結成30周年を迎えたConvex Levelが、遂に待望のニュー・アルバムをリリース。これが日本のオルタナティヴ。これは絶対にまねできねぇ!

京都が生んだ至宝、Convex Level。1986年に始動して以来、今年で結成30周年を迎え、遂にニュー・アルバム『Inverse Mapped Tiger Moth』をリリース。日本オルタナティヴ・ロックをひっぱり続ける存在なだけあり、今回も完全に異次元サウンド。ぜひ音源を購入し、メンバーによるアルバム解説(「個体別観察結果」)を読みながら堪能してください。その内容にきっとぶっ飛ばされることでしょう!
Convex Level / Inverse Mapped Tiger Moth
【配信形態】
24bit/96kHz(WAV / ALAC / FLAC) / AAC
>>ハイレゾとは?
【価格】
単曲 216円(税込) / アルバム 2,000円(税込)
まとめ購入者には歌詞カードPDFがつきます。
【Track List】
01. Spellbound
02. I Am a CLone
03. Lost and Found - i) Jane ii) Denardo iii) Yukio iv) Irmin v) Eric
04. Before The Rain - replayed
05. Murder In The Greenhouse
06. Izmo
07. Colony Diary
08. Burn Your Heart
09. Bell Is a Shelter Until It Is Rung
INTERVIEW : Convex Level
若いミュージシャンにこそ聴いて欲しい『至宝の音楽』とは、このアルバムのことだ。。。
普通の中に潜む狂気に気づいた時、僕らはConvex Levelから抜けることが出来なくなる。。。
インタヴュー : 飯田仁一郎
写真 : 大橋祐希
もういつの頃からか新しいものを作ろうなんて全然思ってない
ーーConvex Levelが30周年ということで。メンバーによるアルバム解説(「個体別観察結果」)を読ませてもらいましたが、30年経ってもなお、真摯に曲作りに取り組んでおられますよね。
渡辺良(以下渡辺) : メンバーが仲良いんですよ。もともと高校の同級生だから、大人になってちょっと真面目になってもコミュニケーションが高校生。メールの文章もめちゃくちゃやし。高校生がインターネットでやり取りしてるみたいになる。
ーーどんな3人だったんですか?
渡辺 : 高校に軽音がなくて、3人ともブラバンやってました。ブラバンもやるにはやってたけど、特に目的なくスタジオに行くようになって。ちょうど大学生になったときにConvex Levelと名乗るようになりました。
ーーConvex Levelは歌詞が理系ぽかったりSFっぽかったり、独特の哲学がありますよね。自分の哲学や変態性がそのまま音楽になってる。何がConvex Levelのこの感じを作っているのでしょうか。
渡辺 : 聴いたものでしょうね。もういつの頃からか新しいものを作ろうなんて全然思ってないので。自分の好きな曲とは違うけど、やっててなんとなく知ってる感じになった時楽しい感覚ってあるじゃないですか。で、メンバーが3人いたら全く一緒にはならない。そんな作戦で曲ができてます。昔はね、「聴いたことないようなのやるぞ!」って違う方へ違う方へってやってたけど。
ーー取り立てて新しいことをしようとはしていない?
渡辺 : そう。昔は絶対聴いたことないようなものを作るのが礼儀だと思ってたけど、今はレジャー性の高さを重視してます。まあ、まんまどこかで聴いたことのあるようなものじゃ人に聴いてもらってもしょうがないし、ちょっとでも人が聴けそうなレジャー性の高いものって選び方で。

