
大阪生まれ、大阪育ちのシンガー・ソングライター岩崎愛のオリジナル・アルバムが登場。今作は、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文総指揮の元、masasucks(the HIATUS / FULLSCRATCH)、日向秀和(ストレイテナー)、マシータ(ex BEAT CRUSADERS)ら、超強力なミュージシャンを迎えて制作されたもの。アコースティックを基調にしたサウンドと、温かくも芯の強いヴォーカルが染み渡る、彼女の”うた”を、じっくりとお楽しみください!
岩崎愛 / 東京LIFE
1. 花束 / 2. 東京LIFE / 3. 死ぬまで一緒 / 4. 僕にとって君にとって / 5. ハイウェイ / 6. あれから / 7. ALL RIGHT
販売形式 : mp3、wav(共に1500円)
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岩崎愛 「東京LIFE」インタビュー
“大阪発のシンデレラガール”等と形容すると本人は笑うだろうか。大阪出身で現在は東京で活動するシンガー・ソング・ライター、岩崎愛。NANO-MUGEN CIRCUIT2012に出演する等の活躍が目覚ましい彼女が完成させたアルバム『東京LIFE』がリリースされる。繊細且つ圧倒的な歌唱力とリズム感抜群のアコースティック・ギターに乗せたその楽曲達の発信元は「only in dreams 」。そう、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのゴッチこと後藤正文が主宰するインディーズ・レーベルである。その後藤正文が総指揮を執った今作には、the HIATUS / FULLSCRATCHのmasasucks(Gu)、ストレイテナーの日向秀和(Ba)、元BEAT CRUSADERSのマシータ(Dr)など名うてのミュージシャン達がサポートを務めている。果たして錚々たるメンバーがこぞって参加に名乗りを挙げた理由とは? 飄々とした振る舞いとは裏腹に、熱い想いを胸に秘めた彼女のパーソナリティーに迫った。
インタビュー&文 : 岡本貴之
東京に出てきて、「ゼロに戻った! 」
――岩崎さんのご出身は大阪なんですよね?
岩崎愛(以下、岩崎) : はい、大阪の堺市という街です。岸和田よりも南の方です。
――音楽を始めようと思ったきっかけはなんだったんでしょうか?
岩崎 : いとこのお父さんがギターの先生をしていて、生徒さんから貰ったアコースティック・ギターをうちの兄にくれたんです。それで兄が弾き出したんですけど、1人でやるのが寂しかったのか(笑)、一緒にやろうっていってきたんです。そのうち自分のギターを持つようになってから、私にギターをくれたんですよ。
――お兄さんはミュージシャンとして、「妹よ俺に続け」とギターを託してくれたわけですか?
岩崎 : そうですね(笑)。
――ギターを弾き始めてから、最初に聴いて覚えた曲はなんですか?
岩崎 : めっちゃ意外って言われるんですけど、グリーンデイの曲なんですよ。兄が好きだったんで、いない時にCDを盗み聴きして(笑)。「これ簡単そう! 」って思って、兄に教えてもらいつつ弾き語りしてましたね。後は自分なりに弾いていったんです。
――グリーンデイは確かに想像できないですね! それから自分なりに弾いていって、徐々にそれがオリジナル作りに変わっていったんでしょうか?
岩崎 : そうです、そうです。なんとなくコードを追いかけているうちに、段々オリジナルを作るようになりました。

――その当時から今のご自分のスタイルを作る上で影響を受けているアーティストがいれば教えてもらえますか?
岩崎 : 影響を受けたといえばキャロル・キングですね。あと斎藤和義さん、ハナレグミもよく聴きましたね。今は星野源さんを良く聴いています。
――そんな一音楽ファンだった岩崎さんが、本格的に音楽をやって行こうと思ったのはいつ頃からだったんですか?
岩崎 : 高校2年の時に、音楽仲間を作りたくて「ティーンズ・ミュージックフェスティバル」に出たんですよ。その時は予選落ちだったんですけど、翌年に渋谷公会堂で行われた最後の大会に出場した時に、奨励賞を貰ったんです。
――それがきっかけとなってライヴ活動が始まるわけですけど、しばらく大阪で活動してから、東京に出てこようと思ったのはどうしてなんですか?
