
ShinSight Trioのフル・アルバムが4年ぶりに届いた。4年前に突如として現れた彼らは、そのセンスとスキルをシーンに十分に見せつけた。Shin-skiがトラックで表情を作り、スパイスとしてDJ Ryow a.k.a. smooth curentのスクラッチが入る。そこにInsigtの弾みながらにたたみ掛けるラップがすべり込む。作品を通して聞くと、彼らがいかに音楽を大切に聞かせようとしているのかが伺える。彼らは偉大なる先輩達だ。長年にわたりアナログを掘り続け、コンスタントに作品をリリースし、DJとしても活躍し、常に第一線としてHIP HOPシーンを盛り上げ続けて来た。各々の活動の場は、ボストン、関西、東京にあり、3人ともShinSight Trioの活動だけが全てではない。そんな個々の活動も含めて3人が培ってきたものが集大成として本作には表現されている。彼らに対してメローでスムースなHIP HOPのイメージが先行している人にこそ、本作を聞き込んで欲しい。改めて3人が「俺たちはHIP HOPを好きだからやっているんだよ」と伝えてくれる。
メンバーのShin-SkiとDJ Ryowにインタビューする機会を得た。先輩方、これからもHIP HOPシーン、クラブ・シーンを盛り上げて下さい! 勉強させてもらいます!
インタビュー & 文 : Wakf
4年ぶりとなるフル・アルバムが完成! 全HIP HOPファン必聴の2ndアルバムが配信スタート! !
ShinSight Trio / 『wheres there a moon that is mine』
世界が嫉妬する圧倒的なサウンド。新世代アーバンHIP HOPの到来! Shin-Ski、Insight、DJ Ryow a.k.a. smooth current、国境を超えたHIP HOPグループShinSight Trio。2006年に発売されるや大ヒットを記録し、数々のレコード会社からコンピレーションCDへの収録依頼が殺到した「Early Dayz Amazement」をはじめ多くの名曲を世に放った傑作1stアルバムから、4年ぶりネクスト・ステージへ昇華した2ndアルバム遂に解禁!!
HIP HOPシーンに衝撃を与えた傑作1stアルバムも同時配信スタート!
ShinSight Trio / 『Shallow Nights Blurry Moon』
本作は、全てのプロダクション・ワークをShin-Skiが担当する事により今までのInsight関連アルバムとは、一線を画す仕上がりになっている。初めて3人を聴く人達、更には初めてHIP HOPを体験する人達にも満足出来る極上のHIP HOPとして、またHIP HOPという枠を超え、一音楽作品としても最高に充実した内容だ。全てのミュージック・ラヴァーへ贈る会心の全編13曲に日本限定ボーナス・トラックを2曲追加!
INTERVIEW
ーー3人が一緒に活動することになったきっかけはありますか?
Shin-Ski(以下S) : 元々LevitatorzでRyowは知り合いだし、Insightも付き合いが長いんです。
DJ Ryow(以下R) : 僕も同じなんですよ。1人1人が各々の活動を活発にやってたんで、そんなに会えないんですけど「なんかやろっか?」って言って集まった感じですね。
ーー特別に何かをやろうという話ではなかったんですね?
S : そうですね。それぞれ持ってる物を集めた形がShinSight Trioですね。最初は勢いで始まって、今は予定まで会わせてやるっていうのではないんですよね。
R : 1人1人が忙しいですからね(笑)。
ーー4年振りにアルバムをリリースされましたが、何かテーマはありましたか?
S : late 70'sっていうコンセプトがあって、その辺りの音を中心に作ろうってなったんです。
R : まったくその通りです(笑)。

ーーShinSight Trioにとってルーツがlate 70'sにあったのでしょうか?
S : いつものやり方でざっと60曲位を作ってInsightに送るんですね。その中からInsightが30曲位を選んでくるんですけど、その30曲を聴いた時に半分ぐらいがlate 70'sっぽい音で、もう半分が80'sっぽい感じだったんですね。それで「どうしよっか?」って話になった時に、「音の年代っぽさでまとめた方がええんちゃう」っていうところから始まったんです。後、皆その年代周辺の音が好きなんですよね。
ーー作品を作る過程はどういった流れなんですか?
R : ShinSight Trioに関しては、役割が分かれてるんです。Shin-Skiがトラックで表情を作って、自分がスクラッチを入れて、Insightがラップするっていう流れなんですよ。それで成り立ってるっていうか。
S : 確かにそんなんやな。皆お任せな感じなんですけど、最終的には形になっちゃうんですよね。
ーー分業制!
S : この形がすごいやりやすいんですよね。皆自分のペースで出来るっていうかね。他にもやる事があるんでね。
R : 3人それぞれのセンスとかスキルを信頼してる部分はあるんで、やる事やったらちゃんと形になるんですよ。

