サイプレス上野とロベルト吉野が、前作『MUSIC EXPRES$』から約1年振りとなるニュー・アルバム『TIC TAC』をリリース。事務所の先輩でもあるSHINCO(スチャダラパー)やサイトウ“JxJx”ジュン(YOUR SONG IS GOOD)がトラック・メイカーとして名を連ねる他、豪華アーティストが参加。前作とはうってかわり、リラックスした自分たちらしさを出した全方位的なアルバムが完成した。


サイプレス上野とロベルト吉野 / TIC TAC

【販売形式】 : mp3

【販売価格】 : 単曲 200円 / まとめ購入 1,800円

【収録曲】
1. ぶっかます / 2. LIVE GOES ON / 3. ヨコハマシカ feat. OZROSAURUS / 4. マイク中毒 pt.3 逆 feat. STERUSS / 5. DOOR(ALI-KICK REMIX) / 6. だろう生活ながら毎日 / 7. 契り流星群 / 8. ヒップホップ体操第二 / 9. WHO'S LEADER!? feat. JAB / 10. YouTube見てます / 11.特にありません / 12. GIVE ONE'S LIFE 4...

INTERVIEW : サイプレス上野とロベルト吉野

ヒップ・ホップの枠を越えて、エンターテイナーとして様々なイベントに出演。2012年にはKAIKOO POPWAVE FESTIVAL、京都大作戦、コヤブソニック等、大小問わずにイベントに出続けてきたサイプレス上野とロベルト吉野。長年、培ってきた彼らのライヴ・スタイルはどこの現場にいっても、間違いない安定感と盛り上がりを見せる。しかし、そのイメージだけで彼らを語るべからず。彼らが持っているヒップ・ホップの要素はもっと根深く、もっと生活の一部として染み付いたものだ。

ヒップ・ホップを始めてから17年の月日が経ち、酸いも甘いも知っている彼らの新作『TAC TAC』は、シンプルに洗練されながらも最後までゆっくりと、今立っている足元を確認するように進行していく。そして、多くの現場とアーティスト、日本語ヒップ・ホップと横浜の「今」を知っている彼らが伝えたい言葉が詰まった名盤だと強く思う。先行シングルとして話題となった「ヨコハマシカ feat. OZROSAURUS」も勿論だが、冒頭から最後までドライヴでもしながら聞いて欲しい。サイプレス上野とロベルト吉野の2013年が幕を開けた。

取材&文 : 和田隆嗣
写真 : 西澤裕郎

今作は日本語ラップ・シーンっていうのは意識しなかった

——早速ですが、ジャケットのおしりは誰なんですか?

サイプレス上野(以下、上野) : それは… 謎・みっちゃん(※STERUSS、サイプレス上野とロベルト吉野を擁する、ヨコハマを代表するクルー、ZZPRODUCTIONの一員)です。今作では「契り流星群」に参加しています。

——すごいインパクトですね! いきなりビックリしました。今作は、前作『MUSIC EXPRES$』から1年以内という早いペースでリリースされましたが、それは元々決めていたんですか?

上野 : 事務所ともレーベルとも話して、間を空けずに出そうかっていうのと、「ヨコハマシカ feat. OZROSAURUS」を早く出そうっていうのがあったんです。『MUSIC EXPRES$』を出してからライヴを回ってたら、自分たちの中で言いたいことがすげえ増えたのと、お客さんの反応からもらったもんがデカかったんだよね。

左から、サイプレス上野、ロベルト吉野

——ツアーを回るというのは普通のライヴとは違いますか?

上野 : やっぱり違いますね。ライヴはずっとやっていたんだけど、定番のルーティーンが俺たちの中であって。ツアーだと、それを細かく変えていけるし、『MUSIC EXPRES$』の新しい要素が加わったときに、また違う作り方が出来たんだよね。「よっしゃっしゃっす」も反応が良くて、どこでも通用するっていうのが分かって。新しい気持ちになったし楽しかったんだよね。

——今回の作品の中でも、自分たちの立ち位置は上の世代がいて下の世代も可愛がってっていう、まさに「中間管理職」だと言いつつも、最後には他の世代に対するメッセージは「特にありません」と。シーンの両極端を見ているお2人だけに、思うところも多いですか?

