世武裕子の1年半ぶりの新作は歌心満載の暖かい楽曲たち

映画「だいじょうぶ3組」の音楽を手がけた世武裕子が、同映画のオリジナル・サウンドトラックと同時にリリースする1年半ぶりの新作『みらいのこども』。自身の音楽はポップスよりオルタナ寄りだと話す世武裕子だが、今までの彼女の作品とはひと味違う歌心溢れるポップな作品となっている。ミニ・アルバムのタイトル・トラックにもなっている「みらいのこども -始まりの鐘が鳴る-」の歌詞には世武裕子の人柄がにじみ出ていて、抜群のポップ・センスと柔らかく包み込むような歌声がこの季節にぴったりだ。シンガー・ソングライターであり、映像音楽作家でもある世武裕子に、この作品への思い、そしてこれからの世武裕子についてインタヴューを行った。そしてOTOTOYではミニ・アルバムをHQDの高音質配信でお届け。


世武裕子 / 映画「だいじょうぶ3組」オリジナル・サウンドトラック+みらいのこども

【価格】
mp3 単曲 200円 / アルバム 1,800円
wav 単曲 250円 / アルバム 2,000円

【Track List】
01. 一年の始まり / 02. 5年3組 / 03. 探し物 / 04. 運動会 / 05. レース! レース! / 06. 負けてくやしい / 07. 坊主! / 08. 動物園の思い出 / 09. 赤尾先生の手紙 / 10. ぼくらの嘆願書 / 11. 遠足へ行く / 12. みんなちがって、みんないい。 / 13. ぼくらの一年間 / 14. Hello Hello (2011 version) / 15. みらいのこども -始まりの鐘が鳴る- / 16. 恋をしようよ / 17. 私の愛したスパイ -ナチュラル・ボーン・プログレ- / 18. Stanley K / 19. November



世武裕子 / みらいのこども

【価格】
HQD(24bit/48kHz wav) 単曲 300円 / アルバム 1,200円

【Track List】
01. みらいのこども -始まりの鐘が鳴る- / 02. 恋をしようよ / 03. 私の愛したスパイ -ナチュラル・ボーン・プログレ- / 04. Stanley K / 05. November


INTERVIEW : 世武裕子

最近は映画からドラマ、あるいはCMと、映像音楽作家としての活躍が目覚ましい世武裕子が、前作『アデュー世界戦争』から1年を待たずして早くも新作を完成させた。しかもそれが映画「だいじょうぶ3組」のオリジナル・サウンドトラックと新作EP『みらいのこども』の2枚組という、かなりヴォリュームある作品で、そのワーカホリックぶりには改めて驚かされるばかりだ。

もともと映画音楽への想いが強い彼女だけに、サウンドトラックの方はまさに念願叶ったりと言ったところだが、気になるのはEPの方で、なんと全編が超キャッチーな歌モノ。しかもリリックにはちょっとした笑いまで散りばめられている。あれ、こういう方向性って前回リリース時にはなるべくやりたくないと言ってたことのような…。そこで世武裕子にどんな心境の変化があったのか伺ったところ、これがずいぶんと身の上話に花が咲いてしまいまして、気がつけば4時間もしゃべってしまいました(さすがにすべて掲載とはいきませんが)。あいかわらずの冴えわたるマシンガン・トークをお楽しみください。

インタビュー & 文 : 渡辺裕也

映画に貢献する上で、アーティストの世武裕子は関係ないんです

ーー現在はドラマの劇伴づくりで大変らしいですね。

そうなんです。もうすぐ完パケだから、今はホント大変で。あまりにカオティックな状況で、人にも会えず、友達を失いそうです(苦笑)。

ーー今回リリースされる「だいじょうぶ3組」のサントラは、まさに映画の世界観に徹したつくりで、世武さんのキャラクターがかなり抑制されていますよね。

それはもちろんですよ! 映画に貢献する上で、アーティストの世武裕子は関係なくて。自分のエゴを出そうという気持ちはゼロ。そこは映画音楽に対する自分の想いがあるから。映画のためだけにやらないと何の意味もないんです。私、脚本をかなり読むんですよ。で、いい脚本であればあるほどイマジネーションが沸いてくる。だから今回のサントラをつくれたのは脚本のおかげだし、今やっているドラマもまさにそんな感じ。ただ、映像音楽って、OKがもらえない限り何度もやり直さなければいけないから、すごく時間がかかるんですよね。それこそCM音楽なんてそう。それに今は自分でマネージメントもやってるから、ライヴの準備とかもあるし。

