これまでのインスト・バンドの常識を覆す、カゲロウがOTOTOYに初登場

ジャズ・パンク・バンド「カゲロウ」が、サード・アルバム『KAGERO Ⅲ』をリリース! サックス、ベース、ピアノ、ドラムの編成で、アグレッシヴかつ抒情的なナンバーを弾き倒す4人組だ。自主イベント「club TEQUILA」の開催、VILLAGE VANGUARD限定シングルの発売、映画主題歌のカバー・アルバムのリリース、あまたのVAへの参加など、精力的に活動中。OTOTOY初登場となる今回、サックス、ベース、ピアノの3人に話を聞いた。

取材&文 : 福アニー
インタビュー写真 : 畑江彩美

タブゾンビ(SOIL & "PIMP" SESSIONS)ゲスト参加の3rdアルバム

カゲロウ / KAGERO Ⅲ

JAZZ、PUNK、HARDCOREを消化した独自のサウンドでシーンにおいて唯一無二な存在感を放ってきたカゲロウが、前作から1年というスピードでオリジナル・アルバムとしては通算3作目となる『KAGERO Ⅲ』をリリース。2011年4月から6ヶ月連続でYouTube上で発表されたシングル曲、「GAS」、「PAINKILLER」、「FRISBY AND THE MAD DOG」、「YELLOW」、「a bird in the cage」、「sheepeless, but feel alright」の6曲と、ドラマチック度満点の「HYSTERIA」、タブゾンビ(SOIL & "PIMP" SESSIONS)をフィーチャリングした「LIBERTINE SPECIAL feat. TABU ZOMBIE」を含む、全12曲を収録。

【Track List】
01.GAS / 02.LIBERTINE SPECIAL / 03.sheepless, but feel alright / 04.HYSTERIA / 05.YELLOW / 06.ONE DAY / 07.PAINKILLER / 08.MIST / 09.BLACK MIG / 10.a bird in the cage / 11.FRISBY AND THE MAD DOG / 12.DRILL LINER

INTERVIEW

——OTOTOY初登場ですね。まずは結成のきっかけを教えてください。

白水悠(Bass、以下白水) : もともと大学の軽音楽部で、ドラムの貴之とサックスのRUPPAさん、当時のピアノの奈緒が一緒だったんです。よく貴之と僕のふたりでセッションみたいのやってて、んでサックスとかピアノとかいるといいなと思ってRUPPAさんと奈緒を誘って。

——貴之さんとはどんな音楽をやっていたんですか。

白水 : ドラムとベースで成立することをやろうって言ってて。そこにサックスとピアノを入れたら渋くね? と思って。それが2005年…。
佐々木瑠(Sax、以下RUPPA) : 初ライヴの2、3ヶ月くらい前だから…。
白水 : 2005年の1月にはバンドになってたかもね。

——自分たちが影響を受けた音楽を、バンドに落とし込もうという感じだったんですか。

白水 : 僕はジャズとか聴いてなかったし、昔から好きだったのはリチャード・ヘルみたいなパンクとかハードコア、ガンズ・アンド・ローゼズ、たまとか、自分の血肉になった音楽をこの編成でやったらおもしろいんじゃないかと思ってたのかなぁ。別にこういうバンドにしようってイメージはなくて、とにかく刺激的なことをやりたかった。

——カゲロウは「ジャズ・パンク」って言われてますけど、あまりジャズは聴かない?

白水 : 相変わらず僕はあんま聴かないですね。ジャズって奥深いですからね。
RUPPA : どちらかといえば西海岸よりが好きですね。ジャズ以外だと、すかんちと椎名へきるを追ってました。
菊池智恵子(Piano、以下菊池) : 私はB’zとか聴いてました(笑)。もともとクラシックは聴いていたんですけど、それ以降はジャズ、ロック、クラブ・ミュージック、いいと思うものはジャンル問わずですね。
白水 : 好きなバンドで共通してるのは、KEMURIくらいかなあ。
RUPPA : でもスカ・パンクしようって話にはならなかったよね。
白水 : だってスカ・パンクやったらそのまんまになっちゃうじゃん。すでにある音楽の真似をしていい感じになれるほど、イケメンじゃないし。
RUPPA : まあねえ。そんだけ顔よけりゃ、こんだけ普通のことやってても売れるだろ、みたいな(笑)。
白水 : ありものじゃなくて、自分たちにしかできないことをやろうって。

——では自分たちのサウンドが確立されたという手ごたえは、いつ頃から感じていました?