上野 : 他の世代への曲じゃないんだけどね、「特にありません」は(笑)。そりゃ、若い奴らが出てきてかっこいいとも思うし、すげぇいいなあって思うよ。でも、そこに俺たちが憧れてもしょうがないからさ。自分たちでやってきたことがあるから。例えばAKLOとか、KLOOZとか、5lack&PUNPEE兄弟とか、DOWN NORTH CAMPにD.L.I.P.とも仲良く付き合ってるというか一緒に同世代を生きてるな! って思うし。皆がそれぞれのスタイルを見つけたなっていうのを今すげえ感じてて。もう俺たちは4枚目だから中間管理職でもあり、ぶっちゃけベテランだから。俺たちの周りでも、辞めていく人の方が多いからね。でも今作は、日本語ラップ・シーンっていうのは意識しなかったです。最近は、別に俺がシーンの中心人物でいる必要はないって気持ちに切り替わってて。引っ張るっていうのは狙うもんじゃなくて、俺たちのやり方で結果が出たときに初めて、引っ張ってるって言えるんじゃないかなって。

——今作はトータルで5回くらい聴かせて頂いたんですが、少し肩の荷が下りたというか。肩ひじ張ってないなって感じました。

上野 : インタビューに向けて5回は少なくねえか(笑)? ま、いいや。アルバムを作るっていう行為が、今までは、求められているものをやろうとしすぎてたなって。『MUSIC EXPRES$』までは、求められているものを作らなきゃいけないって思ってたんだけど、自由にやった方がいいのかなって。
ロベルト吉野(以下、吉野) : スムーズにできるってことはトラックとラップのセッションが上手くいってるってことなんです。だから、それが一番いい状態なんです。

——無理してないってことですか?

上野 : トラックに対しても無理なアプローチしないっていう。無理なフローをするんじゃなくて、今回はできる言葉を選んで。言いやすい言葉を選んで、それをわざと言いづらく歌うみたいな。普通に歌えば歌える言葉を、ちょっと言い方を変えてね。普通はさ、言いづらい言葉を頑張って歌うっていうのがフローだったりするわけじゃん。でもそうじゃなくて、逆の発想をして、会話をしている感じかな。「特にありません」とか「YouTube見てます」とかは、「すべらない話」みたいに、オチをつけるために流れをちゃんと作るっていう。あ! コヤブソニックがデカかったな!

——(笑)。

上野 : 俺が「タマフル」(※TBSラジオ(AM 954kHz)で毎週土曜日21:30~24:30に放送されている「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」)で携帯電話の番号を晒した話をしたら、あの小藪さんに「こういう人おるんですよ。ナチュラルにしゃべれて面白い人」って言われて。「えっ! あの小藪さんに! 」とか思って。俺たちが、友達に面白く話そうとしてるやり方って、芸人の話のトップにも通じるんだって。会場からも「ドッ! 」って笑えてもらえて。で、そのままの会話をラップしてえなって。

どこにも負ける気がしないっていうのはありますよね

——あと、「ヨコハマシカ」について聞きたいのですが、OZROSAURUSと合体すれば、パーティー・チューンを作るのは簡単だったのに、あえてそういうことをしなかった。なぜならそれは今言いたいことに合わないからと別のインタビューでおっしゃっていたんですが、具体的に教えてもらえますか?

上野 : 絶対アガるじゃん、そんなパーティー・チューンを作ったら。日本のシーンに爆弾落ちたってさ。でもそれだとちょっとつまんないでしょって。既にクラシック認定の24 HOUR KARATE SCHOOL JAPANもあるし、今ではBCDMGとか。みんな好きだけど、そこに俺たちが今そういうことやっても埋もれるし。だからあえてその流れに終止符を打つっていうか。

——決して無理していない?

上野 : 完全に自然体ですよ。OZROとあれを作ってみて、実は不安だったんです。「蝕」で初めて聞かせるときも、皆はノリノリなのを期待してるから。「あれ? 終わりの曲ですか? 」みたいな(笑)。俺もマイクで、「みんなが期待してるアンセムじゃないかもしんねえけど、俺ん中ではアンセムだから」ってかけたら、yanatakeさんとかが「なんであんな言い方したの! アンセムだよ! 」って言ってくれて。理解してくれる人もいるんだなあと。不安っていうか、求められてないものを作ってるって感じはあったから。本当に受け入れられなかったらどうしようって。でも受け入れられて、そっから自信になった。つかラップに関してはマッチョ君(※OZROSAURUS)があんだけ本気できてくれるとは思わなかったから、恐ろしい、この人って(笑)。

——ちなみに、今回の「契り流星群」のスクラッチは、完全に吉野さんのものですか?

吉野 : そうですね、SHINCOさん(スチャダラパー)にトラックを作って頂いて。全体を通してストーリーで組んだので、無駄は全部省いて、最後のバースだけでスクラッチを入れてっていう。最初の部分は全部言葉の意味で。

——ライヴDJとして相方の口の動きに合わせるという阿吽の呼吸はもちろんあると思うのですが、感情の入れ方っていうのはどうやっているんですか?

