POPGROUPからデビュー! これが話題のLBとOtowaだ!

耳の早いリスナーなら彼らのことはご存知だろう。ラッパーのLBとトラック・メイカーのOtowaからなる新世代ユニット、LBとOtowaである。彼らは日本語ラップの有史で最大級のDL数を稼いだミックス・テープ(彼らは“無料配信アルバム”と表記したが)『FRESH BOX(β)』を2011年に発表して以来、TwitterやYouTubeなどネットでの活動をベースに活躍。いまだクラブや音盤などリアルな事象にこだわる、ネットに抵抗のある人をも巻き込み、名を上げていった。そして、そのレバレッジ効果の一応の着地点が今夏発表される有料の1stアルバム『インターネット ラブ』だ。本作はエレクトロやダブ・ステップなどの異ジャンルも根こそぎ取り込んだ、イケイケかつズル剥けな問題作。2人は本作をもって“インターネット・ラップ”なる抽象的なカテゴライズを離れ、表舞台へ飛び出そうとしている。

インタビュー & 文 : 高橋圭太
photo by amemiya yukitaka

正体不明の謎のユニットLBとOtowaのファースト・アルバム

LBとOtowa / インターネットラブ

エネルギッシュなダブ・ステップ「Hero Vision」で新時代のヒーローの登場を威勢良く宣言したかと思えば、キュートなエレクトロ・ハウス「Internet Love.」では、友人のエピソードをネタにしたというネット上の恋愛の駆け引きをメタファーに、ネットとリアルを横断するLBとOtowaの揺れる心情をラップしている。LBがプロデュースするアニメ声のフィーメール・ラッパーRANLは、この曲を含め本作の3曲でその独特の個性を発揮している。

【価格】
WAV 単曲200円 / アルバム2000円
mp3 単曲150円 / アルバム1500円



【特典】
アルバムをまとめ購入された方には、ボーナス・トラックの「Hero Vision inst」と「STEP 5 inst」が付いて来ます!

これでダメならダメでしょ(LB)

——まずはLBとOtowaを知るための初歩の初歩から… 結成のいきさつみたいな部分から伺っていきましょう。出会いはMyspaceでの交流だったんですよね? それは何年前?

LB : 3年前っすね。俺から最初に声を掛けて。当時は新潟で活動していたんですけど、こっち(東京)に出るために作品を自主で作って。そこにOtowa君に参加してもらったってのが最初でしたね。

——新潟での活動には限界を感じてた?

LB : 楽しかったですけど、やっぱり狭さは感じてましたね。新潟の特定のシーンに属してたわけではないけど、やっぱり「このままだと… 」っていう閉塞感は感じてたかも。

——なるほど。Otowa君がトラック制作をはじめたのはいつ頃ですか?

Otowa : 4年前ですね。大学2年の終わり頃。最初はMPCで作ってました。で、1年経ったくらいでLBさんからトラックのオファーがあって。当時は、サンプリングしながらもシンセも勉強してたりして。

——そこからLB君は東京に出てくるわけですね。

LB : その自主アルバムの売り上げで上京しましたね。そのタイミングでOtowa君とも初めてリアルで対面して。2人で飲んだんだよね。
Otowa : そうっすね。.
LB : それで、その帰りに「アルバムを1枚作ってみない? 」って話を持ち掛けて、それが結成の瞬間っちゃあ瞬間になるのかな。

——結成当時、今後のユニットとしてのコンセプトだったり活動の青写真は浮かんでましたか?

LB : これまで誰もやったことのないことをやろう、というのは話してましたね。あとはなるべく恐いことは歌わないようにしよう、ってことかな。
Otowa : それに、音楽的にはUSメインストリームに寄せた方向性でやっていこうというのも最初の段階からあったかもしれませんね。

——ほどなくしてフリーのミックス・テープ『FRESH BOX(β)』が発表されるわけですが、ぶっちゃけた話、勝算はありました?

LB : 確実にありましたね。これでダメならダメでしょと。認めてくれないシーンとかリスナーがダメっしょ、みたいな(笑)。

——それくらい自信があったと。結果、『FRESH BOX(β)』は10000ダウンロードを越す大反響を得たわけですが、その勝算の根拠はどのような点だったと分析しましょう?

