2009/11/12 00:00

5月にリリースしたファースト・アルバム『三次元ダンスLP』リリース以降、積極的なライヴ活動でその名を広めているSISTER JET。彼らが新作『JET BOY JET GIRL』をリリースした。堀江博久をゲストに迎えた、カラフルなキーボードが際立つ「恋してクレイジー」、音源化が切望されていたライヴでは定番の「DJ SONG」や、ベイ・シティ・ローラーズのキラー・チューン「Saturday Night」のオリジナル詞でのカヴァーなど、極めてポジティヴな一枚となっている。ロックンロールのビートとダンサブルなサウンドを兼ね備えている彼らの音楽は、とにかくポップに突き抜けている。ストレートな甘くてセンチメンタルな歌詞やヴォーカルに、少し気恥ずかしさを覚えようが、そんなことなどおかまいなしに進み続ける。けれども、しっかりと未来を見据えている振り切れ方は聴いていて清々しく、勢いの良さに耳を傾けてしまう。そして気がつけば口ずさんでいるのだ。
「恋をしようよ。もっと! もっと! ! 」というキャッチとともにリリースされた今作には、恋をしているときのトキメキが詰まっている。恋の仕方を忘れてしまった人、聴くべきです。

インタビュー&文 : 井上沙織

INTERVIEW

ー結成の経緯を教えて下さい。

ワタルS(以下W ) : ケンスケとは中学の同級生で、同じ高校に進学してから一緒にバンドを組みました。
ショウサカベ(以下S) : 僕は二人と同じ高校の二個下の学年で、美術部だった。放課後に絵を描いていたら、横でワタル君が女の子をナンパしていたんです。「うるさいチャラ男だな」と思いながら絵を描き続けていたら、ワタル君、女の子に振られちゃって(笑)。僕の方にきて話しかけてきたんです。そこからバンドの話になって、僕もずっとバンドをやりたいと思っていたので、一緒にやることにしました。入学当初から校内に有名なバンドがいると聞いていたけれど、後で彼らがその有名なバンドだと知ってびっくりしましたね。

ー有名だったのですか?

W : 高校2年生のときに初めて作った曲で、ティーンズ・ミュージック・フェスティバルの全国大会まで進んだんです。奨励賞をもらって、その後もレコード会社の大人達がライヴを観に来たりしていたので、有頂天になっていましたね。だから俺、高校のとき友達いなかったもんなー。

ー何故でしょうか?

W : 「俺は他の人とは違うんだ」って、自ら視野を狭めていたんです。実際は全然違わないのに(笑)。知ろうと思えば色んな人がいたはずなのに、自分の中で勝手に面白い奴と面白くない奴に分けてしまっていた。全く周りが見えていなかったですね。
S : でも、ワタル君はクールかクールじゃないか、という判断で音楽を聴くから、根本的な部分は変わっていないよね。
W : そうだね。好みじゃなかったら自分の世界には入らないけれど、その分好きだったら突き詰めますね。

ー具体的にクールだと感じるのはどんな音楽なのでしょうか?

W : ヴォーカルの声質やメロディかな。声やメロディのかっこよさにいつもロックを感じているので、うたのない音楽はあまり聴かないです。

ー曲はどのように制作されているのでしょうか?

W : まず僕が曲と歌詞を書きます。大元となる曲は、仕上がりよりもっと暗めというか、ポップだけれど、どこか切なげな曲が多い。それをリズム隊が「そんなんじゃ足りねえよ! 」ってアッパーなアレンジをします。静かだった曲がBPM2倍になったり(笑)。その変化が面白い。

ー『JET BOY JET GIRL』は、わかりやすいくらいポップな曲が多いですね。

W : やっぱりポップでかっこいいものをやりたい、という考えがあるんです。言葉を選んだり、馬鹿にされないギリギリのラインをある程度意識しています。自分の趣味を織り交ぜつつ、聴く人を限定しないようにしたい。
S : 昔はもう少しグランジ寄りだったりもしましたけどね。
W : でもそれは方法論が進化して、アレンジが上手くなっただけ。曲に対してかっこいいものを選べるようになったんだと思います。俺は自分の好きな音楽しか聴かないけれど、二人は時代性や見え方に敏感だと思う。
ケンスケアオキ(以下K) : グランジとかダンスとか、イメージも大切だと思うけれど、移り変わりがあるからこそ、やっぱり根本的なところにいいうたがないと聴く気がしないですね。

ー皆さんは「ポップであること」を、どのように捉えているのでしょうか?

K : ポップスでもロックでもハウスでも、音楽のジャンルに関わらず、無意識に体が動いちゃう曲は「ああ、ポップだな」と思いますね。
S : <日本海について歌ったような渋い演歌を聴いて、「日本酒呑みてえ! 」と思ったら、その曲はポップである>と言った人がいて、まさにその通りだと思っています。実験音楽とかって、聴いていて気持ちいいけど、「日本酒呑みてえ!」とはならないじゃないですか。自分の根っこにあるものや感覚が、感情に直結する感じがポップだと思いますね。
W : 無意識に口ずさんでいる人がいる曲は、ポップ・ミュージックだと思うんですよね。口ずさむってことは、強烈に覚えていて、頭から離れなくなっているということ。何も明るい曲じゃなくて暗い曲でも、口ずさんだらポップだと思うんだよね。加藤和彦さん(ザ・フォーク・クルセダーズ)の曲とかもそうだと思う。

ー今回は、ダンサブルな曲が多いですね。意識的なものなのでしょうか?