吉野 : 結成した当初から練習で「ここは抜け」とか、「この状態で自分が突っ込んでいったら良くなるかな」とか。俺らのライヴってセットなんで、それが崩れた時に新しいネタができたりとか。それが楽しいんですよね。ライヴはスクラッチだけじゃないんです。感情的なDJでいたい、っていうのがありますね。俺はしゃべるのは苦手ですけど、ライヴが始まるとドバーッとなっちゃって。

——上野さんも吉野さんに関しては、絶対的な信頼がある?

上野 : 絶対の信頼はないけどね! 違うことをやってきたりするから(笑)。けど色々作戦とかはあって、今日はアガりそうだってなったら最初にしゃべれとか、アゲロアゲロ! っとか。ミスをどこで戻せばいいっていうのは分かるし。全然、どこにも負ける気がしないっていうのはありますよね。なんとでもなるっていう。15分のライヴとかだと、逆に凝りすぎちゃう。クラブ・イベントで一時間やってくれってのも逆にキツいんだけどね(笑)。30分超えたあたりから吉野のこと見ねえし(笑)。

——「マイク中毒 PT3」で共演したSTERUSSもZZ PRODUCTIONの一員として一気に昇った年かなと思うんですがそれは応援する仲間から見て、いかがですか?

上野 : ようやくやってくれたかって感じ。色々知ってるからね。もうSTERUSSは解散するんじゃないかなって時期があって。で、ビート武士がサポートで入って、メンバーになった時はすげえ嬉しくて。そのままアルバムを作って、FUJI ROCKのルーキーに出たっていうのは、俺たちの中でもデカい出来事で。江の島で「建設的」をやって、次の昼から海の家でOllieのイベントに出て、その夜からFUJI ROCKに行くっていう意味わかんない日程だったんだけど。それでもSTERUSSを見に行くしかねえって。そしたら「マイク中毒やろうよ」ってなって。STERUSSと一緒にステージ立った時には、やっぱりこいつら熱いぞって思えましたね。

エレベーターで一緒になるおっさんの為のヒップ・ホップもある

——今作を聴いていて自然に感じられる街の匂いみたいなものって、やっぱり周りの仲間との交流が、自然に、無理せずにラップの中にも現れているということなのかもしれないですね。

上野 : 今回はあんまり、地元のドリーム、ドリームって言ってなくて。タイトルに付けただけなんです。今までレペゼン感がすごかったけど。それが自然になったっていうか。地元のおっさん、おばさんとも仲良くなったりとか(笑)。ヒップ・ホップって、やっぱりルーディーで、俺たちが高校の時だったら、上下迷彩着てラジカセを持って、スケボーしてたりっていうイメージとか。コンビニ前で何する訳でもないし。狭い街でね(笑)。その街のはぐれ者たちのものではあるんだけど、それだけじゃなくて街の中に馴染んでるヒップ・ホップだってあるじゃん。PV観たらガキが一緒に写ったりしてるけど、それもアリだし。俺たちのヒップ・ホップはそっちじゃないかってさ。フードをかぶって首振るやつの為だけじゃなくて、エレベーターで一緒になるおっさんの為のヒップ・ホップもあるっていう。

——そうなんですね。ただ、サイプレス上野とロベルト吉野の存在って、活動すればするほど、地元を盛り上げることにも一役買っていると思うんですよね。別に地元の名前を出さなくても、もう「横浜といえば」ぐらいに認知されてきているというか。

上野 : そうだと嬉しいですね。横浜はもうだいぶレペゼンしてきたつもりだし。だけど、それを他の音楽好きな奴らに伝えられているかっていったら、まだこれから先の作業だなって。全然知らない人もいるだろうし。

——もっともっと広げていきたい?

上野 : そうだね。今までやってきたんだけどなあっていう気持ちもあるけど、まだまだあるっしょって。それをポップス的なラップにするんじゃなくて、普段通りの俺たちを貫いてどんだけ通用すっかなって。

——なるほど。では最後に、4作目を出すにあたって、意気込みを聞けたらなと!

上野 : やっぱライヴ。5月6月でワンマン・ツアーがあるから、それに来てもらいたいです。ゲストを呼ぶとこもあるけど、基本的に俺たち2人しかいないから。2時間強をラップ・グループでやってる同世代を見てないから、俺たちの世代の新しいチャレンジっていうのを日本語ラップのシーンがあるなら、フォロワーがいんなら、そいつらにもちゃんと感じ取って欲しい。先輩達とまた違う世代が、新しいこと始めましたよって。しかも8カ所まわるしさ。それを成功させるためのアルバムだから。アルバムを聴いてライヴに来てようやく完成だから、みんな来てくれっていう。
吉野 : 作品を出す目標っていうのはずっと変わんないっすね。ライヴが成功して、お客さんが来てくれないとモノになんないんで。「アナタたちが来てくれないと、自分らライヴもできないし生活もできない。正直ありがとう」ってお客さんに言いたいです。

