」など、曲が完成に至るまでの道筋は様々だ。HiGASHは今作について「これまで“ジャズ・ヒップホップ”という枠内で制作しようとすり合わせてきたところから、メンバーの背景にあるロックやフュージョン、エレクトロニカな感性が自然と顔を出した作品になっていると思います」と語ってくれた。

よりバンドそのものの活動に寄り添う作品に

またこれまでのStill Caravanの作品にも見られたように、今作でも彼らはKYTE、Kharisma、Steph Pockets、Part Time Cooksといったゲスト・ヴォーカルを迎えている。メンバー自身「マジックが起こる」と話してくれたように、作品のなかでコラボ楽曲は彼らが持つメロウネスを増幅させる役割を果たしている。しかし今作では、ゲストを迎えた楽曲がぐっと減っている点に注目したい。このことについて尋ねると、これはメンバー5人でできる演奏を増やしたい、さらに言えばStill Caravanとしてより精力的にライヴ活動をしていきたいという意識の表れなのだという。また『EPIC』収録曲「Railroad No.9」「Share My Soul feat. KYTE」「Take It Slow feat. Kharisma」ではメンバーのTsurumiがヴォーカルをとっており、今後彼がメインで歌う楽曲が増えることも話のなかで示唆していた。

では最後に、彼らが音楽を制作する上でのこだわりについて質問した際に、HiGASHから飛び出た印象的なコメントを記しておこう。「住処を固定しないキャラバンのように、世界中のグッド・ミュージックを咀嚼して日本人らしい感性でまとめられたら最高ですよね」。メンバー全員が活発なライヴ活動、そして次作への意欲は高いようで、2017年以降、ますます彼らの名前を耳にする機会も増えるだろう。Still Caravanは進んでいく。

『THE EPIC』をリリースするレーベル〈GOON TRAX〉の特集記事はコチラ

LIVE SCHEDULE

Still Caravan『EPIC』release party & IN YA MELLOW TONE TOUR with Steph Pockets

2017年1月29日(日)
@渋谷Glad
OPEN & START 18:00
ADV ¥3,500+1drink / DOOR¥4,000+1drink
LIVE : Still Caravan, Steph Pockets
Guest : Ai Ninomiya, KYTE, Emily Styler
DJ : PIRO, SASAKI JUSWANNACHILL and more!

チケット(Peatix)
http://stephpockets.peatix.comc
チケット(e+)
http://bit.ly/2eMwrTk

PROFILE

Still Caravan

HiGASHi(Trackmaker) / Takashi Tsurumi(Vocal & Guitar) / Ryosuke Kojima (Bass) / Hiroaki Nakahara (Piano) / Shunsuke Suzuki (Drum)
「生音」と「サンプリング」を掛け合わせた有機的サウンド探求し続ける、“静かなる旅団”=「Still Caravan」。HiGASHiを中心に、千葉で結成された母体となるバンドは、トラックメイカーと2MCによる編成であったが、音楽性の広がりと共に新メンバーが加入し、現在はトラックメイカー、ベーシスト、ピアニスト、ギタリスト、ドラマーから成る生バンドを軸としたプロデュース集団として活動中。Jazzをベースに、Soul、Hip Hop、R&B、ハウスまでを昇華したクロスオーバー・サウンドが、〈GOON TRAX〉の耳にとまり、2014年、2万枚を超える大ヒットを記録した「IN YA MELLOW TONE 10」へ参加。同年リリースされた「The Best Of IN YA MELLOW TONE LP」には、Yusef Lateef「Love Theme From Spartacus」のカバー曲を提供し、耳の肥えたJazzファンの間でも話題を集めた後、2015年9月に1stアルバム「Departures」をリリース。同アルバム収録の「Mend Your Broken Heart feat. Sam Ock & Ai Ninomiya」が、全国7局のFM局でパワープレーを獲得するなど、新人離れした話題を集め、洋邦問わず幅広い層からの支持を獲得した。そして2017年1月、「Jazzとブラック・ミュージックの蜜月」という言葉がもっとも相応しい、2017年最大の問題作を引っさげ、静かなる旅団”が世界の音楽シーンを揺らす。

Still Carava アーティスト・ページ

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インタヴュー

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筆者について
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