2015/02/11 23:00
でんぱ組.incが2月10日(火)、11日(水)に代々木第一体育館にてワンマン・ライヴ〈でんぱーりーナイトdeパーリー〉を開催した。彼女たちにとってアリーナ会場でワンマン・ライヴを行うのは初めてのこと。今回の公演では昨年11月にリリースのシングル「でんぱーりーナイト」にちなみ、パーティーというテーマを軸にメンバーがRPG風ゲームのキャラクターに扮したり、中盤から“でんでんバンド”をバックにライヴを行ったりと、さまざまな演出が行われ、全20曲をファンの元へと届けた。ここでは10日に開催されたワンマン・ライヴ第1日目の模様をお届けする。
オープニング映像が流れ、場内の雰囲気も高まると、ステージ後方全面に設置されたスクリーンが左右に開き、メンバー6人が登場。「でんぱーりーナイトへようこそ!!」という掛け声から1曲目「Dear☆Stageへようこそ♡」がスタートする。6人それぞれによるおなじみの自己紹介を経たあと、「パーティーってどうやるの?」と戸惑うメンバーを前に、テレビゲームのようなスタート画面がスクリーン上に映し出される。メンバーに促された古川未鈴が「なにが起こっても知らないからね」とスタート・ボタンを押し、そこから「でんぱーりーナイト」が披露される。同曲の1番を歌いきったあたりで、突然雷鳴が鳴り響き、曲が中断。メンバーはステージ上から姿を消し、スクリーンにはゲーム・キャラクターとなったメンバー6人が登場する映像が流れる。
ここからは、色彩を司る妖精たちが何者かにさらわれ、突如光と色がなくなってしまった世界を舞台にしたRPG風ストーリーが展開。ゲーム上の世界で偶然出会い、でんぱ組という“パーティー”を結成した6人は妖精を救うため、怪しげな森や、天空のステージでボスキャラとバトルを繰り広げる。その映像をバックに、2月18日(水)にリリースのニュー・アルバムから新曲「ブランニューワールド」、「W.W.D Ⅱ」を歌い上げた。そして戦いに勝利し、色彩を取り戻すべく、メンバーひとりひとりが順番に会場に向かって、自分の担当カラーの妖精たちに「姿を見せて!」と呼びかける。妖精ならぬ観客はそれに応え、会場中に青、紫、黄、緑、白、赤とサイリウムの光を照らした。
見事に観客までもをストーリーに取り込んだ演出をみせたあと、「でんぱーりーナイト」からパーティーが再開。同曲の冒頭で金テープが会場に向かって発射され、メンバーと会場の熱量もどんどん増していく。曲の終盤、ふたてに別れたメンバーはトロッコに運ばれ、アリーナ中央に設置された円形ステージへ。360度観客に囲まれながら、古川が「みんな踊りたくないですか? ダンスしたいのは誰ですか?」と煽り、始まったのは「強い気持ち・強い愛」。曲の途中で、夢眠ねむが「代々木〜!」 と叫ぶと、観客も大声でそれに応えた。続けて「でんでんぱっしょん」、藤咲彩音が踊りを「教えてあげる!」と始まった新曲「ダンス ダンス ダンス」が披露され、観客の体を大きく揺らしていく。
メンバーが再びメイン・ステージに戻ると、なんとステージ上にはギター、ベース、キーボード、ドラム、パーカションからなるバック・バンドが待機しており、ここからライヴ終了まで、でんぱ組.incは“でんでんバンド”を携えライヴを進行していく。休むことなくぶっ続けのハイテンションで「Future Diver」、「ぜ ぜ ぜ 絶好調」と繰り返されるフレーズが耳に残る「NEO JAPONISM」を歌い終え、続いて「キラキラチューン」へ。マラカスを手にした成瀬瑛美がダンスの陣形を無視してステージ上で踊ると、古川が曲中にも関わらず、手を挙げて「すみません、すみません」と演奏を制止。「フォーメーション崩してるし」、「未鈴ちゃんだって音止めちゃったじゃん!」と仲違い。相沢梨紗がそのふたりの間に入って「あのー…。人もパーティーもいろんな色があってだから楽しいんじゃん。それぞれの楽しみ方でいいんじゃないかなぁ」と場をまとめ、一件落着。その流れからでんでんバンドのメンバーを紹介し、「もう1回歌っちゃおう!」と「キラキラチューン」の演奏を再開する。
その後も、バンドが入ったことでよりエッジ鋭く重厚感の増した「Sabotage」、しっとりとした演奏で心までも暖めた「くちづけキボンヌ」を終えると、早くもライヴは残すところあと1曲に。「すごい幸せな気持ちなので終わるのがやだ」と話す最上もがや、「みんなと離れたくないなぁ」とじみじみと語る成瀬をよそに、「いやいやもう終電なんで。明日も早いし」と帰ろうとする夢眠。そんな彼女を引き止めつつ「最後みんなで大暴れしちやうぞ!!」という古川の叫びから「サクラあっぱれーしょん」へ。会場中がピンク色のサイリウムの光で埋め尽くされるなか、ステージ上空から舞う桜吹雪を前に、疲れを一切見せないパフォーマンスを行う6人。演奏が終わると深々と頭を下げ、ステージを後にした。
