2012/10/04 00:00

都内を中心に活動するロック・ポップ・バンド、bananafishが1stフル・アルバム『SCROLL』をリリース。耳に残るアーシー・ボイス、変幻自在の稲妻ギター・リフ、ギターとベースの演奏アプローチの対比から観客を巻き込む圧巻のライヴ・パフォーマンスも必見。2012年11月3日に渋谷CLUB QUATTROでのワンマンも決定している彼らに、インタビューと2曲のフリー・ダウンロードと共にじっくり迫ります。

>>「夏について」のフリー・ダウンロードはこちら(10/4〜10/11)

>>「ブエナ・ビスタ」のフリー・ダウンロードはこちら(10/4〜10/11)

bananafish / SCROLL

1. カナリヤイエロー / 2. 朝焼け / 3. ブエナ・ビスタ / 4. ハワイの彼女 / 5. 夏について / 6. ネイバー / 7. シンデレラハンター / 8. アモローソ / 9. おとな / 10. プッタネスカ(Album Version)

【配信形式】 wav / mp3
【価格】
wav 単曲 150円 / アルバム 1,500円
mp3 単曲 150円 / アルバム 1,200円

渋谷CLUB QUATTRO ワンマン・ライヴ決定!!

“SCROLL” Release Tour Final
2012年11月3日(土)@渋谷CLUB QUATTRO
open / start : 18:00 / 19:00
チケット : ¥2,500(ADV/+D)
Guest : GOODWARP

【チケット一般発売】2012年8月18日(土)~
■チケットぴあ:0570-02-9999 (Pコード:177-762)
■ローソンチケット:0570-084-003(Lコード:77452)
■e+:http://eplus.jp

ワンマン・ライヴへ2組4名様をご招待!

件名に「bananafish 招待券希望」、本文に氏名、年齢、住所、電話番号、をご記入の上、info(at)ototoy.jpまでメールをお送りください。当選者の方には、追ってメールにてご連絡します。
※あらかじめinfo(at)ototoy.jpからのメールを受信できるよう、設定ください。
※ドリンク代は別途いただきますので、ご了承ください。
応募締切 : 2012年10月21日24時まで

INTERVIEW : bananafish

もしもあなたが今、ロック・バンドがサクセスしていく姿をリアル・タイムで感じたいと思うのなら、このバンドを知っておかないといずれ後悔することになるだろう。そのバンドの名は「bananafish」。東京・青山のライヴ・ハウスを拠点に活動するこの4人組バンドが、初のフル・アルバム『SCROLL』をリリースした。変幻自在な曲の世界を、時にガレージ・パンク調に聴かせるヴォーカルと、縦横無尽に飛び回るギター。さらに扇情的に曲を引っ張るドラムと指揮者のごとき冷静さでそれらのサウンドに一本芯を通すベース。メンバー全員がイキイキと個性的な音を奏でるこのアルバムを手土産に、来る11月3日には渋谷クラブ・クアトロでのワンマン・ライヴを敢行する彼ら。

しかしそれは、凡百のバンドに付き物なお決まりのサクセス・ストーリーとは趣が違う。bananafishは、たった4人でバンドの活動に纏わる全てを自らの知恵と努力、才能と行動力によって実現しているのだ。そしてその原動力となっているのは、誰にも操られる事なく自分達が好きな音楽を自由に届けたいという情熱のみ。今回はフル・アルバムの完成と初のクアトロ・ワンマン・ライヴという2つのトピックを中心に、メンバー全員に話を聴いた。結成から現在に至るまでの紆余曲折の道程から、1つのゴールへ向かうバンドの結束力を感じさせる、熱いインタビューとなった。彼らの無垢な情熱が生んだこのアルバムを新しいロック・アンセムにすべく、OTOTOYではbananafishを全面的にバック・アップすることをお約束する。

インタビュー & 文 : 岡本貴之

左から、中西出大、角川明、大山一慶、赤芝栄亮

自分で選んだ道なんだから自分を否定するようなこと言うなよって

——bananafishはどのように結成されたバンドなんでしょうか?

