2012/07/18 00:00

名古屋のエモーティブ・ナード・メタル・バンドの4人組DOIMOI!

90年代グランジやへヴィメタルをルーツに、エモ/ポストコアを通過し、オリジナリティの高い音楽性を持つ名古屋発4ピース・バンドDOIMOI。今回オトトイでは、デビュー・アルバムのリリースを記念して、1週間先行で全曲フル試聴を公開し、話題をかっさらった。過去にフジロックに出演した経歴を持つDOIMOIが、化学実験の末に導き出した新作『Materials Science』は、全く聴いたことのないパンクロックだった!

DOIMOI / Materials Science
単曲 200円 / アルバム 1500円

【Track List】
01.帆影|Black Sails / 02. 円群|Circles / 03. 静かな庭|Still Garden / 04. 誓い|(Don't Break the) Oath / 05. ヴォルガにて|On Volga Shore / 06. バベルの灯り|Lights of Babel / 07. オリンピック|Olympic / 08. オープンリール|Reel to Reel / 09. 舞踏室|Ballroom / 10. 誰が傾いているか|Who's Tilting Now / 11. 遺跡|Heritage

label : SPACE SHOWER NETWORKS

混沌と鮮やかな寂寥に満ちあふれたアルバム

夏に浮き足立っている。待ちに待った季節だ。しかしふと気づくは、心だけが舞い上がる様(さま)。梅雨明けと時を同じくして大胆な灼熱に見舞われた僕たちは、どろりとした空気に頭をしどろもどろさせながら「やあ夏だ」なんて言っては差し当り何するわけでもなくやり過ごす。昔人は夏場、スコレーを楽しみながら討論に没頭してはロゴスを発達させるのが専らだったと言う。つまり暇だからダラダラしてたってことだ。そうか、僕たちに似ている。

左から、林礼一、杉山明弘、二村泰史、篠田尚志

DOIMOIのニュー・アルバム『Material Science』はそんな夏の始まりを告げる鐘が鳴る最中にリリースされる。なるほど絶好のタイミングだと思う。音楽の重厚さは〝狂″という実質的感情を奮い立たせ、真夏がそれに拍車をかけてくれるからだ。さあこの予想が外れてなかったことを検証しよう。アルバムの冒頭を飾る「帆影」~「円群」が持ち合わせる重々しいメタリック・トーンはじっとりと肌にまとわりつき、体感温度の上昇を免れない。ここで既に、この作品が夏の燃えたぎるコンクリートを這いつくばるような揺るぎない混沌と鮮やかな寂寥に満ちあふれたアルバムだということに気づいてしまうだろう。

続く「静かな庭」~「誓い」~「ヴォルガにて」で発見する。俯いた夏の視線を空へ向かせるユナイト感が顕著なサウンド、幻想的でいて真っ直ぐな理解力では苦しむことになる歌詞。イースタンユースが築き上げた日本美(和)とハードコアの架け橋から、メタル・アティチュードを介することで更に高みを望むことができるようになっている。気づくと今じっとり部屋は暑く、暗い。しかしエアコン機動や風を仰ぐことすらナニかナンセンスだ。待て、まだアルバムの半分しか来ていないじゃないか! 山に例えれば丁度頂点、アルバムのド真ん中に位置する「バベルの灯り」(的を得たタイトルだ)は、この作品において最も鋭角に研ぎ澄まされた激烈な轟音を擁してスリルを極みへと到達させている。「オリンピック」~「オープンリール」で徐々に叙情性を取り戻し、続く「舞踏室」ではDOIMOIの新境地が開かれる。音の隙間をうねる粘りっこいギター・ソロが夏の着地点を見せ始めてくれる、とても美しい曲だ。「誰が傾いているか」~「遺跡」で大団円のエンドロールへと向かう(といっても美しく緩やかなエンディングなどではない! エモーショナルな狂乱と速度をさらに上げた演舞! それがDOIMOIであると言わんばかりに)。

