柏のコミカルでシニカルな2人組のGAMEBOYS、足立区のトラウマ集団Vanadian Effectに、YouTubeにたった1曲を公開しただけで一躍話題となった狂気めいたラップをする”あべともなり”といった、ぶちぬけた個性を全国に発信するヒップホップ・レーベル、Vlutent Recordsの首領、VOLO。北千住のラッパー、piz?とのユニット、ABC(Air Boryoku Club)をはじめ、10年におよぶキャリアのなかで、本人名義の関連作品のみならず、JZAというプロデューサー名義もふくめ、コンスタントに好事家をうならす作品をリリースし続けてきた。しかし、ここで満を持して発表されるのが当人のソロ・アルバム。それが果たしてどのようなものになるのか、まったく検討がつかなかった。が、それは杞憂でしかなかった!! そしてOTOTOYではボーナス・トラックとしてM11「GRIND HOUSE」を収録!! ゲトるしかない。

【VLUTENT RECORDS関係の過去の紹介記事はこちら】
VANADIAN EFFECTインタヴュー
ABC(Air Boryoku Club)インタヴュー
GAMEBOYS

VOLO / 十

【配信価格】
アルバム購入 mp3 1,500円 / WAV 2,100円
単曲購入 mp3 200円 / WAV 250円

【Track List】
01. N.H.F.S feat doq
02. ちゃんVOLOタイム
03. O.B.T
04. ヤミー
05. Our Night feat RHYDA
06. Sometimes
07. Holiday Ghost feat piz?
08. チーバくん feat GAMEBOYS
09. Don't Like Me
10. Who Laughs Last?
11. GRIND HOUSE(※ボーナストラック)

INTERVIEW : VOLO

本作は、2013年現在のUSシーンにおけるヒップホップの影響を色濃く反映しながらも、『十』全体の印象は等身大の「ボロさん」(※イルでドープで、はにかみやさん)そのものだった。彼が自分で納得できるまで煮詰めた本作を、酒を飲みながら語ること、なんと3時間半! インタヴュー中にGAMEBOYSのCHAPAHが参加したり、隣の席で飲んでいたお客さんから「ラッパーなんですか?」とからまれたりと、多いに脱線しまくったが、読みごたえたっぷりの内容の話になりました。「やり切ったからどんな批評も怖くない」VOLO談。その揺るぎない自信のほどをうかがってみましょう!! (撮影協力 : 八古屋)

インタビュー & 文 : 斎井直史

ジュエルズ・サンタナとかのレイドバックしたラップがカッコいいと思えてきて

VOLO : CHAPAがあとで来ますよ。何時に来るかわからないけど(笑)。

ーーおお! 本当ですか。ちなみに、きのうビデオを撮影されてたみたいでしたが、どの曲なんですか?

VOLO : 4曲のダイジェストみたいになるんだけど、「O.B.T.」「ちゃんVOLO タイム」「ヤミー」、あと「Don't Like Me」。リリースまでに完成させたいとおもっていたけど、俄然無理だってことが判明したね(笑)。

ーー(ビデオをプロデュースする)toy dogさんの映像はレベル高いですよね。

VOLO : そうっすね。最近は、いろんなひとがMVをあげてるし、観るひとも昔よりMVに関心がいかなくなってる気がしてて。そんななかで今回もほかのMVとは違うテイストで、おもしろいビデオを作ろうとしてくれてますね。低予算なんだけど、いろいろDIYでおもしろいものができるはずなんで楽しみにしててください。

ーー-ABCのインタビューのときに訊きましたけど、VOLOさん自身、初期のころ、ジャジーなトラックを指向されて、ブート・キャンプ・クリック(注1)みたいなスタイルに走るっていうエピソードもありましたよね(笑)。''

注1 : 90年代なかば、NYのブルックリンを拠点に活躍したヒップホップ集団。ブラック・ムーン、スミフ・ン・ウエッスン、ヘルタ・スケルタなどが在籍し、ダ・ビートマイナーズによるサンプリング・ビーツがある種のサウンドの肝となっていた。

ブラック・ムーン「Who Got The Props」このポッセ感!!

