2013/01/03 00:00

初の全国流通盤をリリース! 先行フリー配信開始!

2010年、ギターの山口史章を中心に結成され、ベースのホンマ ヒロミツ、ドラムの504の3人で活動するバンド、アプリオリ。そのアプリオリが、2013年1月9日に全国流通盤でミニ・アルバムをリリースする。現代の都会に生きる若者のネガティブな中に、共感できるものを増やし、一緒に歌うボーカル山口のさびしくて悲しくて、でも力強い声は、聞く者の耳を奪う。今回、オトトイでは1月にリリースされるミニ・アルバム『ヒトノユメ』から、1曲を高音質音源(24bit/48kHzのWAV)でのフリー・ダウンロードが決定!

>>>「GPS」の高音質音源のフリー・ダウンロードはこちら

ファースト・ミニ・アルバムの発売を待て!

アプリオリ / ヒトノユメ
【発売日】
2013年1月9日

【Track List】
01. 人の夢 / 02. 青者の行進 / 03. 瞬間ドラマチック / 04. ノット / 05. イノチノロイ / 06. 夜明けのライン / 07. GPS

現代の都会に住む路頭に迷う若者の心と同じようにネガティブに泣唄うボーカル山口の詩世界は、それに対する答えではなく、共に嘆き悲しみ歩んで行く。

INTERVIEW : 山口史章、ホンマ ヒロミツ、504

2013年1月9日に1stミニ・アルバム『ヒトノユメ』をリリースするバンド、「アプリオリ」。ロック・バンドとしてスタンダードな最小限編成と言える3ピース・バンドらしいストレートなギター・ロックを聴かせるバンドだ。が、しかし。歌われる世界はひたすら内省的で、正直明るさは全くない。その声はブレイク・オン・スルーの一歩手前、壁の前に立ち、叫んでいる。そしてその声が簡単には壁を壊せないことを知っている。だから、アプリオリの音楽は信用できる。メンバーの年齢は30代前後。10代、20代の青臭さはなく、かといって親父臭さは微塵もない。10代の頃から自分の中で堂々巡りし続けているようなもどかしさを、歌にすることで生きていくと決めた、中心人物のヴォーカル・ギター山口史章と、山口の歌に魅力を感じていると率直に話すベースのホンマ ヒロミツ、ドラムの504の3人に話を聞いた。

インタビュー & 文 : 岡本貴之
photo by 雨宮透貴

左からホンマ ヒロミツ、山口史章、504

ちゃんと歌うバンドを組みたい(山口)

——アプリオリの皆さんはOTOTOY初登場ということなので、まずは簡単な自己紹介からお願いします。

山口史章(Vo.G/以下、山口) : ギター・ヴォーカルの山口史章です。
ホンマ ヒロミツ(B/以下、ホンマ) : ベース担当のホンマ ヒロミツです。
504(Dr) : アプリオリのドラム担当、ゴーシです。

——あ、504と書いてゴーシさんなんですね。

504 : はい。本名は豪傑に志と書いて豪志です。

——アプリオリはどんな経緯で結成されたバンドなんですか?

山口 : 僕がこのバンドを始める前にソロでやっていたんですけど、自分でちゃんと歌うバンドを組みたいなと思って、ネットでメンバー募集をして見つけたのがこの2人です。

——山口さんは元々ソロで音源を出したりライヴをやっていたんですか?

山口 : そうですね。弾き語りのライヴをしたり、宅録で自分で楽器を演奏して、一応iTunesにアルバムという形で作品は残ってます。

——さっきYouTubeで拝見したんですけど、扇風機をギターみたいに抱えて「カナリヤ」っていう曲を歌ってますよね?

山口 : ああ、そうですね(笑)。

——今と全然印象が違いますね。

山口 : そうですね。完全に違う方向性というか(笑)。でもたま~にライヴで歌いますけど。

——ソロでの活動からバンドにしたかったのは、なぜだったんですか?

山口 : 楽器を演奏して宅録でMTRに録っていたんですけど、自分でアレンジするのが面倒だったんですよね(笑)。ギターと歌に集中する為に他のパートを探してバンドを結成するに至った感じです。

もっと刺さる言葉を書いて欲しかった(504)

——まず最初にその宅録音源を他の2人に聴かせたんですか?