アルバムは終わり、さて辺りを伺うと暗く沈み込んだこの部屋は今や狂った宴のあとのようだ。湯気立つ夏の残骸、あまりにも音楽に集中した形跡。ああ誰かと話がしたくてたまらない。僕が今さっき見つけた、夏とドロリ同化してしまう新しいヘビネスについて。そして、ポッカリと穴空いた夏が始まらんとしている。いつもの夏か、いつもじゃない夏か、DOIMOIのニュー・アルバム『Material Science(物質科学)』による革新的轟音を手に、これからを過ごして感じてくれればいいと思う。(text by イワモトリョウ)

LIVE INFORMATION

stiffslack presents CARD「BANQUET」リリース・ツアー
2012年8月5日(日)@鶴舞 KD Japon(名古屋)
時間 : OPEN 18:30 / START 19:00
出演 : DOIMOI / CARD / Mirror
チケット : ADV 2,500yen / DOOR 2,800yen

2012年9月8日(土)@新宿 Nine Spices
チケット : ADV 1,800yen / DOOR 2,300yen
出演 : capofteka(ex.NINE DAYS WONDER,kiwiroll) / 東京スーパースターズ(from 恋はもうもく/rebel and summer,ex.いくら僕がぎゃーと叫んでも空は高い) / curve… and more

ぐるぐる回る2012
2012年9月16日(日)@埼玉スタジアム2002
時間 : OPEN 11:00 / START 11:30
チケット : ADV 3,500yen / DOOR 4,500yen / 埼玉限定チケット 2,500yen(保護者同伴に限り、小学生以下無料)
チケットINFO : チケットぴあ 0570-029-999(Pコード : 621-434)、ローソンチケット 0570-084-003(Lコード : 70371)、e+
出演 : DOIMOI / LOST IN TIME / HARCO / BiS / フジロッ久(仮) / Fragment feat.DOTAMA、空也MC / CARD / Limited Express (has gone?) / ウラニーノ / エイプリルズ / (M)otocompo / 魔ゼルなでこキ犬 / cryv / それでも世界が続くなら / bananafish / レコライド / さよなら、また今度ね / 静カニ潜ム日々 / 大森靖子/ PE'Z / the telephones / ヒカシュー / 画家… and more

PROFILE

DOIMOI
杉山明弘(guitar)
篠田尚志(Bass)
林礼一(drums)
二村泰史(vocal&guitar)

會田“アイゴン”茂一氏(FOE、髭、EL-MALO、木村カエラ、BONNIE PINK等他多数)、工藤“TEKKIN”哲也氏(BEYONDS、ex.HUSKING BEE、etc)、ELECTRIC EEL SHOCKなど、共演したOVER30ミュージシャンから、もれなく絶大な信頼を集める名古屋の4人組バンド。ヘヴィーメタルとグランジから等しく影響を受け、エモ/ポストロックなど今日的な要素も通過したソング・ライティングと突き抜けた歌唱力を誇る。2005年に本格活動を開始以来、31KNOTSやMARITIME(ex. DISMEMBERMENT PLAN)、THE LIFE AND TIMEなどの海外アーティストをはじめ、BEYONDS、FOE、kamomekamome、LOSTAGE、OGRE YOU ASSHOLEやMARS EURYTHMICS(ex.HUSKING BEE)などの国内アーティストともステージを共にし、FUJI ROCK FETIVAL 2007 ROOKIE A GO-GOを音源審査だけで勝ち上がり、150倍の倍率の中、出場を果たした経歴を持つ。2010年からは自主企画イベント「HEADBANGERS BALL」を開催し、好評を得ている。

第1回(2010年4月)出演 : CLIMB THE MIND / ALLie / URTHONA
第2回(2011年7月)出演 : AKUTAGAWA、SOSITE / トゥラリカ / 小鳥美術館
第3回(2012年1月)出演 : AS MEIAS / skillkills

DOIMOI official HP

[レヴュー] DOIMOI

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