ーー作り手の個性は、サントラでは関係ないんだ。

東宝ミュージックさんとも話していたんですけど、あくまでも劇伴としての音楽を書けて、なおかつアーティスト活動の基盤もある人って、よくよく考えたらそんなにいないってことで。たとえば、坂本龍一さんの劇伴って、坂本さんらしさが活きてるんですよね。「この映画は坂本龍一が主題歌を手掛けているんだ! じゃあ観に行きたい」って思ったり。で、私はそれがすごく好きな一方で、自分がそうかというと、また違って。私はもっと単純にたくさんの劇伴をつくっていきたい。デスプラ的なポジションなんて言ったら、さすがにおこがましいけど(※フランスの映画音楽作曲家・アレクサンドロ・デスプラのこと)。私が目指したのはそういう映画音楽で。

ーーでも、こうして映像音楽の発注を受けていると、アーティスト世武裕子としての作品に取り掛かるのも大変じゃないですか。いっぱいいっぱいにならない?

そうなんですけど、私は欲張りなんですよね(笑)。映画音楽はもちろん、アーティスト活動だってやりたいし、そのモチヴェーションはどっちも変わらないんです。それを比べるのって「仕事と私、どっちが大事なの?」みたいな、めんどくさいカノジョの話みたいなもので(笑)。

ーーなるほど(笑)。

たとえばそれがデザイナーとミュージシャンみたいな話だったら考えるんだろうけど、私の場合は結局どちらも音楽だから。それに現実的な話、いまの時代にいまの私はアーティスト活動だけでは食べていけないし、むしろ自分が並行してふたつの音楽活動をやれることはすごくラッキーだと思ってます。映画音楽の作曲家になりたいって、ホントに小さな頃から言い続けてきたわけだし。

「世武裕子の曲はポップじゃないよ」とずっと言われてきた

ーーそこは世武さんの一貫しているところですけど、一方でつい先日ライヴを観たら、『アデュー世界戦争』の頃と内容が変わっててびっくりしましたよ。こういうことはやらないと言ってたことをさらっとやってて。

前回はどんなことを言ってましたっけ?

ーーわかりやすくギャグる音楽はやりたくないし、歌にもそこまで積極的ではないって。そうしたら、今のライヴはほぼすべて歌モノだし、歌詞にも笑いがあるから(笑)。

(笑)。実はCMや映画でいただいた話の9割は、声が欲しいという依頼で。あるいは曲なしの歌唱だけでお呼ばれするときもちょいちょいある。それって「わたし、そこは自信がないんですけど」ってずっと言ってたところなんですけど、そうしたら信頼している音楽プロデューサーさんから「いろいろ思うところもあるんだろうけど、歌はやった方がいい」と言われて。それで「歌っていいのかな」っていう気持ちに少しずつなってきたんです。それで最近になってカヴァーをやってみたりしたら、ちょっと目覚めたというか。

ーーこの前もゆらゆら帝国とYUKIをカヴァーしてましたね。そういうことを好んでやるタイプじゃないと思ってたから、びっくりした。’’

前は絶対にやりたくなかったんですよ(笑)。それこそ、矢野顕子さんくらいにやれるんならいいんだけど、そうでもない限り原曲に勝ることはないとずっと思ってきたから。それが、今回のツアー先でその出身アーティストのカヴァーをやってみたらどうかという話がでてきて。私も『アデュー世界戦争』の頃よりはもっとお客さんと音楽を共有したいっていう気持ちが強くなっているから、試しにやろうかな、と。特に今回は、ポップスみたいなことをやっているわけだし。

ーー「ポップスみたいな」って、そこをポップスだと言い切るのは抵抗があるんですか。

ポップスというよりオルタナですね(笑)。『アデュー』はともかく、今回みたいにちゃんとメッセージを込めた歌の作品を出して、それをお客さんと共有できないようなライヴになったら、それは私自身になにか問題があるってことだから。そこでなにかカヴァーによさそうな曲を探している時に聴いたゆらゆら帝国がものすごくよくて。それでためしに「夜行性の生き物三匹」を弾いてみて。YUKIちゃんの「JOY」とか、「ハミングが聞こえる」(カヒミ・カリィ)なんかもやってみたんです。それでびっくりしたのが、人の曲ってすごく歌いやすいってことで。

ーー自分の曲より?

