2013/12/27 00:00

Sound & Recording × 渋谷慶一郎 『THE END』ピアノ・バージョン2曲をDSD配信

アグレッシヴな電子音から端正なピアノまでを自在に操り、音楽の新しい流れを切り開き続ける渋谷慶一郎。彼が2012年末より新たに取り組みはじめたのは、自身が音楽、原案、脚本を手掛け、ボーカロイドの初音ミクを主演に迎えた、世界初のボーカロイド・オペラ「THE END」。魂を持たないボーカロイド、初音ミクが"歌い"、そして"演じる"「死」と「再生」をめぐる本作。ルイ・ヴィトンのアーティスティック・ディレクターであるマーク・ジェイコブスが初音ミクの衣装を手掛けるなど、その音楽はもちろんのこと、映像、美術、ファッションの世界でもおおいに話題となり、2013年11月にはパリ・シャトレ座で海外公演で大成功を収めた。その公演と同時にCD版『THE END』がリリースされ、このプロジェクトはひとつの完成を見せた。

『Sound & Recording』誌の企画のもと、その『THE END』のなかから「時空のアリア」と「死のアリア」の渋谷本人によるピアノ演奏バージョンが新たに録り下ろされた。しかもDSD2.8MHzでの収録。OTOTOYではその貴重な音源を独占配信!!

渋谷慶一郎 / THE END Piano version(2.8MHz DSD+mp3 ver.)

【配信価格】
2.8MHz DSD+mp3 まとめ購入のみ 500円

【Track List】
01. Aria for Time and Space (Aria)_Close
02. Aria for Time and Space (Aria)_Far
03. Aria for Death (Aria)_Close
04. Aria for Death (Aria)_Far

エンジニアにはzAk、録音は、以前に彼が亡き妻のため音楽葬を行ったsonorium。SONYが今秋、発表したDSD対応のハンディ・レコーダー、PCM-D100にてオンマイク、オフマイクで録音を行った。まったく同じテイクのため、純粋にマイク位置の違いを聴き比べることができる。

「ノイズ、サウンドということをずっと追求してきた渋谷慶一郎が、ふと気付いたら『for maria(2009年)』でピアノを弾いていた。ピアノには12音の音階しかないし、ピアノの音色しかないわけじゃないですか。しかも、渋谷さんって芸大でクラシックやって、電子音響やってっていうハードなイメージがあったのが、ピアノを弾いたら、不思議なチャーミングさがあった。」(電子版音楽雑誌「ERIS」第五号「渋谷慶一郎×高橋健太郎」より)

高橋健太郎が述べるとおり、渋谷慶一郎のピアノは、様々な豊かな表情を見せる。DSDの繊細な音質でこそ、その豊かな表現は本領を発揮すると言えるだろう。そのピアノの音を2バージョンの違いやPCM-100の性能を感じつつ、ぜひじっくりと楽しんでいただきたい。

Sound & Recording Archive

清水靖晃+渋谷慶一郎 / FELT

文化庁主催の東京見本市2010 インターナショナル・ショーケースの一環として、池袋・東京芸術劇場 中ホールで行われた公演の記録。ともにアコースティックと電子音楽を行き来しつつ先鋭的な音楽を作り続けるアーティストだが、このコンサートが初顔合わせ。バッハを下敷きに、演奏家同士のセッションというよりは、作曲家同士がひとつの音響空間を作り上げていくようなパフォーマンス。当初は作品化を予定していなかったため、セッティングされたマイクはあくまでもPA用。また、収録に使用した2台のKORG MR-1000は同期が取れない仕様のため、ミックスに際してはKORG AudioGateで24ビット/192kHzのPCM信号に変換。そのデータをSTEINBERG Nuendoから再生し、アナログ・コンソールでミックスしたものをMR-2000Sにミックス・ダウンしている。


