
ムーンライダーズのニュー・アルバムを高音質で!
今年デビュー35周年を迎えた日本のキング・オブ・オルタナティブ・ロック・バンド、ムーンライダーズ。1975年の結成以降、常に時代を切り取り、新しいサウンドとテクノロジーを導入して先鋭的な作品を発表し続けてきた彼らが、2011年11月11日、突然の活動休止を宣言。そして休止前のラスト・アルバムをダウンロードにて発売いたします。タイトルは、『Ciao!』。キング・オブ・オルタナティブ・ロックバンドに相応しく、斬新で狂気でポップな一枚。特集ページでは、岡村詩野らの論評、ミュージシャンからのコメント、全21アルバムのオリジナル・レビューを掲載します。この35年の彼らの軌跡に、あらゆる角度から迫ります。『Ciao!』未収録の新曲「Last Serenade」と共に、24bit/48kHzの高音質音源でお楽しみください。
ムーンライダーズ / Ciao!
1. who's gonna be reborn first? / 2. 無垢なままで / 3. .Mt.,Kx / 4. ハロー マーニャ小母さん / 5. Pain Rain / 6. 折れた矢 / 7. Masque-Rider / 8. オカシな救済 / 9. 弱気な不良 Part-2 / 10. 主なくとも 梅は咲く ならば(もはや何者でもない) / 11. ラスト・ファンファーレ / 12. 蒸気でできたプレイグランド劇場で
配信形式 : HQD(24bit/48kHzのWAV)、mp3
価格 : HQD、mp3共に2000円
アルバム『Ciao!』未収録の新曲「Last Serenade」フリー・ダウンロード
&配信限定シングル・コレクションを高音質で販売中
左)『Here we go'round HQD』
収録曲 : 1. Tokyo, Round and Round / 2. 恋はアマリリス / 3. You & Us / 4. Tokyo Navi / 5. 三日月の翼 / 6. Come Up
右)『Last Serenade』
>>「Last Serenade」のフリー・ダウンロードはこちら
期間 : ~2011年12月31日(土)午後11時59分
公認!! 初音ミクが歌っている作品も登場!
初音ミク plays 月光下騎士団(ムーンライダーズ) / plusico Produced by Thomas O'hara ピノキオP
ムーンライダーズ公認! 初音ミクによるカヴァー・アルバムが登場!!
70~80年代にリリースされた過去作を配信開始!
ポップ・ミュージックはまだまだ進化する(text by 岡村詩野)
おそらく殆どの人が“無期限活動停止”というセンチメントで語ることになるだろうが、ここではなるべくそうした情緒に流されずに書いてみようと思う。すなわち、『Tokyo 7』以来約2年ぶりのムーンライダーズのニュー・アルバムとして。オリジナル・アルバムとしては実に21作目(ミニ・アルバムなどを含めるとさらに膨大な数になるが)となる新作である。
前作『Tokyo 7』やその前の『MOON OVER the ROSEBUD』(06年)には、かなりポップでブライトな曲が揃っていた。特に00年代以降、このバンドがキャリアに甘んじただけのベテラン・バンドなどではなく、音作りに積極的にメスを入れるなどをして果敢に攻めていることは、00年代前半にリリースされた諸作品で十分伝わってはきていたが、とりわけここ数作はそうした姿勢をさらにわかりやすく表現していたと言っていいだろう。だが、本作には、そうした平易な曲がほとんどない。メロディがあって歌があって伴奏がある、という図式の曲に過去数十年に渡り常に反旗を翻してきたようなバンドではあるけれど、今作は特にヴォーカルにも過剰な処理を施し、曲の構造も極端に簡素だったり複雑だったりと、聴く者を試すような仕組みになっている。言わば、曲作りのプロセスをそのまま作品へと昇華させたような楽曲がズラリと揃っている、そんな印象だ。バンド一のメロディ・メイカーであるはずの岡田徹の曲でさえ、そうした“プロセス=完成”という思考を意識しているかのように精緻に作られている。