山口 : いや、もう自分で作った曲とは別物にしたかったんで、バンド用に… 504に最初、何聴かせたっけ?
504 : 扇風機持ってるのを見ました。
一同 : (笑)。

——504さんは最初、どのような経緯で山口さんと会ったんですか?

504 : 山口君から熱烈なメールが来まして(笑)。
一同 : (笑)。
504 : 加入希望で出してるだけの僕に、いきなり自分の熱意をダーって書いた長文が来て… こいつ頭おかしいな、と。
山口 : (笑)。

——(笑)。ホンマさんも同じようにネットで山口さんと連絡を取り合ったんですか?

ホンマ : そうですね。その頃僕も長い間ネットのメン募に載せていて、200近くのバンドに会ってたんですよ。でもどれもイマイチで。もう実家に帰ろうかと思ってた位なんですけど、ネットに載せてるのも忘れてた頃に、504の時と同じように(笑)、熱烈な長文が来たんですよ。
一同 : (笑)。
ホンマ : その時僕が載せてた条件が、「女ヴォーカルとピアノがいないと嫌」だったんですけど。

——(笑)。今と全然違うじゃないですか。

ホンマ : そうなんですけど(笑)。全て無視してきたんですよ。そこに触れずに熱烈なメッセージを送ってきたんで、こいつはいかれてるからちょっと会ってみようって(笑)。

——3人で結成当初どんな音楽を目指そうとしたんですか?

山口 : メンバー募集を見た時点では志向はバラバラだったんですけど、共通項は「歌」を聴いているだったんです。だからジャンルどうこうというよりも、歌を聴かせるバンドにしようというのが方向性です。
ホンマ : 僕と504にとって「山口君の歌を演奏する」ということが重要なんです。

——お2人がそこまで思う、山口さんの歌に感じる魅力ってどんな所なんですか?

ホンマ : 歌がちゃんと聴こえる所です。それとやっぱり歌詞ですね。これまで生きてきた事がちゃんと歌に出来てるな、と。
504 : あと、柔軟にこちらの言ったことにも応えてくれるんですよ。
山口 : 僕が宅録じゃなくてバンドにしたかったのは、自分の想像以上の曲を作りたかったからなんです。同じジャンルが好きな人とやってもどんな物になるか見えてきちゃってつまらないな、と。僕が貫きたいのは歌だけなんで、それ以外は3人の化学反応で予想外の物になった方が面白いですし、歌は僕が作って、後はみんなで考えよう、というスタンスです。

——では今回のアルバム『ヒトノユメ』の内容について聞かせてください。何かこれまでの自主制作音源と大きく違ったことってありますか?

山口 : 徹底的に曲作りの時点から意識が違う部分があったんですけど、今までの曲は過去の思い出に対して歌っていた感じがあるんですけど、今回のアルバムの曲は、「一歩踏み出したい、今を生きながらこれからを生きたい」という明確な意思を込めています。

——山口さんの歌の世界は、内省的な歌詞というか、例えば「GPS」という曲の「孤独と作り笑いと劣等感の巣窟から本当は抜け出したいんだよ」という歌詞に見られるように、ハッキリ言って重いし、暗いですよね。

山口 : はい。決してライトではないですね(笑)。

——でもその決してライトではない歌の世界が、他のお2人にとって山口さんと一緒にバンドをやっている理由になっているわけですよね。こういう重い歌詞が心の琴線に触れたんでしょうか?

504 : 僕はそういう歌を作って欲しかったんです。どっちかというと、今まで作っていた曲が生ぬるいと感じていて、もっと刺さる言葉を書いて欲しかったんですよね。
ホンマ : この曲が出来た頃から、山口君の歌は変わってきて、僕らのアレンジも変わって行ったんです。バンドとしても歌の内容で他のバンドとの決定的な違いが見え始めた曲ですし、しっかりコンセプトが出来たという意味で「GPS」はアプリオリの転機になった曲ですね。

——山口さんはハッキリこれまでとは違う意識でアルバムの曲を作ったという事ですけど、これまでの曲ってどんな内容だったんですか? 女の子の事とか?

山口 : まあ… ほぼそうですね(笑)。切ない、甘酸っぱい思い出というか。

——それが504さんは気に入らなかった(笑)?