そう。人の曲を歌ったあとに自分の曲にいくと、ものすごく歌いにくい(笑)。そこで気づいたんです。「これがわたしに足りないものだったのか!」って。それがきっかけでまた歌に挑戦したくなった。あと、カヴァーをやって嬉しかったのは、それを機に原曲を好きになる人が出てきてくれたこと。曲がちゃんと元の場所に帰っていくんです。こうやって自分の好きな曲をお客さんと共有できるのって、こんなに楽しいんだと思いました。私、音楽を人と共有するのがホントにヘタクソなんですよ(笑)。単純に方法がわからなかった。だから、いまカヴァーをやるとホントに得るものだらけで。

ーーちょっと気になったんですけど、さっきの「ポップスじゃなくてオルタナ」っていうのは、どういうニュアンスで言ってるんですか。

それは半分トラウマもあって(笑)。私がポップスだと言っても、「いや、世武さんの曲はポップじゃないよ」とずっと言われてきたから(笑)。

ーーでも、新しいEPはまさに世武さんのポップスって感じでしょ?

私は『アデュー』だってポップだと思ってますよ。だって私自身がすごいポップな人間だから。サブカル好きとかでもないし、根暗だけど基本的にポジティヴだし(笑)。でも、みんなからフォーカスされるのは、フランスに留学していたとか、そういうところばかりになっちゃう。だから、ジャンル的にポップスかそうじゃないかっていう話は、もう面倒くさくなっちゃって。

ーーじゃあ、そこでオルタナになるのは?

そこで私もポップスと名のつく音楽がどういうものかを知ろうと思って、iTunesでたくさん買って聴いてみることにしたんです(笑)。世の中でポップスと言われるものを自分が好きになれるかどうか試してみようと。そのなかで自分が気に入ったものを並べてみると、ジャンルが“サウンドトラック”か“オルタナティヴ・ロック”と書かれているものばっかりで。だから、オルタナの人には通じるものがあるんじゃないかなっていう気はしていて。

ーー世武さんの音楽に惹かれる人って、実際にそういう音楽を好んでいる人は多いと思いますよ。

わたしもそんな気がしてます。で、私も自分のナチュラルなところをそのまま認めてほしいから、いわゆるポップス論みたいなのはもういいやって。私、ここまでたくさん否定されてきたので、もう否定はたくさんです、疲れました、みたいな。肯定してほしい!

やっぱり教育って大事だなって

ーー(笑)。でも、今回はラジオのパワープレイがいくつか決まっているそうじゃないですか。地方のラジオ局でもかかるわけだから、それはポップスとして受け止められた証にもなるんじゃないですか。

私、流通はメディアファクトリーさんにお願いしてるんですけど、基本的にはすべてフリーでやってるから、宣伝もなにもできなくて。だから、私なりのメッセージを込めた「みらいのこども」が、それこそ福島のラジオ局でもパワー・プレイしてもらえるのはすごくうれしい。私、ものすごく歳の離れた弟がいて、彼の世話を焼きながら成長の過程を見てきた体験がすごく大きいんです。ついこの前もPVの撮影で保育園に行って、ものすごく楽しかった。でも、私って子供と同じ目線でしか仲良くなれないんですよ。「お姉ちゃん!」じゃなくて、「ひろこちゃん! ハナクソつけたる!」みたいな感じ(笑)。でも、やっぱり先生ってすごくて、友達じゃないんですよね。先生が指示すると、子供たちもそれを怖いと思っているから、ちゃんと言うことを聞く。そういうのを見ているといろいろ考えるんです。私、子供にとっては愛情と教育が最も大切なものだと思ってるから。「みらいのこども」はそういうテーマへの関心からできた曲でもあって。