こうした仕上がりから思い出すのは、80年代初頭、初めて全編でシークェンサーを導入して制作した『マニア・マニエラ』だ。あの作品の前に、彼らはアナログ・レコーディングからデジタルへと移行し、レコーディングのメソッドそのものを大きく変えてみせた。その後の彼らが今に至るまで常に先端技術と向き合ってきたことは今更語るべくもないが、しかしながら、おそらく彼らは… いや、少なくとも鈴木慶一は、もっと根本のところでソングライティングを捉え直したくなったのではないかと思う。シークェンサーやサンプラーやプロトゥールズといった便利な機器を利用することとは別に、楽曲を作ることの意義を構造から考え直したい、と。こんなにもアグレッシヴな曲作りがそのまま作品に落とし込まれたアルバムなのに、そうした利器に全く支配されていない、どちらかと言うと実にヒューマンで生々しいタッチになっているのは、彼らが体一つで音に向き合うところに今一度立ち返ろうとしているからではないかと思う。
そして思うのは、本作は新たな“曲作りのスタイル”を提案しようとする彼らのあくまで過程を切り取ったものではないかということだ。つまり、これで終わりどころか、ここから始まるのでは、ということ。ムーンライダーズとしてはもう“次”はないかもしれない。だが、続きは6人それぞれの舞台に用意されているはずだ。ポップ・ミュージックは、ソングライティングはまだまだ進化する。それを彼らは本作で身を呈して表現した。ただ、それだけのこと。感傷は不要だ。続きは間違いなく、ある。
>>渡辺裕也、山田美樹、小川ワタルの『Ciao!』論評を読む
ムーンライダーズへ愛を込めて
新作を聞かせていただきましたらば、
これまで以上にウネウネと不気味にうごめくムーンライダーズの世界が健在というより、
さらなる不気味さの発展を遂げているではありませんか。脱帽。
私がしょっちゅう「ひねくれてる」とか言われてしまうのも
80年代にライダーズの皆さんとお会いできたことに大きな要因があると思うんですが、
この世界の前では私なんぞ、その辺によくいるブルースもどきギタリストの1人にすぎないのになーと感じます。
なんでも風の便りに無期限の活動停止とかいう話を耳にしたのですが、
このスピリットがある限り、ムーンライダーズがこの世に存在しつづけることには変わりないでしょう。
全員揃った活動があろうがなかろうが、皆さんが引き続きお元気で飄々と音楽していただければ、
今後も勝手に励みとさせていただく所存ですので。
(青山陽一)
慶一さんと酔っぱらったときに約束したんですけど、
「ムーンライダー」ってゆう曲がお渡し出来なくて残念。
あれから、一年以上経ってますが、、、
とまれ、皆さんのソロ活動に期待しております。
ムーンライダーズ・フォーエヴァー!
(小島麻由美)
ムーンライダーズの結成結成された1975年は、僕が生まれた年でもあります。
盆もしくは正月の度に会う親戚のおじさんのような、憧れではあるけど、気さくには話しかけられない(実際お会いした慶一さんや武川はもちろんまったく気さくな方でしたが)テーブルの端で一人独特のムードを放っている風変わりな、そんなバンドでありました。
なので、武川さんにレコーディング/そのあとのライブでもヴァイオリンを弾いていただけた事、慶一さんと年末に思いがけず対談という形でお会いし、ベランダで2人で煙草を吸いながら僕のソロアルバムの話や、慶一さんのソロアルバムの話が出来た事、とても嬉しく思いました。
手前のバンドもようやく目鼻がつきだした昨今、いつか競演できたら、、と思っていたのですが。
こちらも気長にやってますので、活動再開の日をお待ちしております。
(蔡忠浩(bonobos))
「いい音楽だよね」とか言われるポップミュージックがほとんどファックな僕にとってムーンライダーズは数少ない例外だ。
安易な成熟を回避して転がり続ける態度にロックというよりも獰猛な知性を感じるからかもしれない。
そんなわけで無期限活動休止の狙いはこのバンドを若いまま冷凍保存することなのではないか?と思っているので、解凍される日を素直に待ったりするよりは謎かけのようなこのアルバムを聴こうと思う。
(渋谷慶一郎 (ATAK))
僕たちがまだアルバムも出しておらず、今よりもっと未熟だった頃、どういうわけか慶一さんと共にレコーディングスタジオに入るという、信じられない出来事が起こった。
その時、僕たちは未来を先どりさせてもらったのだと思う(『ドラえもんのび太の大魔境』の「先どり約束機」のように)。
いま、僕たちは少しづつではあるが、「先どりした未来」に向かって歩んでいる。歩けば歩くほど、慶一さんの、そしてMOONRIDERSの偉大さに気付かされるばかりだ。
MOONRIDERSが再び活動を再開した時には、僕たちも胸を張って競演できるように、やり続けます。
その日まで、Ciao!