504 : いや、それはそれでいいんですけどね。でもこの人が歌う歌じゃないんじゃないかと。
山口 : 今回のアルバムで書いている事は元々自分の中にある物だったんですけど、自分はそれを歌うのが嫌だったんですよ。トゲトゲするのが嫌だというか。音楽聴くならまったりしたいな~っていう個人的な欲求もあって(笑)。でも、20代後半で結成したバンドなんで、ちゃんと生業にしていくか趣味でやるのかというラインを引かなきゃとも思っていて。趣味でも音楽は楽しいんですけど、やっぱり自己満足で終わらずに沢山の人に聴いて欲しいし、自分達の曲を共有して欲しいと想いがあったし、元々14歳の中2の頃にミュージシャンになりたいって思っていた自分がいて。それをメンバー2人にほじくり出されたんです(笑)。それを思い出した時に、「なんで俺は趣味で良いなんて思ってるんだ? 」っていうグツグツ煮えたぎる気持ちが蘇ってきて、そこからはこれまで自分では隠していた本当の自分が歌詞として出てきた感じですね。

——「GPS」の歌詞の冒頭には18歳っていう年齢が出てきますけど、今30代前後になって、若い頃から感じている煮え切らない気持ちを歌にする理由ってなんでしょうか?

山口 : 本当は30代前後でこういう孤独とか劣等感を打ち出していくというのはカッコ悪いと思ってたんですけど、例えば「GPS」の“18の夏休みのまま”っていう歌詞があるんですけど、504と初めて会った時に「俺ぶっちゃけ18歳の夏休みのままで止まってるから」って言われて(笑)。

——初対面で?

山口 : そうです(笑)。初対面で、この人中2病全開だなって。アホだな~って思いまして。
一同 : (笑)。
山口 : 孤独とか劣等感っていう歌詞にしても、自分は出したくなかったんですけど、ホンマ君が加入した後に彼のブログを見たらそういう事を書いていて。こういう事よく書くなぁ~って思ったんですけど、じゃあ自分もこういう気持ちを出していかなきゃ、2人の気持ちに応えられないなって思ったんですよ。だから自分にとって「GPS」は初めてアプリオリを意識したのと同時にメンバーに対しても書いているんです。本当に自分の中の方向性が決まった曲ですね。

——なるほど。じゃあ「GPS」はこのアルバムの核になる曲ですね。

山口 : そうですね。

アジカンのアルバム『マジックディスク』を渡した(504)

——アルバム全体のサウンド面についてはどんな事を考えて作ったんですか?

山口 : 3ピースなのになんでこんな音圧が出るの? って言われたい気持ちがあるんで、そこは全曲意識していますね。歌を聴かせたいんですけどギターは凄く歪ませたい方なんで、そこは結構反省する位歪ませました(笑)。

——ヴォーカルがシャウトする高音部分も結構割れた音になってますよね? これは狙って録音しているんですか?

山口 : そうですね。曲の中で伝えたい事っていうのは、「もう溢れてしょうがない! 」っていう気持ちがあって初めて表現に繋がると思うんで、そういう部分は綺麗にしちゃいけないなって思ってます。

——ホンマさんはベーシストとしてアルバムのサウンド面についてはどうですか?

ホンマ : レスポールベース本体がもっているそのままの音を出したいんですけど、男ヴォーカルなんで、ベースと音域が被らないようには少しイコライザーで調整はしていますね。でもそこはこだわりというよりはバンドをやる上で最低限やらなきゃいけないことだと思ってます。

——504さんはいかがですか? ドラマーとして。

504 : こだわりがあったのはですね、この音にして下さいってアジカンのアルバム『マジックディスク』を渡したんですけど。

一同 : (笑)。

——(笑)。それはアルバムに反映されてますか?

504 : 僕のドラムに関してはたぶん反映されてます。他の2人はともかく(笑)。

——ライヴではアルバムの曲を聴かせる上で何か違うことを考えてますか?

山口 : なによりも歌をちゃんとお客さんに聴かせたいんで、知らない曲でも歌詞を聴きとって欲しいですね。

——山口さんはライヴではどんなパフォーマンスをしているんですか? ライヴでは暴れたりギター放り投げたりするという噂も聞きましたけど…

一同 : (笑)。
ホンマ : この人、最後の曲をやってる時に抑えられなくなっちゃうんですよね。スタジオで歌いながら1回泣いたことがある位ですから。それ位ライヴでも気持ちが昂っちゃって段々尻上がりにテンションが上がって行って、それで最後に「ウォ~! 」って弾きながら転んだりするんです。メガネも吹っ飛んだりとか(笑)。
山口 : 僕がライヴに対して思っていることがあって、歌を届けたいとはいえ、表現者としてどうしても言葉に出来ない部分ってあると思うんですよ。それがライヴでどれだけギターを掻きむしれば出てくるのかな、とかどういう表現をすれば伝わるのかなって思うと、もう曲の途中でもギターを放棄したりしちゃうんですよ。「こんなコード鳴らした所で俺の何が伝わるんだ!? 」って(笑)。
一同 : (笑)。

——熱いですね!