ーーその関心がどういうものか、もう少し具体的に教えてほしいです。

日本の学校教育の在り方とか、そういうこと。もともと私は教育大学を受けたいと思ってたんです。さらっと親に反対されちゃったんですけど(笑)。でも、フランスに行ってからはそこの興味がさらに強くなって。もちろんこれは一長一短だけど、やっぱり教育の仕方が日本とはまったく違ってた。そこに順応するのは時間がかかりましたね。それで日本に帰ってきて、音楽活動をしていくなかで苦い経験もしてきて、やっぱり教育って大事だなって。

ーー日本とフランスではどんな違いがあるんですか。

たとえば日本って、がんばって勉強していても、途中でなんのために勉強しているのか、どこかで突っ込みたくなる環境だと思って。

ーー受験が終わったら、もうその先がなくなっちゃう、みたいなこと?

そうそう。でもフランスは、まずなりたいものを探すために受験勉強が始まるから。まず自分がどうしたいか。そこが先にくるんです。今はどうかわからないけど、少なくとも自分の世代が受けてきたような教育だと、やっぱり社会にでてからが弱いんですよね。私もフランスで弱かったし。私自身はけっこう先生が言うことを鵜呑みにしないタイプだったんだけど、基本的にものすごく真面目な性格なので…。

ーーたしかに世武さんは真面目すぎると思いますよ。わざわざ疲れるようなことをしてるように見えるというか。

よくわかってますね(笑)。それはすごいコンプレックスなんです。それこそフランスに行ったばかりの頃は悲惨だった。その当時の挫折感ったらないですよ。私の沁みついた真面目さは、もはやナチュラル・ボーン・プログレどころじゃないんですよ。

ーーナチュラル・ボーン・真面目(笑)。

最近になって気づいたことが、本音で話そうという場でも、みんなが必ずしも本音で話すわけじゃないんだってことで。私、自分で「ホンマのこと言うと」って前置きしたときは、もう100パーセント本音ですべてしゃべっちゃうんですよ。で、それによって人間関係がうまくいなかくなることもあって。「だったら、本音で話そうなんてはじめから言わなきゃいいのに」って(笑)。

ーー本音と建て前ってやつですね。

そうそう。私にはそれがあまりなくて、なんでも額面通りに受け取っちゃう。あとになって「本音と建て前くらいはわかるでしょ」とか言われても、「ええ! じゃあ何でそう言ったんですか?」って。褒められてもディスられても、そのまんま受け取っちゃうから余計に疲れちゃうし、そんな私にまわりも疲れていると思う(笑)。

ーーヘラヘラするのが苦手?

それは波長の合う相手としかできないんですよね。なんか今日、人生相談みたいになってきたな(笑)。

ーーインタヴュアーとしては嬉しいですよ。なんでも正直に話してくれるんだから。ガードが固い人もけっこういるし。

でも、そういう人は自己防衛能力の強さが回りから見てもわかるから、あんまりディスられないんですよね。私みたいな突っ込みどころ満載の人間だとそうはいかない(笑)。自分の核の部分より外のことって、気持ちが移ろいで意見や夢が変わることって、私は当たり前だと思ってるんだけど、そういう理論って、あんまり通用しないんですよね。最初に言ったことが変わると、すぐに揚げ足を取られちゃう。

ーーなんかそれもさっきの教育の話と絡んでいきそうですね。その教育への関心と世武さんのつくる音楽って、結びついていくところもあるんですか。

そこまで直接的ではないけど、広い意味での問題提示は『リリー』の頃からやっているつもりです。実際、私の歌詞はそれで重くなりがちで。そこを気をつけようとしてできたのが「私の愛したスパイ –ナチュラル・ボーン・プログレ–」とかなんです。年がら年中「みらいのこども」みたいな曲ばかり書いていても、ねぇ。よくわかってるんです。これまでに出してきたアルバムがどれも重すぎるって(笑)。

自己プロデュース能力がめちゃくちゃ低いんですよ

ーー前回のインタヴューで世武さんは、『リリー』で無理したところを軌道修正したのが『アデュー世界戦争』だと話してて。つまり、『アデュー』こそ自分らしさが表れた作品だと。じゃあ、今回の作品はどういう位置づけになるんでしょう。