岩崎 : それはですね、大阪での活動が、マンネリになってしまって。居心地は良いんですけど、このまま「大阪のアンダーグラウンドの女王」になるのかって思ったらなんだか恐ろしくなってきたんですよ。だから抜け出そうと思いました。その頃には兄も、知り合いのミュージシャンも東京にいたんで、そんなに恐れはなかったし。「もう行っちゃえ! 」って、思い切って出てきました。
――上京当時、東京にはお兄さん以外で、音楽関係のツテはあったんですか?
岩崎 : 大阪時代から東京のライヴ・ハウスにはちょこちょこ出ていたんで大丈夫だろうと思っていたんですけど、意外と大丈夫じゃなかったですね(笑)。その時にハッと思いましたね。自分は大阪でチヤホヤされてたって。東京に出てきて、「ゼロに戻った! 」って。
蜘蛛の糸のようなマシータとの出会い
――まさに東京で原点に戻った、ということですね。そこから今回の作品に至るには、まず震災後に立ちあがったHINATABOCCOというプロジェクトに参加されたことが大きなきっかけということですけれども、これはどういう経緯で参加されたんですか?
岩崎 : 元々、HINATABOCCOに参加されているミュージシャンとの繋がりは皆無だったんですよ。偶然、震災が起こる少し前に関西のミュージシャンの友達が東京でライヴがあったんで泊まりに来て、翌日ライヴを観に行ったら顔見知りのオーナーがやっているライヴ・ハウスだったんで、飛び入りで1、2曲歌ったんです。で、そのライヴに、その友達を応援している元ビート・クルセイダーズのマシータさんが見に来てくれてたんです。そこで初めてお会いして打ち上げで話をして、じゃあまたどこかで、って別れてから数日後に震災が起きたんです。それからしばらく色んなライヴが自粛になっている中、ひなっち(ストレイテナーのベーシスト日向秀和)さんがツイッターで「ストリートやりたいね」ってつぶやいたことに賛同したメンバーが集まったのがHINATABOCCOの始まりなんです。
――なるほど。まず最初にマシータさんとの出会いがあったんですね。
岩崎 : そうです。ユーミンの「やさしさに包まれたなら」を歌える女性ボーカルを探していて、マシータさんが私の事を思い出してくれてDMで「愛ちゃん歌ってくれない?」って声をかけてくれたのが始まりなんです。それまで実際にお会いしたのは1回だけだったんで、これは奇跡的な出会いだなって思いました。
――そこから、今回プロデューサーを務めるアジアン・カンフー・ジェネレーションの後藤正文さんとの関わりはどのように生まれたんでしょうか?
岩崎 : ある時、ゴッチさんがHINATABOCCOで歌う為にライヴに来たんです。その日はマシータさんが「お客さんへの自己紹介も兼ねて、愛ちゃんのオリジナルを1曲バンドでやってみよう」って言ってくれてたんで、初めて「東京LIFE」って曲をHINATABOCCOバンドでやったんですよ。ゴッチさんはタンバリンを叩きながらステージ上で横にいたんですけど、リハの時から「凄くいい曲だね。CD買うよ」って言ってくれて。CDになってないって言ったら、「じゃあ俺インディーズ・レーベル持ってるから作ろうよ」って言ってくれまして。「マジすか!? 」ってなったんです。
――ということは、後藤さんがまず岩崎さんの曲をもっと聴きたいっていう所から始まったんですね。ご自分のレーベルから出そうっていう位ですからね。
岩崎 : そう、それにウチが食いついたって感じですね(笑)。
――実際にレコーディングが実現するまでには結構時間がありましたか?
岩崎 : ありましたね。「あれは本当だったんだろうか? 」って思いながら、色んな人に「本気にしたらアカンよな? 」って相談してたんですけど、みんなに「何言ってんねん! 電話せい! 」って言われまして(笑)。それでゴッチさんに電話をして、「あれは本当のことなんでしょうか? 」って聞いたら「いいよ、じゃあ作ろうよ」って言ってくださって。笑ってましたけどね(笑)。
――後藤さんをはじめ、豪華なミュージシャンと一緒に作品を作りあげたことについてはご自分ではどう思っていますか?