ーーとはいえ今回もわけわからないことしてますよね? 逆回転とか。
渡辺 : 今回、逆回転がテーマですね。逆回転おもろいなと思ったらなんでも逆にしてみて。「I Am A Clone」は反対向きに歌ってる歌がメインのメロディーで、ひっくり返して聞いたら元の曲に聞こえる。
ーーこれちょっと意味がわからなかったんですけど、歌詞を逆から読んでも別に単語にならなくないですか?
渡辺 : 違うの、それ全部ローマ字にして読んでみて。
ーーOOO、NO、MA、RA、KA、TO、NU、KO、BU…。
渡辺 : Uは飛ばして読んで。「きみはエイリアン、ぼくのたからもの」っていう元曲です。
ーーうわ! すごい。
渡辺 : 曲の最後のほうに音声をひっくり返したのも入れてあって、演奏も声も逆回転やけども、そこでたぶん聞き取れるはず。
ーーそっか、ローマ字にしないとわからないんですね。面白いですね。
渡辺 : 理解するきっかけとして解説もこのインタビューもありますけど、「そんなん知るか!」って感じですよね。まあ別に構わないですけど。
ーー8曲目の「Burn Your Heart」は渡辺さんがソロでやってた曲ですよね?
渡辺 : うん、同じ曲。ソロアルバム作った時は手売りしてたから、コンベックスのライヴのときに「ソロ・アルバム出しました、その中の一曲やります」って2人に一緒にカバーしてもらって、たまにやってたんですよ。そしたらあの人らが「あれも録音するんやろ?」って言いだして。
ーーこのアルバムの中で1曲だけアップテンポなんで、よく構成考えられてるなと思ったんですけど(笑)。
渡辺 : いやもう流れに押されて。同じ歌詞は嫌やったから一生懸命歌詞を変えて、無駄な抵抗をしました。
ーー問題は9曲目「Bell Is a Shelter Until It Is Rung」です。これ最高ですね。狙って変な展開を入れるとどこか噛み合わなかったりすることがありますけど、この曲は変な展開がくることを期待してしまうというか、そうなることが必然であってほしいと思いました。ご自身でも「頑張ってミックスしましたが、最後まで私たち何を目指しているのか分かりませんでした」と書かれてましたけど。
渡辺 : まあ解説に書いたとおりで、これだけは謎やなと思って。曲順を考えても、この曲の後に曲を持ってくることも考えられなくて。だからしょうがなかった。なすがままにできた曲です。
ーー本当に何のイメージもなく作ったんですか? こんな曲を作ろうみたいな。
渡辺 : この曲はもともと前川サンがギターとベースのフレーズが入ったデモ・ファイルをたくさん送ってきて、「どれかやりなさい」みたいな感じで。結構たくさんある中から俺はこれを選んでしまった。トランペットは入ってなかったけど、それ以外の構成は最初から全部あったんです。
ーーConvex Levelって渡辺さんが作るんじゃないんですね?
渡辺 : 前川さんも作るし、彼が作ってきた方がわりと、そこから崩しやすい曲を作ってきてくれます。

ーー2人のソングライターがいるのも30年間変わらずですか?
渡辺 : そうですね。皆で一緒に作るときもあるし、昔は前川さんと2人で家とかで作ってたりはしたけど、今は一人ひとり作って「どうですか?」って投げる感じ。だからもう基本的にはベースもギターもいれて作ってます。そのままできるように、あんまり時間がかからない状態にしてから渡してますね。
ーーセッションしながら作っていくというより、デモで提示されたイメージを皆が再現していくやり方なんですね。
渡辺 : うん。僕はデモを作ってるときに、今度はこんなフレーズを弾いてもらおうみたいなことを考えて渡してます。前川さんもギターを全部作って渡してくれて、なるべく指1本で押さえられるとか、ギターがずっと一緒だけどベースが変わったら雰囲気が変わるとか、ものすごい簡単なフレーズで考えてくれますね。
あんまりコンセプトが無さそうなアルバムにしたいと思ったんですよね
ーードラムはどうしているんですか?
渡辺 : 僕は宅録のときに楽しめないのは嫌だから、自分の楽しみ用にドラムの入れたものを作って渡して。前川さんはドラム入れずに渡してきます。中道さんはデモが上がってから好きに合わせてもらってる感じですかね。
ーーそこからどうやってアルバムにまとめていったんですか?
渡辺 : わりと僕がまとめてます。今回は23分ある長尺の曲が1つできて(3曲目「Lost And Found」)、これでA面1曲、B面2曲ぐらいのアルバムできるんちゃう? と思って。プログレでそういうアルバムあるじゃないですか。イエスとか。そういうのにしようと思って、前川さんに「A面の1曲はあるからB面の2曲作ってよ」って頼んだら、出来たのが3~4分のコンパクトな4曲だったので、その構想はなくなりましたね。大曲主義でやろうかと思ったら全然やらせてくれなかった。
ーーこの曲がキーワードになってきたのはどうしてなのでしょうか?
渡辺 : 単純に長いからかな。やっぱりアルバムの中で占める割合が多いから。曲順も一番最後にしようと思ってたけど、ちょっと疲れちゃうから3番目に持ってきて、その後はポップに。最初はものすごいコンセプトアルバムにしたかったんですけど、3曲でなくなったときに、逆にあんまりコンセプトが無さそうなアルバムにしたいと思ったんですよね。そのときの空気を入れた録音集みたいな、気軽で、音もわりとスタジオ・ライヴ的な感じの。
ーータイトルの『Inverse Mapped Tiger Moth』はどんな意味なのでしょう。
渡辺 : 機関車トーマスのTiger Mothが家でわりとフューチャーされてて。Inverse Mappingは逆写像って数学の用語で。どちらも字面がいいなって持ってきたものなので、あんまり意味はないんです。

