AC部の奇妙な映像世界に、まつゆう*がゲスト参加!

開いた口が塞がらないとは、まさにこの作品のこと! AC部の名作(迷作? )「キッスはまだはやいわ」が、オリジナル・バージョンの発表から10年の時を経て、2010年、パワー全開でリニューアル。ゲスト・ボーカルに、彼らの旧友であり、最近ではアヒル口でおなじみのまつゆう*を迎えて制作された本作は、歌詞も新たに加えられ、もはやリニューアルの域を軽〜く飛び越えた、衝撃的な仕上がりに。楽曲アレンジとサウンド・プロダクションは、元・子供ばんどの勝 誠二が担当。60'Sのフレンチ・テイストあふれる、まつゆう*のポップでちょっとエッチなボーカルと、AC部の特濃ビジュアル&圧倒的なテンションにぐいぐいと引きずり込まれ、気付けば夢中になってしまう、奇妙な世界。騙されたと思って覗いてみては? もちろん、その後の責任はとりません!

AC部 featuring まつゆう* / キッスはまだはやいわ

映像制作・演出 : AC部
作詞 : 安藤 真(AC部)
作曲 : 安藤 真 & 安達 亨(AC 部)
編曲 : 勝 誠二
歌 : まつゆう*

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REVIEW

みなさんAC部という映像製作チームをご存知だろうか? 彼ら三人はNHKの番組デジタル・スタジアムに2000年に応募した「ユーロボーイズ」で年間グランプリを獲得。それ以来、独特の切り口で、人を楽しませようとしてるのかおちょくってるのか、すごいのかどうかさえわからない映像の数々で、多くの人々の心を複雑骨折させてきた。とにかくAC部の作品を見たらもう以前の自分には戻れない… そんな存在なのだ。そして、そのAC部の一人が同じく2000年にデジスタに送り込んでいたのが「キッスはまだはやいわ」なのだ。そう、今回ototoyから配信されるのはその10年ぶりのリメイクだ。しかも、その当時にデジスタでアシスタントをしていた縁でAC部と友人になり、今ではTwitter上で話題のアヒル口のまつゆう*が歌を入れるというではないか。「おー、こいつはなんだかすごそう」と思いながら見た「キッスはまだはやいわ」は、やっぱり想像の斜め上をぶっ飛ぶできだった。

まず、「アーン」の声から始まるアイドル歌謡曲のパロディのような、リズミカルな曲が始まる。歌詞の内容は、主人公の女子高生に彼氏がいるが、私達まだキッスははやいわ! やめて! でも、興味ありまくり! といったもの。その曲に合わせてエプロンをかけた女の子がキッチンで踊りながらイチゴのショート・ケーキを作っていく。そして、歌詞が乙女書体でバックを飛び交ったりするなどの数々のエフェクト。これだけだとただ軽くふざけてるだけだが、AC部の作品はこれをベースに奇天烈な表現でいくつものニュアンスを重ねてくる。

まず、一つ目が女の子の顔だ。基本的に映像の素材は実写だが、女の子の顔だけ中途半端にリアルな絵が使われてる。しかも、デジタル処理で目や鼻の各パーツが福笑のように貼り付けられていて、顔のパーツが微妙にゆらゆら動く。それがなんとも言えず不細工で、イラつくようなおもろいような表情を生み出すのだ。そして、ふたつ目が女の子の踊り。おそらく実際に動いているものを加工しているのだろうが、実際より少しはやめの動きで変にせかせかしていて、これまた心にひっかかる。三つ目が曲の歌い方。これが徹底して棒歌いなのだ。語りの部分さえ、棒読み。それで「じゅっぱじゅぱぱぱじゅんじゅん純情〜」と歌ったり、「イヤーン。キスだなんてはしたないわ。わたしを恋の奴隷にするつもりね」と語るので、へなへなと力が抜ける。これらの要素が積み重なって、映像に複雑なニュアンスを与えている。

つまり、思春期的なエロスの世界をベースに、これらのイラつき、おもろさ、脱力が色んな角度からなって視聴者を包んで前代未聞のキュートなバッド・トリップ感覚を生む、といった非常に変な作品に仕上がっている。相当熟練を重ねたであろうデジタルの映像技術を駆使して、ここまでそれを感じさせずに、人間の身体や感情の微妙さを表現した作品もないだろう。こんなことをするのはAC部だけだ。そして、そんな唯一無二の世界を君にもぜひ見て欲しい。ほれ早く。(text by 滝沢時朗)

