
作曲家谷口尚久による初のソロ・アルバムが到着。一切の無駄を出来うる限りそぎ落としたシンプルかつクールなインストの集大成。写真家・作家の藤原新也氏原作の映画『渋谷』に使用された楽曲を含む10曲を収録。来るべき未来のドライビング・ミュージック決定盤がmp3とHQDで配信開始! 更に、アルバム1曲目の「1st of all」は期間中フリー・ダウンロードを実施。この機会をお見逃しなく!
Track List 01.1st of all / 02.2nd priority / 03.3rd intuition / 04.4th force / 05.5th story / 06.6th sense / 07.7th raven / 08.8th wonder / 09.9th style / 10.10th affair
>>「1st of all」のフリー・ダウンロードmp3.verはこちら(期間11/25〜12/2まで)
>>「1st of all」のフリー・ダウンロードHQD.verはこちら(期間11/25〜12/2まで)
都市生活の様々なストーリー

谷口尚久、という名前を知らなくてもどこかで彼の携わった楽曲を聞いている人は多いだろう。CHEMISTRY、中島美嘉やSMAPなどなど、名だたるアーティストに楽曲提供し、映画やゲームの作曲もこなしている。幅広い活動をしているが、基本的にモダンなソウルやR&BをJ-POPの中で展開することが主な活動の場だ。過去にノーナ・リーヴスのメンバーとバンドを組んでいたこともある。『JCT』はそんな彼の初の個人名義のアルバムであり、全編インストゥルメンタルのアルバムだ。
では、そんな彼の作るインストのアルバムとはどんな音なのか。楽曲提供の仕事を見ていくと、先ほども書いたようにソウルやR&Bを背景にした楽曲が多いが、『JCT』にはそんな要素はあまりない。浮遊感と清潔感のある電子音に、整っていて線の細さと太さの調度良いところをとったブレイク・ビーツの組み合わせが基本的にあり、時折ジャジーな感触も入る。テクノやインスト・ヒップホップを谷口のフィルターを通して純化したような、雑味がうまく抜かれたサウンドが続く。
もしかすると、インストのアルバムということもあって、今までの活動から遠いことをやってるように聞こえてしまうかもしれない。しかし、『JCT』からも彼の一貫したテーマが感じられる。それは一言で言えば"都市生活"だ。CHEMISTRYや中島美嘉との作品は、都市生活者の恋愛を中心にした心情がクローズ・アップして描かれている。それと比べて言うならば、『JCT』はもっと引いた視点から都市生活を描いている作品だ。例えば、夜に電車に乗っていて、車窓を流れていくマンションの無数の光から、その街に住んでいる人たちの暮らしを感じるような。
谷口尚久は多岐に渡って活動しているが、『JCT』はそのどこに興味を持っている人でも楽しめるアルバムだ。清涼感のある音も、トータルで34分という簡潔さも、誰でも受け入れてくれるような感触を持っている。これまでに色々とジャンル名を書いてきたが、そういう意味で言えば、このアルバムは上質なシティ・ポップなのだ。(text by 滝沢時朗)
本作によせられた推薦コメント
『音の海』三年前に書いた『渋谷』というノン・フィクションがこのたび映画化されユーロスペースで公開された。この映画の製作途中、あるきっかけで谷口尚久さんの作られた曲を耳にし、一発で惚れこんで使わせていただくことになった。実際に上映された映画の中では重いテーマがこのアンビエント・テクノチック、そしてグルービィな音の海よって中和され、よい効果を上げていた。映画の中の音楽の良し悪しは劇場で公開されてはじめてわかるものじゃないかと思う。最初に耳にした時の、あの快感が一過性のものではないことにあらめて感じ入った次第だ。
藤原新也(photographer & artist)
谷口くんの創り出す音は清潔で、歌ごころがあって、聴いていて、とても気持ちが良いのです。
片寄明人(Chocolat & Akito,Great 3)
今回の作品、谷口さんの緻密で丁寧ないつものプロダクションに加え遊び心が満載だなあと感じました。目一杯楽しんで作ったんだなって音がたくさん詰まっています。
TSUTCHIE(SHAKKAZOMIBIE)
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谷口尚久プロフィール
10歳で音楽指導者資格を取得。
自身のグループonoroff(オノロフ)にて、高橋幸宏プロデュースのアルバムを2作発表。
現在は、CHEMISTRY、SMAP、中島美嘉、JUJUをはじめとするアーティストのプロデュース、楽曲提供、アレンジなども手がける他、TV番組、CM、ゲーム、映画の音楽にも携わる。