Premium Studio Live シリーズ

レコーディング・スタジオでの一発録りをライブとして公開し、そこでDSD収録した音源を配信するイベント

Cojok+徳澤青弦カルテット / QUANT

“Premium Studio Live”第6弾。Kcoと阿瀬さとしによる2人組ユニットCojokとチェリスト徳澤青弦が率いる弦楽四重奏を、音響ハウスSTUDIO 1に招いて行った際の記録。阿瀬がコンピューターやギターを使って繰り出すエレクトロニックなサウンドと、カルテットによる繊細かつアグレッシブな演奏とが解け合う中、Kcoのボーカルがスタジオに高らかに響き渡る。さらにはそこにゲストとして登場した屋敷豪太と根岸孝旨の2人による強力なリズム、権藤知彦のエフェクティブなフリューゲルホーンのサウンドも加わり、ダイナミックな音像が立ち現れていく様はまさに圧巻。そんな見事な音像を作り上げたのが、YMOを手掛けたことで知られるレコーディング・エンジニア飯尾芳史氏。Premium Studio Live史上、もっともゴージャスなサウンドに仕上がった本作をご堪能あれ。


青葉市子+内橋和久 / 火のこ

“Premium Studio Live”第5弾。クラシック・ギターの弾き語りで独特な歌世界を展開する青葉市子と、アルタードステイツやソロで即興演奏を展開するギタリスト内橋和久の2人を、サウンドバレイA studioに招いて行った際の記録。内橋がエフェクトを多用したエレキギターや、“ダクソフォン”という木製の薄い板を弓やハンマーで演奏する楽器を使いさまざまな音色を鳴らす中、青葉の透明感のあるボーカルとギターがくっきりと浮かび上がる。この日のために2人で合作した「火のこ」では、観客が割るエアーキャップの破裂音で“火の粉”が飛び散る様子も演出。後半からはゲストとして小山田圭吾も参加し、ドラマティックな即興演奏やsalyu × salyu「続きを」のカバーを披露。稀有な才能を持つ歌い手の潜在能力を、稀代の演奏家が唯一無二のサウンドで解き放っていくさまを確かめてほしい。


マイア・バルー+アート・リンゼイ

“Premium Studio Live”第4弾。ピエール・バルーを父に持つ東京生まれパリ育ちのシンガー&マルチミュージシャンであるマイア・バルーと、アメリカ生まれブラジル育ち、DNAやアンヴィシャス・ラヴァーズでの活動で知られるアート・リンゼイを招いて行った際の記録。会場はサウンド・シティAstudio。フル・オーケストラの収録も可能という広大な空間であり、壁面が石造りということも手伝って絶妙な響きを生むことで名高い。そんな最高のスペースにおいて、アートが繰り出すノイジーなギターと、マイアの声そしてフルートの息づかいが、粒子のようにきめの細かいサウンドとなって流れていく。それぞれの持ち曲を交互に演奏しつつ、そこに即興的な絡みが入ることで、元曲とは色合いを異にした魅力が生じていくさまはとてつもなくスリリングだ。


大野由美子+zAk+飴屋法水 / scribe

“Premium Studio Live”第3弾。バッファロー・ドーターの大野由美子と、その公私にわたるパートナーであるエンジニアのzAk、そして美術や舞台芸術の分野での活躍で知られるアーティスト=飴屋法水の3人を招いて、ST-ROBOにて行われた際の記録。リハも行わない完全即興という、まさに予測不能な状況の下、大野がMinimoogやスティール・パンで繰り出す音を、zAkがリバーブ/ディレイで加工して場内をフィードバック音で満たし、飴屋は画びょうのついたギターを手の平でさすったり、バイオリン・ケースのファスナーを開け閉めしたりと、ハッとするような音を出してアクセントを付けていく。楽音が極端に少ないにもかかわらず、全体の流れに紛れもなく音楽を感じてしまう不思議に陶酔感のあるセッション。


原田郁子+高木正勝

“Premium Studio Live”第2弾。クラムボンの原田郁子と、映像作家としても活躍する高木正勝の2人を招いて行われた際の記録。会場となったのは東京・市ヶ谷のサウンドインスタジオBstで、天井高のあるスタジオに2台のグランド・ピアノ……STEINWAYのフルコンサート・サイズとセミコンサート・サイズを設置。良質な響きの中で、原田と高木がそれぞれ自由にピアノを弾きながら、お互いの作品を変奏し合うようなセッションが繰り広げられる。原田の力強いボーカル、高木の繊細なボーカルそれぞれの魅力を存分に味わうことができるほか、飛び入りで参加したOLAibiを交えてのリズミックなパートも聴きもの。