PROFILE

AC部

1999 年頃に結成されたCGアニメーション制作チーム「AC部」は、多摩美術大学在学時に制作した「ユーロボーイズ」がNHKデジタル・スタジアム年間グランプリ を受賞したのをきっかけに本格的に活動を開始した。暑苦しいリアルなイラストレーションをベースとする、濃厚でハイ・テンションなビジュアルを様々な媒体に 植え付け、人々の固定観念を破壊し、そして新しい視聴覚体験をもたらすことを目指している。代表作に、デジスタ・アウォード年間グランプリ受賞の「ユーロボーイズ」、テレビ朝日SmaSTATION「スマアニメ/カッコいい男たち扁」、 NHK みんなのうた「哲学するマントヒヒ」、伊武雅刀公式HP、東京オンリーピック「和卓球」などがある。また現在、ニコニコ動画で賛否両論沸騰中のショート・ムービー「海女ゾネス」を完成へ向けて全力で制作中!

【代表作】
ユーロボーイズ(NHKデジタル・スタジアム デジスタ・アウォード2000 グランプリ)
テレビ朝日SmaSTATION「スマアニメ/カッコいい男たち扁」
NHK みんなのうた「哲学するマントヒヒ」
PV「ザマギ/マジカルDEATH」(Music Video Awards '05ノミネート)
伊武雅刀公式HP
フジテレビ SMAP×SMAPブリッジ映像
NHK 星新一ショート・ショート「プレゼント」
NHK教育「○○の国の王子様」
東京オンリーピック「和卓球」
NHK ビット・ワールド「アホちゃいまんねんビットやねん おもしろランキング2」

【エキシビジョン歴】
Digital Art Festival 2003 グループ展@東京・パナソニック・センター(2003年8月)
モーショングラフィックス7展 グループ展@東京・銀座クリエイション・ギャラリーG8(2006年1月 )
DEBLI DEBUT PROJECT Enjoy! Recycle & Re-create グループ展@東京・ルデコ・ギャラリー(2007年4月)
13 FRAMES グループ展@東京・銀座クリエイション・ギャラリーG8(2009年9月)

【受賞歴】
NHKデジタル・スタジアム デジスタ・アウォード2000グランプリ(ユーロボーイズ / 監督)
ADFEST2009グランプリ(白泉社 月刊LaLa TV-CM / アニメーション部分担当)
cinema digital seoul 2009_film festivalグリーン・カメレオン賞&ムーヴィー・コラージュ賞(東京オンリーピック / アニメーション部分担当)

まつゆう*
東京生まれ渋谷育ち。15歳より雑誌『プチセブン』のモデルとして活動を開始。50本を越えるCFや企業スチールに松丸祐子として出演、またアート・ユニット「chelucy」のまつゆう*として様々な分野で活躍。ブログ・サービス『ヤプログ!』のプロデューサーを務めるほか、webデザイン、映像制作、コスメのプロダクト・デザイン、独自のセンスでのスタイリングやメイクまで幅広く手がける。公式ブログでは自身でセレクトした「かわいいもの」を発信し、紹介した商品が完売する、複数のメディアで掲載されるなど、影響力の高いブロガーとして10代〜30代の女性から圧倒的な支持を集めている。2008年7月、米wired.comの特集「日本のセレブ・ブロガー11名(Japan's Hottest Celebrity Bloggers)」に選出。Twitterでは20万人を超えるフォロワーを集め、インターネット時代のタレントとして活動中。2010年4月には「ツイッターで人気爆発! みんな大好きアヒル口」(マガジンハウス)が刊行。

ついハマってしまう映像世界

作曲家・とくさしけんご、初のフル・アルバム『華麗なるホリデーの世界』より、ミュージック・ビデオをピック・アップ。岩城浩司、タナカカツキ、徳差えり、ヨシマルシン、前田裕次郎、甲田周平や菅原そうた等の映像クリエイターが、時には真面目に、時にはファニーに、それぞれの世界を見事に描き出しています!

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筆者について
滝沢 時朗 (滝沢 時朗)

1982年東京生まれ。twitter ID:@sarigenaginger

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