角川 明(G)(以下、角川) : まず、僕とドラムの大山(一慶)が大学時代のサークルで出会ってバンドを組んだのが最初です。その後、別のバンドを組む時に当時ヴォーカルだった、ベースの中西出と出会いまして。この時点でメンバーもパートも違うんですけど、bananafish名義でライヴもやりました。その後、大が抜けて代わりにネットのメン募で知り合った赤芝(栄亮)がヴォーカルで入ったんです。
赤芝 栄亮(Vo)(以下、赤芝) : そのバンドはライヴもやらずにリハーサルだけで解散しちゃいましたけどね(笑)。

——それは何年前のことなんですか?

角川 : 7、8年前です。その後一旦みんな散り散りになるんですけど、赤芝とは連絡を取りあっていて、同時に大とは打込みでクラブ・ミュージック系のユニットをやろうかっていう話もしていたんですよ。
中西出 大(B)(以下、中西出) : それはバンドとは全く別の話なんですけど、僕はそのユニットでリズム・トラックを作りたくてベースを始めました。
角川 : その頃ドラムの一慶とはサーフィン仲間だったんですけど(笑)。サーフィンをやりつつ、徐々にバンドに入るよう口説きました(笑)。

——その頃には既にリーダーの角川さんの頭の中にはバンドの構想があったわけですか?

角川 : このメンバーでやれれば面白いなというのはありました。ただ確証はなかったんですよ。まさか大もベースをやるとは思わなかっただろうし。

——そこに大山さんがドラムとして加わってbananafishになったんですね。

角川 : そうです。でも最初はバンドをやりたいなっていうだけで、別にプロを目指したわけではないんですよ。一慶はすでに就職が決まって時間もありましたから、将来プロになるっていうことも考えていない状態で、手伝いでバンドに入ってもらった感じでした。

——大山さんがバンドに加入する時に持ち込みたい音楽的要素はありましたか?

大山一慶(Dr)(以下、大山) : 自分は音楽ジャンル的なこだわりは特になかったです。角川に誘われた時に自分が役に立てそうだったんでやってみようと思ったことがスタートなので。

——あくまでもプレイヤーとしてということですか?

大山 : そうですね。最初に聴いた赤芝の曲がデモの段階でしっかり作り込んだものになっていたので、初期の頃はそれをバンドでいかにリアルなものにするかというのを考えていました。

——最初に赤芝さんが持ってきたのはどんな曲だったんですか?

角川 : UKロック・テイストでしたね。UKロックはメンバーの共有できる部分なんで、bananafishの音楽性にも表れてるんじゃないでしょうか。

——今回のアルバム『SCROLL』も赤芝さんが書いた曲が中心なんですか?

角川 : 今回に限らず、曲作りはメンバー全員が関わっていますね。僕がリフを作ってきてそこにメロディを乗せたり、大がコード進行を考えてきた物に肉付けしたりといった方法です。歌詞については、全部赤芝が書いています。
大山 : 1stミニ・アルバム『star chase』(2009年1月発表)は完全に赤芝がデモ・レベルで作り込んだ物を僕達が再現している典型的な作品なんですけど、それ以降の作品は、誰かが持ってきたタネを元にスタジオでジャム・セッションして作っていくっていう、結構劇的な変化があるんですよ。
中西出 : 2ndミニ・アルバム『SOAP OPERA』(2010年8月発表)の頃あたりからはbananafishの4人のサウンドとは何かっていう所を考えて作るように変わりましたね。

——『SCROLL』収録曲の歌詞には全体的にどこか無国籍風な印象がありますね。赤芝さんはどんなことを歌いたいんですか?

赤芝 : ストーリー性のある歌詞が好きなんです。例えば「シンデレラハンター」は登場人物がシュールに佇んでいるようなイメージを浮かべて書いてます。聴き終えた時に1つの小説を読み終えたような気持ちになってもらえたら嬉しいですね。

——時折り巻き舌で歌うヴォーカルも耳に残りますね。意識している事や影響を受けているヴォーカリストはいますか?

赤芝 : The Birthdayのチバさんからは影響受けています。意識しているのは、感覚的に叫んだらカッコイイ言葉や響きの良い言葉を選んで歌詞にすることですね。1曲目の「カナリヤイエロー」はまさにそんな所を聴いて欲しいです。言葉自体にあまり意味の無いサイケデリックな歌詞が面白いと思います。

——「おとな」は現実的な歌詞とメロウな曲調が、他の曲とは雰囲気が違いますね。

赤芝 : 就職した仲間と久しぶりに会ったりすると、会社の愚痴とか言ってたりするんですよね。よくある話ですけど。そういうのを聞いて、自分で選んだ道なんだから自分を否定するようなこと言うなよっていう気持ちになって。他の曲には無いメッセージがありますね。

——アルバムのサウンドについてはどんなコンセプトがあったんでしょうか?

