INTERVIEW

NAOITO(ナオイート)は東京生まれ。しかし、彼の音楽を聴けば日本で完結していない事がわかる。
とても人くさく、ジプシーのようにハミだし者の自由なリズム。
19歳で日本を飛び出して様々な文化を雑食してきた彼は、どのように音楽を消化したのか。
彼のデビューまでの経緯と、そのスタイルの背景を語ってもらった。旅人NAOITOが語る日本は必読!
インタビュー&文 : 斎井直史

エンターテイメント音楽と自分の追及している音楽の差は開く一方になりました。

——まず、NAOITO(G.Vo)さんが「イトー」ではなく「イート」の由来を教えていただきたいのですが。

NAOITO(以下、N): (笑)それはよく聞かれるんですけど、すぐにわかる名前を考えたときに、好きなラテン音楽からスペイン語を使おうって思いました。それで、男の子の「イート」っていう愛称があるんです。カチャイートっていう大好きなミュージシャンもいるし。俺イトウだし(笑)。ナオ・イトウだと「プロレスラーみたいだからやめてくれ」っていえば笑えるし、覚えてもらえるのかもしれないなって(笑)。

——19歳で最初に渡米した理由を教えてください。

N : ただ単に広い世界をみたかった。とにかく、自分の母国語以外で誰かと話すっていうのが楽しかった。日本が小さい島国っていう意識や、中学生でのホーム・ステイ経験もあって、学校卒業したら海外に出たかったんです。けど、堅気の両親に反対されて高校に進学しました。おかげでグレてましたけどね(笑)。一方で、くそ真面目にTOEFLとか取ったりして、大学入ったら一年半くらい海外にいました。

——でも、観光ビザとかだと三ヶ月しか滞在できなかったり・・・

N : それがですね。国境を歩いて渡ってみたくて、アメリカからメキシコに徒歩で渡ったんですよね。でも、アメリカに戻る時は学校の許可書がないと入れない。だけど、とっくにその頃はドロップ・アウトしてたんですよ。日本人ばかりの学校より、旅の方が俺には必要だなって確信していて。それで「観光客としていれてくれ」て言って通してもらいました。(笑)

——音楽にはどのように出会ったのですか?

N : 高校の頃は洋楽かぶれだったけど、特に音楽はしてなかったです。だけど、都会だったので音楽に触れるキッカケには恵まれてました。それで、レイヴ・パーティーとかで太鼓に出会ってハマってしまったんですよね。散々英語を勉強したんだけど、太鼓を叩くことで人とコミュニケーションができるということがわかってしまった。実はアメリカから帰ってきた時、日本でパーカッション奏者になろうと思い、CD出したり活動していたんですよ。その時Aja Addyというアフリカのマスター・ドラマーに出会い、彼の影響で自然崇拝的な方向に追求心が向かっていったものだから、エンターテイメント音楽と自分の追及している音楽の差は開く一方になりました。そこでバンドを辞めて、また旅に出たんですね。そして、最後にたどり着いたのは神奈川の葉山で、そこで仲間とお店をやっていました。

——その頃は音楽から離れていたのですか?

N : もうその時は「音楽は辞めた」って思っていましたが、その仕事は平日に膨大な時間があったんですよ。それで気がついたらギター触っていましたね。手探りでギターを弾きだしました。そしたら「歌いたい」っていう気持ちが強くなってきて、結局音楽を辞めることが出来なかった。

——どんな影響を受けて今の音楽があると思いますか?

N : それは難しいですね。言い出したらキリがないですが、根底にあるのはAja Addyとの出会い。あとは、チャット・ベイカーとセロニアス・モンクと... 難しいっす。

——民俗音楽と歌謡曲のミックスとのことですが、具体的にどんな歌謡曲がベースにありますか?