ーーこういう字面の格好よさを重視するのって京都独特じゃないですか?
渡辺 : あー! そうかもしれない。
ーー山本(精一)さんにも通じるものがある気がします。
渡辺 : 無い綴りの単語とか好きやねんな。意味ない方がいいみたいな。
ーー数学が絡んできたり。こんなタイトル若い子つけないですもん。東京は特に。
渡辺 : ほんまやな。
ーーメンバー個々の拠点が東京だったり大阪だったりする中で、それでも30年ずっと一緒にやっていけているのはどうしてだと思いますか?
渡辺 : あんまり会わないのがいいのかも。ライヴは一緒にやらなきゃしょうがないからその間は部活みたいな感じで集まるけど、リハーサルのために集まったりしないし、曲を作るときはメールとファイルで大体やってる。たまに飲んだりはするけど。
ーーでも3人ともずっとConvex Levelを楽しんでやってる感じがありますよね。
渡辺 : 楽しんでるな。レクリエーションになるかなとはいつも思ってますね。本人たちのレクリエーションがまずは大事じゃないですか。それぞれにとって辛いことになったら意味ないし、赤字になったら嫌だから赤字にはならないようにそれだけの準備は絶対して。疲れないようになるべく無理はしないで。
ーーそのやり方がConvex Levelに適している?
渡辺 : ちょっとしんどくてもツアーをまわって、各地で生演奏をするのがバンドの機能のひとつだと思うから、ツアーをしないのはバンドとしては何か足りないなとも思ってはいますよ。でもまあ、しょうがないなと思って。やりたいのはやりたいけど、やっぱり無理をするとバランスが崩れるから。
車とデジタル化したときのドラマーの参加の仕方が未来の課題
ーー30年の間に社会にも皆さんにもいろんなことがあったと思うんですが、その経験は楽曲に反映されていると思いますか?
渡辺 : 全く含めようと思っていないですね。基本的には曲を聞いて何かを考えてほしいというより、頭を休憩させてもらいたいので、なるべく意味あり気でも、でもあんまり引っかからないように作ってます。最初の頃は英語で歌ってたけど、今は日本語だけで気にならないっていうところを。
ーー日本語になりだしたのっていつくらいからでしたっけ?
渡辺 : いつやったっけ。ZKのときは英語だったな。
ーー日本語と英語半々の時代もありましたよね。
渡辺 : よく考えたら半々って不思議やな。日本のバンドでもよくあるけど、日本語で歌っててサビでいきなり英語になるのって、あれ嫌な人は嫌みたいだよ。左脳がしっかりしてる人は日本語回路で聞いてたのに急に回路変えるなって思うらしい。
ーー今回はほとんど日本語ですね。
渡辺 : 日本語のほうがいろんな歌い方ができるから飽きないんですよね。そういえば、リミテッド(Limited Express (has gone?))の新しいアルバムにもこれまでだったら叫んでたような歌詞を真声で言ってて面白かったのがあったな。「あいつはアホすぎて話が通じない」みたいな曲。聞いてていきなり出てきてドキッとした(笑)。
ーーもはやこれはConvex Levelにとっては愚問だと思うんですけど、今後どういう活動をしていきたいと考えていますか?
渡辺 : そんなん書かんでいいよ!
ーーローリングストーンズは11年ぶりのアルバムを出しますが。。。
渡辺 : 長く続けてるバンドってある意味若い頃は気持ち悪かったけど、もう尊敬しますね。もう音楽的にどうのこうのじゃなくて、バンドなんて人だから、結局は組合せじゃない? 人付き合いの中でバンドって濃い方で、家族でもないのにずっと固定メンバーでいることってなかなかないですからね。前世わりと近かったとか、何かもともと縁がないと。
ーーConvex Levelの40周年も楽しみにしていますよ。
渡辺 : まずは健康であることですね。車の運転ができなくなったら楽器運ぶのも大変だし、もうライヴできないかもなと思って。で、そのときはそれこそファイルで色々できるからコンピューターでやることになる。そしたらドラムの人はやることなくなるかもしれない。そういうときに中道がどうやって参加するかとかその辺がポイントになってくる。車とデジタル化したときのドラマーの参加の仕方が未来の課題ですね(笑)。

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PROFILE

Convex Level
渡辺 良 Watanabe Ryo ’67 (guitars / vocals)
前川 健一 Maekawa Kenichi ’67 (bass guitar / vocal)
中道 圭介 Nakamichi Keisuke ’67 (drums / vocal)
Convex Levelとして渡辺と前川が高校時代に音楽活動を開始。当初は電子音楽ユニットであった。その後同じく高校の同級生のドラマー中道が加わり、渡辺、前川の2人も弦楽器に持ち替え3ピース・バンドとなる。以降、20数年に渡って同じメンバーでライヴ活動を続けている。息のあった演奏力と高度な音楽性で一部の音楽ファンの間で根強い人気を保っている。また、録音、ミックスやマスタリングをすべてメンバーが行い、ギターの渡辺は90年代に関西の数々のインディ・オルタナティヴ・バンドのプロデュースを手がけた。今はなきgreen recordsの主催者でもある。ベースの前川は、山本精一率いる羅針盤に参加するなど幅広い音楽活動を展開している。彼らの音楽からはさまざまなアーティストが想起される。例えば、CAMPER VAN BEETHOVEN、NEIL YOUNG & CRAZY HORSE、PIXIES、SONIC YOUTH、WIRE、JOY DIVISION、THIS HEAT、XTC、KING CLIMSONやPETER GABRIELなど。