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2014/04/01 11:10

 

大阪レコードショップ通信 Vol.1 HOOK UP RECORDS編ーー佐藤ワカナの関西便り

 

関西便り、今回からは、『OSAKA’S INDEPENDENT STYLE~大阪レコードショップ通信~』と題して、関西の音楽シーンの現状と今後を探るべく、レコードショップの皆さまにインタビュー形式でお話をお伺いしていきたいと思います!

第1回は、大阪福島に2005年より店をかまえるHOOK UP RECORDS。バンドからの委託販売もあり関西のインディーズ・バンドを網羅した豊富なラインナップが特徴。音楽制作の面では、CDプレス・流通・販売までをしっかりサポートしていて、多くのバンドが足を運んでいる。店長の吉見雅樹さんは、お店に行けば必ずいらっしゃって、店に立ち寄ったバンドマンと話し込んでいることを見ることもしばしば。お客さんに対してさわやかな営業スマイルを振りまくような方ではないのですが(笑)、お話してみるとオススメのバンドやライヴを積極的に教えてくださいます! 今回は、その吉見さんにご協力頂き、HOOK UP RECORDSのフィルターを通して関西の音楽シーンについて伺いました。

――吉見さんは、TOWER RECORDS梅田丸ビル店でのバイヤーを経験された後、独立されたんですよね。きっかけはなんだったんでしょう。

吉見 : バイヤーって、音源が出来て紙資料をもらうところから、アーティストとの関係がはじまるんです。それよりもっと前の段階、例えばバンド結成から初ライヴ、デモCD-Rが出来ましたっていうところから関らんと変われへんなぁっていうのがあったんです。

ーー変われないっていうのは何に対して?

吉見 : バイヤーっていうのはバンドとリスナーの架け橋的な役割やから、もっと初期段階からバンドのことを知ってあげないと、その役目を果たすことが出来ないと思ったんです。

――HOOK UP RECORDSへは日々、色んなバンドさんが出入りしていますが、店に顔を出してくれるようになったバンドに対しては、時には厳しい言葉もかけているようですね?

吉見 : まぁ、みんなとは言わんけど、全国流通でワ-っとなりたいってところを目指すわけじゃないですか。俺はそのたまのノウハウを知ってて、そこへ行くために何をしないといけないのかは多少は分かっているから、それぞれのゴールへ向かうためにどれくらいの期間でどうしたらいいのかをアドバイスしていってあげているんです。

ーーでも、それってレコード店の仕事ではないですよね?

吉見 : ではないかもね。自分では「普通」の事と思ってるけどね。

――では、関西の現在のシーンに関してお伺いしていきたいと思います。関西発でいまや全国区となったKANA-BOONは、素直なギター・ロック・サウンドが特徴だと思うのですが、関西のライヴ・ハウス・シーンにおいても、そういったギター・ロックは重視されるべき位置にあると思いますか?

吉見 : ジャンルというより、関西でいったら、〈onion night〉とか〈異音サプライズ〉とか〈見放題〉とかに関っているバンドが実績を残しているんちゃうかな。主催側もアーティスト側もアンテナ張ってて、それが合致してってことやね。

ーー双方の考えが合致して、イベントで実績を残せたバンドがひいては全国へも発信されていくと。

吉見 : まぁ、一過性のシーンだけじゃなく、もっと大きな視点で見れば、シーンは移り変わるもので、こんなふうに関西からどんどんバンドが出ていく流れもこの辺で終わるんやろうなっていうのもあるね。勿論、そうならんように出来るだけのサポートはしていくつもり。

ーー以前、TOWER RECORDS心斎橋店があった頃は、関西といえばアングラというようなイメージが強かった印象があるのですが。

吉見 : 当時、その心斎橋店には行(ユキ)さん(現モナRECORDS店長)っていうバイヤーがいて、行さんがアングラ的なところ、ヒップホップ / ハードコア / パンクをやってて、俺はギター・ロックとかをやって、京都店に小室(オムロ)君っていう奴がおって、そいつが歌ものをやってた。店でカラーが分かれてて、おもしろかった。

ーーお店側で協力して何か状況を変えていこうっていう動きはあるんでしょうか?

