2012/06/22 00:00

OTOTOYローカル・コンピレーション・シリーズ第4弾は、福岡!!

マジックスクエアビルの異様な佇まい、元祖長浜ラーメンの食べ方、音楽の楽しみ方、イベントの楽しみ方、打ち上げの楽しみ方、充分な機材が揃ってない中でのイベントの作り方、そしてローカル・シーンの苦しみ、繋がり...。全部、福岡のバンドマン達に教えてもらった。東京から車で15時間かかる福岡の音楽シーンと出会わなければ、今の自分はなかっただろう。

2010年、フリー・ペーパーTIME MARKETやcafe and bar gigiを運営していた福岡音楽シーンの中心人物、藤井よしえが亡くなった。2011年、マジックスクエアビルにあるKieth Flackが風営法の摘発をうけた。大好きな福岡の音楽シーンが、大きな変革期を迎えていると、TIME MARKETの中村信一朗が話してくれた。その時に、京都、名古屋、埼玉と続けて来たこのローカル・シーンの特集を、今こそ福岡で行おうと思った。今の福岡音楽シーンを、知りたい! そして知って欲しい! 福岡で毎晩起こっている熱量を、そして次々と新しい音楽が生まれていることを。僕は、福岡の音楽シーンが大好きだ。

インタビュー :
マキノショウ(Kieth Flack店長、step lightly)
ボギー(ヨコチンレーベル、nontoroppo、MOA)
高倉知温(wood/water records、Autumnleaf)
石井勇(wood/water records、Autumnleaf)
松浦浩司(とんちピクルス)
中村信一朗(TIME MARKET)

進行 : 飯田仁一郎(Limited Express(has gone?))/OTOTOY/BOROFESTA)
文 : 宮川純

>>>『イマ福岡デ ナッテイル音楽』のフリー・ダウンロードはこちらから
(配信期間 : 2012年6月22日~2012年8月21日)

福岡音楽シーンの未来を担う20組! 2ヶ月限定フリー・コンピレーション

福岡で活動しているアーティストの中から、中村信一朗(TIME MARKET)がキュレーションした、20組の楽曲を収録。これぞ、まさに2012年福岡ローカル・コンピレーション・アルバム決定版!!

『イマ福岡デ ナッテイル音楽』
01. YA SU KU NI (Unpublished Ver)(百蚊)
02. 白いヤミの中(step lightly)
03. Southern Slaves (No Resort)(accidents in too large field)
04. 5月の[魚]///(DELTAS)
05. ルワンダの夕焼け(如何に崇高な精神といえども、顔面が伴わなければ『彼女』はできない。)
06. 風才(SNOPPY)
07. 静かなメロディ(Danro)
08. 藤田のおっさん(THE VOTTONES)
09. 忘れてゆくのに(the camps)
10. Rock'n Roll Sunday(folk enough)
11. オーロラ(魚座)
12. Happy Turn(Nomson Goodfield)
13. SUBBI DUBBI pt.4(NONCHELEEE)
14. mirainosekai(family)
15. 光(2907831)
16. プラカラーオーバードーズ(ボギー)
17. Behind The Door(Autumnleaf)
18. まんこにタッチ(とんちピクルス)
19. トルエン売り(ポカムス)
20. 集え能古島(倉地久美夫)

配信期間 : 2012/6/22~2012/8/21
キュレーション : 中村信一朗(TIME MARKET)
マスタリング : 高橋健太郎
ジャケット・デザイン : 中村信一朗(TIME MARKET)

>>中村信一朗、ボギー、高倉知温による収録アーティスト解説はこちらから

ジャンルとか年代によって出るハコの棲み分けがあった(ボギー)

——今回は、お集まりいただきありがとうございます。まずは、簡単に自己紹介をお願いします。

マキノショウ(以下、マキノ) : ライヴ・ハウス「Kieth Flack」の店長、あとstep lightlyというバンドをやっています、マキノです。よろしくお願いします。

——Kieth Flackの店長はいつからやってますか?

