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2013/10/30 23:11

 

フラワーカンパニーズ、半年ぶりの東京ワンマンで本領発揮――OTOTOY最速レポ

 

PHOTO : HayachiN
10月23日にベスト・アルバム『新・フラカン入門』とLIVE DVD & Blu-ray『フラワーカンパニーズライブ2013 (渋谷WWW&日比谷野外大音楽堂)』をリリースし、同日の大阪よりワンマン・ライヴ・ツアー「上京20才まえ」をスタートしたフラワーカンパニーズが恵比寿リキッドルームで東京公演をおこなった。ウィークデイのライヴにも関わらず、会場となった恵比寿リキッドルームにはぎっしり満員の観客が詰めかけた。4月の日比谷野音以来、実に半年ぶりの東京でのワンマン・ライヴということもあるのだろう、フラカンのライヴへの期待値の高さが伺える。開演前のBGMにゆったりとレイドバックしたアコースティック・ナンバーが流れる中、定刻を10分程過ぎて暗転し、SEに合わせた大きな手拍子に迎えられ、メンバーがステージに登場。

PHOTO : HayachiN

まずは楽器陣が姿を見せる。グレートマエカワはオーバーオールではなく、白いシャツ姿だ。少し間を開けて、ヴォーカルの鈴木圭介が現れ、「よーこそ!リキッドルーム!」と第一声。ギターの竹安を指差すと竹安がSGで激しいディストーション・サウンドをかき鳴らす。オープニングは最新シングル曲、ベスト・アルバムにも収録された「夜空の太陽」だ。サビのキャッチーなメロディに腕を高く振り上げ応える観客たち。オープニングから早くも多幸感満載なライヴの予感がする。続いてギター、ベースのユニゾン・リフとミスター小西のドラムが叩き出すビートが強烈に煽り立てる「アンテな」。続く「ライトを消して走れ」然り、ライヴハウスでの演奏を意識したビートが強い曲でライヴ序盤をグイグイ引っ張っていく。

PHOTO : HayachiN

圭介の「平日はなかなか入らないんだけど、こんなに集まってくれてありがとう!」というMCから、「上京14才」。歌詞を現在形の「上京19才」と変えて歌う。「J、O、K、Y、O」と両手を広げてアルファベットを表す、海援隊ばりの(?)コール&レスポンスの後は「煮込んでロ~ック!」て叫んで同曲を歌い出す。演奏ブレイク後のマエカワの太いベースの音に歓声が上がり、圭介のブルースハープが曲をエンディングに導くと、立て続けに「なれのはて」へ。圭介が再びハンド・マイク片手にモニターに足をかけ客席に向け叫ぶと、観客も声を合わせて大合唱だ。

PHOTO : HayachiN

何故か野球部の練習風の圭介とマエカワの掛け合い(笑)と今日はワイヤレスマイクを使用していることなど、いつもの軽妙なMCを挟み、曲は今年のフラカンの活動の口火を切ったシングル曲「ビューティフルドリーマー」。リキッドルームの特性か、それぞれの楽器、ボーカルの音量全てのバランスが良く、実に聴きやすい。「はぐれ者賛歌」に左右に体を揺らす観客たちに〈歌うしかないんだよ みんな 自分の歌を〉と顔面を紅潮させて歌う圭介。熱いメッセージ・ソングに満員の観客が熱く応え腕を振り上げる。ダークな照明の中、重たい演奏で場面転換したのは「宙ぶらりんの君と僕」。間奏ではギター、ベースがドラムの方を向き激しいジャムセッションのような光景が繰り広げられる。そのグルーヴの中を体をくねらせ踊る圭介。曲が終わると大きな拍手が起こった。

PHOTO : HayachiN

MCでは圭介の父が“あまロス”に陥ってることを報告(笑)。マエカワは「俺はとっくに"ごちそうさん"に乗り換えとるよ」とのこと(笑)。そして雑誌「CUT」に載っている能年玲奈が抱えてるギターが竹安の所有物であることを公表すると場内からはどよめきが。ベスト・アルバムからの「日々のあぶく」ではギターの深いエフェクトとビブラートが空気を震わせる。「元少年の歌」ではワイヤレス・マイクを落としマエカワが代わって歌うハプニングも。こんな場面でも観客がほっこりしてしまうのが、フラカンのライヴの良いところだ。圭介がギターを持った「大人の子守唄」から「エンドロール」では観客は静まりかえりじっくり聴き耳を立てている。そして、軽快なアコースティック・ギターのストロークで歌われた「たましいによろしく」では、圭介の伸びのある歌声がより強調され、間奏では竹安のバイオリン奏法がソウルフルな曲の世界観を見事に表現しきっており、それを支えるリズム隊のタイト且つ暖かなビートもあいまって、実に素晴らしい演奏であった。個人的にはこの日のベスト・ソングに挙げたい。

メンバー紹介ではマエカワが大晦日の下北沢GARDENでの年越しライヴと来年2月4日(フラカンのメンバーが上京した日とのこと)に〈上京成人式〉として、渋谷O-Westでライヴをおこなう事を発表した。演奏は先程とはムードをガラっと変えて激しく「くるったバナナ」で再開。カオティックなパンク・ビートで圭介がまくし立て、フロアに降りて熱唱すると、マエカワが地響きのようなイントロを奏で「脳内百景」に突入。一気に爆発してサビに合わせ左右に揺れる観客の姿が壮観だ。間髪入れずに曲は「チェスト」でますますヒートアップ。このあたりの曲を演奏するフラカンの姿はパンキッシュでライヴハウスに良く似合う。「ラストー!」と叫んでお馴染みの曲「YES、FUTURE」とたたみかけ、一旦ステージを後にした。

PHOTO : HayachiN

アンコールではベスト・アルバムの一曲目に収録された新曲「ロスタイム」を披露。ベスト選曲の中に入っても遜色ないこの曲は、新たなライヴの定番曲となりそうだ。そしてダブル・アンコールに応えステージに上がると、MCを挟まず名曲「深夜高速」を演奏。何度も聴いている代表曲だが、聴く度に新たな魂が吹き込まれているような新鮮さを感じさせる。特に今日の演奏は音の良さがより一層、曲のメッセ―ジを胸に届けてくれた。

メロウな曲中心となった感のあるベスト・アルバム『新・フラカン入門』リリース後のライヴだったが、この日はビート感のある曲が多く、ライヴ・バンド、フラワーカンパニーズの本領発揮といったライヴであった。来年の2月まで続くツアーで、これからどんな曲が披露されて行くのか? 今観たばかりなのにもう次のライヴが楽しみになってしまう、そんなライヴだった。(岡本貴之)

PHOTO : HayachiN

〈フラワーカンパニーズ・ワンマンツアー 「上京20才まえ」〉
2013年10月30日(水)開場18:00 開演 19:00
恵比寿リキッドルーム

〈セットリスト〉
1. 夜空の太陽
2. アンテな
3. ライトを消して走れ
4. 上京14歳
5. 煮込んでロック
6. なれのはて
7. ビューティフルドリーマー
8. はぐれ者賛歌
9. 宙ぶらりんの君と僕
10. 日々のあぶく
11. 元少年の歌
12. 大人の子守唄
13. エンドロール
14. たましいによろしく
15. くるったバナナ
16. 脳内百景
17. チェスト
18. YES、FUTURE

アンコール1. ロスタイム
アンコール2. 深夜高速

OTOTOY特集 フラワーカンパニーズ・インタビュー
http://ototoy.jp/feature/20131023

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