VOLO : BLASTかなんかのクルー特集の記事を立ち読みしてたら、ブーキャンの見た目がダントツでカッコよかったので。グローブにタンクトップでブーツとか、すげえーダーティーな感じが。そこから興味が湧いてレコード買って聴いたら見た目とバッチリハマるトラックとラップですごく聴いてましたし今も大好きですね~。

ーーヘッズが一度はとおる道ですね。コスプレ一歩手前のアーミー・ルックとか… そういえば少し前にVLUTENT RECORDSのVanadian Effectにインタヴューしたとき「The Diplomats(注2)、最高だよね」みたいな話になりましたよ。

注2 : 2002年初頭、NYはハーレムをベースにしたヒップホップ集団。キャムロン、ジム・ジョーンズなどが在籍。

ザ・ディプロマッツ「Crunk Muzik」便所で徒党くんでシュート!!

VOLO : そう。ただ、Dipsetsはリアルタイムで好きになったワケではなくてちょっと遅れて好きになったんだよね。当時の俺はアンダーグラウンドのヒップホップにハマっちゃってて、ANTI-CONとかのやつらをリリースしてるMUSH RECORDS(注3)の音源みたいな実験的なのを聴いていて、早口なラップが好きだった。クソ早いラップがうまいと思ってたんだよね。

注3 : どちらも90年代末~2000年代初頭のアンダーグラウンド・ヒップホップの盛り上がりを象徴するレーベル。オルタナ・ロックやエレクトロニカなどヒップホップ以外のシーンにも人気があった。ANTICONにはソール、ホワイ?、オッド・ノズダムなどのラッパー、プロデューサーが参加。DEF JUXはカンパニー・フローのエル・Pが始めたレーベル。

カンパニー・フロー「Vital Nerve」不穏!! 鬼ドープ。

ーー最近のイメージしかないひとにとっては早口だったとは意外でしょうね。

VOLO : そうなんですかね。んで自分の作品ていうかラップを録ったら「なんか音と噛んでなくないか?」って感じていたんです。また、そんなもんなのかなとも思ってたし。そんななか、柏の先輩に聴かせてもらった、ジュエルズ・サンタナとかのレイドバックしたラップがカッコいいと思えてきて、リル・ウェインとか。それから結構スタイル的にも技術的にもひらけて、ラップをはじめるのは一拍目なのか、半拍前なのか。ここで(韻を)踏むのか踏まないのか、韻だけでなくて音程を合わせる位置とかを決めていく。そうすると「ここでズラすんだから、ここで帳尻合わす」「ここをいかすために、ここを抜く」とか考えるようになるんだよね。

バッキバキの音には、ラップもバキバキだと聴けないんだな

ーーそのころ日本語ラップでよく聴いて、とくによく聴いていたアーティストは誰ですか?

VOLO : いちばんよく聴いたのは『MATADOR』(2003年)のころのMSCだよね。日本語ラップに関していえば実験的で独特のものが出てきたとき、『HOMEBREWERS』(2002年)のころが一番好き。デモ・テープやMCバトルで知らないヤバい人がどんどん出てきたころで「こんなヤバいひとが現場に行ったらいっぱいいるんだ! 」っていう時期で。その頃がピークでその後はちょろちょろってかんじですね。クラブにはよく行ってたし、ライヴもよくしてましたけども。

ーー同じ時代にUSではサウスのラップが台頭しはじめるんですよね。

VOLO : たぶんもっと前から台頭はしてたんだろうけど、自分のなかでのブームがきた。クリップスのセカンドとか、ハイフィーやザ・パックの「VANS」、ザ・クールキッズの「Black mugs」とかもはやってて。音も少なくてピッチも遅くておもしろいなって思えたんですよね。当時もメインストリームとか全然わからなかったんだけど、その流れでさっきいったようにサンタナとか、ディプロマッツ周辺が気になってきた。ちょうどそのころか前後に、キャムロンが『Crime Pays』ってアルバムを聴いたんですよ。それがヒットする前の、エイラブ・ミュージックとか、ハーレムまわりの若いプロデューサーですべて固めてて、有名なラッパーはキャムロンしかいない状態の1枚。それでも20何曲全然飽きずに聴けた。それはある種ゆったりとした彼のラップの雰囲気がでかいのかなと思って。その感じに大分影響されて。その影響でフロウがすっごい遅くなったんですよ。それで、「バッキバキの音には、ラップもバキバキだと聴けないんだな」みたいな。キャムロンはそういうのがすごい上手で、バキバキなビートをいなす感じ。すごいノリノリなんだけど、ゆっくりノッてる。かっこいい。