マキノ : 8年前くらいですかね。店の中で役割分担が色々あるんですけど、僕は基本、フロア・マネージャーです。ブッキングは担当者が別にいます。東京のバンドを呼んだりするときは、僕が仕切ってやっています。

——続いてOTOTOYではおなじみですね、ボギーさんお願いします。

ボギー : はい。ヨコチンレーベルの主宰と、nontoroppoやMOAというバンドをやっているボギーです。あと「LOUNGE SOUNDS(脚1)」や「ハイコレ(脚2))」というイベントをずっと企画しています。

——では、松浦(浩司)さん。

松浦浩司(以下 松浦) : とんちピクルスという名前で活動しています。他には、屠殺器というノイズ・ユニットとか、劇団次郎粉座(じろこざ)というのをやったりしてます。

ボギー(ヨコチンレーベル、nontoroppo、MOA)

——なるほど。では、高倉(知温)さん、石井(勇)さん。

高倉知温(以下 高倉) : wood/water recordsというレーベルと、Autumnleafというバンドで活動している、高倉です。
石井勇(以下 石井) : 同じくwood/water recordsの石井です。

——福岡には沢山のレーベルがありますか?

高倉 : 実際活動的なレーベルはそんなにないかもしれないです。

——そんな中、wood/water recordsは活発にやっていると。

高倉 : そうですね。レーベル主催のイベント等もやっています。

——そして、中村(信一朗)さんですね。

中村信一朗(以下 中村) : 「TIME MARKET」というフリー・ペーパーを作っています。

——ありがとうございます。ではまず、福岡の大きな流れを知りたいのですが、福岡で音楽好きが集まる場所はどこでしょうか?

ボギー : 俺は今30代後半ですけど、若かった時は、大バコのライヴ・ハウスのLOGOS(脚3)とかはまだなくて、Be-1(脚4)、VIVRE HALL(脚5)、西新(脚6)にJA-JA、フォークだったら照和(脚7)があるという感じ。あとは、例えば呑み屋で弾き語りとか、バーでジャズとか、そういう感じです。ライヴ・ハウス自体は少なかったですよね。あとHEART BEAT(脚8)もありましたよね。

松浦 : ありましたね。まだあるんだっけ?
マキノ : ありますね。
ボギー : 高校生バンドだったら、今はないですけどアミーとかに出てましたよね。当時は、ジャンルとか年代によって出るハコの棲み分けがあったように感じます。

——では、現在盛り上がっているライヴ・ハウスってどこですか?

ボギー : 薬院(脚9)のUTERO(脚10)とか親不孝通りのgraf(脚11)とか四次元(脚12)とか、ハコが若い人たち引っぱって頑張ってる印象ですね。
高倉 : UTEROは、ツアー・バンドが来やすいのかなと思います。

——ボギーさんがイベントをしているVooDoo Loungeはどんな状況ですか?

ボギー : ブードゥー(VooDoo Lounge)(脚13)はヒップ・ホップとかレゲエのイメージも強いハコなんで、バンド・シーンを引っぱってる印象ではないかも。でもとても独特で面白いハコです。

——皆さんが若い頃は、どういうライヴ・ハウスを目指していましたか?

マキノ : ボギー君は、VIVRE HALL出身やね。違う?
ボギー : 俺は元々はバンドやなくて弾き語りから始めたんで照和ですね。VIVRE HALLは吉田さん(吉田肇/PANICSMILE)とかが働いてたから、アヴァンギャルドなバンドもよく出てた。

——当時の福岡のシーンから東京に活動の拠点を移したバンドと言えば、PANICSMILEやNUMBER GIRL、MO'SOME TONEBENDERとかその辺りですよね? 彼らは当時どういう存在だったんですか?

ボギー : 当時の福岡のバンド・シーンには縦社会的な面も根強くあって、そこに息苦しさを感じた人達がジャンルを超えて新しいものを作り始めて、その中にNUMBER GIRLとかPANICSMILEがいたんだと思います。90年代半ばですね。だから、カウンター・カルチャー的に発生したようなバンドがVIVRE HALLに集まってたんです。当時は吉田さんがそういうバンドを集めた企画もやってましたね。

——それは1つの大きなイベントというわけではなくて?