Otowa : 当時はオリジナル・トラックのみで固めた国産のミックス・テープってなかったから、そこがまず新鮮だったんじゃないでしょうかね。周りはアルバム・サイズのミックス・テープでも割合としてはビート・ジャック楽曲が多かったし。だからミックス・テープというよりは、無料でダウンロードできるオリジナル・アルバムという感じだったから受けたんじゃないかな。

左からLB、Otowa

——そして、その後もネット上での旺盛なリリースを経てPOPGROUPとのディールにつながると。POPGROUPからの有料盤リリースはどのような経緯で?

Otowa : 「ハイ! 注目」っていう曲をネット上にアップしたんですけど、それに環ROYさんが反応してくれて。で、環ROYさん経由でPOPGROUPが興味を持ってくれた、って流れですね。「まとまった作品ができたら持ってきてください」って言っていただいたので、そこに向けて作品を作っていったという感じです。とはいえ、ぼくらもPOPGROUPから発表するっていう変な気負いもなく、「自分たちの好きなようにアルバムを作る」というのが大前提だったので、最終的にこれまでのPOPGROUPのカラーとは全然違うものができちゃったんですけど。

——アルバムの制作はいつ頃から?

LB : 去年の10月くらいですかね。

カテゴライズされるのはしょうがない(LB)

——これまで無料配信したアルバムとフィジカル盤の差異はどのような部分でしょう。

LB : 音選びの志向はこれまでとはすこし違うかもしれませんね。リリックももっとわかりやすくしてあるし…。でもミックス・テープの頃とノリはそこまで変わらないですけどね。
Otowa : これまではリスナーとしてもヒップ・ホップばかり聴いていたんですけど、アルバム制作に向けて、4つ打ち… たとえばRasmus Faberだとか80kidz、CROOKERS、ハウスからエレクトロ、あとはダブ・ステップなんかも聴くようになったんです。それが大きく反映してると思いますね。

——本作でいちばん難産だった曲は?

LB : 難産だった曲は… 全部カットしてますね。自分のなかでスッと出てこなかったものは基本的にボツにしました。トラックにラップを乗せた段階の曲も3曲くらいはボツにしたんじゃないかな。リリックだけなら5曲分くらいはボツにしたし。
Otowa : ぼくは「STEP 5」かなぁ。展開もあるし、自分的にはいちばん凝った作りになってるかなと。普段はサクッと作っちゃうんですけど、この曲は時間がかかりましたね。

——多くのリスナーが興味を持ってると思うんですけど、今回も3曲に参加してるRANLちゃんに関しては…。

LB : (遮るように)画面のなかにいる美女、としか教えられないですね。

LB

——実際にラップしてる女の子がいるってことですよね?

LB : 画面のなかにいる美女です。それがすべてですね。

——… なるほど。話題を変えましょうか。LB君は本作中でいちばん気に入ってるラインはどこでしょう?

LB : あぁ、パンチ・ラインではないですけど、「GS Girl」の“親戚一同”って言葉はパンチあるなぁと。
Otowa : ぼくもパンチ・ラインじゃないけど、「ARIGATO」はこんなこと言っちゃうんだと思ってビックリしましたね。
LB : あの曲は完全にネタだね。最後にどんな曲持ってけばズッコケるか、みたいな。あれを額面通りに受け取られると… それはそれでおもしろいけど(笑)。

——ちなみに今後、ライヴでの露出などは考えてますか?

LB : そうですねぇ。まぁ、然るべきタイミングでやりたいなぁとは思いますけど。

——それはイベントのショーケースのひとつとして? それともライヴとしてしっかり完結したものを提示するということ?

LB : 希望としては後者ですね。いつになるかはまだわかりませんが…。

——Otowa君はいかがですか?

Otowa : まぁLBさんがやるって言うなら…。

——消極的ですね(笑)。

Otowa : ぼくはDJもやったことないし、そもそも表に出るのがそんなに好きじゃないんですよねぇ。でも、まぁ機会があれば… はい(笑)。

Otowa

——煮え切りませんねぇ(笑)。ただ、いまだに日本語ラップのシーンは現場主義が色濃く残っていますね。そのなかでネットを中心に活動する2人はジレンマを感じない?