キャムロン「crime pays」色あせないですね

ーー早口って勢いがあっても虚勢を張ってるといいますか、線が細い感じはしますよね。

VOLO : そうそう。線が細い。ってか、ワルいやつは、虚勢を張らない(笑)! 俺はワルくないけど。内心、また早口のラップが個人的にきてたりするし。

ーーじゃあ、『VEAZY』はスローなラップにドラムマシンの音を中心に組み立てたものだったので、あの1枚は転換期だったんですね。

VOLO : あのころ、まわりの子たちは「やっぱMPC最高だよね」ってよくいってたんですよ。でも、若くてMPCの歴史からすれば完全にあと追いの世代なのに、真っ当なことをいいたがるひとがちょっと多いもんだから、天邪鬼な俺は全然違うことやりたくなったんですよ。そしたら、ちょうどMPCぶっ壊れて。XR20買ってアルバム作った。

ーー浅い知識ですけど、XR20って「なんでMPCのAKAIが?」っていうタイプのドラムマシンですよね。

VOLO : でもあれめっちゃ音がイイから! また、独特の太い音の感じがあるんだよね。安くて、軽くて、おもちゃみたいで最高じゃん! 今でもやっぱまわりと逆のことやったほうがいいなっておもう。たとえば、アブストラクト(ヒップホップ)もハマったし、そういうの聴きたいときもあるんですけど、ライヴとか行ってそのフォロワーを見ちゃうと「猫も杓子も?」みたいな気持ちになっちゃうんだよね。

ーーわかるかもしれない(笑)。でも、そんないろいろなスタイルをへてると思わなかった!

VOLO : 飽きっぽいし、天邪鬼だから雑誌のうしろのほうのとか興味出てきたら聴いたりしてましたね。

311が来たあとだと、たんなるから騒ぎに思えちゃって

ーー音楽雑誌も減ってしまった今、どんなメディアの記事を読んでるんですか?

VOLO : うーん、適当っすよ! Pitchfork見たり、2Dopeboyzも見るし、Dommuneも観るしー、面白そうなのはちょろちょろ見てますね。ただ、いまは見たいものしか見てないから雑誌のように「このジャケはなんだろう?」とか、そういった失敗は減りますよね。ただ、そういう失敗はあとから失敗じゃなくなったりするじゃないですか。たとえば、いまアイス・T聴くとすごい良かったりするんですよ。ジュークじゃないけど、いまはハイハットでスピード感つけたりして、「ここは倍でノるんだよ」とかやるけど、もう、そういうようなとこををね~、脱したい。だから最近は超シンプルなんだけど、カチっとする曲も好き。格好もちょいダサいのをふくめて好き。それこそエイサップ・ファーグとかシャバ・ランクスの曲を作ったりする感じとか。『Trap Lord』も超変だし、着地どころがないアルバムでしたよね。


エイサップ・ファーグ「Shabba」おしゃれすぎる

ーーでも、VOLOさんの今回のアルバムは近いものがありますよ!

VOLO : それ(GAMEBOYSの)KAICHOOもいってた! 俺、けっこうファーグ好きですよねぇ。なにがかっこいいって「WORK」のMVの… いまベルサーチはやってるけど、ファーグはベルサーチでもガウンなんですよ(笑)。で、ティンバーのスーパーブーツ履いてて(笑)。そういった独特のセンスがヤバい。一時期のゴーストフェイスっぽいし、パンツがトミー・ヒルフィガーだったり抜かりない。あのMV好きや。

ーーところで、このアルバムのテーマって特別にあります? 僕はいかにもVOLOさん自身のヴァイブス自体がテーマなのかなって感じたんですが。

VOLO : アルバムはね、「人の悪口をいわない」とか。

ーーああー! なるほど。正直、気付かなかったけど、いわれてみると確かにそうですね。

VOLO : いやー、バトル・ライムとかも、311以前とかは、からさわぎ的に楽しいかなって思ってたけど、311がきたあとだと、たんなるから騒ぎに思えちゃって。「良い」っていってくれるひともいるけど、俺の中で意味のないものがすごい意味が出るはずだったんだけど、ちょっと思ってたのと違うてごたえだった。だって本当に傷ついてるひとだっているし。遊びかたにしてもね、へんな茶化しとか… うん… そうだなぁ~。タイミング的に俺の趣旨が変わった感じがした。

ーータイミング的にとは?