白水 : ファースト・アルバム「KAGERO」の1曲目、「SCORPIO」って曲ができたときに、「これがカゲロウだわ、この編成でいいんだ」って思いましたね。自分の聞いたもののなかにはなかった、はじめての感覚だなって。

左からRUPPA(Sax)、白水(Bass)、菊池(Piano)

——ところでカゲロウというバンド名の由来は?

白水 : ライヴ・ハウスにバンド名を決めろって言われたから、つけなきゃと思ったくらいで…。当時はたいして意味はなくて、インスピレーションでかっこいいかなって。他のメンバーは苦い顔で。
RUPPA : 2、3カ月で名前が変わる予定だったんで、「カゲロウ(仮)」だったんですよ。でもライヴもありCDも作りと続いていって、いまにいたる(笑)。

——今回、1年ぶりにサード・アルバム『KAGERO Ⅲ』が出ますね。コンセプトはありましたか。

白水 : 「もや」がないものにしたかった。セカンド・アルバムまでは、メンバー同士の音楽性のぶつかり合いが醍醐味としてあったと思うんですよ。僕のやりたいことを出して、それをみんながあーだこーだいう感覚というか。

——白水さんのやりたいことっていうのは?

白水 : 最初に自分の頭のなかに、パーンと出てくるものがあるじゃないですか。それがメンバーの感性と解釈で変わってきて、違うものが生まれるっていう。ぐちゃぐちゃになったものをそのまま出すみたいな… セカンド・アルバムはそれが特化してる気がしますね。
RUPPA : セカンド・アルバムまでは、それぞれの個性につながると思って話が合っていないまま録音していったんです。未完成な状態をキープしようとしてた。今回は原案に近い段階から、ある程度そろえてやってみようって。
白水 : 「ライヴ感」をおさめるのはセカンド・アルバムで振り切ったところがあったから、次は「音源を作ろう」って。

——メロディアスな曲も散りばめられてて、流れもバランスもいいですよね。

白水 : 12曲中11曲の原案は僕で、あとの1曲はRUPPAさんの「DRILL LINER」。僕はもともと単純なメロディがあるものって好きなんです。それをそのままやらないよさがセカンド・アルバムまではあったと思うんだけど、今回はそれを出そうと。あと僕が作ったメロディーも、いままでだったらそこのAメロは適当にお願いしますってことが多かったけど、今回は決めてくれって。
RUPPA : そうそう、白水、曲書いてきてもとりあえずAメロ・アドリブみたいなさ(笑)。
白水 : そうね、サビだけありますみたいな。作り込んでからというよりは、できたらすぐ持っていっちゃうんで。
RUPPA : お前は一体どこを書いてきたんだと。

——白水さん、結構感覚派なんですね。

白水 : 感覚派ていうか… 変にカッチリしたくないっていうか。
RUPPA : あたしも決めるのあんまり好きじゃないです。
白水 : みんなO型なんですよ。あんまりモノゴト緻密に考えないし大雑把だし。いいのが浮かんだら、「それを譜面に起こそう! 」じゃなくて「おっけー、じゃあ寝るかー! 」ってなっちゃう。

(一同笑)

——バンドをコントロールしているのは白水さん?