LB : うーん… 正直、どっちでもいいですねぇ。どちらにもいい部分、悪い部分あるし、その時々でチョイスしていければなぁと。

——いわゆる“インターネット・ラップ”という括りで語られることに関しては?

LB : そこにも興味ないですね。カテゴライズされるのはしょうがないし、そう呼びたければどうぞ、くらいの感覚です。

フリーで作品を発表するのが着地点になっちゃってる

——ぼくはここ数年でネットを触媒にしたヒップ・ホップの形って主流になった反面、おもしろい動きって数えるほどになってきたと感じていて。2人はそういった最近の流れをどう感じているか、というのにも興味があるんですが。

LB : たしかにそうですね。全然目新しさは感じませんね。フリー・ダウンロードのDL数も周囲でやってるヤツらも伸び悩んでるって言うし。ただビートをジャックするだけの楽曲じゃ注目を集められなくなってるのは確実だと思います。
Otowa : ぼくもチェックはしてるんですけど、そこまで衝撃を受けるような作品はなかなかないですよね。5lackさんのフリーのアルバムはすごくよかったなぁと思いました。なかなかゼロからネットで発信していくのは難しいかもしれないですよね。というのも、フリーで作品を発表するのが着地点になっちゃってる人が多いのかなって。フリー・ダウンロードのその先まで見据えた動きがないと意味がないですよね。

——そういった現状を打破するようなアイデアは2人のなかに既に浮かんでますか?

LB : ありますね。ただ現段階では秘密にしておこうかなと。もちろん今後もフリーの作品は出していくので、そっちも引き続き注目してもらいたいですね。で、その先には2ndアルバムもリリースする予定ではいるので。

——では、最後にこの『インターネット ラブ』というアルバムが世間でどんな評価をされるか、2人の予想を訊いてインタビューを締めたいと思います。

LB : 大好きなひとと大っ嫌いひとがくっきり分かれるアルバムでしょうね(笑)。でも全然それでよくって。
Otowa : たしかに賛否両論あるアルバムなんじゃないかなとは思いますね。そもそも制作段階からそういうアルバムになるように作ってたし。最近、そういうハッキリ評価が分かれる突き抜けた作品ってないじゃないですか。ある意味ですごく挑戦的なアルバムですよ。だから早く作品に関するいろんな意見を聞きたいですね。

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PROFILE

LBとOtowa
2010年に突如日本語ラップ・シーンに現れた、正体不明の謎のユニット「LBとOtowa」。その名の通りラッパーの「LB」と、トラック・メイカーの「Otowa」の2人のからなるこのユニットは、ヒップ・ホップを軸に、J-pop、Electro、Dubstep、Rockやアニソンに至るまで、様々なジャンルの音楽をファッションのごとく着こなしていくスタンスと、話題の時事ネタからTwitterのタイムラインに流れてくる情報までを敏感にキャッチし、タイムリーに作品に反映させるインターネット世代ならではのスピード感で、たて続けにリリースした無料配信作品は、ネット・ユーザーを中心にその知名度を上げていく。2011年3月、発表から2ヶ月で1万回以上のダウンロード数という快挙を成し遂げたモンスター無料配信アルバム『FRESHBOX(β)』をリリース。評価はネット界隈から音楽好きのもとへも届き、中毒者が続出。「正体不明の謎のユニット"LBとOtowa"」の存在を確立する。
その後、2人はソロとしての活動にも力を入れ、LBは無料配信アルバム『AOAOAO』、『KOJUN』のリリース、さらにアニメ声ラッパーRANLのプロデューサーとしても評価され、2012年6月KREVAとの共演を果たす。一方、Amebreakなどのコンテストで様々な賞の受賞経歴があったOtowaはさらに制作を続け、2012年5月、SKY-HIの「ONE BY ONE」のトラック公募で、200曲以上もの中から選出され(最終選考に残った10曲の内3曲がOtowaの曲だったという逸話つき)見事採用されるなど、様々なアーティストからプロップスを集めている。変幻自在の実力派、そして誰もその顔を見たこのない正体不明の謎のユニット「LBとOtowa」。遂にフィジカル・ファースト・アルバム『インターネットラブ』をこの夏POPGROUPよりドロップ。

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