ボギー : ライヴ・ハウスの企画としてですね。そして、それをやりつつ、吉田さん達はHEART BEATで月1回、金曜日にオール・ナイトで「チェルシーQ(脚14)」っていうイベントを開催してたんです。
マキノ : その当時、バンドのライヴでオール・ナイトって無かったんですよ。ちゃんとDJブースがあってDJがいるっていうのも、チェルシーQが最初じゃないかな。クラブ文化はクラブ文化であったんだけど、バンドと一緒っていうのは初ですかね。

——どれくらい盛り上がっていました?

ボギー : 当時、バンド主催のイベントがめちゃくちゃ少なかったんですよ。ハコが今よりもっと権威を持っていて、デモ・テープを持って行ってオーディションに受からないと出れないみたいにとても敷居が高かった。ハコがバンドを育てるみたいな感じも強かったです。
マキノ : でも、チェルシーQは誰が出とってもよかったんですよ。「今回はグラインドサアフ(脚15)が出るから行く」とかじゃなくて、行ったら誰かおるけん、誰が出てても行くんですよ。そしたらやっぱり誰か友達がいるから楽しかった。そういうノリは初めてだったと思います。
ボギー : 俺は、「たま」が好きやったけん、イベントのことを知らんと石川(浩司)さん+突然段ボールを観に行ったらPANICSMILEが出とって凄い衝撃を受けた。
中村 : チェルシーQに行ってた当時、僕は高校生でした。チェルシーQをリアル・タイムで見に行ってた一番下の世代だと思うんですが、バンドの主催ってことが斬新だったんですかね?
マキノ : 多分そうだと思います。吉田さんがおれば安心というのもあった。
ボギー : 斬新だったのは、当時、街中にライヴのポスターが貼ってあったんですけど、バンドのチラシっていうと全部白黒の粗い手書きのパンクな感じばっかりだったのが、チェルシーQはデザイナーをちゃんとつけて一回一回フライヤーをカッチリ作ってたんですよ。
中村 : 確かチケットも一回一回、形が違って洒落てましたね。

——そんなことしてたんですか!?

中村 : チケットとフライヤーがちょっとリンクしたようなデザインになっていて、毎回チケットの形が違ったりして、あれはお洒落でした。
ボギー : やっぱりそういうお洒落なポスターが街中に貼ってあったら目を引きますよね。カラーでしっかり印刷もしてあるし。チェルシーQにはデザイナーもいるし、写真家の人もいたし、DJもちゃんといましたね。

——当時の動員はどれくらいあったのでしょう?

マキノ : 人はおったと思いますね。今よりは絶対いた。
ボギー : 初期は知らんけど、後半とかはもの凄かったですね。でも、長くやってたイメージがあるけど実際は3年くらいらしい。

——なるほど。高倉君(現20代)の世代になってくると、福岡の音楽シーンを体験したのはいつ頃だったのでしょう?

高倉 : 僕は元々、うきは市という福岡とは離れた田舎で育って、通販なんかでメロコアとかハードコアの情報を知りながら、地元でイベントとかをやってたんですよね。福岡に来ると、必ずKieth FlackかVIVRE HALLに行ってた気がします。
石井 : あと、カメレオンレコード! 情報が少なかったので、そこにあるフライヤーを全部もって帰ってきてました(笑)。まだ家の引き出し開けたらフライヤーばっかりありますよ。カメレオンレコードには独自のチャートがあるんですよ。Screaming Fat Rat(脚16)とかが1位や2位だったりして、すげー売れてるバンドなんだなって思っていましたね。

——カメレオンレコードとは?

マキノ : ボーダーラインレコードという中古レコード屋がやってたインディーズを中心に扱ってたレコード屋なんですよ。俺、働いてた(笑)。
ボギー : バンドマンが結構おったよね。
中村 : 埋火の見汐(麻衣)さんとかも働いてましたよね。
マキノ : 90年代はカメレオンが福岡インディーズの中心だったと思いますね。
中村 : 地元のインディー・バンドのCDいっぱいありましたもんね。
ボギー : 親不孝通りにUK Edisonってレコ屋もあって、そっちはパンク/ハードコア寄りだったんですけど、地元のバンドもちゃんと置いてくれてて。福岡のインディーズではエジソンかカメレオン。

福岡が好きだったし、東京に行く意味がないと思ってた(石井)

——高倉君はチェルシーQが終わって、時代というか流れが移り変わっていくのを感じましたか?