VOLO : なんかもっと悪いやつを見て、小さいことを思ってラップしてたけど、「(東日本大地震で)本当にひとって死ぬんだなぁ」とか思ったりして。それから、「大して怒ってないのに悪口とかいうもんではないかもな」とか「浅い知識でひとを痛めつけるようなところが、前にはあったんじゃないか」という問いかけを、ずっと残してた。確かに毒があったほうがおもしろいんだけど、29歳になった今、ひとに対しての毒は聴いてて気になるようになったね。自分の表現のために、なにかを指して「アレはダメだ」っていうのはB-Boyとして基本だし、俺もバトルでめちゃくちゃ得意としてやってきた。それに客演ならやる。だけど、そういうのだけをやってても進化がないし、今回はそういうのなしでおもしろいものを作りたかった。

松戸からすっげーキテる!

ーーそんな思いがあったとは… では、タイトル『十』っていうのは。

VOLO : (VLUTENT RECORDSキャップのロゴの「T」の字を指して)これこれ。ほら、ブルーテント+エンターテイメントみたいに見えるじゃん。しかも、俺は松戸で(GAMEBOYSの)柏と(VANADIAN EFFECTの)北千住を繋げる中間地点だしさ。まぁ、あとづけも多いけど、単純に形もカッコいいからかな。

ーー今回のアルバムは作る前からどのようなものになるか、決まっていたんですか?

VOLO : 最初はテーマがなかったから、超長くするか、短くするか、客演入れるかとかすごく悩んだ。実は1曲、ジェイ(Fla$hbackS のjjj)のトラックもあるんだよね。いい感じにラップも書けたんだけど、ただ、今回自分がなにをしたいかをたどっていくと、そもそも自分でもビートを作ってラップするっていうことをしたかったんだから、それやればいいやって。ジェイのオケだからずば抜けてるんだけど、アルバムとしてならべるとちょっと空気感が違ったからね。実はビートをくれるひとや、参加したいっていってくれるひとはめっちゃいたんですよ。でもね、俺はプロデューサーだから(他人の曲で)やらないって決めたら完成まで早かった。

ーーただ、今作のアルバムといいますか、ひいてはVOLOさんらしさをなんていう言葉で表現するか、超難しい。エイサップ・ファーグほどキテレツじゃなくて、角が取れてバランスがとれているぶん、逆にいいあらわしにくいです。

VOLO : 俺はね、それを意識してるからね。自分が行間みたいなものをよく読む人間だから、逆に読まれるのがいやなんだよね。むずかしいね。「松戸からすっげーキテる!」でいいんじゃないかな(笑)。

一般的な温度感でやりたかった

ーー実はそういういい表しにくさもあって、アルバムのテーマ性はそこまで明確にないのかなぁ~とか思っちゃいました。

VOLO : いや、ちゃんとあるんだけどね。要は、けっこう俺はそんなに悪いひとじゃない。悪ぶっても悪いひとには勝てないなってのが、あったんだよね。

ーーなんていうんですかね、普通のひとっぽさというか。とにかく、時代を反映しながらも自分の音楽をやってる印象を受けました。それが単純に、はやりに敏感な感じとは全然違うんですよ。

VOLO : たぶんそれは、一般的な温度感でやりたかったし、八古屋の人とか聴いてくれて「良い」っていってくれるものを目指したからかな。あと、前ほど自分の環境がヒップホップをアピールしなくてもよくなったね。前は強引に「ヒップホップはこうだ!」とか「ヒップホップは死んでないぜ!」と、パンチを打ちにいくじゃないですか。でも、本当は最初から敵はおろか、サンドバッグすらないから。そういうのに気づきはじめてきたから、いまの自分の感じをまわりのひとに聴いてもらいたかった。俺もちゃんと働いてて、普通の人の感覚に近い。それはそれで寂しいんだけどね。アルバムの内容はもちろんヒップホップなんだけど、そんなこといわなくてもすむくらいにラップが理解されるようになってきたように感じるんですよ。
昔みたいに、「ラップって“Yo Yo”でしょ」という人は、俺のまわりにはそんなにいないんだよね。だから普通にラップをやることが許されるし、これからは普通の人が普通にラップできるんじゃないかって。俺んちは帽子を作ってる家なんだけど、町の帽子屋さんが、ラップしてるっていうのがありえる時代になりつつあるんじゃないかと。

ーーさっきみたいに(インタヴュー中に隣で飲んでいたお客さんが)「俺、PUNPEEが好きです」っていってくるなんて、偶然ですけどそうなりつつある証拠みたいですね。

VOLO : そうそうそう。今の若いひとは、青春時代にヒップホップをとおっている世代じゃないですか。Dragon Ashや、キングギドラ、エミネムとか。なのに、前までは「ヒップホップだぜ」って、ヒップホップのひとたちが集まった環境下でいってたわけ。つまり、シーンの外じゃなくて、内に対してね(笑)。でも意外と、外にいたひとたちもラップを聴いてたひとたちだったって、最近実感することが多いんだよね。だから、べつに普通のことを普通にラップしていいんじゃないかって思えて。