ホンマ : ライヴは熱いです。

——自分でも制御出来ない気持ちがライヴで出てくるんですね。では改めて、アルバムについて伝えたいことを教えて下さい。

山口 : 結構後ろ向きなワードが出てくるんですけど、最終的には前向きになりたいということを歌っているんですね。かといって「さあ明日から頑張ろう! 」っていう程、日々の生活している中で簡単に笑えない。色々あるけど、とりあえず明日も過ごしてみようよ、と。これを聴いて一歩踏み出していける心の支えのような音楽になればと思います。

——山口さんが歌を作る原動力ってなんですか?

山口 : 原動力ですか… 自分の生活の中でどうしようもないことが起きたり、「ああ~死にたいけど別に自殺したくないし心臓止まっちゃったら嫌だし、でも消えたい! 」みたいな時に、曲が出来てくれるとなんか苦しい感じが身代わりになって自分の中から外に出てくれるんで、それが原動力になっていると思います。

知り合った人全部の影響が滲み出て(ホンマ)

——なるほど。歌い手としての山口さんの気持ちが良くわかりました。ホンマさんと504さんはアルバムについてどんな想いがありますか?

ホンマ : これまで自主制作のCDも4枚出しているんですけど、以前とは歌詞の内容が変わっていて、僕自身のベースのフレーズも意識が違うんです。アプリオリっていうバンドのコンセプトに最も近い作品なので、名刺代わりに聴いてほしいですね。これからの自分達に繋がるスタート・ラインだと思うし、次のアプリオリに期待して貰えるアルバムになっていると思います。
504 : 同年代の人に聴いてほしいですね。僕の憤りでこの混沌の世界を切り裂こうという感じですね。

——ちょっと良くわからないんですが(笑)。同年代の人に聴いて貰いたいというのは、みんなこういう気持ちで生きてるんだという部分に共感して貰いたいということですか?

504 : 1曲目の「人の夢」とかもそうなんですけど、フリーターの接客業の人とかに聴いて貰いたいですね。こういうのを歌って欲しいよなっていう曲なんで。

——それは504さん自身が聴きたい曲が入ってるっていうことですか?

504 : 入ってますね! 結構、切り裂いてくれますよ。ええ。

——(笑)504さんはなかなかミステリアスな方ですね。

504 : 良く言われます(笑)。
一同 : (笑)。

——ではOTOTOYで初めてアプリオリを知る方にメッセージをお願いします。

山口 : 僕たちとしても初めての全国的なリリースになるアルバムです。今の世の中って音楽以外でも色んなエンターテインメントって溢れていて、時間を潰す方法って沢山あるんですけど、その中でも飾り気の無い、等身大の歌を歌っているバンドの音楽として、聴いてくれる人に寄り添えるような存在になれたらなと思っていますので、是非聴いて頂ければと思います。

——最後になってしまったんですが、アプリオリというバンド名の由来はなんですか?

ホンマ : 哲学用語でカントっていう人の言葉なんですけど「先天的」とか「時空を超える」っていう意味なんです。山口君が作る曲は30年生きてきた経験が入ってると同時に、山口君のご両親とか、他の人の人生経験もそこに混ざっていると思うんです。それは僕と504にしてもそうですし。今まで知り合った人全部の影響が滲み出て、自分達が生まれる前から生きている人の気持ちも時空を超えて音楽になっている、それがアプリオリの音楽なんです。

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PROFILE

アプリオリ

ホンマ ヒロミツ : ベース
山口史章 : 歌、ギター
504 : ドラム

長野県から上京し、ソロやアコースティック・ユニット、インスト・バンドなどの様々な活動を経た山口が改めて歌と向き合う為に、バンド結成を決意。2010年8月、山口と504を中心に活動を開始。同年9月、ホンマ加入。バンド名を「アプリオリ」とし、活動拠点を下北沢とする。2011年5月までに自主製作にてデモCD-R4枚を発表。

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アプリオリ official HP

[インタヴュー] アプリオリ

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