
WU LYF / Go Tell Fire To The Mountain
1. L Y F / 2. Cave Song
3. Such A Sad Puppy Dog / 4. Summas Bliss
5. We Bros / 6. Spitting Blood
7. Dirt / 8. Concrete Gold
9. 14 Crowns For Me & Your Friends / 10. Heavy Pop
ファイル形式 : mp3 / wav
価格 / 共に1500円
ヴェールの内側に潜む信念
WU LYF(ウー・ライフ)が、デビュー・アルバム『Go Tell Fire To The Mountain』をリリースした。バンドの正式名称はWorld Unite Lucifer Youth Foundation。決して穏やかなネーミングではない彼ら。資料を見てみればアーティスト写真では白いマスクをまとい、経歴やプロフィールの代わりに「WU LYF 同盟心得書」というメッセージが添えられているだけ。どうやら大真面目なようだ。一体彼らは何者なのだろうか?
WU LYFはTommy G Lung、Jeau Manningi、Ellery Juicier James、Van Katiの4人を中心にマンチェスターで結成。「Play Heavy Pop」という自主企画イベントを行ってはいたものの、「スカした連中が集まりはじめた」ことを理由に開催を止め、マンチェスター以外でライブをすることはほとんどなかったそうだ。しかし圧倒的なパフォーマンスが話題を呼び、2010年にはNME紙にて期待の新人第3位に選ばれ、一気に注目を浴びることとなった。そして2011年3月には、日本でも早々とFUJIROCK FESTIVALへの出演を決めてしまった。しかも、この時点ではまだ今作のリリースが決まっていなかったというから驚きである ! そして、現在の音楽シーンやメディアへの嫌悪を表明し、今作のリリースは大手レーベルからのオファーを全て断って自主レーベルから出すことを宣言する。

マンチェスターの工業地帯にある教会で3週間に渡って制作された今作は、感情剥き出しのヴォーカル、ロー・ファイなサウンドに、教会ならではの清く荘厳な雰囲気を醸し出すゴスペル調の鍵盤が乗る。暗くガランとした廃墟に近いスペースでひたすら叫び、練り上げられた楽曲群には、真っ暗な闇も、射し込む一筋の光も、痛みも、慈しみも詰め込まれている。生々しくエモーショナルなのにどこか懐かしさを感じることができる。
彼らは「WU LYF 同盟心得書」でこう述べている。
「感動中毒のオーディエンスに売りつける前にキレイに磨いたりしなくていい。LYFでは純粋に人と繋がれるモノを作っていきたい。」「俺たちはヘヴィー・ポップを作っている。口からソウルが飛び出してくるようなポップ・ミュージックで、トレンドに従うような機械生産の風船音楽なんかじゃない。目的はリアルなモノを作ることであって、名声に浮かれることなんかじゃない。」
野心的な立ち振る舞いに目が向いてしまいがちだが、彼らの根底に潜む音楽への思いは至ってシンプルなものだ。しかしそのピュアな信念は強固で、そこから生み出される音楽は必ずや多くの人の心を動かすポップ・ミュージックになる。まだまだ謎の多い彼らの今後の活動が楽しみである。

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