たしかに私の作品の変遷って、すごくわかりづらいですよね。でもそこはちゃんと順路があって。『アデュー世界戦争』は、「まさにこれがアーティスト世武裕子!」っていう作品なんです。で、今回はアーティストとしての私じゃなくて、素の人間としての私が、音楽に囚われずにつくった作品。『アデュー』を出してみて感じたのが、今の時代はアーティスト云々より、作り手がどういう人なのかを知りたいと思っている人の方が多いってことで。だったら、そういう作品を出せたら、もっとシェアしてもらえるんじゃないかなって。今回のEPを出して、すごく楽になれたような感覚もあるんです。これから変に構えなくてよくなった。私は自分をアーティストと名乗ることに抵抗はないんですけど、そこで揶揄されることもやっぱりあって。でも、今回のEPで恥ずかしいことがもうなくなったというか。

ーー『アデュー』の頃と今ではまったくモードが違うんだ?

これからどういうふうに活動していくかはわからないけど、やっぱり生きていくうちに『アデュー世界戦争』みたいな作品をもっとたくさん聴いてもらえるような世の中になったらいいなっていう気持ちはあります。

ーー単純に世武さんの知名度がもっと上がれば、『アデュー世界戦争』の評価はこれから確実に変わっていくと思いますよ。

そうですよね。同じことをやっても、そのときの立場が違うだけで受け手への説得力は変わっちゃう。それは人間である以上は仕方がないことだと思ってて。だから、私のことをもう少し認知してもらえたら、きっと『アデュー世界戦争』が面白い作品だと改めて思ってもらえるんじゃないかなって。そういう意味では有名になりたいっていう気持ちがすごく強いです。お金がほしいとか、ちやほやされたいとか、そういうことじゃなくて、自分が発信したことを人がちゃんと聞いてくれる状況にしていきたいんです。

ーー『アデュー』が正当な評価をされるかどうかは、まだまだこれからの活動次第ってことだ。それにしても、世武さん本人の実像と周囲からのイメージって、けっこうすれ違ってる部分もありそうですね。

そんな気はします(笑)。だから、今回の2枚組は映像音楽家でありシンガー・ソングライターでもある私の名刺代わりになればいいなって。これをどう受け止めてくれるのかはすごく興味があります。『アデュー世界戦争』は、お客さんに向ける作品としてはどうなのかわからないけど、一方であの作品を出してから映像作品の仕事は増えたから、そういう意味では成功なんですよ。セールス的にはまったくだけど。

ーーはっきり言うなぁ(笑)。

マジで(笑)。ただ、あれを出してから気をつけようと思ったのが、リスナーから「世武さんはメジャー路線でいくことを諦めたんですね」と言われたことで。自分の好きなようにやっていればそれでいいんだと思われて、それはまずいなって。私、プロデューサーもマネージャーもいないくせに、自己プロデュース能力がめちゃくちゃ低いんですよ。それで見え方が不透明になっているところもきっとあって。

ーー今後の方針を一緒に立ててくれるパートナーがほしい?

めっちゃ求めてますね(笑)。でも、あまりまわりからそう思われてなくて泣きそうですよ。

ーーこれはずっと疑問なんですけど、音楽へのスタンスはこんなに一貫しているのに、ヴィジュアルのイメージをいつもガラッと変えるのはなぜ?

それ。昨日も同じこと言われました(笑)。実はデビュー作の『おうちはどこ?』からずっとぶつかり続けている課題がそこで。イメージを打ち出すために自分の長所を活かしたいのに、私は自分の長所かわからない(笑)。今の時代は自己プロデュース能力がないとやっていけないって、けっこうみんな言うけど、実際に音楽を本気で突き詰めてやりながら自己プロデュースできている人なんて、ほとんどいないと思う(笑)。だから、そこを支えてくれるスタッフがいてくれたらなぁって。1人でやってるように見える人だって、うまくやってる人には有能なブレインが必ずいますからね。

ーー世武さんは親しみやすいキャラクターだし、変に色づけしなくてもいいと思うけど。

でも、嫌われたくないとか思っちゃってつい、ね(笑)。たとえばそれで大阪のおばちゃんみたいに思われたくなくてかっこつけすぎたら、なんか鼻につく感じになったり(笑)。究極の話、自分を売り出すために私は顔出ししない方がいいんじゃないかって。