高倉 : わからないな。その頃はほとんど触れてないに近いですね。最近になって自分達で活動していくようになってから知った感じです。

——なるほど。では2000年代になってからの福岡はどんな様子ですか?

石井 : 最近は細分化がすごいんじゃないですかね?
マキノ : かもしれない。チェルシーQは色んなジャンルが出演出来たから良かったけれど、チェルシーQ以降は、それぞれが自分でやらなきゃいけなくなったというかね。吉田さんや向井(秀徳)さん達が東京に行って、そこから皆がそれぞれでやるようになった気はする。
ボギー : チェルシーQでいい流れになって、他にも格好良いバンドが沢山いるから福岡全体が盛り上がればいいなと思ったんだけど、お客さんがドーンって減ったんですよ。それで、ライヴ・ハウスにお客さんを呼び戻そうということで始めたのが総決起集会(脚17)やから。
中村 : やっぱり90年代の終わりからバンドが色々主催するようになった感じですかね。
ボギー : うん。まあ「もっと前からやってたぜ」っていう人絶対おると思うけど、知らんかった。
松浦 : 僕は客として行ってたんですけど、やっぱりTIME MARKETの存在は大きかったですね。ハード・コアのイベントは行ってなかったんでその辺の流れはわからないですけど、nontoroppoとfolk enough(脚18)とガロリンズ(脚19)、この辺の人達が次の世代を作っていました。

——その頃、Kieth Flackはどんな状況でしたか?

マキノ : ボギー君達のでっかい公園を借り切ってイベントをやるような総決起集会の流れを横目で見つつ、ハードコア系の人はウチに集中してましたね。あとサイコビリーとか。当時が一番イベントを打っていたかもしれないです。
ボギー : 同世代ではあるけど、それぞれのやり方でやってきたと思う。総決起集会を10年間やってきたのも、あくまでも自分の周りを盛り上げたいっていう意図でやってたから、福岡全部を取り込んでやろうっていう風には思わなかった。

folk enough

——そうした2000年代を経て、今、2010年代の福岡の状況はどうですか? 2011年に藤井(よしえ)さんが亡くなって、総決起集会も一旦終わりをつげたわけですけど。

ボギー : 個人的には、今はやぐらの上に立ってわっしょいっていう気持ちじゃないですね。藤井さんが病気になって亡くなるまでの一年っていうのはものすごくエネルギーを使ってしまって、疲れちゃったんですよ(笑)。だから今はちょっとエネルギーを再び蓄えている。
マキノ : それわかる。前は企画やってシーンを盛り上げたいって思ってたんですけど、今は自分のバンドをやりたい。ボギー君は今でもイベントをやってるけどね。バリバリやりようけど。

——そういえばやってますよね(笑)。ハイコレ、今何回ですか?

ボギー : 今116回(笑)。
マキノ : ボギー君が一番凄いと思うよ。全然休んでないでしょ。

——松浦さんはどうですか? 松浦さんの目線から今の福岡を見ると。

松浦 : 最近あまりライヴに行けてないですけど、新しいバンドはどんどんでてきているなっていう気はします。ボギー君がやってるイベントも色んなバンドが出てるな、面白いなと思いますね。

——その中で、目立ってきてるバンドは出てきていますか? シーンと共にデカくなっていきそうなバンドっていうのは。

高倉 : ちょっと前だと、Holidays Of Seventeenは福岡にいながら東京のレーベルでCDを出したりもしてましたね。でも、シーン意識みたいなのは特になかったと思います。自分達が楽しければいいっていう感じだと思います。でも、ツアー・ファイナルをKieth Flackでやられてたんですけど、あの時はパンパンに入ってました。

——他にもありませんか? 格好良いだけじゃなくて、シーンを引っ張っていけそうなバンドは?