サイプレス上野とロベルト吉野のこれまでの作品はこちら

LIVE SCHEDULE

サイプレス上野とロベルト吉野「TIC TAC」 TOUR 2013 ~筆おろし~

2013年5月11日(土)@神奈川 CLUB LIZARD YOKOHAMA
2013年5月18日(土)@大阪 Shangri-La
2013年5月19日(日)@名古屋 CLUB UPSET
2013年5月25日(土)@仙台 Neo BrotherZ
2013年6月8日(土)@福岡 Early Believers
2013年6月9日(日)@熊本 Django
2013年6月14日(金)@札幌 COLONY
2013年6月22日(土)@東京 代官山UNIT

★チケット先行予約情報★
2月22日(金)13:00~3月1日(金)11:00の期間、サイプレス上野とロベルト吉野の公式ファン・クラブ・サイト「メロディフェアモバイル」にて、チケットの先行予約を受付!

<アクセス方法>
アドレスもしくは「サイプレス上野とロベルト吉野」で検索!

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2011年にはソロで「我時想う愛」と「この島の上で」の2作、BudamunkとISSUGIとのユニットSICK TEAMのアルバム、オハイオ州クリーブランド出身のビートメイカー、CES2とのコラボ作『All in a daze work』と、驚異的なペースで、しかも話題作を生みだしてきた5lack a.k.a. 娯楽(スラック)と、2012年10月に海外制作第一弾作品『Far From Yesterday』をリリースしたばかりのこちらも圧倒的なクリエイティヴィティとペースでワールドワイドな活躍を見せる正に鬼才Olive Oilが奇跡の融合。ほぼ全編福岡で制作されたとの話通り、5lack a.k.a. 娯楽が生み出すリリック(ラップ)もいつもとまた違った空気をはらんでOlive Oilのチルでイルなビートを纏って着地する。東京と福岡を結んだ奇跡のコラボレーションは、変な期待なんてしないでも大丈夫。いつも通り、聴けばわかるから。だって、らしいよ。上京したヤツもきっと戻るこんな良い街 東京にマジで土産になるこいつは相当いい。

PROFILE

サイプレス上野とロベルト吉野

マイクロフォン担当 : サイプレス上野
ターンテーブル担当 : ロベルト吉野
通称『サ上とロ吉』

2000年にあらゆる意味で横浜のハズレ地区である『横浜ドリームランド』出身の先輩と後輩で結成。"HIP HOPミーツallグッド何か"を座右の銘に掲げ、"決してHIPHOPを薄めないエンターテイメント"と称されるライヴ・パフォーマンスを武器に毎年120本近くのライヴを行っている。 2007年に1stアルバム『ドリーム』を発表、2009年には2ndアルバム『WONDER WHEEL』を発表している。その後、恵比寿リキッドルームでワンマン・ライヴを成功させ、その模様を収録した『ワンダー・ホイール ザ ライブ』を発売。2011年9月には、横浜・神奈川をコンセプトにしたミニ・アルバム『YOKOHAMA LAUGHTER』をリリース。同年11月、SPECIAL OTHERSコラボ・アルバム『SPECIALOTHERS』へ参加。2012年3月7日に約3 年ぶりフル・アルバム『MUSIC EXPRES$』をリリース。アルバム収録曲「ちゅうぶらりん feat.後藤まりこ」は、テレビ東京系『ゴットタン』エンティング・テーマに決定し注目を集める。2012年12月12日には、"THE ORIGINAL 045STYLE"、"ハマの大怪獣"ことOZROSAURUSを迎えたシングル「ヨコハマシカ feat.OZROSAURUS」をドロップし、2013年2月20日に、4枚目となるアルバム『TIC TAC』をリリース!

また、FM YOKOHAMA『YOKOHAMA RADIO APARTMENT』水曜日メイン・パーソナリティのレギュラー担当、TOKYO FMで放送された不定期プログラム『サイプレス上野の日本語ラップキラッ!』のメインMCや、bounce.comでの伝説の連載「サイプレス上野のLEGENDオブ日本語ラップ伝説」が書籍化するなど話題を振りまき続けている。更に、ヒップホップ専門USTREAM番組Amebreak presents「RAP STREAM」のメイン・パーソナリティ、TV番組・CMでのナレーター、ファッション・カルチャー雑誌での連載、モデルとその活動は多岐に渡る。

ジャンル、世代を問わず様々な現場から 支持を受け、なにかと注目度の高い二人。「未来のJAPANESE MUSICシーンを担うアーティスト」へと邁進中! 今乗っとけいっその事! そしたら遊び放題一生保証!?

>>オフィシャル・サイト PC
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