N : もうそれは日本に育ったら刷り込まれてるものですよ。お茶の間の普通の歌謡曲です。昭和歌謡とか。親に連れて行かれたスナックで聞いた演歌とか。ブラジルに行ったとき「自分にとってのサウダージ(郷愁)とは何かなぁ」なんて思ったら、やっぱ昭和歌謡じゃないかなぁって思ったんです。でも、日本にいたときは「演歌とかダセエ」と思ってましたよ(笑)。

量販店で売れたCDの枚数よりも、ライブで手売りした枚数が勝っていれば、それは理想ですね。

——このアルバムを作る上で、何かメッセージなどはありますか?

N : 個人的なメッセージ云々よりは、メンバーのことを考えていました。もちろん自分の産まれてから今日までの集大成を出すのは根底としてあるけど、メンバーと一緒に居て、経験したことしか表現出来ないから、それが集大成になる。また、そうゆうスタンスに共感して集まってくれた仲間だけでなく、それ以外にも次第に仲間が増えていきました。そういった血のつながりはなくとも生まれる「家族感」みたいなのを意識していました。

——特に「家族感」を表現した部分などは?

N : このアルバムのために作った曲というのは、実は無いですね。今までに自分が作った曲を、バンド・メンバーの皆でアレンジしたり、うやむやだった部分を明確にしてみたりしました。

——どういった経緯で総合プロデュース・チームであるGROUNDRIDDIMとの繋がりが生まれたのですか?

N : パーカッションのイズポンの繋がりなんですよね。自分の音楽を聴いてもらったりしているうちに、GROUNDRIDDIMのエンジニアでPOTATO STUDIOを運営しているアーバンが気に入ってくれてチームを組んだので、バンド・メンバーとの出会いに近いです。GROUNDRIDDIMの人の集まり方も「家族感」のある人間関係で、それに共感しました。

——今後もジプシー・キャラバン的な活動を続けるのですか?

N : そうですね。家内制手工業でやっていきたいです。ビジネスっていうものに、昔はものすごい中間搾取があったりとかするネガティブなイメージがあったんですけどね。100円で買ったものを家族に2000円で売ったりしないじゃないですか。今はネガティブに捉えていませんが、量販店で売れたCDの枚数よりも、ライブで手売りした枚数が勝っていれば、それは理想ですね。まったく無名の時から自分の音楽を聴いてくれている人と会えたりすると、それこそが最高の財産だと思えるんです。

——そういった仲間意識を大切にする心は、長い間一人で旅をされていた事に関係したりするのですか?

N : それはありますね。一人旅をして、余所者として土着のコミュニティーを見たり、究極の孤独を味わえば、最も原始的で簡単には崩れない人とのつながりの大切さっていう事に気付きますね。

——海外を色々と旅した後に見える日本は、どのように見えますか。

N : 良し悪しすら見えない社会になっていますよね。フェラ・クティやボブ・マーリーとかのレベル・ミュージックは、時代や民族それから政治的状勢の流れと合致したから影響を与えられたっていうのはありますよね。例えば今の日本で、僕が同じ音楽をしたとしても意味がないし。今の日本は、社会が何かにコントロールされてて、その「何か」がベールに包まれている感じ。そして、人々が徐々に骨抜きにされて、「おい!それおかしいだろ!」って思ってもなかなか言えない。漂白されてる。例えば、「信じる者は救われる」って言うじゃないですか。あれは宗教を信じているから救われるんじゃなくて、信じるものがある人っていうのは強いという事ですよ。だけど、国民が何かを強く信じるようになると困る人がいるんですよね、多分。だから、そういった信じるっていう感覚を麻痺させるものが、そこかしこに充満しているような気がして。だからこそ、今の日本におけるレベル・ミュージックというのは、忘れちゃいけないって思える当たり前の事を、当たり前に伝えることだと思うんですよね。行き過ぎたメッセージとかでなくて。

——では、これはNAOITOさんなりのレベル・ミュージック的なメッセージが込められているとも言えますよね。

N : そうですね。それぞれの曲に込めたメッセージは、とても普遍的です。

自然を愛し、人を想い、異国を漂う...

マイヤ・バルー/地球をとってよ!

