2011/04/25 00:00

山口で活動を続けるバンドlittle phrase。筆者は彼らが前身バンドで活動していた頃からの「バンド仲間」であり、現在の音楽性を獲得する課程を傍らで見守ってきた一人だ。地方で音楽活動をするために必須である「それでも続ける」というプロ意識、作品作りへの真摯な姿勢。また、そういった思いはこれ見よがしに押しつけるものではなく、態度として作品に表れるものだということを彼らから学ばせてもらった。

2009年にリリースされた1stフル・アルバム『landscape』は、そんな彼らの姿勢が充分に表現された作品だった。バンド仲間だというフィルターを外してもきっと評価は変わらない、大切なマスターピースだ。

それから1年半。little phraseはメンバー・チェンジや全国ツアーを経て、新作ミニ・アルバムを配信でリリースする。ポスト・ロック、ギターポップやエレクトロニカ等を横断する音作りはさらに自由度を増し、彼らの「今」がふんだんに盛り込まれた小品に仕上がっている。

1年ぶりとなる東京でのライブを一週間後に控えたタイミングで、ギター、シンセサイザー、ボーカル等を担当する橋本崇広に話を聞いた。

インタビュー&文 : 草見沢 繁

little phrase / time[ep] Label : NOVEL SOUNDS

待望の新作は、ヴォーカルやバンドのアンサンブルに躍動感が生まれ、叙情的なサウンドスケープの中にポップさが織り込まれた、彼らの新境地。ototoyでは、いち早く彼らの新作をお届け。彼らの3年の軌跡がここに完成! 冬から春へと移り変わるような穏やかな楽曲群をどうぞ。

1. switch / 2. should i stay or go? / 3. time is golden / 4. dawn / 5. he can fly

mp3 : 700円 / wav : 900円

little phrase INTERVIEW

——前作の『landscape』から1年半経っての新作です。

少し間が開いてしまいました。メンバー交代に時間がかかってしまったのと、ツアーを山口、東京、大阪、京都、福岡とやっていたので、なんだかんだバタバタしてしまっていた感じです。少し落ち着いてきた昨年末くらいにようやく新作を作る態勢に入れたので、地元山口での自主イベントで新曲を演奏しつつ、その合間にまとめていきました。

——今作には僕の知っている前身バンドの頃からライブで演奏していた曲もあります。

そうですね。僕とドラムの松村、ベースの河野くんと前のバンドのCDを聴くことがあって。「これ、いけるんじゃない? 」というテンションになったので、とりあえずやってみようということでアレンジしていったら結構しっくりきたんですよね。ライブで演奏してみたらお客さんからも評判よかったし、僕らも気持ちよかったので、こういうのもありかな、と。

——前作よりバンドっぽさが濃くなったような印象を受けたんですが、意識して作りました?

landscape』は個々が持ってきたデモを元に僕がアレンジして仕上げたものが多かったんですが、今回はバンドでセッションしながら作っていった曲が多いので、そういう印象にはなるかもしれないですね。あとは、多少「歌」の要素や、ベースで持っていく部分を増やしてみたことが影響していると思います。今までは極力シンプルにしていたところがあるので。

——特にこの曲で苦労した、ということはありますか?

time is golden」と「he can fly」は前作が出る前から演奏してた曲なんですが、なかなかアレンジや曲の構成が決まらなくて苦労しました。「time is golden」は僕が編集でこねくりまわした結果、ようやくハマって。「he can fly」は音源を作ろうということでバンドでセッションを重ねて作りました。かれこれ3年以上演奏を続けてやっと完成したという感じです。

——配信でのリリースに至ったのは?

メンバーが変わったので、いきなりフル・アルバムはちょっと、という考えがあって、どこか息抜きのような作品を作ろうと思いました。次のアルバムで音楽性が変わってしまってもいいように、幅を見せる意味合いも含めつつ。あと、東京でのライブが決まっていたので、せっかくなら何か作品を出して、持って行ける感じにしようという考えもありました。

——ネットを介した活動は今後もやっていく予定はありますか?

地方にいるので、ネットは活かしていきたいと思ってます。デモ音源を自分たちのサイトを使ってフリー・ダウンロードできるようにしようとか。少なくとも常に発信出来る状況を構築できれば、モチベーションを保てたり、また上げられたりすると思うし。フル・アルバムのような作品は、盤というか、きちんと形にしておきたいと思うんですけど。

——5月3日には1年ぶりの東京ライブです。

去年も出させていただいた440(four forty)というライブ・スペースが、アットホームで気負わず演奏できる雰囲気で、いい場所なんです。ブッキングも僕らの自由にさせていただきました。以前は機材トラブルなんかもあったし、もう一つ演奏力も表現力もばっちりって状態で行けなかったのが正直なところなんですが、今回はしっかり自分らの音世界を伝えられるんじゃないかと思うので、お楽しみに。

time[ep] release party!

2011/4/24(日) @山口市湯田温泉organ's melody
OPEN 17:30 / START 18:00
w / ひつじとはね / Kijima Sound System (from TOKYO) / 蜥蜴

2011/5/3(火・祝)@東京下北沢440
OPEN 18:00 / START 18:30
w / organic stereo / 百景 / 山本達久(NATSUMEN、カヒミ・カリィ他。ソロ&この日の出演者とのセッションを予定)

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swimmingpoo1 / how to enjoy swimming

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PROFILE

実の兄弟である橋本敏英(兄)、橋本崇広(弟)を中心に結成。山口県山口市を拠点として活動開始。広島のインディーズ・レーベル、Novel Sounds(ノベル・サウンズ)と契約。2009年9月にファースト・アルバム『landscape』発売。全国各地のレコード店にて試聴機などで展開され、クッキー・シーンをはじめ、各種ウェブ、雑誌などで取り扱われる。国内外のアーティスト、リスナーから評価を受けている。

official web

[インタヴュー] little phrase

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