2011/07/01 00:00

一夜のセッションの模様をDSDで完全収録!

2月上旬、新宿PIT INNで行われた鬼怒無月3DAYS。2月11日は鬼怒無月(Guitar)と勝井祐二(E.Viollin)との2人ユニットPere-Furuに、原田郁子(clammbon)がスペシャル・ゲストとして参戦。3人のスペシャルなセッションも含むLIVEの模様をDSDで収録した音源を、このたびOTOTOYより独占配信いたします。その場限りの即興によるセッションのほか、原田郁子の楽曲を3人はどうアレンジしたのか。MC、曲間も99%ノーカットで当日のLIVE時間そのままにお届けします。1部と2部をそれぞれ、Part. 1、Part .2として配信します。

Pere-Furu(鬼怒無月+勝井祐二) featuring 原田郁子

『LIVE at 新宿PITINN 2011.02.17 part.1』

【 Track List 】
1. 即興 01 Pere-Furu 
2. 即興 02 Pere-Furu
3. たのしそうかなしそう
4. 即興 03 Pere-Furu + 原田郁子
5. なみだとほほえむ
『LIVE at 新宿PITINN 2011.02.17 part.2』
【 Track List 】
1. 即興 04 Pere-Furu + 原田郁子
2. 即興 05 Pere-Furu + 原田郁子
3. やわらかくてきもちいい風
4. トゥィンクル
5. 銀河
6. ユニコーン -encore-

販売形式 :
1) DSD+mp3 >>DSDの聴き方はこちら
2) HQD(24bit/48kHzのwav)

価格 :
各1200円

Pere-Furu : 鬼怒無月 (E.Guitar / A.Guitar)、勝井祐二 (E.Violin)
Guest : 原田郁子 (Vocal / Piano)
Recorded by 高橋健太郎 / 溝口紘美 at 新宿 PIT INN 2011.02.17
Mixed & Mastered by 高橋健太郎 at DONI DONI Studio

国内外で高い評価を得、勝井祐二(vn)、吉田達也(dr)やカルメンマキ(vo)などとも多く共演を重ねる異才のギタリスト、鬼怒無月。2011年2月15日から3日間、新宿PIT INNにて『鬼怒無月3Days』が行われた。第一夜は鬼怒無月がアルゼンチンの音楽家、アストル・ピアソラの意志を現代に蘇らせるべく結成したタンゴ・バンドSALLE GAVEAUが出演。第二夜には海外の音楽フェスティバルでも高い評価を得たBondage Fruitがゲスト・ボーカルにYaeを迎え入れ、演奏した。今回配信される作品は、それに続く第三夜の模様を収めた音源である。

第三夜は、勝井祐二とのデュオ、Pere-Furuが原田郁子(クラムボン)をゲスト・ボーカルに迎え行われた。そもそも鬼怒無月も勝井祐二も、無から有を生みそれを無限のものに昇華させる事のできる音楽家であり、表現者である。そこに原田郁子の感性が交わる事によって、どんな化学反応が起こるのか、会場の観客も期待しているようであった。

開演し、おもむろに鬼怒無月がアコースティック・ギターを弾き始める。そこに勝井のヴァイオリンがそっと寄り添い、静かに即興演奏が始まった。二人の音は徐々に交差し、一つの織物を織り始める。それが会場を包み始め、片方の呼吸の変化に合わせ、もう片方の演奏が変化してゆく。鬼怒が弾くギターの音色はまるで表情を持っているかの様に、時にメロウに、パーカッシブに変化する。悠遠な時を演出する勝井のヴァイオリンは、鬼怒のギターに常に寄り添いながらも呼吸を引っ張り、勝井独特のエフェクティヴな演奏によって、時に全てを飲み込むような大きな黒い口を開ける。速度や景色がめまぐるしく変わり始め、会場全体は気付けば二人の手のひらに包まれていた。

2曲続いた二人の即興演奏を終え、息をのんで見ていた観客は大きく息を吐き、大きく息を吸った。そして勝井は、「数年前に一度お誘いして、その時は都合が合わなく実現できなかったんですが、ようやく一緒に演奏できる事になりました」と原田郁子を紹介した。彼女が登場すると、会場内の張りつめていた空気が、まるで窓を開けたかのように柔らかな空気に入れ替わった。不思議なアーティストである。和やかなMCの後、原田郁子のソロ楽曲「たのしそう かなしそう」が演奏された。彼女の声によって今まで会場内にあった混沌が一気に解き放たれ、鬼怒のギターも勝井のヴァイオリンも美しい景色を会場全体に散りばめ始める。

今度は三人の即興演奏が始まった。原田郁子は二人の音一つ一つに着地し、跳ね上がり、持っていたペンでピアノを叩き、ピアノの弦の上に何かを乗せ(残念ながら、何を乗せたのかは見えなかったのだが)、音を不思議な音色に変え、無邪気に音楽で遊ぶ。勝井はMCで原田に「僕の友達のアレハンドロ・フラノフみたいだ」と言った。アレハンドロ・フラノフとはアルゼンチンのミュージシャンで、その音の間を自由に飛び回る姿から「音の妖精」とも呼ばれている。