幼い時から両親と共に世界中を旅し、舞台を遊び場にさまざまな音楽を肌で吸収し、15才の時、ブラジル遊学中に聴いた美しい音色に感銘を受け始めたフルートを筆頭に、ギター、ピアノ、パーカッション、メガホンやサックス等を手がける彼女の、類い稀な経験と圧倒的な実力、そして音楽への限りない愛をひしひしと感じ取ることができる、日本発のワールド・ミュージックを体感してみてください。
NAOITOに通じるバック・ボーンは音楽にも聴き取れます。彼女のインタビューはこちら

久保田麻琴 / バリ・ドリーム

ワールド・ミュージック・マエストロ、久保田麻琴の最新音源がバリ島から到着。土着のミュージシャンやフィールド・レコーディングで採取した極上の素材を、CLUB、NEW AGE、AMBIENT MUSIC等を包括した最先端のフィルターで濾過し、長年のキャリアと世界レベルのセンスで調理した最高の自信作!!
まるで未開拓の土地の音のようだが、決して遠い存在に聴こえないのは人くさいからだろう。

タカツキ / 旅人のリズム

日本が世界に誇る唯一無二のヒップホップ・アーティスト、"ウッド・ベースの吟遊詩人"ことタカツキ。ウッド・ベース弾き語りでラップという他に類を見ないスタイルのみならず、そのキャッチーなメロディと奥深い詩の世界は、ソロ・プロジェクトならでは。ヒップ・ホップ界のみならず幅広い支持を受け、話題を呼んでいる。自由に漂い詠う彼だからこそ、「できるなら京都で」は誰もが共感できるサウダージを感じ取れる。
タカツキのロング・インタビューはこちら

NAOITO (ナオ イート)Profile

19歳で渡米し、ジャマイカ、ネパール、ブラジルを旅する。ガーナのマスター・ドラマーAja Addyに手ほどきを受けパーカッション・プレイヤーとして活動をするなか、あるとき、独学のギターで作曲をはじめると同時にカバー曲を中心としたソロ弾き語り活動を開始。06年には9人編成のアフロ・ビート・バンド、Kingdom☆Afrocksを結成、Vo & Perを担当、バンドが各地で話題を集める。雑食familiaとは、全てのジャンルや国境や人種や格差を越脱し昇華していくという今この時代を生きるのに最も必要なタフネス+同じ釜の飯を喰いながら築いていく最も原始的で強い家族観や結束力による創造=NAOITOが理想とするバンドの姿勢を意味する。家内制手工業型旅するアジアのジプシー・キャラバンとなり全国各地で活動、話題沸騰中である!

Live Schedule

  • 2010/3/6(土) こんな夜に@神田 OnEdrop Cafe
    w/Wadamambo&CinemaDubMonks
  • 2010/3/7(日) @新百合ヶ丘 Bar Chit Chat
    w/光風&小池龍平
  • 2010/3/14(日) mojo session vol.6@つくば rebirth
  • 2010/3/20(土) @中滝 forest jam
  • 2010/3/22(月、祝) Pony’s Toy 十周年party & 1st album 発売記念@菊川 Pony’s Toy
  • 2010/3/28(日) 春の彩音@横浜 横浜BayHall
  • 2010/6/13(日) @神石郡 光信寺(コウシンジ)野外ステージ
    w/Green Green Special Session/BLACK BOTTOM BRASS BAND/KGM/MARLEYS/Rickie-G/
    Spinna B-ILL/Ucoca featほまれ+坊ちゃん

official info : blues interactions

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筆者について
斎井 直史 (斎井 直史)

音楽業界をおもしろくしようとOTOTOYに詰め寄ったところ、今では色々調教されて悦んでいる。大学生活をキック・ボクシングに投げ打った反動で、今、文科系男子への衝動がと・ま・ら・な・い!ヒップホップが好きです。ニュートラルに音楽を捉えて、「一般ピープル視点を失いたくない!」と思ってる一般ピープル。

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