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INTERVIEW : THEティバ
映画『ファンタスティック・プラネット』に登場する異星人の少女から名前をもらったTHEティバが、ファースト・アルバム『ON THIS PLANET』を完成させた。なぜか「カナダ出身の2ピース・バンド」を名乗り、これまで『we are the tiva』(2019年3月)、『THE PLANET TIVA part.1』(2020年12月)と『同 part.2』(2021年2月)の3枚のEPと、盟友BearwearとのスプリットEP『Bearwear/The tiva』(2021年9月)をリリースしてきたふたりが世に問う初全国流通作品。プロデューサーに岩本岳士(QUATTRO)、マスタリング・エンジニアに後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)を迎えて、さらにスケール・アップしたサウンドを聴かせてくれる。そんな『ON THIS PLANET』について、明智マヤ(Vo./Gt.)とサチ(Dr.)にたっぷり語ってもらった。
インタヴュー・文 : 高岡洋詞
写真 : 山川哲矢
一歩進んだイメージで受け止めてもらえるとうれしいな
──OTOTOYにインタヴューが載るのは2年ぶりですが、状況は変わりましたか?
明智マヤ(Vo./Gt.)(以下、マヤ) : 友達が増えた(笑)。やってること自体はそんなに変わりはないんですけど、いろんな人に聴いてもらえるようになって、イベントにもいっぱい呼んでもらえて、共感できる友達ができて、そこからまた広がって……っていう。「一緒にどんどんやっていこうぜ!」みたいな人がまわりに増えて、いい感じですね。
──今作は、どんなふうに作っていきましたか?
マヤ : 「アルバム作りたいね」とは前からずっと言ってて、去年Bearwearとのスプリットを出した後に「次はアルバムかな」と思って、ちょっとずつ曲を作っていきました。レコーディングはいつからやってたっけ?
サチ(Dr.) : 今年の2月の終わりごろから1か月くらい。すごくタイトでした。
マヤ : 最初は1か月くらい早くやる予定だったんですけど、わたしがコロナになってしまって、全部がパツパツになっちゃったんです。
サチ : プリプロとレコーディングの同時進行じゃないですけど、その場で何パターンかやってみて「これ採用」みたいな感じでやりました。
──ふたりである程度アレンジを固めてからレコーディングするのか、わりと現場で作っていくのか、本来はどっちのタイプですか?
サチ : EP(『THE PLANET TIVA part.1』と『同 part.2』)のときはもともとあった曲だったから、ふたりでアレンジしたものがベースになってたんですけど、今回のアルバムは新曲が多いのもあって、例えば最後に入ってるMVになった曲(“After the midnight”)とかは、最初の段階では革ジャン……。
マヤ : 革ジャンロン毛クルクル・ハード・ロックでした(笑)。
サチ : ディズニーのプリンセスが革ジャン着てるみたいな曲だったんですけど、最終的には全然違う感じになって。
マヤ : フィービー・ブリジャーズになりました。ボツにしようかなとも少し思ってたんですけど、プロデューサーの(岩本)岳士さんが「これメロがめちゃくちゃいいから、ちょっと頑張ろうよ」って言ってくれて、レコーディング・スタジオでテックの人とかエンジニアの人とかみんなで「これはこうかな?」とか言いながら5人で作りました。
──じゃあわりとみんなと一緒にわいわい作っていった感じ?
サチ : アルバムのために作った曲はそうですね。
マヤ : “Through the dark” とか前からライヴでやってた曲はけっこう元のまんまですね。“I'm sure” はCMの曲にちょっとアレンジを加えました。“Save me” はもともとあったわたしの弾き語りがベースになってますね。“Circulation” もサチがほぼ全部アレンジして持ってきました。あと “Alien loves you!” も前からありました。
サチ : 一応 “After the midnight” も全然違うけど前からあったはあった。別人みたいになりましたけど(笑)。
── “Circulation” は唯一サチさんの曲なんですよね。
サチ : そうです。地球が循環するみたいなテーマなので、自然音と雑踏の音を入れてて、曲の真ん中でそのふたつが交差してクロスフェードしていくみたいなことをやりました。
──循環というテーマを構造に反映させたんですね。
マヤ : “Alien loves you!” も「テーマ!テーマ!テーマ!」みたいな曲ですね。
サチ : 昨日、この曲のMVを撮ったんですけど、めちゃ楽しかったです。
マヤ : オレンジの宇宙服を着て、宇宙人と出会ってきました(笑)。
サチ : CGとわたしたちの融合みたいないままでにない映像です。楽しみにしてほしいですね。
──期待しています。ちなみに “After the midnight” のMVはどんな感じなんですか?
マヤ : アー写の世界観に近いですね。監督(kazma Kobayashi、”After the midnight” の監督)的には “Go back our home”(『The Planet Tiva Part.1』<2020>収録)のMVの続きのお話らしいです。
サチ : “Go back our home” と “Monday” がティバが孤島で迷ってるみたいな内容だったので、その続きだって言ってました。
マヤ : 島で住む場所を見つけて暮らしていくティバ、みたいな。
──楽しそう。アルバム全体の色合いやテーマみたいなものはありましたか?
マヤ : なんだろう。シンセサイザー的な音を入れてる曲が多いですね。いままでのティバに囚われない感じの、一歩進んだイメージで受け止めてもらえるとうれしいな、って思いながらレコーディングしました。
──たしかに、“Alien loves you!” を筆頭にシンセの音色が耳につきますね。
マヤ : わたしがコロナの自宅療養期間中に宅録にはまって、「Logicの音を使いたいな」って思って作った曲なんです。岳士さんとかに聴かせたら「お、いいじゃん」って言ってくれたから、どんどん入れていこうと思って。
──シューゲイズ/ドリームポップ的なイメージが強かったんですが、そこにとどまらないで幅を広げていった感じ?
マヤ : そうですね。1個のジャンルにずっといるみたいなのはあんまりおもしろくないので、“ティバ” っていうなにかになれたらいいなって思いながらやってます。
──マスタリングをアジカンの後藤正文さんが担当されていますね。
マヤ : 岳士さんのなかでGotch(後藤正文)さんに頼みたいっていうのがあったみたいで「俺、頼んでみるわ」って連絡とってくれて「頼んだらいけた!」って。知らないところで進んでいったっていうか、「えっまじか!うれしい!」みたいな(笑)。けっこう音がガラッと変わって、なんていうんだろう……インディー・ロックみが強くなったみたいな。低音の感じがむっちゃ好みで、お願いしてよかったなって思いました。