その後「なみだとほほえむ」を演奏し、第一部が終了。小休憩の後、第二部が始まった。第一部よりも緊張がほぐれた様子の3人は再び即興演奏を始める。原田は引き続きさまざまなアプローチでピアノを鳴らし、音楽で遊ぶ。鬼怒と勝井はその誘いに乗りつつも、常に原田を先導し、音が見せる景色を会場に広げていった。即興を二曲続け、原田郁子のソロ曲「やわらかくてきもちいい風」「トウィンクル」「銀河」が続く。鬼怒は原田の楽曲の表情を作り、勝井は感情を表現し、原田はその曲そのものなる。役割をはっきりさせつつも、それぞれがその枠にとどまらない。

本編が終わり、会場からはアンコールの拍手が鳴りやまなかった。それに応え、最後に原田郁子のソロ曲「ユニコーン」を演奏。今までの演奏を楽しく振り返り話す様に、3人は緩やかに穏やかに演奏し始める。やさしい原田の声は会場に残る音にまるで分かれを告げる様であった。(text by 内田武瑠)

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レコーディング・スタジオでの一発録りをライブとして公開し、そこでDSD収録した音源を配信するイベント“Premium Studio Live”。その第2弾として、クラムボンの原田郁子と、映像作家としても活躍する高木正勝の2人を招いて行われた際の記録。会場となったのは東京・市ヶ谷のサウンドインスタジオBstで、天井高のあるスタジオに2台のグランド・ピアノ……STEINWAYのフルコンサート・サイズとセミコンサート・サイズを設置。良質な響きの中で、原田と高木がそれぞれ自由にピアノを弾きながら、お互いの作品を変奏し合うようなセッションが繰り広げられる。原田の力強いボーカル、高木の繊細なボーカルそれぞれの魅力を存分に味わうことができるほか、飛び入りで参加したOLAibiを交えてのリズミックなパートも聴きもの。

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PROFILE

鬼怒無月
1964年神奈川県出身。高校時代より音楽活動を始める。1990年に自己のグループ、ボンデージ・フルーツを結成、1994年にバイオリン奏者勝井祐二と共に発足したレーベル「まぼろしの世界」より現在までに最新作の「Bondagefruit6」(2005年2月発売)を含む6枚のアルバムを発表。ボンデージ・フルーツは1998年"ScandinavianProgressive Rock Festival"、1999年にはサンフランシスコの"Prog Fest '99"に招かれるなど海外での評価も高い。ボンデージ・フルーツと平行してEWEより2枚のアルバムをリリースしているチェンバー・ロック・バンド「Warehouse」、ギター・インストゥルメンタルの極を追求する「Coil」、勝井祐二とのデュオ「Pere-Furu」、壷井彰久(vn)との「ERA」、吉田達也(ds)の「是巨人」、カルメンマキ(vo)の「サラマンドラ」、更に灰野敬ニ(vo,g etc.)、常味裕司(oud)とのコラボレーション、ギター・ソロ等、日々自己のギター・スタイルを進化させ続ける異才ギタリスト。

勝井祐二
1964年北海道生まれ。エレクトリック・ヴァイオリンの表現の可能性を追求し続ける第一人者。「1991-1992 JAPAN - UK Festival」の中心展示「VISIONS OF JAPAN」(Victoria and Albert Museum)のサウンド・ディレクターを務め、渡英。帰国後、日本最初期のレイヴ・パーティー「WATER」をオーガナイズする。「BONDAGE FRUIT」「DEMI SEMI QUAVER」「TWIN TAIL」「渋さ知らズ」「カルメンマキ and サラマンドラ」「SIGNALS」を始め、様々なグループ/セッションに参加。1996年、山本精一と「ROVO」結成。フジロック・フェス、メタモルフォーゼ、ライジングサンロック・フェス、アラバキロック・フェス、ドイツ・メールス・フェス等の国内外のフェスティヴァルに参加するなどして、90~00年代の東京のジャンル越境(オルタナティヴ)のシーンを牽引した。2002年に初来日したファナ・モリーナ、フェルナンド・カブサッキとの共演を機にアルゼンチンの新しい音楽シーンと交流を深める。2009年には、サイケデリック・ロック・バンド「GONG」の結成40周年を記念したアルバムに、スティーブ・ヒレッジと共に参加。

原田郁子
4歳からピアノを弾く。
10歳~13歳までクラリネットを吹く。
14歳で、クラシック・ピアノをやめる。
16歳の時、セロニアス・モンクに感動してふたたびピアノを弾く。
18歳で、東京上京。ジャズピアノを弾くはずが、いつのまにか歌いだす。
20歳、クラムボンはじまる。
28歳、ソロ活動開始。

この記事の筆者

[レヴュー] Pere-Furu (鬼怒無月+勝井祐二) featuring 原田郁子

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