ボギー : うーん、格好良いとか面白いなってバンドは山ほどいますけど、こいつらが一番っていうのは思い浮かばないです。ライヴしたらめちゃくちゃ人が集まるとか、噂が噂を呼んで… みたいなバンドは、まだちょっとないですね。ここ10年以上ないです。
中村 : ポットンズとかめっちゃ頑張っていますけどね。

——現在の若い福岡のバンドマン達は地元志向が強いのか、それとも東京に目が向いているのか? どっちなんでしょう?

中村 : 若いバンドでガツガツしてるバンドは、心当たりはないですね。自分の音楽で売れてやるっていう、昔ながらのバンドっぽいバンドっていうのは、ほとんどいない気がします。
石井 : あっ、でも僕らは昨日ライヴだったんですけど、話を聞いてる限り、僕らより若いバンドで、東京に行くのは多いですね。どれくらいの意識で東京に行ったのかわからないですけど。ただ、僕らの世代はほとんど東京に行ってないかもな。

左から高倉知温(Autumnleaf)、マキノショウ(Kieth Flack店長、step lightly)

——それはなぜでしょう?

石井 : 僕らは基本的に福岡が好きだったし、東京に行く意味がないと思ってて。ネットがあるから、今でも東京中心ではあると思うけど、あまりそういう風にとらえない方がいいんじゃないかなと思って。
ボギー : でも、やっぱり音楽で飯を食おうって思っているの?
石井 : 一番最初はあったんですけど、もうあんまりないかな。
高倉 : ないというか、僕自身はできないと思いますね。それなりの土壌があるわけではないし、何かしら絶対無理がくるんで。やっぱり音楽やっててそういう無理はしたくないんですけど、いかにも会社員をやりながら音楽をやるっていうスタイルも違うなとは思ってて。そしたらやっぱり、自分のライフ・スタイルと音楽の垣根をなくして、そこでどう売り上げを上げていくかっていうのを模索しています。

——前半最後に、九州とまとめるのはとても乱暴かもしれませんが、福岡以外の状況はどうでしょう?

マキノ : 鹿児島がすごいらしい。
ボギー : らしいね。和太鼓みたいなのがおるハードコア・バンド(なんてバンドでしょう? )が、祭りみたいなことをやってるっていうのを聞いた。
マキノ : あと宮崎。バンド・シーンがすごいらしい。バリバリ盛り上がるらしい。あと大分の別府は面白くなると思う。

——それは何故?

マキノ : 呼んでもらった時に、温泉のイメージしかなくて恐る恐る行ったんですけど、まあ人は多くなかったけど、どかーん! と盛り上がりましたね。なんか近くに外国人のいる国際大学があって、そいつらがめっちゃ遊びよる。今度200人キャパくらいのクラブが出来るらしい。

——長崎はどうですか?

中村 : VELOCITYUTが独自な動きをしていますね。
マキノ : 福岡は小さな東京みたいなもんで、イベントもバリバリかぶっとうし、毎日なにかしらやってて見慣れてる。けどちょっと離れると、イベントを皆待ってるし、チケットを買ったことに対する楽しみ方を知ってる。
中村 : それは筑豊(脚20)に行ったときに感じましたね。筑豊もライヴ・ハウスがないからどっか場所を借りて機材持ち込んでステージを組んで、その日だけ電気引いてもらってイベントをやるんですよ。だから演奏する側もすごい気合はいってるし、見る側も今回逃したら次は半年後まで面白いことないかもしれないからって、うきうきしてやって来るし。
ボギー : やけん、行ったらすごい盛り上がってるように感じるよね。大牟田(脚21)もそうだし。「めちゃくちゃエネルギッシュやなぁ」って思う。
マキノ : 音源も買ってくれるし、Tシャツも買ってくれるし。あれは元気をもらうよね。
ボギー : 熊本のDoit Scienceのように、音楽の土壌が大きくない所からポンって出てくるバンドって異常な世界観を持ってたりするよね。