全然関係ないと思ってたけど、本当は地続きなんだなって

ーーああ、そういうことは最初に思いましたね。「いまの日本を生きているひとのヒップホップだ!」って。

VOLO : そうそう。A$AP聴くし、普通に居酒屋に行く。こういう居酒屋と、ヒップホップ・シーンと、ハードコアなライヴハウスとかが地続きなんだなって思ってもらえればいい。一般的な社会と、自分が思っているヒップホップって、前までは断絶した世界だと思ってた。まわりの友だちとかを見下したようなアティチュードをとってさ、社会と断絶していることが前提の価値観でヤンキーじみていてさ。でも、今の俺にとって、それはすごい昔のものになった。ハードコアなロックのひとも、すげーラップ聴くじゃん。全然関係ないと思ってたけど、本当は地続きなんだなって。なんの関係もない仕事をしていてもラップ好きなひととか、興味がある、もしくはあったひとって、たくさんいるんだなって思うんですよね。

ーーなるほど。「Don’t Like Me」や「Who Laughs Last」も、色々あるけど自分の好きなことやるしかないっていう曲ですもんね。

VOLO : ヒップホップはシーンやスタイルが拡散してるからね。そういうの見ると自分を疑うときもあっても、自分の信じることをやるしかないっていう曲だね。そういう意味では、一番フラストレーションが出た曲かもしれない。ていうのも「ヒップホップはこういうものだ」っていわれてても、俺は悪いやつじゃないから絶対出せないなにかがあるんですよ。でも、そういうヒップホップらしさに対して「それがなに?」っていうことなんだよね。べつにヒップホップらしさが悪いっていうことではなく、自分を鼓舞して、自分に対する責任と覚悟を持ちたい。

ーーたとえば、そういった自分の音楽に対する責任感とかをどういったときに感じます?

VOLO : 淡々とした毎日なんだけど、それはすごく危ういという緊張感がついてまわってる感じかな。たとえば、支えてくれる彼女がいなくなっちゃったりとか、友だちが捕まっちゃったりとかさ。そういう落とし穴があるってわかりながら、楽しいことをやるんですよ。そして、その緊張感はすっごい大事。だから、piz?との「Holiday Ghost」のフックが「息を殺す」なのは、そういう感じ。Rhyda君との「Our Night」でも最初に「とりとめなくテンションハイ、悟られたくないくらいにな」ていってるけど、それも同じ。夜、街を徘徊してるときみたいな感じ(笑)。「O.B.T.」もそうだ。「俺の分まで楽しんでくれよ」の略でジョークからうまれた明るい曲だけど、最初のイントロは遺書みたいな感じだよね。

ーー確かにVOLOさんの曲は「ここからどうに展開するのかな」とい思うものが多かったんですけど、単なる奇妙なサウンドをトッピングしたのではなく、そういうことだったんですね!

VOLO : たいていは、つねに暗いものがあって、その暗いものを明るく隠すのが好きなの。明るい雰囲気だけど、底には暗い川が流れて感じがね、なんとも松戸っぽい。いまの松戸は、昔ほどヤンキーとか少ない感じがするんだけど、結構凶悪犯罪とか起こる。淡々としていて、なにもなくて、チェーン店が多い。くたびれてるかんじが俺にはちょうどいい。

今回は初めて意味をこめた

ーーあぁ~、なんとなく伝わってきます(笑)。じゃあ、今夜は僕らも楽しく話しすぎちゃったので〆めましょう。Vlutent Recordsを運営している人間として、将来のヴィジョンは?

VOLO : なんだろう。いまこうやって酒を飲んだり、友だちが来てくれる環境は、本当に恵まれていて、なかなかキープできるもんじゃないですよ。それをキープできるよう、がんばりたい。それには結果が必要。年齢が上がるほど結果だと思う。がんばる。

ーーいくら好きなことだからって金も時間も費やしていても、もし結果がなにもなかったら「こんなん、やめたほうが楽じゃないか?」ってなっちゃいますもんね。

VOLO : いつも自分が作ったものは「うわ、めっちゃ売れるもんできた」って思ってるけど、いつも結果がともなわない(笑)。ただ、毎回聴いてくれてたひとには届いてる実感はありまして。自分を疑っちゃうときもあるけど、そういうのは透けて見えちゃうから、そうならないために自分には絶対嘘をつかない。そして、そういえるために、いつも文句ないものを………。

CHAPA(GAMEBOYS) : ほら、もうそういう話じゃない! バシっと決めろ!