W : 今年の夏頃からライヴをたくさんやってきて、お客さんも増えてきているんだけれど、皆「のりたいけどのっていいのかな? 」と、爆発寸前な感じなんです。なので、バンドからわかりやすく提案しようと、ハンド・クラップできる曲を作りました。
S : ライブ度が高いアルバムです。

ーサタデー・ナイトのカバーを収録したのは?

W : 昔、チェルシー・ホテルのクラブ・イベントに出たときに、俺等の曲を知っている人なんてほとんどいなかった。だからオリジナルをやるより、皆知ってる曲をやろうと思ったんです。その日はちょうど土曜の夜だったので、勝手に歌詞を付けて歌ってみたら大盛況だった。いろいろな曲をカヴァーするけれど、この曲はいち早く出したかったんですよね。

ーオリジナル詞でのカヴァーはめずらしいですね。

W : 歌うなら、伝わる言葉で歌いたいんです。人の曲に歌詞をのせるときは、自分の気持ちは半分で、残りの半分は俺の気持ちじゃないって考えているから、歌詞ができるのが早い。自分の曲だと100%自分で責任を持たなきゃいけないから、すごく悩むんですよ。でもカバーをやりはじめて、オリジナルの曲に関しても同じように気軽に捉えられるようになりました。
S : ワタル君は韻を踏むことにこだわるよね。
W : 韻を踏むことって、ロックの基本なので、すごく意識しています。でも、今「ロックだ!」って言ってやってるバンドは、韻を踏んでいない人達が多すぎる。

ー音源を聴いた感じでは、踊る人が多いのかと思っていました。

W : いいはったりが撒かれていますね! でも、踊れるだけの音楽だったら、俺がやらなくてもいい。形だけのディスコみたいな音楽が多い中で、うたがあって8ビートで踊れる音楽を提示していきたいです。聴いてもらえれば嬉しいけれど、今作を出してお客さんに変化があったら嬉しいですね。

ロックとトキメキ


6//CITY / Buffalo'3
洋楽オルタナティブ・ロックと日本のインディー・ロックからの影響が交差した東京のNEW ROCKを鳴らす3ピースバンドBuffalo'3待望のデビューEP。ヴィンテージ感漂う尖ったサウンドと野太いビートに疾走するグルーヴ、さらにその上に00年代以降のUKロックを感じさせるリズミカルなギター・サウンドとカオティックな爆音ノイズを乗せ爽快にぶっ飛ばす!


IRIE RACKIT / Veni Vidi Vicious
バンド名はTHE HIVESのアルバム・タイトルから。FUJI ROCK FESTIVAL '06 ROOKIE A GO-GO出演やBritish Anthemsへの参加など、その活動の勢いは止まらない。圧倒的な演奏力を武器に、The Strokes、The Libertines、THE HIVES、OASIS、JET、The Vinesなどのサウンドを消化し、独自の色に染め上げたロックンロールを繰り広げる。


STRAWBERRIES AND CREAM / カジヒデキ
5月20日リリースの『BLUEBOYS DONT CRY e.p.』に続き、1年ぶりの通算12枚目のオリジナル・アルバム。昨年、映画『デトロイ卜・メタル・シティ』に楽曲提供、歌唱、出演で話題をふりまいたカジヒデキ。昨年末のCOUNTDOWN JAPAN 08-09に初出演した際は、入場規制がかかるほどの盛り上がりをみせました。気になるアルバムの内容は、先行EPのリード・トラック「Passion Fruits」を始め、キラキラした楽曲が目白押しです。

PROFILE

SISTER JET
ワタル S(Vo,g)、ショウサカベ(Ba,cho)、ケンスケアオキ(Dr.,key)の3人から成る福生発、東京ニュー・ビート・ジェネレーション(東京NBG)代表のロック・バンド。00年代以降のクールなロックとエバーグリーンな胸キュンな歌がミラクルに合体した傑作『三次元ダンスLP』をこの春リリースしたアッツアツな状態。世界をキュンとさせ、宇宙をぐッとこさせることを使命に日夜色々なことに取り組んでいる。
SISTER JET web http://www.sisterjet.com/

LIVE SCHEDULE

  • 11/26(木)@名古屋 池下CLUB UP-SET
  • 11/29(日)@池袋パルコ・別館P´(ピーダッシュ)8F
  • 12/4(金)@仙台darwin
  • 12/6(日)@Zepp FUKUOKA

『SISTER JET PRESENTS "OUR WORLD"』〜JETBOYとJETGIRLはハイオク満タン。着火、炎上、そして。。クリスマス!〜

  • 12/17(木)@渋谷CHELSEA HOTEL ※ワンマン
  • 12/22(火)@梅田Shangri-La
  • 12/29(火)【FM802 STILL20 ROCK FESTIVAL "RADIO CRAZY"】@インテックス大阪
  • 12/31(木)【COUNTDOWN JAPAN09/10】@幕張メッセ国際展示場1〜8ホール・イベントホール

スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2010

  • 2010/1/8(金)@札幌ベッシーホール
  • 1/10(日)@仙台MA.CA.NA.SOLD OUT!!
  • 1/11(月・祝)@新潟JUNK BOX mini
  • 1/14(木)@大阪 心斎橋CLUB QUATTRO
  • 1/16(土)@福岡DRUM SON
  • 1/17(日)@広島ナミキジャンクション
  • 1/19(火)@名古屋 CLUB QUATTRO
  • 1/23(土)@東京 赤坂BLITZ
  • 2/13(土)@盛岡CLUB Change WAVE 
  • 2/14(日)@仙台CLUB JUNK BOX
この記事の筆者
井上 沙織 (さ)

ototoy編集部で日々山盛りの仕事に囲まれながら、素敵な音楽や人との出会いを探しています。

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