大友良英+高田蓮

“Premium Studio Live”第1弾。東京・一口坂スタジオ Studio 1に、即興演奏家として名高い大友良英と、マルチ弦楽器奏者である高田漣の2人を招いて行われた際の記録。EBOW E-Bow Plusを使って生成されたアンビエントなサステイン・サウンドや、アコースティック・ギターやスティール・ギター、さらにはパーカッションやターンテーブルを使ってのノイズ、そして電子音など、さまざまな音源によって繊細かつ濃厚なサウンド・スケープが描かれていく。一発録りだけではなく、3台のKORG MR-2000Sを同期運転させ、ピンポンによるダビングも敢行。スタジオの機能、そして居合わせた観客の力も存分に借りつつ、極上の音世界を現出させた。

>>Sound & Recording Magazineレーベルの他作品はこちら

LIVE INFORMATION

Keiichiro Shibuya Playing THE END

〈東京公演〉
■日時
2013年12月27日(金) 開場 19:00/開演 20:00
2013年12月28日(土) 開場 18:00/開演 19:00
■チケット予約ページ
「Keiichiro Shibuya Playing THE END」ATAK公式予約ページ
※受付でお名前を整理番号をお伝え頂き、当日現金精算となります。
■料金 前売り券 5,000円/当日券 6,000円
■会場
スパイラルホール(SPIRAL 3F)
〒107-0062 東京都港区南青山5-6-23 SPIRAL 3F
■お問い合わせ
info@atak.jp

〈大阪公演〉
■日時
2014年1月26日(日)
1stステージ : 開場 15:30/開演 16:30
2ndステージ : 開場 18:30/開演 20:00
■料金
自由席 5,000円/カジュアル席(1DRINK付)5,000円
■チケット
ビルボードライブ大阪のWEBに加えて、以下のプレイガイドからも購入できます。
チケットぴあ(P: 217-736) 0570-02-9999 : http://t.pia.jp
e+ : http://eplus.jp
■特設サイト
http://www.cyoweb.com/keiichiroshibuya2014
■会場・お問い合わせ
ビルボードライブ大阪/Billboard Live OSAKA\
〒530-0001 大阪市北区梅田2-2-22 ハービスPLAZA ENT B2F

PROFILE

渋谷慶一郎

音楽家。1973年生まれ。東京芸術大学作曲科卒業。2002年に音楽レーベルATAKを設立、国内外の先鋭的な電子音楽作品をリリースする。代表作に『ATAK000+』、『ATAK010 filmachine phonics』など。

2009年、初のピアノ・ソロ・アルバム『ATAK015 for maria』を発表。
2010年には『アワーミュージック 相対性理論 + 渋谷慶一郎"』を発表。
以後、映画「死なない子供 荒川修作」、「セイジ 陸の魚」、「はじまりの記憶 杉本博司」、「劇場版 SPEC~天~」、TBSドラマ「SPEC」など数多くの映画音楽を担当。2012年には『サクリファイス 渋谷慶一郎 feat.太田莉菜』、『イニシエーション 渋谷慶一郎 + 東浩紀 feat.初音ミク』を発表、コンサート 『ジョン・ケージ生誕100年記念コンサート One(X)』をプロデュース。同年、初音ミク主演による世界初の映像とコンピュータ音響による人間不在のボーカロイド・オペラ「THE END」を山口情報芸術センター(YCAM)で制作、発表。初音ミク、及び渋谷慶一郎の衣装をルイ・ヴィトンが担当し、斬新なコラボレーションが話題を呼んだ。2013年5月、東京・渋谷のBunkamura・オーチャードホールにて、「THE END」東京公演を開催。同年11月には、パリ・シャトレ座にて「THE END」パリ公演を大成功させ、大きな話題となっている。また同時に『ATAK020 THE END』をソニーミュージック、およびソニーミュジック・フランスから発表。同作品は2014年にヨーロッパを中心とした巡回も決定している。

>>ATAK Official HP

[レヴュー] keiichiro shibuya, 渋谷慶一郎

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