白水 : 主導権はあるけど決定権はないですね。みんなそんな従順に言うこと聞いてくれないから、「決定です」といっても決定にならない(笑)。それはRUPPAさんとやり取りするときが一番多いかな。
RUPPA : 私が好きなミスと白水が好きなミスが全然違うから。
白水 : あーそうっすね、許容できるミスのポイントがなんか違うんですよ。
RUPPA : どこがチャーミングかってこと。
白水 : でも付き合い長いし違うこともわかっているから。ぐちゃぐちゃ言ってもしょうがないし、いままでは放任だったけど、今回は「いや、お互い納得できるところまで落としましょう」って感じはあったよね。
RUPPA : セカンド・アルバムのときはほんと喧嘩になって終わるから、そういう話をしなかったんだけど…。
白水 : いまなら喧嘩しないんじゃないかって、ちゃんと思ったことを言うようになりました。
RUPPA : できあがりのイメージが近い状態で録ったからだろうね。

——菊池さんはそういうふたりをどう見てるんですか。

菊池 : おもしろいなあって思って見てます(笑)。
白水 : ちえちゃんは後ろでパリパリパリパリなんか食ってる。「うるせー! 」って。こっちが超必死でやってる後ろで、ジャガリコだかなんだかパリパリパリパリ食ってるんすよ。貴之は寝てるし、「お前ら帰れ! 」みたいな。

(一同笑)

——とくに思い入れのある曲はありますか。

菊池 : ピアノをはじめて重ねた「HYSTERIA」かな。
白水 : ピアノを重ねたのは、さっき言った「音源を作る」ってところにつながるんですけど。いままでクリックなんて鳴らさなかったけど、鳴らした曲もあるしね。僕は「HYSTERIA」を1曲目にしようと思って創ってたんですけど、みんなが1曲目は「GAS」がいいっていうから、そうならなかったっていうのがほろ苦い。
RUPPA : 実は「BLACK MIG」だけ古い曲なんですよね。久しぶりにやってみようってことで、それだけライヴっぽい録音になってるかな。

——アー写でガスマスクをつけていたから、「GAS」は震災に対する思いも込めていたのかと思ったんですが。

白水 : ただライヴで曲始める前に、「ガス! 」って言いたかっただけです。
菊池 : スタジオでも言ってたよね。

——2曲目の「LIBERTINE SPECIAL」は、SOIL & ”PIMP” SESSIONSのタブゾンビさんがゲストで参加していますね。

白水 : そうっすね、ゲストを入れること前提に曲を作ったかな。一緒にライヴをやったりゲストで吹いたりしてもらってたんで、タブさんがいいなと。
RUPPA : カゲロウは遊ばないって思われてるかもしれないけど、一緒に演奏できる曲もありますよっていう明確な提示ですよね。そんなにストイックで一匹狼じゃないですよっていう。

——やっぱりカゲロウは、まわりから孤高の存在だと思われてる節があるんですか?

RUPPA : (白水を指して)なんか誘いづらくないですか、このひと。
白水 : 全然そんなことないですよ! まあ遊びたいから遊ぼうぜってスタンスですけど。
RUPPA : いままでは「カゲロウは4人の個性がぶつかりあう! 」みたいなイメージだったから、ライヴでいきなりゲストを呼んでも、若干気持ち悪かったと思うんですよね。でも誰とでも、何人でもいけるよって。
白水 : それをわかりやすく「LIBERTINE SPECIAL」で体現できてよかったです。

——歌がないので、感情を音だけで表現していくわけですよね。そのときにどういう人たちに向けて、どんなふうな感情を伝えていきたいっていうのはありますか。

白水 : もちろん自分が創ったり弾いたりするときの感情ってのはあるけど、聴く人の感情のブレるベクトルはなんでもいい。たとえば「GAS」を聴いてアッパーになるひともいればダウナーになるひともいるわけで。聴くタイミングにもよると思うし、こういうメッセージを伝えたいって思って曲を書いているってゆーよりも、そのひとの感情に少しでもブレが出てくれるんならばその種類はなんでもいいんです。創ったときの自分の気持ちとして楽曲のタイトルはあるけど、「HYSTERIA」を聴いてヒステリーを起こさなくてもいいし、限定したくないんです。本当は曲のタイトルだってつけたくないくらい。なんでもいいからブレてくれれば幸せだなあって。
RUPPA : 今回は楽曲のタイトルとそのなかに入れようとしている音のイメージ、演奏しているときの気持ちのようなものが、前作までよりは近い感じだよね。
白水 : 先にタイトル言ったもんね、今回。
菊池 : タイトルの意味も質問したし。
白水 : あ、でもRUPPAさんの曲だけはマスタリングの直前にタイトル決まってたわ(笑)。

——ライヴ、テンションの持続具合がすごいですよね。体鍛えているんですか?