大山 : これまでの活動から出した1つの答えとして、ライヴに来てくれたお客さんがハイになって楽しかったって言ってくれるような物にしたいというメンバーの総意があって、アップ・テンポな曲調を並べました。過去のミニ・アルバムからも何曲かチョイスしているんですけど、よりノリやすくなるように録り直した曲もあります。

「今までちゃんとやってきたの?」みたいな事を言われて

——そういえば、過去のミニ・アルバムのタイトルと、今回のフル・アルバムのタイトルが全部「S」から始まっていますよね? 何か理由があるんですか?

角川 : そこ、気付きました(笑)? 基本的にドSなバンドなんですよ(笑)。「攻めて行こう! 」っていう姿勢が強いという意味で捉えて頂ければと思います。強気な姿勢を崩さずに行きたいですから。

——なるほど、そういう意味の「S」なんですか(笑)。確かにその攻めの姿勢は、ライヴ活動にも表れていますよね。現在に至るまで自主イベントを開催していますが、これはどんな経緯で始まったんですか?

角川 : ライヴ活動をする上で1つのターニング・ポイントになったのがライヴ・ハウス「青山月見ル君想フ」との関係です。元々赤芝がここに出たいって言ってたんですけど。
赤芝 : 有名な方も出演しているライヴ・ハウスですし、ここに出られたら1つ階段を昇れるかなって思ったんです。
角川 : それまでもライヴは結構やってきたんで、そろそろこういう場所でやってみるかっていう位の気持ちで出演させてもらったんですけど、ライヴ後に店長の寺尾ブッダさんにボッコボコに言われてしまって(苦笑)。「今までちゃんとやってきたの? 」みたいな事を言われてショックでしたね。

——それは、その日の演奏の出来が悪かったということですか?

角川 : 全部ですね。見せ方から何から、全部わかってないって言われて。今考えると確かにそうだったんですけど。
大山 : 演奏力も低かったし、ライヴの流れも、MCも全部駄目でしたね。
角川 : ただそこで良かったのは、たぶん、うちらの持ってる魅力には気付いてくれたのかなって。

一同 : (笑)。

——(笑)ポジティヴですね! それはなぜ、そう感じたんですか?

角川 : やっぱり曲ですね。あとはヴォーカルの特徴的な声を気に入ってくれたんじゃないかと思うんです。それと、凄く音楽が好きでやっているというバンドの姿勢ですね。そういう部分を評価してもらった上での愛情の裏返しなんだなって感じたんですよ。
大山 : 凄く覚えているのが、「まあここからだよね! 」っていう一言なんです。俺達結構やってきたつもりだったんですけど(笑)。最初はへこみましたけど、裏を返せばここから先に期待してくれてるのかなっていうことだと思いました。
角川 : そうだよね。言い方に愛があったんだよね。
大山 : やっとプロ意識というか、もっと良いライヴをしようというきっかけになったライヴですね。
角川 : そのライヴをきっかけに「月見ル君想フ」にも良く出るようになりまして、お店側から企画を持ちかけてもらったんですよ。最初は「sweet spot」っていう自主企画イベントをやったんです。それが結構盛況で年内に続けて2回目も開催もしました。

——そこから、ライヴ・ハウス側との共同企画イベント「SCROLL!! 」に変わっていったのは何故なんですか?

角川 : 2011年の時点でバンドの中で(渋谷クラブ)クアトロでやりたいね、という話が出ていたんですよ。あくまでも目標として。それを「月見ル」の店長、寺尾ブッダさんに話したら、それなら実現へ向けて協力するから、イベントも含めて大きなうねりを作って行こうよっていうことをおっしゃって頂きまして。じゃあクアトロに向けて色んなバンドを巻き込んでやって行こう、ということで隔月でイベントを開催することになったんです。

——イベント名の「SCROLL!! 」にはどんな意味が込められているんでしょうか?

角川 : bananafishが中心となって色んな物を巻き込んで、シーンを作って行こうという意味で名付けています。イベントの回を重ねるごとに、共演したバンドや、そのお客さんが、次回のイベントを見に来てくれたりしてどんどん集客が増えて行って、前回は平日にも関わらず100名以上お客さんが来てくれました。

「結果を残してちゃんと成功するバンドになろう」っていう明確な目的を持った

——bananafishの大きな特徴として、CDのリリースにせよクアトロでのライヴにせよ、音楽事務所やレコード会社に所属せずに全てご自分達の手で実現させているという点が非常に興味深いんですが、どんな考えをお持ちなのか聞かせてもらえますか?