ーーいや、世武さんはちゃんと前に出た方がいいですよ。せっかく今回の作品で素の姿をさらせたわけだし。

そういう意味ではやっとスタートラインにやっと立てたのかな(笑)。『アデュー』みたいな作品に時代性は関係ないと思ってるんです。でも、今はもっと時代に沿ったものをつくる必要もあるんだろうなって。よし、今日は最後に「プロデューサーを募集してます」って書いておいてくださいね(笑)。あるいはビヨンセにとってのJay-Zみたいな人。

ーーそれ、仕事じゃなくて結婚相手じゃないですか(笑)。

それもいいですね(笑)。しかし、子供好きで結婚って、私なんのインタヴューに答えてるんだろ(笑)。

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世武裕子 過去作はこちら

LIVE INFORMATION

アルバム発売記念 インストア・ライヴ
2013年3月21日(木)@大阪南堀江 FLAKE RECORDS
2013年4月12日(金)@TOWER RECORDS 渋谷店3F イベント・スペース

だいじょうぶ みらいのこどもツアー
2013年3月22日(金)@京都 UrBANGUILD w/LEO今井、ゆーきゃん&フェザー・リポート
2013年3月23日(土)@名古屋 K.D ハポン w/LEO今井
2013年3月29日(金)@吉祥寺 キチム w/古舘佑太郎(The SALOVERS) GUEST演奏者 : コトリンゴ
2013年4月5日(金)@福岡 STEREO SIDE-B w/洪申豪(透明雜誌)
2013年4月7日(日)@広島 音楽喫茶ヲルガン座 w/洪申豪(透明雜誌)
2013年4月13日(土)@札幌 CAFEサーハビー w/SiMoN
2013年4月20日(土)@岡山 城下公会堂 w/宮本菜津子
2013年4月21日(日)@梅田 MAMBO CAFE w/宮本菜津子
2013年5月19日(日)@東京 青山・CAY
2013年5月24日(金)@仙台 SENDAI KOFFEE w/次松大助
2013年5月25日(土)@南相馬 50's Spot SHOUT w/掘下さゆり

PROFILE

世武裕子

滋賀県出身、パリ・エコールノルマル音楽院映画音楽作曲科卒の作曲家/シンガー・ソングライター。「イングリッシュ・ペイシェント」「ベティー・ブルー」「善き人のためのソナタ」など多くの映画音楽を手がける作曲家ガブリエル・ヤレドに師事し、ジャン=リュック・ゴダール監督の『気狂いピエロ』等で知られる作曲家アントワーヌ・デュアメルからもその才能を賞賛され、同音楽院卒業制作では満場一致の首席にて卒業。帰国後は、くるり主宰Noise McCartney Recordsよりデビューし、Fuji Rock Festivalや京都音楽博覧会、COUNTDOWN JAPAN、KAIKOO POPWAVE FESTIVALなど、大型フェスへも次々出演を果たす傍ら、金髪ルックが印象的な自身出演のCM "Googleで、もっと。クロームでストリート・ライヴ"、Panasonic Beauty、ユニクロ、大阪ガス、Mitsubishi Motors Japan、KOSEなどのCM音楽、BeeTVドラマ「3枚目のボディーガード」、映画「家族X」、Studio 4℃×TOYOTA とのコラボレーション、最近では、3月からWOWOWで放映される廣木隆一監督によるドラマ「ソドムの林檎~ロトを殺した娘たち」の音楽も担当するなど、多方面でその才能を発揮している。そして2013年3月、『おうちはどこ? 』『アデュー世界戦争』では現代音楽の面白さを、『リリー』『Good Morning World! /Hello Hello』では、まるで景色を鳴らすような声で人々を魅了した彼女が、待望の新作「だいじょうぶ3組」 オリジナル・サウンドトラック+ミニ・アルバム『みらいのこども』の豪華2枚組作品をリリースする。サウンドトラックとEPを収録した本作は、まさに世武裕子のこれからを象徴するような一枚と言えるだろう。