岩崎 : HINATABOCCOとしての活動で何回も会って、一緒に演奏して歌っているうちにみなさんと仲良くなれたことが大きいですね。その活動の中でゴッチさんからも、「みんなに愛ちゃんの音源に参加して貰えたら嬉しいんだけど」って言って頂いて。みなさん凄く忙しい方々なんですけど、「やろう、やろう! 」っていう感じで言ってくださったんですよ。だから実現出来て凄く嬉しかったですね。
――今回、後藤さんのプロデュースについては、手応えとして今までの作品との大きな違いは感じていますか?
岩崎 : 違いは感じましたね。ゴッチさんはずっといてくれてたんですけど、これは良い・これは駄目ってディレクションも全部してくれました。前作は自分自身でプロデュースしてるんですけどウチは割とラフな感じで、その人が出した音にはあまり何も言わないんですよ。「OK、OK、終わり~! 」みたいな感じで(笑)。良くも悪くもラフなんですけど、今回プロデュースしてもらって、「あ、こんなにもリズムってシビアなものなのか」って勉強になりましたね。歌の録り方にしてもそうですし。

――曲自体の歌詞やメロディについては、既に出来あがった物にアレンジを加えていったんでしょうか?
岩崎 : 曲は最初からあったんですけど、アレンジは凄かったです。一日でアレンジとレコーディングをしちゃうみたいな。
――え? 一日で録音したんですか!?
岩崎 : みんな忙しすぎて一日しかスケジュールが取れなかったんで(笑)。アレンジも含めて、ひなっちさんとマシータさんは一日でレコーディングしたんですよ。5曲分を。
――それはハードですね。その時は後藤さんもずっと一緒にいたんですか?
岩崎 : もちろん一日いてくれて、「どんな感じにする? 」っていう風に最初はラフな感じで進めていって。ウチはもう全然文句ないんで「いいですね~! 」って言ってたんですけど(笑)。そこにゴッチさんが色々スパイスを加えてくれた感じです。でも本当、何の苦もなく(笑)。パパパ~っと録れて行きましたからね、凄かったですよあの集中力は。「プロだからね! 」ってゴッチさんが言ってました。「凄いでしょ! 」って(笑)。
――アルバム最後の「ALL RIGHT」という曲には楽器陣もみなさんコーラスで参加していますけど、HINATABOCCOの集大成のように感じますね。これはグッとくるものがあるんじゃないですか?
岩崎 : そうですね。なんか後から思い出して嬉しくなった感じですね。レコーディングが本当に凄く楽しかったんで。
――HINATABOCCOは震災がきっかけで出来たプロジェクトですけど、震災後東京から離れていく方も多い中で、岩崎さんは大阪に帰ろうと思わずに…。
岩崎 : (遮って)思いましたよ。
――あ、思ったんですね!? それについては結構悩みましたか?
岩崎 : 上京してからしばらくたって自分はなんの為に東京にいるんだろうって思っていましたし。震災が起きてからも原発の事とか色々あるし、もう帰ろうかなって悩みましたね。
――東京に負けてしまいそうな気持ちというのが、震災前からあったんですね。
岩崎 : そうですね。だから本当に蜘蛛の糸のように、マシータさんとの出会いがス~っと降りてきて「東京にいて良かった! 」って初めて思えました。
――今回、収録曲は全部東京に出てきてから作った曲で統一しているんですか?
岩崎 : そうですね。それもあって『東京LIFE』っていうタイトルがピッタリだなって思いました。
今いるこの人たちをいかに楽しませることができるか
――ところで、曲の中の一人称が全部“僕”になってるのは何故ですか?
岩崎 : 自分のことを普段から“私”って言わないんですよ。実際“僕”って言う時もあるし、そっちの方が自分に近いんですよね。別に恥ずかしいわけじゃないんですけど、自分のことじゃないことを歌う時には逆に“私”って使います。
――歌詞に出ている“君”は特定の人に向けている言葉でしょうか?