角川 : 自分達の力でやっていくという考えに至るまでに、色んな事があったんですが…。まずドラムの一慶がいったんバンドを離れたんです。

——その辺りの経緯を教えて頂けますか?

大山 : はい。ライヴを重ねていって、意識も高まっていったのは確かなんですけど、やはりそれぞれ仕事もありましたし、本当に音楽で絶対に成功してやるんだっていう気持ちを持っているのかどうか、お互い探りながらやっていた所もあったんです。もちろんミニ・アルバムのリリースやイベントで沢山のお客さんに来てもらったり、盛り上がりはあったんですけど。そんな中で当時自分がしていた仕事の環境の変化もあって、メンバーがどんな気持ちでバンドをやっているのかわからない中で、自分は音楽一本に専念する気持ちにはなれなかったんです。

——なるほど。

大山 : 年齢的なこともあったので、中途半端にはしたくないし、やるんだったらどちらかに絞りたいという気持ちがあったんです。そこで、仕事の環境の変化というのも手伝って、自分はbananafishを離れるという決意をしたんです。
角川 : かなり説得したんですけど、一慶は自分でバンドを辞めることを選択したわけだから、見送った部分もあったんですけど…。それからはサポート・メンバーを入れて活動しながらも、やっぱりバンドの中での停滞感というのは感じました。どうやって曲を作ればいいかさえわからなくなって、このままじゃもうバンドは駄目だなっていう状態が続いていたんですけど、それは同時に「自分が本当に一番やりたいことって何なのかな? 」って考える凄く大きな転換期でもあったんです。他の仕事をして生きていくのも人生だけどって考えた時に、いや、このままじゃいかんなって思って。それで自分は仕事を辞める覚悟を持って、また一慶を口説きに行ったんです。
大山 : 自分はメンバーとはほとんど連絡も取らずに仕事に打ち込んでいたんです。ただ、昨年震災が起こった事をきっかけに、それこそ「明日死ぬかもしれない」っていう事をリアルに感じるようになって、今仕事に打ち込む事が本当に良い人生なのかな、音楽もやりたいしなっていうことをまた考えるようになってしまったんですよね。そういうタイミングで角川から「最近どうなの? 」っていう連絡がありまして。

——お互いの心情が同じタイミングで重なってたんですね。

大山 : そうです。彼は彼で、結構行き詰っていたみたいで。サポートのドラマーでライヴは出来るけど、現状維持しか出来ないという事を痛感していたらしいんです。でも、じゃあバンドを解散して仕事に打ち込むかっていったら、やっぱり彼は音楽バカなんで(笑)、再会した時に「俺も仕事を辞めるから、もう一度命かけてバンドをやってみないか? 」って言われまして。だったら自分も中途半端なことは出来ないから、仕事を辞めて本腰を入れてやってみようと思って、バンドに戻ったんです。
角川 : そこからはバンドに対するモチベーションは一変しましたね。

——ベースの中西出さんはリズム隊として、もう一度大山さんと一緒にやることについてはどう思いましたか?

中西出 : 別になんのわだかまりもないし、じゃあまたやるかって(笑)。バンドってメンバー1人変わったら別バンドですから、現状維持にしかならないと思うし、もし前に進むなら、正規のメンバーを迎え入れてバンド名が変わる位の覚悟で違う振り幅を持たないといけないと思うんですよ。ただ、大山一慶がオリジナル・ドラマーという頭があるから、バンドとしてはイマイチどちらにも振りきれない状態っていう停滞感は感じていました。ただ、音楽への意欲はありましたけどね。

——この時期に中西出さんは、コンテストで「ベスト・ベーシスト賞」を受賞してますもんね(笑)。

一同 : (笑)。
中西出 : どんなドラマーが来ても良いように腕を磨いていたんですよ。実際色んなサポート・ドラマーが来て、武者修行にはなりました(笑)。

——赤芝さんは大山さんのドラムについてどう思っていますか?