吉見 : 昔は、CDショップとかで飲み会があって。そこにラジオ・TVのメディア媒体さんやらライターさんやらライヴハウスの人やら皆呼んでた。club jungleがまだ畳やった頃、そこに150人くらい集まって音源や名刺、情報交換をそこでやってた。

ーーそんなものがあったんですね。でも、それも徐々になくなっていったんですよね?

吉見 : そうやなぁ。そういうところからいろいろ生まれてた。昔はラジオの大量オンエアだって、メジャーじゃなくてもとれたてたからね。

ーー様々な情報がクロスする所から大量オンエアを担うアーティストが見つかるということもいまではなかなか難しいことですね。

吉見 : そうやなぁ。いまって、大阪勢いあるように見えるやん? でもこっちからいってるんじゃなくて、向こう(東京側)から要望がきてるからであって、こっちから出せてるわけじゃないんで。大阪に出口があるわけではないんでね。音楽番組しかりね。

ーー地上波だと深夜枠ですもんね。

吉見 : うん。こっちの媒体、TVとかラジオのイベント見ても、ラインナップ見たら分かるやん? 大阪の局ちゃうのん? っていう。

ーーそもそもこの関西シーンに勢いがある状況自体、そういうふうに見えてるだけであると。

吉見 : いまは関西からいったバンドが数字残せてるから、とりあえず関西いっとけと。関西だけが突出していいバンドがいるわけじゃないんで。全国にはいっぱいいるんでね。

ーーそうですね。

吉見 : 一時の沖縄ブームってあったやんか。モンゴル800から始まってっていう。いま、沖縄シーンが際立って取りだたされてる訳でもないし。それと同じような状況になるから、何年かしたら。

ーーそうならないためには、どうしていけば?

吉見 : 本当は大阪で出口を作らないとダメなんやけど。

ーーバンドとして成立していて、それを展開する媒体のシステムも大阪で完結できるようになるべきだと。

吉見 : まぁ、完結できるようにとまでは言わんけど。東京のマーケットはやっぱり巨大やし、人材のレベルも向こうの方が上なんで。レコーディングするにしても、名前よく聞くようなプロデューサー・レベルの人が大阪にいんのかゆうたら、まぁ皆無なので。それでも、出口として機能するものを作らなあかん。

ーー今後HOOK UP RECORDSが中心となって、大阪発信でバンドが全国区で認知されていくような新しいシステムを創り上げることができれば、シーンの永続的な活性化にもつながっていくと思います。

吉見さんへお話しを伺っていると、ココロオークションの粟子 真行さん(VoGt)と大野 裕司(Ba)さんがいらっしゃったので、HOOK UP RECORDSとの関係性を伺ってみました。

ーー店に足を運ぶきっかけは何だったんでしょうか?

大野裕司(Ba)(以下、大野) : セカンドライン出るときに、あいさつ行きやみたいな事言われて、初めて行って。

粟子 真行(VoGt)(以下、粟子) : ここによく来るようになってからは、まずはインディーズ専門なんやって知って。毎回いい話、次のステップに進むためにどうしたらいいかみたいなものを教えてくれるんですよ。

ーーバンドをナビゲートしてくれる存在ということですね。

粟子 : そうですね。それで、吉見さんから出される課題をクリアすることで、次のライヴへのモチベーションを高めるという流れがあって。毎回ライヴが終わったら、今日どうでしたか? って聞きに来てます。

ーー音源制作の部分でも同じように相談されてるんでしょうか?

大野 : そうですね、本当に全部です。ライヴも音源も。

粟子 : 例えば、君らどうなりたい? いきなり聞かれて、音楽好きで、それで食えればいいと思いますって答えたら、そんなんじゃあかんって言われて。まず、ライヴ・バンドになりたいんか、音源バンドになりたいんかどっちや? って言われて。いきなり究極やなぁと思いました。

ーーでは、バンドから提示したあるべき姿に対して、吉見さんから厳しい意見が出るなんてこともあったんでしょうか?