RUPPA : 一回ライヴ後に、楽屋来ていただけるとわかると思いますよ(笑)。
白水 : ちゃんと体力作りしてればこうならなかったのに… みたいな(笑)。

——それでは最後に。今後、やってみたいことはありますか。

白水 : CDに関してはカバー・アルバムも好きだし、「30分ジャムってていいよ」って企画盤とかあるならほんとにやりたいし。ライヴも国内外問わず、フットワーク軽くやりたい。いままでは先の予定が決まっててそこに照準あわせることが多かったけど、その場その場にあるおもしろそうなものに飛びついていけるバンドでいたいし。車一台でぶんぶん行きたいよね。人前でやることで、いいことも悪いことも波紋が広がっていくから。

昨年12月4日のライヴを収録した高音質音源をOTOTOY独占で近日リリース!

2011年12月4日に新宿レッドクロスで行われたカゲロウのLIVEを収録した高音質LIVE音源を、このたびOTOTOYが独占配信することが決定! ライヴ当日、会場に入りきれないほどたくさんのオーディエンスに向かって、冒頭から全速力で疾走するド迫力の演奏をみせつけたカゲロウ。そのエネルギーほとばしるステージはまさに圧巻の一言。DSDとHQDの2バージョンでお届けします。ご期待ください。

Photo by Kana Tarumi

LIVE INFORMATION

KAGERO Ⅲ Release Tour "HYSTERIC GAS"
2012年01月28日(土) @渋谷PLUG
2012年02月04日(土) @名古屋CLUB UPSET
2012年02月18日(土) @仙台JUNK BOX
2012年02月25日(土) @恵比寿BATICA(TOWER RECORDS購入者対象特典アウトストアLIVE)

KAGERO Ⅲ Release Tour "HYSTERIC GAS" FINAL
2012年04月15日(日) @下北沢SHELTER

追加公演情報は、オフィシャルHPをチェック
http://www.kagero.jp/

PROFILE

カゲロウ / KAGERO

<member>
白水悠 / YU SHIROMIZU : Bass
佐々木瑠 / RYU "RUPPA" SASAKI : Sax
菊池智恵子 / CHIEKO KIKUCHI : Piano
鈴木貴之 / TAKAYUKI SUZUKI : Drums

野中隼人 / HAYATO NONAKA : Drums
松下マサナオ / MASANAO MATSUSHITA : Drums

2009年7月、VILLAGE VANGUARD限定シングル『official bootleg』でデビューを果たした、JAZZ PUNKバンド。同年11月、PE'Zの結成10周年トリビュート作品『Not Jazz!! But PE'Z!!!』にも参加を果たし、更なる知名度を獲得すると、12月にリリースした1stアルバム『KAGERO』が、インストバンドながらInter FM主催のレーベル、76Recordsの第一弾アーティストに抜擢され、一躍注目の的に。2010年4月にサポート・メンバーであった菊池智恵子を正式メンバーに迎えると、同年9月には映画主題歌のカヴァー・アルバム『SCREEN』、さらに12月には2ndアルバム『KAGERO Ⅱ』を立て続けにリリースし、よりいっそう洗練され凄みを増したサウンドで全国に中毒者を増殖させていった。INDEPENDENCE-DAY、MEGA★ROCKS、MINAMI WHEEL等のフェスにも出演を果たし、タブゾンビ(SOIL & "PIMP" SESSIONS)、rega、JABBERLOOP、unkie、八十八カ所巡礼らとも続々と共演。2012年1月に待望の3rdオリジナル・アルバム『KAGERO Ⅲ』をリリース。

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インタヴュー

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