赤芝 : 一慶のドラムはピンポイントで自分が好きなドラムを叩いてくれるんで、戻ってきて欲しいとは思っていましたし、角川が一慶をもう一度誘おうと思うって言った時も、もちろん賛成でした。

——結果的に、大山さんが一度離れた事でバンドの結束が強くなったんですね。

角川 : 今となってはそうですね。
中西出 : 大山の脱退する前と後では、僕達は全く違う温度感を持ったバンドになっていると思います。
大山 : それは何故かというと、「結果を残してちゃんと成功するバンドになろう」っていう明確な目的を持ったからなんですよ。その為に自分が復帰した昨年から既に2012年のバンド活動をどうするか? という事を4人で考えていたんです。そこで、クアトロでライヴをやろう、ということを決めたんです。でも正直、その時の僕らの状態でクアトロをやろうなんてことはちゃんちゃらおかしい話なんですよね。でもそれを「やろう」って決めてしまった。だから後は逆算ですよね。今年の秋にクアトロ・ライヴを成功させる為には何をやらなければいけないのか? だったら今年の最初はまず月見ル君想フでのワンマン・ライヴを成功させて、隔月の「SCROLL!! 」も成功させて、PVを作ってプロモーションもして、ということを全部考えてやってきたんです。

「こんなにかっこいいバンドがいるんだ」っていうことを証明したい

——全部繋がってるんですね。bananafishの方法論って起業家的ですよね。

角川 : 考え方にはそういう所が凄くあります。アーティストであると同時に、自分達でそれ以外の部分もやって行きたいという考えなんです。何故かというと、これからは音楽業界の仕組みってどんどん変わって行って、新しいやり方もできるんじゃないかって思うんですよ。例えば、クアトロでワンマンをやることにしても、自分達の力じゃできない所だってみんな思っちゃっているんじゃないかな? って。でも、やろうと思えば自分達だけでもできるんですよ。大変ですけど(笑)。

——確かにそこを考える前に事務所がついてデビューして、という発想になるかもしれないですね。

角川 : まずはそこを、自分達で切り開きたいんです。色んな事を徹底的に調べて、直接交渉をして、っていうことを自分達で全部やってきたことはバンドの自信になってますね。ですから、自分達の中で「操られ感」は絶対無いんですよ。自分達のやりたい事をやってるし、自分達で決めたことしかやっていない。そこに関しての自信が凄くあるんです。

——僕がアルバムを聴いて凄くいいなって思ったのが、そういうバンドの考え方が、音楽の中に嫌味な感じで出ていないんですよね。音楽はあくまでもエンターテインメントしているのがbananafishの良い所だなって感じました。

角川 : ありがとうございます。それは凄く嬉しいです(笑)。みんな音楽が大好きだっていう事と、人を喜ばせたいっていう気持ちが凄くあるんです。だから、アルバム自体に狙って売れようぜっていう嫌な感じは無いと思う。もちろん個性はあると思うんですけど、自分達にしかわからないマニアックな音楽をやろうということでもなくて。ちゃんとポップでエンターテイメント性もありつつ、でもロック・バンドとしてこだわっている所は凄くあるのが僕らの音楽だし、それを極めたのがアルバム『SCROLL』だと思っています。
大山 : あくまで自分達がアーティストとして表現したいことがあって、どうすればより多くの人に感動してもらえるかっていうことが大事だと思ってるんです。この4人にしか出来ない音楽をやって、それを元により多くの人を巻き込んでいけたらっていう発想なので、音楽の中にそういう(ビジネス的な)嫌味は一切ないんですよ。
角川 : まず音楽好きっていう気持ちありきでバンドをやっていこうと決断をしたわけですけど、それには趣味でっていうわけにはいかないんで… そこの狭間にある葛藤って、バンドマンなら誰しもあると思うんですけど。その葛藤の中から自分達で一番納得のいく結果を出したいなって思って動いてますし、みんなが良いなって思ってくれたら当然お金も生まれてくるもんだと思うんです。だからこそ、本当に成功したいですよね。