岩崎 : それは曲によりますね。例えば「ALL RIGHT」っていう曲なら全体的な人に対しての“君”だったりしますし、ラヴソング系は1人の人に向けてですけど、それが歌のメッセージとして他の人にも伝わるようにとは思っています。
――2曲目の「東京LIFE」っていうタイトル・トラックは、岩崎さん自身が東京に出てきてうまくいかない思いを抱えていた時に作った曲なんでしょうか? ひと際力強く感じたんですが。
岩崎 : そうですね…上京して一年目に作った曲です。「東京に負けんとこう! 」って思って。東京に夢を持って出てきた人達は、常にそんな事を思っていると思うんですけどね。
――そうかもしれません。そこで岩崎さん自身の性格についてお聞きしますが、深く考えずに明日からがんばろ~って思う方ですか? それとも何かあると鬱々としてしまう方なんでしょうか?
岩崎 : 後者ですね、どちらかというと。家の中では。外に出て人に接すると違いますけど(笑)。

――なるほど。そういったパーソナリティが曲に現れている気がしました。アルバム全体のイメージは決してポジティヴで楽しいだけじゃなく、落ち込んでしまいそうな自分を奮い立たせようという気持ちが伝わってきます。
岩崎 : そうなんですよ。全くその通りです。スーパー・ネガティヴ女がポジティヴな曲を書くとこうなる、という(笑)。
――ここ一年、震災の影響が曲に否応なく現れているアーティストが多いと思うんです。今回の『東京LIFE』には、震災後の日本に暮らす人々について意識して書いた歌詞はありましたか?
岩崎 : いや、自分はそんなにないですね。もちろん震災の後にはそういう影響はあったし前作ではそういう曲も書きましたけど。今回の曲についてはないです。というのも、昨年、HINATABOCCOの活動で現地に行った時に、意外とみなさん元気だなって思ったんです。最初はこんな所で歌なんて歌っていいんだろうかって思ったんですけど、みんな物凄く楽しみにしてくれていて、歌ったら凄く喜んでくれて。ああ、必要とされてるんだなぁって感じたんです。そういう人達を見た時に、自分は「震災があってこういう曲が出来た」っていうことを言えなかったんです。そうではなくて、今いるこの人たちをいかに楽しませることができるかっていうことにベクトルが向いたというか。それは、HINATABOCCOで現地に行ったからこそ感じたことだと思います。悲しいことがあったからこそ、それをバネにした曲を作りたいなと思いますね。
――最後に今後の活動について具体的な目標があれば教えて下さい。
岩崎 : 今はとにかくこのアルバムをみんなに、少しでも多くの人に聴いてもらいたいです。そしていつか… 日本武道館で弾き語りが出来るようになりたいです!
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LIVE INFORMATION
2012年09月22日(土)@大阪心斎橋 OSAKA MUSE
2012年09月23日(日)@京都 長岡天満宮内野外特設会場
2012年10月05日(金)@新宿 TOWER RECORDS 新宿店 7F イベントスペース
2012年10月06日(土)@大阪十三 FANDANGO
2012年10月08日(月)@名古屋 新栄 CLUB ROCK'N'ROLL
2012年10月13日(土)@MINAMI WHEEL 2012
2012年10月24日(水)@東京渋谷 TOWER RECORDS 渋谷店1F イベントスペース
レコ発ワンマン・ライブ『僕らの東京LIFE』
2012年11月30日(金)@東京代官山 晴れたら空に豆まいて
PROFILE
大阪出身。ミュージシャンである兄の影響でアコースティック・ギターに出会い、高校在学時からライヴハウスで弾き語りを始めるなど音楽活動をスタート、圧倒的な歌唱力と存在感でシーンの話題を集める。2006年にミニ・アルバム『雨があがったら』、2008年には1stフル・アルバム『太陽になりたいお月様』発表。2009年以降は活動拠点を東京に移した。2011年3月、ストレイテナーの日向秀和を中心としたミュージシャン有志によるプロジェクト・HINATABOCCOに参加。同年12月にはセルフ・プロデュース・アルバム『いっせーのーで』をリリースする。アコースティックを基調にしたサウンド、彼女の肉眼を通して描き出される歌詞、温かくも芯の強い歌声の三位一体が織りなす音楽性が高く評価される気鋭のシンガー・ソングライター。