ーーセンスやスキルを信頼出来るっていうのは、「現場」に出てる時間が長いという事も関係あるのでしょうか?
S : 確かにDJをやってる歴も長いですからね。各々のフィールドで活動してるし、それこそ活動の場所も違いますからね。色々見て来たことが、影響として出てるのかもしれないですね。
R : 付き合い長いですしね。あんまり会う時間もないんですけど、久々に会ってもなんら違和感ないんですよね。普通に「おー」みたいな(笑)。
S : Insightもあのまんまラフな奴やしな。でもやる事しっかりやるな(笑)。
ーーそれはいつでも変わらないんですか?
R : まったく変わらないですね(笑)。
S : 違和感ゼロやもんね(笑)。
ーーそういえば4年前って、JAZZY HIP HOPっていう括りが出来たりして、自分も含めて多くのリスナーがShinSight TrioをJAZZY HIP HOPって捉えてた時があったと思うんですけど...。
S : そう思われたら「それでいいのかな」って思いましたね。ジャンル分けされながらも聞く人の耳に届き易かったら、それで良いかなって思いますね。多くの人に聞いてもらいたいからね。過剰には意識してないけれど、より多くの人に届く事が大事なんですよ。
R : ジャンル分けって日本の音楽の特徴的なところだったりするけど、それで聴き手に届きやすかったら文句言わないですよ。俺たちは作りたいHIP HOPを作っているだけであって、結果的にこの作風になってるんです。それはこれからも変わらないと思います。
ーーJAZZYっていう括りは、なんでしょうか?
R : うん。例えばPremierやPete RockがJAZZをサンプリングした作品があったら「それはJAZZY HIP HOPって言うの?」って話ですよね。誰も言わないですよね。めちゃくちゃHIP HOPしてるし。イメージって誰でも持つと思うんですけど、雰囲気で言っちゃったりしますからね。それでいて作り手は意識してなかったりしますからね。
とにかく楽しんでほしいですね

ーー凄い説得力があります。最近のHIP HOPシーンに思うことありますか? 90年代を騒がせたスター勢が頻繁に来日してますけど。
R : そんな言える立場じゃないですから(笑)。
S : 確かに(笑)。でも、あんまり来日し過ぎると珍しい感じがしないですよね。
R : でも良い影響は与えてるんじゃないかな。やっぱりかっこいいと思いますからね。
ーーClubでDJしていて、最近のClubについて感じることはありますか?
R : 昔ほどの盛り上がりがないですよね。HIP HOP好きが来てない気がしますよ。どれをかけても同じ反応なのかな? 前だったらこれをかけたら盛り上がるっていうのがあったと思うんですけどね。最近は大きい箱でやってないからイマイチ分からないんですけどね。
ーーCLUB FAMILYでは長い間、DJをやられてますよね?
R : もう1本に絞ってる感じですね。自分のホームを1個作ろうと思って、そっちのほうが今の流れに合ってる気がするんですよね。後はやっぱり作品のリリースとかが多かったりするんでね。もうあそこもおかしいんでね(笑)。この前のアニバーサリーも凄かった。もう長いこと出てるんですけど、いつも「そんな深い時間DJお願いしないんで」って言われながらも、行ってみたら思いっきりメイン・タイムだったりしてね。オイオイみたいな(笑)。
S : 本当にいいクラブなんだよね。
ーー若い人達が外に出なくなって来てるんでしょうか? それこそ、90年代「さんぴんCAMP」等日本語HIP HOPに始まるムーブメントはもう来ないんですかね?
R : もうHIP HOPが、B-BOYの音楽って感覚ではなくなってるとも思いますけどね。
S : だからDJの時は好きにやってますね(笑)。元々何でもかけるタイプなんで。
R : 多分がっつりHIP HOPを聞く人は居ると思うんですよね。でも聞くだけだったりするんですかね。家に籠ってるんですかね?
S : DJにしてもRAPにしても、活動している子はしっかりといると思うんですけどね。