アンコールの声に応え、メンバーがバンドとともに姿を見せると、フジテレビにて放送中の番組「でんぱジャック-World Wide Akihabara-」よりキャスターのレックスがスクリーン上に登場。ひたすらダジャレを披露したあと、勝手に次の曲紹介を始め、その流れのまま「バリ3共和国」へ。スクリーンの映像はPVの世界を踏襲しながら、再びゲームのキャラクターとなったメンバーが映し出され、それぞれの歌詞パートが吹き出しで表示されるといった内容をみせた。
演奏が終わると、アリーナ中央のステージにレックスが登場。会場にいるファンに“サプライズ・バレンタイン・プレゼント”と称して、前述の番組内企画、妄想デートの決め顔映像をスクリーンで流し、ステージ上のメンバーを身悶えさせるなど散々場を乱して、レックスはステージを去っていった。終演に向けていい雰囲気でまとまっていた会場だっただけに、仕切り直しということで「檸檬色」へ。
続くMCでは、古川が「自分たちのバックボーンに頼らなくても、来てくれる人に感動とか楽しんでくれるようなステージをずっとやりたくてこの代々木に挑みました。今日みなさんに伝わってるのかなぁと思いながら歌ってたんですが、どうですか?」と話すなど、メンバーひとりひとりがファンに向けてまっすぐにこの日の思いや感想を語った。夢眠が「またライヴで会いましょー!」と締めくくると、相沢が感謝の思いを投影するかのように「ORANGE RIUM」を歌い始める。柔らかな歌声とオレンジのサイリウムに包まれ、会場中が暖かい雰囲気に。相沢が曲中に「みんな大好きー!」と一際大声で叫ぶと、観客も声を振り絞ってそれに応えた。
ダブル・アンコールの前には、スクリーン上に昨年5月に行われた武道館ライヴ翌日のメンバーへのインタヴュー映像が映し出される。古川が「ライヴの出来に関しては、いつもじゃ考えられないミスを連発してしまった。」と話せば、続いて藤咲や成瀬も反省点を挙げる。武道館ワンマンという大きな目標を達成していながらも、当日のパフォーマンスは彼女たちにとって納得のいくものではなく、また「ファンのおかげで武道館に立たせてもらっていた」という感覚が強く残るものだったという。それを受け、夢眠が「今度はでんぱ組.incがファンに夢を与えられるような素敵なライヴにしたいと思っています」と語り、映像のなかで、でんぱ組.incは「自分たちのためではなくファンのためのライヴをしたい」と今後の新たな目標を掲げた。メンバーが再び観客の前に姿を見せると、炎が飛びだす演出もあった「ちゅるりちゅるりら」を披露し、熱狂のステージは幕を閉じたのだった。
これまででんぱ組.incは、楽曲「W.W.D」にみられるように、メンバー自身の人生を楽曲やライヴに反映させ、そんな彼女たちが武道館という大きな舞台を目指す姿にファンの多くは共感し、応援してきた。しかし、前述した古川の「自分たちのバックボーンに頼らなくても…」というMCが印象的だったように、武道館という目標を達成したいま、この日のライヴは「みんなを全力で楽しませる」という新たな決意を強く感じさせ、エンターテイメント性に満ち溢れたものだった。
でんぱ組.incは、本日11日に行われた第2日目のライヴ内にて、2015年に日本を含む世界7カ国でのワールド・ツアーを開催することを発表した。すべての詳細はまだ明らかになっていないが、ツアーの日本公演として9月26日、27日に河口湖ステラシアターの野外会場にて2daysライヴを行うことがアナウンスされている。また2月18日にニュー・アルバム『WWDD』をリリースし(OTOTOYではハイレゾ配信を予定)、27日より全国ホール・ツアーを開催する。ついにワールドワイドに活動しようとするでんぱ組.inc。これからもますますパフォーマンスに磨きをかけ、さらにすばらしいステージをみせてくれるに違いない。(鶯巣大介)
・でんぱ組.inc オフィシャルサイト
http://dempagumi.dearstage.com
・でんぱ組.inc ニュー・アルバム『WWDD』(24bit/48kHz)の予約はこちらで受付中
http://ototoy.jp/_/default/p/48906
・でんぱ組.incの音源はOTOTOYでハイレゾ配信中
http://ototoy.jp/_/default/a/77265
・でんぱ組.inc ワンマンライブ「でんぱーりーナイトdeパーリー」〉1日目
2015年2月10日(火)国立代々木競技場 第一体育館
〈セットリスト
〉
1.でんぱーりーナイトへようこそ(Dear☆Stageへようこそ♡)
2. なんてったってシャングリラ
3. でんぱーりーナイト
4. ブランニューワールド
5. W.W.D Ⅱ
6. でんぱーりーナイト
7. 強い気持ち・強い愛
8. でんでんぱっしょん
9. ダンス ダンス ダンス
10. Future Diver
11. NEO JAPONISM
12. キラキラチューン
13. Sabotage
14. でんぱれーどJAPAN
15. くちづけキボンヌ
16. サクラあっぱれーしょん
〈アンコール〉
17. バリ3共和国
18. 檸檬色
19. ORANGE RIUM
〈ダブル・アンコール〉
20. ちゅるりちゅるりら