インタビューは、後半へ。風営法と福岡ライヴ・シーンの現状。

(脚注1)LOUNGE SOUNDS : ヨコチンレーベル・ボギーがVooDooLoungeで月6〜7ペースで開催しているライヴ・イベント。「ローカルシンポジウム」「40人弾き語り」「完全コピーバンド大会」等、名物企画を多数生みだす。
(脚注2)ハイコレ : 1997年から続くヨコチンレーベル・ボギーのライフ・ワーク的な主催イベント。全国各地から個性的な音楽家が集まる。
(脚注3)LOGOS : 福岡市で最大キャパ(900人収容)のライヴ・ハウス。後述のBe-1系列の店舗。メジャーのツアー・バンドが使用することが多い。ちなみに福岡ではLOGOSをステップ・アップすると、次に大きいハコはzepp(2000人規模)ということになる。
(脚注4)Be-1 : 福岡の老舗ライヴ・ハウス。90年代までは博多駅地区で営業。1999年に親不孝通りへ移転。
(脚注5)VIVRE HALL : ファッション・ビルVIVREの最上階にあるライヴ・ハウス。福岡都心の天神のど真ん中にある。
(脚注6)西新 : 福岡市西部地区の副都心。周辺に大学・高校が点在しており、学生街としても知られる。福岡都心の天神からは地下鉄で15分。
(脚注7)照和 : 福岡市都心の天神にあるライヴ喫茶。フォーク全盛の70年代に多くのアーティスト(チューリップ、長渕剛、海援隊、井上陽水など)を輩出。
(脚注8)HEART BEAT : 福岡市都心の天神にある老舗ライヴ・ハウス。
(脚注9)薬院 : 福岡都心の天神からやや南のエリア。天神から電車で1駅の距離。
(脚注10)UTERO : 前述の薬院エリアにあるライヴハウス。福岡市内では最も最近オープンしたライヴハウス。コンピに参加している百蚊のベース・原尻が店長をしている。
(脚注11)graf : 親不孝通りにあるクラブ・ライヴハウス。キャパ250人程度で(福岡では)中バコの一つ。
(脚注12)四次元(Public Space 四次元) : 福岡市都心の天神の北地区にあるライヴ・ハウス。親不孝通りにあったデカタン・デラックスというクラブで行われていたライヴ・イベント「絶頂天」の運営メンバーが設立。
(脚注13)ブードゥー(VooDoo Lounge) : 天神/親不孝界隈のクラブ/ライヴ・ハウスでキャパ(300人)。独特のエキゾチックな内装がインパクトあり。
(脚注14)チェルシーQ : PANICSMILEが始めたレーベル・Headache soundsが主催していたオール・ナイト・イベント。90年代の福岡バンド・シーンで重要な役割を果たし、伝説的に語られることも多い。PANICSMILE、Number Girl、RUMTAG(の前身バンド)、ロレッタセコハンなど様々なジャンルのバンドが出演していた。
(脚注15)グラインドサアフ : 90年代の福岡の代表的なハードコア・バンド。メンバー・チェンジを経て、現在はハカタサイコスというダブ・バンドに活動の軸足が移る。
(脚注16)Screaming Fat Rat : 90年代に活動していた福岡のメロディック・パンク・バンド。
(脚注17)総決起集会 : electronics guitar、ヨコチンレーベル、TIME MARKET3団体共催の野外フェス。10年間続いた後、2009年に終了した。毎年、4月下旬に開催。フリーライヴとして開催し、必要経費は企業・店舗の協賛金やお客さんの募金で賄うという形態で運営していた。最終的には1000人以上動員するイベントに成長した。
(脚注18)folk enough : イベントelectronics guitarやレーベルe.g.recordを主催するバンド。井上周一を中心に結成され、福岡で長く活動する。
(脚注19)ガロリンズ : TIME MARKET代表であった藤井よしえが幼馴染と始めたガールズパンク・バンド。藤井よしえ逝去により、永久活動休止。
(脚注20)筑豊 : 福岡市、北九州市、大分県に挟まれた地域。かつては炭鉱で栄えた地域だが、最近では地盤沈下が著しい。
(脚注21)大牟田 : 福岡県と熊本県の県境にある福岡県側の街。県境にありながら、電車に乗ればわずか1時間で福岡市の都心に出れる。
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