
レイト 『さよなら昨日』1月20日販売開始!
さよなら昨日 / レイト
1.さよなら昨日 / 2.巨人 / 3.流星 / 4.鴉 / 5.人間の最後 竹久圏(KIRIHITO) MIX / 6.言葉 SHINSOOBUM MIX / 7.過去の人 黄泉路 MIX / 8.駄目 / 9.さよなら昨日 森雄大(neco眠る) MIX feat マリヲ (SUPPON 市内関係)
ニュー・アルバム『さよなら昨日』を、1月20日より販売開始します。過ぎ去る日々を歌う瑞々しく切ない青春ソング「流星」、世界とたったひとりで対峙するような壮大な叙事詩「巨人」など、新境地へと踏み出す待望の新曲と、森雄大(neco眠る)、竹久圏(KIRIHITO)、そして自身によるリミックスを含む、全9曲を収録。その中から、いじめられっ子の「明日」への切実な思いを叫ぶパンクなキラー・チューン「さよなら昨日」を先行でフリー・ダウンロード開始。1月21日までの期間限定となりますので、どうぞお見逃しなく!
→「さよなら昨日」のフリー・ダウンロードはこちら (期間 : 1/14〜1/21)
REVIEW by 滝沢時朗
レイト—トイレを逆さに読んだ名前を持つラッパーのミニ・アルバム『さよなら昨日』が、1月20日より配信開始となる。2008年の1st『明日など来るな』は、ショッキングなリリックで話題を呼んだが、今作でもそれは健在。中学生男子を思わせる高くてささくれ立った声で「青アザだらけのダラシのない僕 遅刻の数なら胸を張れるけど」「机に掘り込む自分のイニシャル 秋山さんだけ授業を聞いてる」「入る学校間違えた やめた 暇だ 死ぬか? 」といった疎外された人々の日常を、ストレートなラップで叩きつけている。学校という閉じた空間で、いじめなどによってコミュニケーションの可能性を断たれ、自分はダメだという自意識を植えつけられてしまっている様が事細かに描かれているのだ。
ラップに対してトラックはどうだろうか? トラックはノイジーなギターに不穏でセンチメンタルなキーボードのメロディが乗るロック調のものがメイン。リリックからは、名前が出てくるリンキン・パークを思い浮かべるが、そこはやはり内容に根ざしているものだと聞いていてわかる。ノイジーさは酷薄な状況への苛立ち、焦り、暴力衝動だ。センチメンタルさは、過去の他人と通じ合えていた頃の思い出と、まだ通じ合えることを信じたいという気持ちのあらわれ。そんなトラックがベースになり、吐き出されるラップと混じ合わさると、そこにはどうしようもないリアルが広がる。いじめを経験していなくても、毎日の生活の中でうすうす感じる暗い世界だ。特に不穏なキーボードにのせて「お気に入りのドーナッツの味が変わった ちょームカつく 誰を打ち首にすればいい」とつぶやかれる曲「鴉」は、現代的な根拠のない殺意をうまくすくい取っている。

と、ここまで書いたが『さよなら昨日』は単に絶望をうたっているだけではない。それは、昨年のアルバムも好評だったKIRIHITOの竹久圏とneco眠るの森雄大という旬なインディー・ロック・バンドのリミックスからもわかる。竹久圏のそれはアコースティックで達観した感覚を持っているし、森雄大のシンセ・ベースを使ったうねうねしたそれも、原曲をうまく戯画化している。どちらも原曲とは異なる世界観を示してアルバム全体に広がりが出ている。
『さよなら昨日』からは積極的に前進するわけではないが、過去にケリをつけ意思を固めるための音楽なのだろう。辛い現実を徹底して描くのはそのためだ。もちろん、どうすればうまくいくという単純なことはない。だが、目の前のリアルから目を逸らしたくないのなら、このミニ・アルバムを聴いてみて欲しい。
PROFILE
レイト
「トイレ」を逆から読んだ名を持つラッパー。異形で異端の天才児。トラック・メイキングからイラストまで独りで手がける。アルバム『明日など来るな』でデビュー。同作でREMIX誌2008年度ベスト・ディスクにランクイン。FUJI ROCK FESTIVAL 2009 ROOKIE A GO-GO出演。趣味は「スプーンを眺めること」。好物はニンジン。
デビュー・アルバム『明日など来るな』
1.馬鹿な奴 / 2.言いづらいこと / 3.鼓動 / 4.海の底へ / 5.パシリ / 6.目隠し / 7.赤い包丁 / 8.過去の人 / 9.人間の最後 / 10.行方不明 / 11.真っ黒な光 / 12. 言葉 / 13.未定
家族、コンビニ、学校、いじめ。少年の透明で純粋な瞳に映る冷酷で不条理な真実。身も蓋もない言葉がこの世界の「リアル」を容赦なく抉り出す。パンキッシュなキラー・チューン「馬鹿な奴」、家庭崩壊の中にあるかすかな光を描く「言いづらいこと」、少年のありふれた日常を歌うアンセム「鼓動」、「明日からは断ろう」と連呼する「パシリ」、最後の時を静かに描写するリリカルな「過去の人」、鋭い感性で紡がれた詩が突き刺さる「海の底へ」や「真っ黒な光」— 独特の空気感を持つダークなトラックと圧倒的なリリックが詰まった全13曲。衝撃のデビュー作。
リミキサー陣の作品を紹介
Question / KIRIHITO
GROUPの竹久圏と、GAKIDEKA、高品格でも活動する早川俊介による、ジャンクでテクノなファンキー・パンキー・ハイパー・ポップ・デュオ。アクロバティックなライヴ・パフォーマンスの楽しさも然ることながら、ポップでダンサブルでありながらもキテレツかつ凶暴なその音楽は、まさにワン&オンリー。9年ぶりとなる今作は、相変わらず未知のサウンドとグルーヴを醸し出しています。
KIRIHITO特集ページ
Even Kick Soysause / neco眠る
2008年9月にリリースされた1stアルバム『Engawa Boys Pentatonic Punk』がクラブ、ライブ・ハウス、縁側、夏祭り、中学校、猫好きやレコード・ショップなどなど、あらゆる関係各所で絶賛を浴びた彼ら。待望の新作は9曲入りのミニ、というかほぼフル・アルバム! ダンス・フロアとお茶の間をつなぐ、自由奔放な“4つ打ち醤油”生ディスコ?
neco眠る特集ページ