——アルバム『SCROLL』とクラブ・クアトロでのワンマンライヴに向けての想いをそれぞれ聞かせて下さい。

赤芝 : 統一感のあるアルバムになったと思いますし、自分達のやりたいことをしっかりやれたアルバムだと思いますので、沢山の方に聴いて欲しいです。クアトロはツアー・ファイナルということもありますし、気合い入ってます。みなさん来てください!
中西出 : ライヴにしろアルバムにせよ、まず僕らが渦を作らないと、お客さんを巻き込んだ『SCROLL』にはならないと思うんです。これはベースシストとして心掛けていることなんですけど、バンドはアンサンブルでなければいけない、でもそこで一歩引いたら型通りの物にしかならない。だから他のメンバーにはなるべく個人プレイをやって欲しいんですよ。常に僕はみんなの音を聴いて、ベーシストとしてどう空間を作るかを考えているんで。そういう意味ではそれぞれの個性を抑えることなくアンサンブル出来ているのがこの『SCROLL』というアルバムだと思うし、それをいかにわかりやすくクアトロっていう舞台で見せられるかというのも、これからもっと考えて、ライヴに臨みたいですね。
大山 : 今年に入ってから、このバンドはクアトロのライヴの為だけに全てをやってきたと言っても過言ではないんですけど、その1つの結晶であり、今の自分達の全てが詰まったのがこの『SCROLL』です。この記事を読んでbananafishに興味を持って頂けたなら、是非アルバムを聴いて欲しいですし、僕らが全てを賭けた11月3日のクラブ・クアトロのライヴを是非、観に来て下さい。必ず楽しんでもらえると思います。

——リーダーの角川さんの想いを聴かせて下さい。

角川 : 想いですか…。想いがありすぎるんですよ、本当に(笑)! この『SCROLL』っていうアルバムは、クアトロまでの道のりの最後の集大成的なアルバムだと思っています。僕はこの『SCROLL』っていうアルバムが本当に大好きなんですよ。自分達がこだわり抜いた曲が入ったアルバムなんで。そのこだわりを知ってもらうために、とにかく1回聴いてもらいたいです。1回聴いてもらったら、絶対に気に入ってもらえるっていう確信がありますから。そして、クアトロでは「こんなにかっこいいバンドがいるんだ」っていうことを証明したいですね。その上で、みんなを楽しませたいと思っています。だから是非、アルバムの曲を聴いてからライヴを観に来てほしいですね。

——クアトロでのワンマン・ライヴを成功させたら、次にbananafishが目指す夢はなんでしょうか?

角川 : 次のステップというわけではないのですが、2~3年以内に武道館でライヴをやりたいです。色んな価値観があると思うし、今の時代にロック・バンドが武道館を目指すっていうことを、ダサいなんていう人もいるかも知れない。でもあんな大きな舞台でみんなに音楽を届けられたら最高じゃないか? って思うんですよね。それは自分が音楽を志した時からの夢でしたから。だから自分たちは公言していきますよ。武道館まで行きますから。そこまで行く通過点の一つがクアトロのワンマン・ライヴであり、アルバム『SCROLL』なんです。ですから出来る限り多くの人に聴いてもらって、「こんなかっこいいバンドがいるんだ! 」ってことを知ってもらいたいですね。

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LIVE SCHEDULE

“SCROLL” Release Tour

2012年10月4日(木)@宇都宮HEAVEN'S ROCK VJ-2
2012年10月11日(木)@西川口Hearts
2012年10月16日(火)@水戸LIGHT HOUSE
2012年10月18日(木)@横浜BAYSIS
2012年10月23日(Tue)@千葉LOOK
2012年11月3日(土)@渋谷CLUB QUATTRO(“SCROLL” Release Tour Final)

『MAU ART FESTIVAL 2012』
2012年10月28日(日)@武蔵野美術大学 鷹の台キャンパス

[innocent,innovate. 年末2DAYS-1(仮)]
2012年11月26日(月)@渋谷CHELSEA HOTEL 東

PROFILE

UKロックを軸に様々なジャンルの音楽を取り込み、独自の進化を遂げ続ける東京青山発のポップ・ロック・バンド。

2012年1月の青山月見ル想フでのワンマン大成功~TOKIO、森山直太朗、coccoらの作品を手がける映像監督、西川修司氏プロデュースによる「シンデレラハンター」のPV公開と、現在進行形で人気度、注目度ともに急上昇中のロック・ポップ・バンド、bananafish。渋谷クアトロでのワンマン開催の盛り上がりを受け、遂に1stフル・アルバム『SCROLL』をリリース! 耳に残るアーシー・ボイス、変幻自在の稲妻ギター・リフ、ギターとベースの演奏アプローチの対比から観客を巻き込む圧巻のライヴ・パフォーマンスは必見。

>>bananafish WEB

[インタヴュー] 坂本覚

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