ーーインターネットで楽曲をダウンロードする等、音楽を得る方法が簡単になっていますが、それも原因なんでしょうか?
R : PCで音楽聞いたり、DJをしたりとかはいいと思うんですけどね。外に出なくなったりしちゃうと、寂しい気持ちにはなりますよね。
S : 僕もPCは使うんですけど、それだけになっちゃうとやっぱり狭くなっちゃうと思うんですよね。でも聞く手段とか楽曲制作の一部とか、あくまで手段としての楽しみ方や使い方だったらありだと思います。
ーーそれはShinSight Trioの制作に活かされているレコードからのサンプリングや、レコードを掘り続けてるからこそ言えるんでしょうか?
S : 制作に関してはPCも使いますけど、基本アナログからのサンプリングですね。そこはもう定着してますからね。
R : アナログとか長い間集めてますけど、あのレコードを集める感覚ってなかなかな無いと思うんですよ。「これ2万円か。 買ったら生きていけないな」みたいな。でも単純に買ってて面白かったし、集める喜びってあるじゃないですか。1日かけての収集とかは、もはやオタクだと思いますもん。
ーー今作は特に幅広く表現されている気がするんですが、なにか意識されましたか?
S : いや単純に楽しくやろうよって作りましたね。Insightに関しても難しいことを言っている訳ではないんで、あくまで身の周りのことを歌っているだけなのでね。それでしっかりHIP HOPしたかったんですよ。
R : 僕らの周りはHIP HOP畑の奴らも多いんですけど、何でも聞いている人の中にlate70's辺りの音が好きな奴がいたりするんでね。色んなエッセンスが組み込まれていますね。
ーー例えばアメリカだと、HIP HOPの形が変わるにしても、ちゃんと次から次へとHIP HOPしてる若い世代が出てきますよね。
S : アメリカって難しいこと無しに楽しんじゃってるんでね。それをリスナーも待ってるし、国を挙げて全然違いますよね。Insightに関しても長くやり続けてるし、自分のリズムが出来てたりするんで、頼んでるこっちも楽しめるんすよね。
ーー若い世代の子達に伝えたいことはありますか?
S : とにかく楽しんでほしいですね。今回はそういう中身だと思うし。
R : 僕もそうですね。どうこう言わないんで聞いてほしいですね。HIP HOPって本来楽しむものなんでね。
ShinSight TrioがiPad向けアプリをリリース!!
音楽を感覚で楽しめるミュージック・アプリ! その名も「ShinSight Trio Free」
ShinSight Trioのメンバー、Insight(MC)がiPad向けのアプリを作り上げました! 自分たちが作った音楽を聴くだけではなく、誰もが簡単に操作・演奏して楽しんでもらおうというのがコンセプト! このたびリリースされた新作『wheres there a moon that is mine』の収録曲「Teamwork」を画面上で操作しながら、自在に演奏することが出来ます。MPCをモチーフにプログラミングされたサウンドをループさせたり、サウンド・パットを叩いて音を足していくのもよし、自分でビートを組んでいくのもよし。遊び方は自由なんです! 更にShin-Ski自ら操作して解説したビデオも公開中です。是非、ダウンロードして遊んでみてください!

特徴
・楽曲「Teamwork」から16個のパッドにアサインされた16の音色
・64のステップ・スイッチ →(16分音符対応のステップ・シークエンサー)
・プレイ
・ストップ
・ソロ
・ミュート
・3種類の異なるループ・パターン
・ループ・カウント
※無料版の配信は、期間限定です。
※iPhone対応ヴァージョンも今後リリースする予定です。
※本アプリは、iTunes App Storeにて配信しています。
※iTunes Storeのトップ画面、右上にある検索窓に【ShinSight Trio】と入力して検索してください。
音で遊び、グルーヴを奏でるアーティスト達
Himuki / LIBERALISM
トラック・メイク、クラブ・プレイ、スクラッチ、とマルチな才能を遺憾無く発揮する、日本が世界に誇るトラック・メイカー、Himuki。本作は、そんなHimukiが世に解き放った記念すべき1stアルバム。
HOCUS POCUS / 73 Touches
ファースト・フル・アルバムとなる『73 Toches』は、ファンク、ソウル、ジャズ、オールド・スクール・ヒップ・ホップ…と、実に様々なサウンドの要素が入り混じっているのが特徴だ。イギリスではメジャー・クラスの人気MC、TY(Big Dada)を迎えた軽快な先行シングル曲「Onandon Part.2」、フルートのサンプリングとMCの20sylのフロウとの相性が抜群な「Pascal」、ザ・プロカッションズ(the Procussions)を迎えたセッション色の強い「Hip Hop?」…といった全13曲になっている。
PROFILE
全世界のアンダーグラウンド・シーンにおいて人気度、認知度共に揺るぎ無いNo.1の座を獲得した稀代の才人=Insight、そしてInsightとの交流も深く、その音楽性の幅広さと独特の美メロ・センスで、全世界のグッド・ミュージック・ラヴァーの心をメロメロに溶かしまくっている日本が誇る至宝=Shin-Ski of Martiangang、そしてShin-Skiとのタッグ・チーム=Levitatorzや、自身の活動等で、もはやアンダーグラウンド・シーンのカリスマとなったDJ Ryow a.k.a. smooth currentという稀代のHIP HOPジャンキー達が、長年の構想を経て、究極のゴールデン・トリオShinSight Trioを組んだ!!!