VOLO : 倍返しだ!

CHAPA(GAMEBOYS) : いまいったのそれ、一番ダサいよお前(笑)!

VOLO : 倍返しはやめよう。倍返しはダメだ。ちょっとまて… ダメだ、「じぇじぇじぇ」しか浮かばないからやめよう。

(一同爆笑)

VOLO : まぁ、アルバムは自分でもすっごい聴いてるしね! こんな幸せなことがあるかと! いつも無意味なことに意味があるっていう逆説的なメッセージだったけど、今回は初めて意味をこめた。ひねくれずにちゃんとやったよ。あ、シメはこれだ「IT’S MO DORI」(笑)

「十」をひもとく作品紹介

ABC / ABC(VOLO+piz?)

VOLOと、トラウマ軍団VANADIAN EFFECTの酩酊担当、PIZ?による30日間という超短期間に制作された科学実験の研究レポート!! OMSB`EATS(SIMI LAB)、KMC(POPGROUP RECORDINGS)WO2X7(VANADIAN EFFECT)、JJJJ(FIVE STAR RECORDS)参加。

>>>インタヴュー記事はこちら

1.5 / GAMEBOYS × JZA

GAME BOYSのスタイルはハードでもナードでもなく、彼ら曰く IT'S MO DORIなSTYLE!! (いつもどおり)。キャッチーなキャラとは裏腹に日常の中の悲喜交々を時にシニカルに時に自虐的でユーモラスな視点で切り取っていく。

>>>紹介記事はこちら

SCHOOLBOY Q / Habits & Contradictions

スクールボーイQことクインシー・マシュー・ヘンリー。ケンドリック・ラマーが所属するヒップホップグループ〈ブラック・ヒッピー〉のメンバーとしても活動する。2011年、ケンドリックが人気を増すのに合わせて仲間であるQの注目度も上昇。その期待にリリースしたミックステープの正規盤。

PROFILE

VOLO
柏のコミカルでシニカルな2人組のGAMEBOYS、足立区のトラウマ集団Vanadian Effectに、YouTubeにたった1曲を公開しただけで一躍話題となった狂気めいたラップをする”あべともなり”といった、ぶちぬけた個性を全国に発信するヒップホップ・レーベル、Vlutent Recordsの首領、VOLO。北千住のラッパー、piz?とのユニット、ABC(Air Boryoku Club)をはじめ、10年におよぶキャリアのなかで、本人名義の関連作品のみならず、JZAというプロデューサー名義もふくめ、コンスタントに好事家をうならす作品をリリース

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インタヴュー

fulaから届いた、新しい旅の報せ──新体制後初のアルバム『ノート』をリリース&インタヴュー掲載!
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by 西澤 裕郎
再起動した東京カランコロン、1年9ヶ月ぶりとなるアルバム『東京カランコロン01』をリリース&インタヴュー掲載
[INTERVIEW]・2017年10月04日・新たな風吹く、再起動──東京カランコロン、“ポップなのに泣ける”ニュー・アルバムをリリース!! 男女ツイン・ヴォーカルと個性的な楽曲で中毒者を増やし続けるバンド、東京カランコロンが1年9ヶ月ぶりとなるアルバム『東京カランコロン01』をリリースした。2016年に開催したツアーではファイナル公演を日比谷野外音楽堂で開催し、大盛況のうちに終えた彼らは、今年2017年からライヴハウス・Shibuya eggmanのレーベルである「murffin discs」内に発足した新レーベル「TALTO」に移籍。気持ちと環境を新たにした今作は、タイトルに自らのバンド名に「01」を加えた、まさに再起動を告げるような痛快なポップ作となっている。OTOTOYでは今作のリリースを記念し、ヴォーカリストであるいちろー(Vo.Gt)、せんせい(Vo.Key)を迎えたインタヴューを掲載。再起動し、新たなフェイズに進むカランコロンの今とは!? 新レーベル移籍後初、1年9か月ぶりとなるフル・アルバム東京カランコロン / 東京カランコロン01'【配信形態】AAC【配信価格】単曲 205円(税込) / アルバム 2,000円(税込)【収録曲】01