(高城晶平(cero))
『このアルバムを聞くと、どうしても止まってしまったムーンライダーズというのを感じることが出来ない。
お茶の間に、レコード屋に、ライブ会場に、もうどこにだってムーンライダーズの残り香があるのに、
今この瞬間にも、慶一さんたちは新しい音楽を探してる。こんなかっこいいことはない。』
(トクマルシューゴ)
1975年の『火の玉ボーイ』以来、ムーンライダーズの音楽が生き方の指針となった。
発売中止になった『マニア・マニエラ』をラジオで聴いてからは
ますますテープレコーダーと深くつき合うようになった。
出来上がったテープに切手を貼って送ったら博文さんから電話がきて運命が動いた。1983年12月だった。
丁度その頃始まったぼくのバンドは約25年をかけて分裂を続け、2009年のある日、ふたりだけになった。
とあるBARで慶一さんに「何故ムーンライダーズは長続きするのですか」と質問をした。
「(相手の)本質を突かないこと。そこを突いたらだめだ」と言われた。
本物の東京っ子って難しい、そんなことぼくにはできないと思った。
ある冬の日、母船はしばらく出航しないというニュースが飛び込んできた。
理由はわからないし、聞けないし、知りたくもない。
でも新しいアルバムを聴くとそれぞれの曲に正直な気分や言葉が描かれていた。
"重いけど痛快"というのはここ10数年来のムーンライダーズのやり方だ。
とはいえ、どうしていいかわからないから、
夜の東京湾に揺れる悲しい手紙のような「Masque-Rider」をぼくは繰り返し聴いている。
(直枝政広(カーネーション))
ムーンライダーズが無期限活動停止…。正直、未だにこの現実を受け入れられない自分がいます。
長年に渡り「常に自分達のやりたいことをやりまくり、その時代のトレンドや最新テクノロジーをさらっと取り入れる感覚」は本当に大リスペクトです。
特に結成30周年以降、自身のレーベルからリリースされたアルバムのテンション、振り切れっぷりはもの凄く、この先もまだまだ現在進行形ムーンライダーズの新譜が聴けるものだと思っていました。
毎回色々な形で僕らファンを驚かせてくれたムーンライダーズ最大のサプライズが、なんと「無期限活動停止」だなんて!!
ツアー中に見たニュースだったので、取り乱さない様に冷静を装ってましたが、「本当は夢だったらいいな」とずっと思っていました(笑)。
でも!!
サプライズが得意なムーンライダーズの皆さんなので、もしかすると「Don't trust Moonriders」ってなことがあるかもしれません!再来年あたりに活動再開して驚かせてくれませんかね??
奇跡の6人による沢山の素敵な曲、演奏をありがとうございました。
僕は皆さんがステージで演奏している画を観ているだけで幸せな気分になるんです。
2002年、新宿LOFTで共演させていただいた時、ムーンライダーズの皆様と一緒に「いとこ同士」を歌ったのは最高の思い出です。
(ハヤシ(POLYSICS))
日本でいちばんやんちゃなバンドは、
ムーンライダーズですから!!
(ミト(クラムボン))
結成30年にあたる2007年、あの西部講堂のステージを、ぼくはけっして忘れません。
自分たちが主催したイベント(「ボロフェスタ」)に出演してくださったムーンライダーズ。いま思えば、夢のようです。
彼らより後に生まれたことの幸福を思い、
素晴らしい創作の足跡に感謝します。ありがとうございました。
(ゆーきゃん)
ムーンライダーズ オリジナル・アルバム 完全ディスコグラフィー
1975年の結成以降、常に時代を切り取り、新しいサウンドとテクノロジーを導入して、先鋭的な作品を発表し続けてきたムーンライダーズ。メンバー全員がソングライターであり、プロデュースやスタジオ・ミュージシャン業をもこなすという稀有なバンドである彼らの35年の歩みを追うべく、1976年のデビュー作『火の玉ボーイ』から2009年リリースの前作『Tokyo7』まで、オリジナル・フル・アルバム全21作品をご紹介! これを読めば、この35年間の時代の背景や音楽の歴史とともにムーンライダーズがいかに前衛的な音楽を奏で続けてきたのか、そして何故それらが普遍的なポップ・ミュージックとして受け入れられてきたのか、その理由がみえてくるはず。
>>ムーンライダーズ オリジナル・アルバム 完全ディスコグラフィーはこちら
ムーンライダーズLIVE情報
活動休止直前ライブ「Ciao! THE MOONRIDERS」
【大阪】
2011年12月13日(火)@なんばHatch
18:30開場 / 19:00開演
(問)SMASH WEST 06-6535-5569
【東京】
2011年12月17日(土)@中野サンプラザ
18:00開場 / 18:30開演
(問)キョードー東京 0570-064-708
※チケット代 : 7,350円(税込)
※大阪公演のみ1ドリンク込
PROFILE
1976年、鈴木慶一とムーンライダーズ名義のアルバム『火の玉ボーイ』でデビュー。メンバー全員がソングライターであり、プロデューサーである希有なバンド。常に新しいサウンドとテクノロジーを導入して、先鋭的な作品を発表。ライブでも、実験的な演出を数多く試み、人々に大きな影響を与えた。 2005年には自らのレーベル”moonriders records”を立ち上げ、作品を発表している。