大野 : まず、最初結構ショックやったんが、結成してすぐに、君らみたいなバンドは10代の時に閃光ライオットとか出てバーンと売れとかなあかんかった! って言われて。

粟子 : もう遅いやんってな(笑)。だから、いまからでも売れるにはどうしたらいいですか? と。

ーーそこはちゃんと応えてくださるんですね。

大野 : そうですね。だから、ほんとに全部なんです。例えばロゴとかもそうで。君らの音楽のイメージはこうやからとか。他にも、楽器の弾き方とか立ち振る舞いとか。僕たち、4月に流通盤出すんですけど、そうなってから余計に吉見さんのすごさがわかりました。やること全部が初めてなので、教えてくれる人がいるだけすごく心強い。

ーー4月のリリースに向けても、これまで同様に?

大野 : そうですね。ほぼ。

粟子 : 作業するプラスいい話聞くみたいな(笑)。

ーーここで一歩ずつ成長していって、色んな出会いがあって、やっと初の流通盤が発売されることになりますが実感はありますか?

大野 : あんまり実感ないですね。いままで会場限定でCDを出してて、CDが出るっていう嬉しさはあんま変わらないです。でも、まだ見ぬたくさんの人に届くと思うと嬉しいですし、同時に少し怖いですね。試聴機に入っているCDを聴いてくれた人が買ってくれるかどうか。まぁ、音源はいいものができているので。今、売れろ~って念込めながら作業してます(笑)。

こうしてお話をお伺いすると、HOOK UP RECORDSは、バンドにとっては自分たちが成長するのに何が必要なのかを気付かせてくれる、まさに頼れるアニキ的存在なのだということがよくわかりました。吉見さんとのお話においても、バンドとのこういった関係性を大切にしていると仰っており、ここを単なるレコード店だと言い表すことは到底できないと感じました。人間味のあるこのお店から、これからも新しいモノが発信され続けることと思います。皆様、本日はお忙しいなかありがとうございました!

・HOOK UP RECORDS HP
http://www.hookuprecords.com/

■リリース情報

ココロオークション / 七色のダイス
2014年4月2日(水)リリース
品番 : CRRC-1007
レーベル名 : CLOUD ROVER RECORDS

収録曲
1. ナゾノクサ
2. ワールド
3. 夢の在り処
4. Answer
5. 君の魔法
6. バタフライ
7. 蝉時雨

〈ココロオークション「七色のダイス」東名阪神レコ発自主企画〉
2014年4月20日(日)大阪府 服部緑地野外音楽堂
出演者 : PURPLE HUMPTY / フィッシュライフ / alcott / ファジーロジック / 愛はズボーン / プププランド

2014年4月27日(日)愛知県 CLUB ROCK'N'ROLL
出演者 : アシガルユース / Half moon spiral 他

2014年5月17日(土)東京都 Marble
出演者 : 感覚ピエロ 他

2014年6月4日(水)兵庫県 music zoo KOBE 太陽と虎
出演者 : ircle / DOOKIE FESTA 他

〈『七色のダイス』リリース・ツアー〉
2014年4月3日(木) 千葉県 Sound Stream Sakura
2014年4月4日(金) 神奈川県 BAYSIS
2014年4月25日(金) 京都府 公○食堂
2014年4月29日(祝) 兵庫県 「COMIN'KOBE'14」
2014年5月3日(土) 富山県 「MUSIC POTION RED FES 2014」
2014年5月4日(日) 石川県 vanvan V4
2014年5月5日(祝) 宮城県 PARK SQUARE
2014年5月6日(祝) 新潟県 GOLDEN PIGS BLACK
2014年5月11日(日) 香川県 DIME
2014年5月24日(土) 大阪府 JANUS
2014年5月25日(日) 埼玉県 Hearts
2014年5月30日(金) 岡山県 CRAZYMAMA 2ndRoom
2014年5月31日(土) 福岡県 PEACE
2014年6月1日(日) 福岡県 FUSE
2014年6月5日(木) 広島県 CAVE-BE
2014年6月7日(土) 岡山県 「hoshioto'14」
2014年6月20日(金) 鳥取県 AZTiC laughs
2014年6月21日(土) 島根県 AZTiC canova
2014年6月26日(木) 北海道 COLONY
2014年6月27日(金) 北海道 DUCE
2014年6月28日(土) 北海道 SOUND CRUE
2014年7月5日(土) 大阪府 「見放題2014」
2014年7月20日(日) 大阪府 JANUS -ツアー・ファイナル・ワンマン-

・OFIICIAL HP
http://cocoroauction.com/

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