>>世武裕子 Official HP
>>Twitter : @sebuhiroko

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インタヴュー

その男、天才につき──折坂悠太、この世と別世界を繋ぐ歌声、ライヴ音源をハイレゾ独占配信
[CLOSEUP]・2017年08月10日・その男、天才につき──折坂悠太、この世と別世界を繋ぐ歌声、ライヴ音源をハイレゾ独占配信 新しい才能が世の中に羽ばたく。折坂悠太のことだ。独特の歌唱法にして、ブルーズ、民族音楽、ジャズなどにも通じたセンスを持ち合わせ、それをポップスとして消化した稀有なシンガー。そんな彼が、彫刻家・平櫛田中の旧邸にて収録したライヴ・レコーディング音源『なつのべ live recording H29.07.02』をリリース。OTOTOYでは本作のハイレゾ版を8月23日より独占配信、発売日に先駆けて予約スタートする。そして折坂悠太へ初めてとなるロング・インタヴューを敢行した。その歌い方、歌詞の描き方、折坂の歌への向かい合い方とともに、ぜひその才能の片鱗を目の当たりにしてほしい。 平櫛田中の旧邸にて収録の音源、ハイレゾ独占配信折坂悠太 / なつのべ live recording H29.07.02'【配信形態】WAV、ALAC、FLAC(24bit/48kHz) / AAC単曲 250円(税込) / まとめ 1,000円(税込) 2017年8月23日(水)より配信スタートになります。配信日に先駆けて予約販売もスタート。>>ハイレ
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by 岡本 貴之
ローレル・ヘイロー、『DUST』を語る
・2017年07月17日・ホコリには特定の場所や原点がない──ローレル・ヘイロー『Dust』を語る 〈Hyperdub〉からリリースされたローレル・ヘイローのニュー・アルバム『Dust』。新たな境地へと達した感のある作品で、キュートなエレクトロ・ポップ、電子音響、さらにはフリー・ジャズやアフロ・パーカッションなどがゆるやかに結びつき、アルバムを構成している。穏やかな表情でいながら、その背景に広がるイメージはよくよく見てみると奇怪、さまざまな要素のプリコラージュで構築されている。そんな濃密でいながら、軽やかなポップさも持っている質感のアルバム。まぁ、とにかくいい塩梅のアルバムなのだ。これがあまり日本で話題になっていないのは正直どうかと思うぞ! ということでOTOTOYではローレル・ヘイローの貴重なインタヴューをここで公開。ハイレゾ配信中の『Dust』、いまからでも遅くはないのでぜひとも聴くべきではないかと思いますぞ。いや、とにかくその音響の世界観は気持ち良いのです。 ハイレゾ版はCDと同様のライナーノーツ付きで配信Laurel Halo / Dust(24bit/44.1kHz)'【Track List】01. Sun To Sola
by 河村 祐介
KUNIYUKI TAKAHASHI──インダストリアルの新たな響き
・2017年07月26日・KUNIYUKI TAKAHASHIのルーツにして、新たな側面をプレゼンする冒険的な新作──ハイレゾ独占配信 海外のハウス〜テクノ・シーンでも高い評価を受けるレーベル〈mule musiq〉。そのアーティスト・ラインナップは、現在でこそ海外シーンともシームレスなメンツが並ぶが、そのその設立当初から本レーベルを象徴するこの国のアーティストといえばこの人だろう。札幌のマエストロ、KUNIYUKI TAKAHASHI、その人だ。ジャズやソウルが豊かに溶け込んだディープ・ハウスを中心にしたこれまでの作品は、国内外で高い評価を受け続けている。そんな彼が、今回新作を発表するわけだが、そのサウンドはこれまでと趣向の違う質感を宿したものとなった。彼のルーツのひとつであるニューウェイヴやエレクトロニック・ボディ・ミュージック、インダストリアルといったサウンドを前面に出したプロジェクトとなっている。その名も「NEWWAVE PROJECT」。OTOTOYではこちらのハイレゾ独占配信をスタートする。サウンド・エンジニアとしての側面も持つ彼のそのサウンドの冒険をぜひともハイレゾで楽しんでいただきたい。 ハイレゾ独占配信KUNIYU
by 河村 祐介